仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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幽世:我が生涯の仲間PARA=DXへ

「変身!」

 

【辿る歴史!目覚める騎士!タドルレガシー!

アガッチャ!辿り着いた魔界!邪神のレガシー!】

 

【ガシャット!ガッチャーン!ランクアップ!

最終戦だァーー!!!全軍突撃!BANG BANG GENERATION!!!!!】

 

 全員の変身が終わり、それぞれが散る。

 

三角形に陣を組み、ゲムデウスを挟み込んだ。

 

「………良い陣だ。近接重視のグラファイトが一番近くの目の前。魔法ができるブレイブは中間距離。遠距離中心のスナイプは遠くから。歪な三角に見えて、よく考えられている………だが」

 

 そう言った瞬間、ゲムデウスの姿が消えた。透明化したのかと思い、気配に集中する。すると、真後ろから強大な力の奔流を感じた。

 

「悪いが挟み込まれるのは慣れていなくてな。通り抜けさせてもらったぞ」

 

 瞬間移動でも、透明化でもない。

 

包囲したはずの相手。

 

さも当たり前のように自分の真横を通りすぎたのに、止められなかった、どころか、視界の端にとらえることすらできなかった。

 

敵は、遥かに怪物。

 

「さあ、一度に全員でも構わん。来るがいい」

 

 武器を構え、真正面から見据えてくる。

下手な小細工は潰されるだけで無駄か………

 

「………よし、最初は俺から攻撃しよう」

 

 警戒心を最大まで上げ、ゲムデウスに向かって歩いていく。

 

海帝の時と同じ、極限まで近づく。

 

目の前にまで行くが、ゲムデウスはまだ動かない。

 

「………いざ!!」

 

 抜刀し、切りかかる。真横に振った刀は空を切り、ゲムデウスの姿がまたしてもない。

 

…!上か!

 

「太刀筋は悪くない!だが、貴様は武器の扱いがまるでなっていない!」

 

「うおおお!?」

 

 空中からの上段斬り。どうにか刀の腹で受け止めたが、体が地面に埋まるほど強烈な一撃だ。

…パラドはこんな化け物と戦っていたのか………!

 

「チッ!まだ回復できていないか………体が思うように動かん!」

 

 そうぼやきながら、体が半分以上埋まっている俺を片手で引っこ抜き、さらにまるでボールのように投げるのだからたまったものではない。

いったい元はどれだけデタラメな軌道力で動いたというのか。

 

「ぐおっ……!止まらん!」

 

 吹っ飛ぶ速度を緩めようと地面に刀を突き立てたが、全く速度が落ちない。

 

あまりにも切れ味がよすぎるため、ブレーキの役目を果たせないのだ。

 

どうすることもできず、俺は最高速のまま後方のビルの窓に激突し、屋内に転がり込んだ。

 

「くそ………!何!?」

 

 立ち上がろうとして膝をついた瞬間、ビルが丸ごと二つに割れた。

 

ゲムデウスの攻撃だ。一体どんな斬撃を放ったのだ………!

 

「この!無茶するな!」

 

 瓦礫に潰されないように注意しながら抜け出した。

 

外に戻った俺が見たのは、押されながらもゲムデウスと打ち合っているブレイブだった。

 

「俺に向けた斬撃ではなく、ブレイブと斬り合っていた時にたまたま飛んだだけだったのか………」

 

 そう考えると、余計に寒気が走る。向こうがやみくもに振るだけで殺されかねない。

 

「くそ………あれで弱っているとは信じられん………」

 

 武器を握りしめ、1つ深呼吸をして走り出す。

 

「せい!」

 

「グラファイトか!速かったな!」

 

 立て直すのが早かったといいたいのか、それとも走り寄る速度か、

 

何はともあれ、背後からの不意の一撃はあっさりと交わされた。

 

「行くぞ!双龍剣!」

 

 ゲムデウスの刀から二頭の龍が現れ、こっちへ向かって飛んできた。

 

「紅蓮!爆竜剣!」

 

 我ながら情けない火力のちびた炎竜が飛び出し、あっさりと二頭の龍に飲み込まれた。

 

「ちっ!」

 

 仕方なく横に転がって回避する。

 

【TADDLE CRITICAL FINISH!】

 

 俺の背後に飛んでいった龍に大量の氷の剣が衝突した。

 

「……!ブレイブか………」

 

 以前にも増して強力な攻撃になっている。完全に相殺はできなかったが、それでも速度も炎の勢いもだいぶ落ちた。

 

【BANG BANG CRITICAL BURST!】

 

 さらにスナイプのキメ技が双龍に衝突し、完全に双龍が消滅した。

 

「おお……なかなかやるな。馬鹿ではないか…」

 

 ゲムデウスはほんの少しだけ見直したようだ。つまり、ここからの攻撃はさっきとは比べ物にならないものになるということだ。

 

「良いだろう!では続くぞ!輝の太刀!ヘカントケイル(断閃光)!!!」

 

 ゲムデウスの刀の切っ先からレーザーポインターの光のようなものが飛び出し、ブレイブへと迫る。

 

「……!ブレイブ!受けるな!避けろー!!」

 

「何!?」

 

 俺の声を聴いたブレイブがとっさに体を横に曲げ、何とか閃光をかわした。

だが、ブレイブの剣は光の光線にぶつかり、柄を残して刀身が吹っ飛んだ。

 

「馬鹿な!?なんて切れ味だ!」

 

 もし俺の声がもう少し遅れていたら、

ブレイブが自分の左腕の盾で受け止めていたら、

 

胴体を貫通、悪くすれば腕がちぎれる。

 

「剣を失ったか!戦力半減といったところか!闇の太刀!ピュトーン(磁力変動)

 

 周囲の景色が急に暗くなったと思った瞬間、三人とも地面にたたきつけられた。

 

「ぐあ……!闇の引力か!」

 

 発動しているのは足元の地面。これでは立つこともできない。

 

「我が氷塊で散るがいい!凍の太刀!ティアマト(超氷河)!!」

 

 空中に巨大な氷が出現し、真っ逆さまに落ちてくる。

 

「うおおお!!!」

 

 ブレイブが劫火を出し、空中の氷を溶かしていく。

 

「…!何という火力か!」

 

 ゲムデウスも驚いたようで、呆然としている。

 

「行くぞゲムデウス!」

 

 ブレイブは今度は一転して氷の魔法を使った。

溶けた氷の水が蠢き、ブレイブとゲムデウスをまた氷となって覆った

 

「これは……氷のドーム?ブレイブ………貴様、何を………」

 

「ゲムデウス……ここは今、俺が作った氷のドームの中だ………この中でさっきの火魔法を使ったら………どうなる?」

 

「溶かされた氷は水、そして水蒸気になる………!密閉されたここでは、圧がたまる………?………!!貴様!水蒸気爆発か!!!!いかん!!!」

 

 ゲムデウスが氷の壁の体当たりしたのだろう。少し揺れたが、氷壁は砕けなかった。

 

「俺と死ね!ゲムデウス!」

 

 直後に、大爆発が起きた。

 

 

――――――――――――――――

 

――――――――

 

――――

 

――

 

「う………ここは………!そうだ、ブレイブ!」

 

 俺はどれほど気絶していたのだろうか。すぐに跳ね起き、ブレイブを探した。

 

「グラ………ファイト………か……?」

 

「ゲムデウスは!?やったのか!?」

 

「…その男が死んでない以上、やられているわけがなかろう」

 

 背後からの声。振り向くと、ゲムデウスが立っている。

 

「……どけ、グラファイト。介錯はこちらがやる」

 

「な……!さ、させんぞ!!」

 

 俺はゲムデウスの正面に立ちふさがったが、あっさりと跳ね飛ばされた。

 

「防御不能の攻撃とは、見事であった………見事なり勇者ブレイブ!天晴なり鏡 飛彩!!」

 

 立ち上がることが出来ずにいるブレイブの首を、ゲムデウスが切り落とした。

 

「やめろおおぉぉぉ!!!!」

 

【GAME OVER】

 

 スナイプが横から割り込もうとしたが、間に合わなかった。

 

ブレイブが粒子となって消えていく。

 

「畜生!!!撃ち殺せ!!!」

 

 スナイプが自分の分体に命令して乱射するが、一発たりとも命中しない。

 

「動揺したままでまともな狙撃ができるわけがなかろう!お前もあの世に行け!雷の太刀!アマル(大落雷)!!!」

 

 ゲムデウスの頭上に暗雲が立ち込め、大量の雷が落ちた。

 

「ぐあああああ!」

 

 電気攻撃によってスナイプの分体は消え、奴自身も壊れた戦車から投げ出された。

 

「ぐう………!くそ!」

 

「後ろだ。スナイプ」

 

「は!?」

 

 勢いよく振り向き、背後に銃を向けたスナイプ。

それとすれ違いながら、ゲムデウスがスナイプの体を斜めに切り裂いた。

 

「ぐ………お………!!ゲ…ム…デウ……スゥゥ!!!!」

 

【GAME OVER】

 

 断末魔の声をあげながら、スナイプがその場に崩れ落ちた。

 

「ふむ………冷静であれば、もう少し戦えたであろうに………おしい男だ………さて」

 

「………………!」

 

 ゲムデウスがこっちを見てくる。

俺は、動けない。

 

かつて、ここまで理不尽なほどの力を持った相手はいなかった。

 

今ハッキリと自覚した。

 

俺は、怖い。

 

恐れている。

 

死ぬことを。

 

もはや俺の両足は生まれたての小鹿のように震え、逃げることも敵にとびかかることもできずにいた。

 

「………………お前は斬る価値もないな………敵の前で堂々と震えるとは、もはや餓鬼と同じ。………このような輩が新時代の刀の道を開けるわけがない」

 

「だ、黙れ………俺は……!うおおおお!!」

 

 がむしゃらに走り寄り、切りかかる。

 

そんな無茶苦茶な攻撃が通るわけもなく。

 

「………腑抜けが」

 

「あぐ………」

 

 頭を思い切り殴られ、その場に倒れこむ。

 

「そこで寝ていろ。根性無し。この世界は、じき終わる。最後のプレイヤーが消えた瞬間にな………」

 

 俺は………どうすればいいのだろう

 

勝てない。

 

俺一人がここで引き留めたことで、何になるというのか………

 

 

ああ………意識が………………遠のく………

 

 

――――――――――――――――

 

――――――――

 

――――

 

――

 

 

「何を悩む。弟子よ」

 

「………!貴方は………海帝殿!」

 

 そこに立っていたのは、人間でいえば20程の年齢だろうか、若々しい海帝がいた。

 

「我が弟子、グラファイトよ、何を悩む」

 

「師匠………私は、どうすればいいか分からないのです。

勝てぬ敵に対して、いかに戦うべきかがわからないのです!」

 

 俺は必死になって声を絞り出した。涙で顔を濡らし、鼻水を垂らしながら。

 

「なるほどの………無駄死には…犬時には御免か?グラファイトよ」

 

「わ………私は、ブレイブや、スナイプと戦った時のように、充実して、おのれと言う存在を全うして死にたい。こんな………生きた証の残らない死に方は嫌です!」

 

 海帝は、俺をじいっと見ていた。やがて、その場に安座で座り込んだ。

 

「なるほどの。………ならば、儂はどうかの?お前から見て、充実して、おのれと言う存在を全うして死んだといえるか?」

 

「そ………それは………………」

 

 俺は、顔を伏せてうつむいた。

そうだ。俺はなぜこんなことを聞いたのか。一番つらいのは、師匠ではないか。あんな最期………

 

「甘えるな!!!!」

 

「」

 

 急に大声を出され、俺はその場で硬直した。思えば、真正面から怒鳴りつけられたのはこれが初めてだった。

 

「世界は、差別をしない。いかに病気で、残りの余命が一年であろうとも、明日死ぬこともある。健康で、強大な力を持った兵士が目を見張る武功を得たとて、明日殺されるやもしれん。どれだけ優しく、天使のような心があろうとも、事故に合えばそこで終わりだ。明日に結ばれる男女とて、今日死なぬ保証がどこにある!

………死は、平等に訪れる。選ぶことはできん。「始まり」がある限り、「終わり」はある。儂が死んで、刀はお前に行った。であるならば、お前は何をするべきだ?自分のために、最後まで戦え!皆そう生きた!自分が死んでも、必ず自分の意志はつながっていく!敵同士(お前と私)であっても!そんな相手は、いないか?」

 

「………………エグゼイド?」

 

「ならば、信じるしかあるまい。その者のため、お前の命を使うのだ」

 

「師匠………私は………」

 

 

――――――――――――――――

 

――――――――

 

――――

 

――

 

「………!」

 

 目が覚めた。俺は、寝ていたのか………?

 

「………バカな………」

 

 声のした方を見ると、ゲムデウスがこっちを見ている。

 

「少し目を離した隙に………化けた………だと?」

 

「もう俺は迷わない。レーザーも、ゲンムも、パラドも皆、きっとエグゼイドのために生きた」

 

「捨て置けん………前言撤回!殺す!」

 

 ゲムデウスが刀を振りかぶる。

もう恐怖はない。俺のこの命、友の友のために使おう。

 

武士道は、死ぬことと見つけたり。

 

「ゲムデウス………俺の最高の一撃、受けて見ろ!ドドドドドドドドド………」

 

「馬鹿な………あれは………生命の剣!?」

 

 俺の刀の焔は今荒れ狂っている。

かつてないほどの力。

 

そして、それとは反対に俺の体からは赤が消え、徐々に灰色へと変わりつつあった。

 

自分の生命エネルギー全てを焔に変え、刀に流し込む。

 

それが、生命の剣。

 

「行くぞゲムデウス!紅蓮!爆竜剣!」

 

「!っぬお!!!!」

 

 とっさにゲムデウスは盾を前に出した。

 

………………だが、甘い。

 

「………読んでいた」

 

「何!?」

 

 盾を前に出すということは、死角を作るということ。

 

その間に俺は後ろへ回り込み、本当の技の名前を言った。

 

「炎帝激龍槍」

 

 ………それは、突き技。

 

「ギャアアアアアアァァァ!!!!!!!!!」

 

 ゲムデウスの体に、俺の炎が流れ込む。

 

「アアアアァァァァ………」

 

 ゲムデウスはその場に膝をつきながらも、こちらを睨みつけた。………だが

 

「まだ、だ………!?」

 

「終わり………か………」

 

 生命の剣は、自分の生命エネルギー全てを瞬間的な爆発力に変える技。

後に残された燃えカスは、崩れて消えるのみ………

 

「ゲムデウス………お前の思い通りには、ならない………」

 

 灰になって崩れていく体。

ゲムデウスは、何も言わなかった。

 

こうして、俺もまた死んだ。




お読みいただきありがとうございました。
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