仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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バンドリーマーVさん4回連続の誤字報告ありがとうございます。

楽しく読んでいただけるように心がけているのに、お手を煩わせて申し訳ありません。


39話:TADDLE世界に願いを込めて

鏡飛彩視点

 

 ………何が起きた?

 

「………!お、おい!!」

 

 何故。なぜ自分から死ぬような真似をしたのか。意味が分からなかった。あれほど恨んでいた俺に、なぜ勝ちを譲ったのか。

 

「………マッスル化で上昇する攻撃力はレベル換算で元のレベルの10倍。お前のレベルは一時的に1500。一撃だが、レベル200の俺を殺すには十分な威力だ」

 

「なぜ自分から俺に殺されに行った!どういうことだ………うっ?」

 

 奴の所へ向かおうと足を踏み出したが、変身が解けて俺はその場に倒れこんだ。勝ったとはいえ限界だったのだ。立つ力が残っていないことに全く気付かなかった。

 

「俺は………お前が憎い………大嫌いだよ………」

 

 奴は、スレイヤは立ち上がり、右手で腹を抑えながら小姫の元へ歩いていった。

まさか、間違った記憶を植え付けるつもりなのか、反射的にそう思った。

 

「ま、待て!」

 

「安心しろ。今更ずるはしねぇさ………」

 

 スレイヤはしっかりと青い電極を掴み、小姫の腕に優しく、指輪でもはめるようにゆっくりと刺した。

 

「勇者ブレイブ………いや、鏡飛彩。俺はお前が大嫌いだ。お前はあの時、あの子と小姫を死なせた。だから、俺が小姫を幸せにしたかった」

 

「ちょ、ちょっと待て、あの子………とは、誰だ?」

 

 スレイヤは少し怪訝そうな顔をした後、「お前は知らなかったか」と一人で勝手に納得した。

 

「小姫のお腹には………子供がいる。お前の子だ」

 

「な………に………?」

 

「このことは多分、小姫本人も、お前以外の人間たちも誰も知らない。小姫も子供もバグスターだが………それでも変わらず、ここにいる」

 

 信じられないと、俺は首を振った。普通なら、あの時CRにいた時点で妊娠していると分かっているはずだ。

 

「妊娠1日目………それが子供の死んだ時だ。妊娠5週を過ぎないと、超音波ではまだ胎嚢が見えないから誰も気が付かなかった」

 

「………知らなかった………」

 

 いったい自分はどれだけ小姫を見ていなかったのだろう。自分が嫌になる。

 

「何度も言うが、俺はお前が大嫌いだ………だが、小姫が求めてるのは………やっぱりお前だ。お前に任せる。お前が彼女を幸せにするんだ」

 

「………お前は、俺を殺す勢いで来ていただろう、どうしてそんなことを言う?」

 

 スレイヤはしばらく俺をじっと見つめ、やがて口を開いた。

 

「お前と戦っているとき………いや、お前が立ち上がるたびに、小姫の顔が悲しげに歪んだ。分かってるんだな。記憶がなくても、自我がなくても、自分にとって一番大切な存在が小姫の中から消えていない。

それを見た時、俺の中から、お前と戦う意味が消えた。お前の勝ちだ」

 

 スレイヤが掌を回すと、空中から二つの指輪が現れた。

 

「彼女にはめてやれ。お前の仕事だ」

 

 咳き込んだスレイヤが、血のようなものを吐いた。体が透け始めていて、消滅するのは明白だ。

 

「………嫌なもんだな。世界で一番好きな女が、世界で一番嫌いな奴のものなんて………いや、これでいい」

 

 ………ここにも、いた。出会い方が違えば、仲間にもなれたかもしれない男が………

 

「見てろ?もし彼女を泣かせたら、地獄から蘇ってその首飛ばしてやる」

 

「………ああ。その時は………存分に俺を殺せ」

 

「………使え」

 

 指輪と一緒に、「バッドレガシーガシャット」を渡された。

 

「………感謝する」

 

 スレイヤがその時になって初めて…笑った。そして、完全に消滅した。

 

「………飛彩?」

 

 ………愛しい、声がした。

 

恋焦がれた、求め続けた声。

 

いつか、必ず取り戻すと誓った。

 

君の声が聞こえた。

 

「………小姫」

 

 立ち上がって、走り出す。限界を超え、立っていられなかったはずなのに、走れる。

 

やっと、やっと追いついた。俺のこの手が、君に追いついた。

 

状況を把握できていない小姫を抱きしめる。

 

「飛彩………どうしたの? 怪我だらけ………」

 

 どうなっているのか聞くよりも先に、先に俺なんかのことを気遣ってくれる彼女が愛おしくて、抱きしめる力が強くなる。

 

「小姫…渡したいものがあるんだ」

 

 指輪を彼女に見えるように見せ、微笑みながらその言葉を告げる。

 

「小姫、愛してる。俺と、結婚してほしい」

 

 小姫は驚いたように目を見開き、やがて破顔した。

 

「…はい…!」

 

 ここまで、長く、苦しい道のりだった。

 

一度目は、失った。

 

二度目は、諦めた。

 

三度目に、追いついた。

 

ここまで、苦しく、辛い道のりだった。

 

たぶん、それはまだ続くと思う。

 

でも、未来に希望はある。

 

だから、願おう。

 

俺と小姫の未来が、幸せと希望に満ちているように…

 

願おう。

 

二人の、これから――辿る世界に願いを込めて――――




久々にいい話………と思いたい。

文句があれば指摘をお願いします。参考にします。

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