仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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第8話:本当の「天才」ゲーマー

パラド視点

 

「お前を片付けて、一秒でも早く永夢と合流する………!」

 

「ッハハ………[二兎追うものは一兎も得ず]、だぜ………

せこい先々の戦略考える暇があったら俺に攻撃してこい!!!!」

 

【ガシャコンPARA=BLEGUN】

 

 俺は武器を顕現して襲い掛かる。

 

「太刀筋はいいな。流石俺だ」

 

 空中にあるホコリをつかみ取ることは、基本的に難しい。あまりに軽すぎるため、握ろうとしたときの空気の流動によって吹き飛ばされてしまうからだ。いま、まるでもう一人の俺はまるでホコリのように完璧に俺の動きに対応し、ギリギリの、一つよ避けそこなえば重大なダメージに繋がる攻撃を避けている。

それも、恐らくわざとギリギリに、しゃべる余裕さえありながら、全く反撃してこない。

 

「なめんな!」

 

 虚勢を張るが、どこ吹く風だ。俺はゲームエリアのアイテムを一か所に集め、選択作業に入る。

 

(高速化(あれ)は下。マッスル化(これ)は一つ上。鋼鉄化(それ)を左に…!?)

 

「あっ…!?」

 

 アイテムの連鎖を確定しようとしたときに、いきなり俺の意思とは別の動きが起きた。せっかく並べたアイテムが滅茶苦茶になってしまった。前を見るとObiパラドクスがしきりに左腕を動かしている………そうか!こいつにも俺と同じ能力が………!

 

「勝負中に相手から目線を斬るのはいただけないぜ?」

 

 奴の右腕が、気づけば俺の胸の三センチほど前に停止している。

 

…俺は悟る。次の瞬間、この腕は動く。俺を打つ。

 

(ヤバイ!)

 

 

 

(避ける!)

 

 

 

(避けれる?)

 

 

 

(避けなきゃヤバイ!)

 

 

 

(どう避ける?)

 

 

 

(飛ぶ?)

 

 

 

(ダメだ!)

 

 

 

(足が伸びてる!)

 

 

 

(足を曲げなきゃ、)

 

 

 

(飛ぶことはできねぇ!)

 

 

 

(間に、合わねぇ!)

 

 

 

(下がる?)

 

 

 

(ダメだ!)

 

 

 

(距離が近すぎる!)

 

 

 

(踏み込まれたら、)

 

 

 

(即座にアウト!)

 

 

 

(武器を…!)

 

 

 

(ダメだ!)

 

 

 

(斧じゃ降るよりも早く来る!)

 

 

 

(銃に変える?)

 

 

 

(両腕の距離が開きすぎ…)

 

 

 

(っていうか、)

 

 

 

(変えてもどうにもなんねぇ!)

 

 

 

 

 俺はあっという間に次の瞬間(・・・・)までの時間を使い果たし、奴の掌底が胸を打つ。

俺は遥か後方に吹っ飛ばされて、その勢いのまま壁に激突した。永夢と戦った時もこんなことがあったなと、一瞬まったく今の戦いと関係ないことを考えていた。

 

意識を集中させ、膝立ちになる。

 

目の前に何かある。

 

相手の足だ。

 

サッカーボールを蹴るみたいに威力たっぷりの右足がガードした俺の腕もろとも顔面を打った。

 

後ろにはね飛ぶが、後ろは壁だ。またしても壁に突っ込む。

 

ミシリと鳴った音は俺の腕からか?顔か?それとも壁か?

 

そのまま俺はズルズルと倒れこんだ。

 

「おいおい………まさか二発で終わりか? 冗談だろ?

まったく………しょうがねぇな………」

 

【回復】

 

 急に力がこみ上げ、体力が戻る。

 

「な、何のつもりだ………?俺を助けるなんて………?」

 

「別に、お前を助けるつもりはないさ。ただ………後から「俺のほうがレベル1低かったから負けた」なんて言われたら困るからな。だからハンデだ。

1:俺は武器は使わない。

2:エナジーアイテム取得の邪魔はするが自分は取らない。

3:お前が死にかけたり完璧に決着がついた場合でも5回までは助ける。

以下の三つを約束するぜ」

 

 余裕も余裕ってわけか………この野郎…上等だ!

 

「舐めたプレイしやがって………!!!」

 

「舐めてなんかないさ。むしろお前にとってはフェアだ。ここまでハンデがあれば、お前もさすがに「次こそ勝つ」とか分け分かんねぇこと言って逃げだしたりしねぇだろ?」

 

 勢いをつけて殴りかかるが、まったく攻撃が当たらない。こうなったら…!

 

【高速化】

 

 エナジーアイテムを取った俺は一気に最高速になって襲い掛かる………が

 

「あ、当たら………ねぇ?」

 

 攻撃がまったく当たらない。何度やってもギリギリに最小限の動きで躱される。

 

「いいか? 高速化のエナジーアイテムは確かに移動速度が跳るが連続攻撃には向かないんだよ。

あまりの速さで逆に小回りが利きにくくなってどうしても攻撃の動作がテレフォン(予備動作が大きく、隙だらけ)な攻撃になる。

だからお前のの攻撃は出が早くなっただけで実際は元より避けやすくなってるんだよ。

だから俺は最小限の動きで躱せる。さらに………」

 

 正面から飛びかかろうとした俺は顔面に肘をぶち当てられて宙を舞う。さっきよりもダメージがでかい!

 

「このように相手の攻撃速度、推進力が高い場合は迎撃に成功できればカウンターパンチとしての効果が期待でき、より相手に与えられるダメージは深刻なものになりやすい………」

 

 な、なんで………なんでこんなに差があるんだ?同じ自分同士だってのに………

 

「納得いかねぇって面だな。言ったろ?お前はもうゲーマーじゃないんだ。真の戦いを忘れたお前に、俺が負ける要素はただの一つもない。例えお前がどんな手を使おうともな。

 

力が強い奴は速さと手数で

速い奴は的確で堅実な一撃を重ねて

防御力が高い奴は毒とアイテムで

体力が多い奴はそれを上回る攻撃力で

全部持ってるやつはこちらも全部使って………

 

それがゲームであり、闘争そのものだ………俺こそが、本当の「天才ゲーマーM」だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この時、俺はこいつから逃げて永夢のもとに行くべきだった。

だけど、俺はそれに気づかなかった。

 

永夢が地獄を見るまで、あと………




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