仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
同日・夜23時25分大我さん視点
不意に雨が降り出し、いつしか土砂降りになっていた。今日はもう閉めるか………いつも通り俺は病院の戸締りをし、さて就寝するかという時に………
「大我院長はどこで寝られるのかしら?」
「………お前、まさかでここで寝泊まりする気か?」
「ええ」
じょ・う・だ・ん・じゃ・ね・え!!!
「流石にそれはダメだ。近くでホテルにでも泊まってくれ」
「お支払い………」
「いくらでもお泊りになってどうぞ、はい」
(ちっくしょぉぉぉ!金の悩みなんてなけりゃこんな
もはや生活のすべての主導権を握られて、手のひらで遊ばれる………一瞬もう出て行ってやろうかとも思い、思わずクリニックの出口に足を向けた。その時
「「「おおりゃーーーーーーーー!!」」」
耳をつんざくような大声とともに、病院の入り口を突き破って三体のバグスターが現れた。見たところそれぞれ「バンバンシューティング」「ジェットコンバット」「バンバンシュミレーション」のラスボスバグスターだ。
「殺してやるぜスナイプ!………って」
「エリーゼさん!?」
「なんでこんなとこに!?」
三体ともこいつの顔を見るなり固まっちまった。顔なじみか?
「まあいいや。俺たちの目的はスナイプの討伐だ」
「「そうだそうだ」」
「ヤロォ…人の病院の玄関ぶち破ってからに………!第伍拾戦…」
「お待ちになって、大我様」
俺と奴らの間に入るようにエリーゼが来た。流石に邪魔だと怒鳴りつけようとしたが、俺は開いた口をすぐに閉じることしかできなかった。
「…………」
いつもの…と言ってもまだあってから一日もたっていないが、エリーゼは、こいつは実に表情がコロコロ変わる奴だった。いつでもどこかを、何かを見ていて、その行動は一見調子に乗っているようでいつも確実に考えてのことだった…………だが、今は違う。
とても悲しげな、そして厳しい表情で目の前にいる三体をじっと見つめていた。
「私がこの方に代わって貴方達の相手をするわ。かかってらっしゃい」
「へ?」
「いや………」
「でもエリーゼさん………?」
「ヤマト、グリフォス、それにスネイク、ごめんなさいね。私はあなたたちの敵だわ」
その言葉を聞くと、三体はそれぞれとても悲しげな顔をして、そしてすぐに顔を引き締めた。
「ああ………」
「なる………ほど………」
「いつか…こうなるとは思ってたけど………」
考えてみれば、エリーゼはどう戦うんだ? 普通に培養? ラブリカは確か好感度の上下で戦ってたが………いや、こいつは女か、ならラブリカみたいにお付きの女みたいのは無しか。じゃあ自分の相手への好感度によって戦闘力が変わる?
いや待て、それ以前にこいつは攻略の対象じゃない。そうだ。飽くまで主人公とヒロインの恋路を邪魔する敵?キャラだったはずだ。それにこいつの雰囲気からして、肉弾戦とは考えにくいし………
「行きなさい」
そうエリーゼは一言つぶやいて、すぐに目線を切った。俺の手を引いて、病院の中に入っていく。
「お、おい………?」
いったいどうしたんだ? 俺がそう思うのと同時にいきなり三体の目の前に別の三体のバグスターが現れた。
「あれは私の使用人たちです。一人が
「ごひゃ………」
余りと言えば余りの過剰戦力。もしこいつが俺に惚れずに敵のままだったらと考えると背筋が凍る。
「いたいけな淑女が戦いなどするはずがないでしょう? 悪役令嬢というものは冷たく「この者をつまみ出しなさい」と傲慢に命じるものですわ」
そういってエリーゼは微笑んだが、何処か無理をして笑っているような気がした。
そんな風に俺が驚いている間にも戦いは進んでいたようだ。当然と言えば当然か。いかに三対三でも、レベルがあまりにも高すぎる。すぐに決着がつき、三体は遠くへ投げ飛ばされていた。
「一応元は仲間ですし………ごめんなさい。やはり殺すことはできませんわ」
「いや………別にそれはいいんだが………」
不意に夜がより一層濃くなった。いかに夜で雨が降っているといってもここは都会が近い。空の雲ぐらいはよく見れば見えるものだ。だが今はそれすらない。周りの街灯もすべて消えて、何の音もしない。 静かな…静か過ぎる。まるで真っ暗な闇の中に放り込まれたかのような………
どこかで鐘がなっている。重く、強い鐘の音が………
不意に、空間がゆがんだような気がした。そして次の瞬間、さっきの三体が投げ飛ばされた方向から天を貫くような火柱が上がった。そしてその直後、また世界に光が戻り、普通の夜が訪れた。エリーゼの仕業ではない。
一体………何が起こってるってんだ?