仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
初めは、たまたま彼女のデータを見つけた時だった。
人間の女が入っていること。帰るべき場所があること。
初めは、彼女が住んでいた場所に返そうと思っていた。
特に大きな理由はない。打算のない善意と言うものだ。
彼女の身体を構成して、彼女をこの世界に解き放った。
姿を見た時、ただ単に綺麗な方だとしか思わなかった。
自我を入れるだけと言う時になって、興味が生まれた。
この女の人として歩んだ人生を見て見たいなと思った。
もちろん迷惑この上ないことだし、許されないことだ。
そして身体をデータ化し、機械に滑りもこませて見た。
記憶の世界での彼女は、よく笑う女性だった。
鏡飛彩と言う男を愛していた。
彼女は男と話し、幸せそうだった。
俺は、彼女のことを好きになっている自分に気付いた。でもいい。それで君が幸せなら、俺はこの気持ちを諦めることができる。
だが彼女はある日、病気になった。「バグスターウイルス感染症」 治す方法がまだ完全には確立されていない病気だった。
痛む体を引きずり、愛しい男のもとに彼女は向かった。
だが、男は彼女のことを、小姫を見ていなかった。
参考書を一心に読み続け、適当な相槌で相手をしていた。
――――なぜ小姫を見ない?小姫はお前を見ているのに――――
小姫は声を荒げ、男のもとを去った。
だが、小姫は男を嫌いになったわけではない。相手をしてくれない男に一時的に腹が立ったのだ。
帰り道の途中、小姫はその場に倒れこんだ。
過剰なストレスにより、病気が悪化したのだ。それも急速に。
――――苦しむ小姫を、見ていられない――――
手を握ろうとしたが、ここは記憶の世界。小姫に触ることはできず、ただ手は空を切った。
………ようやくあの男が来た。いまさら何をしに来たというのか。もう小姫は助からない。
[飛彩………世界で一番の………ドクターになって………]
最期の言葉を残して、小姫は消えた。
――――なぜだ、なぜ小姫を見なかった? お前がちゃんと彼女を見ていれば、あるいは結末は違ったかもしれないのに――――
――――小姫、あんなクソ男のどこがよかったんだ…俺なら絶対君から目を離さない。ずっと君を愛す。ずっと大事にする。約束するよ。絶対に泣かせないし不幸にしない………大丈夫だ。俺がこれからもっと幸せな未来を君にあげる。だから――――
「だから、俺を見てくれ。小姫」
現実世界に戻り、俺は小姫の瞳を見た。
改めてみる彼女の顔は、相変わらず虚ろだったが………それでも、とても愛おしい。
抱きしめたい衝動にかられたが………それを耐える。
「君が目覚めた時、最初に見るのは………俺だ」
優しい君に、恋をした。美しい君に、恋をした。
「俺の剣も、何もかも、全てを君に捧げるよ。俺は君の、騎士になる」
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