仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
同日・夜23時20分グラファイト視点
俺は今、大雨の中パラドとエグゼイドが別々に戦っているのを遠くのビルの屋上から見ている。
「パラドか………エグゼイドか………」
俺はどちらに付くべきなんだ? 俺は、人間に味方する奴の味方だ。普通なら、パラドの方に行くべきだが………
「………お前なら、きっと「俺のことはいい、永夢を頼む」と言うんだろうな………」
パラドが真に望むことをする。それが俺の使命だ。ならば………
「先ずはエグゼイド達に加勢する。そこからパラドの救出に向かう………培養!」
【
培養し、ビルの屋上から飛び降りる。地面が近づく中、不意に何かがきらめいた気がした。とっさに愛刀のファングを目の前に突き出す。
「気づいたか………竜戦士………」
武器と武器がぶつかり合い、俺は横に吹き飛んだ。転がりながら受け身を取り、立ち上がる。
「………海帝………」
土砂降りの中、海帝は立っていた。
「久しいな。息災であったか?」
「………それが不意打ちをした者の態度か?」
「其方ほどであれば、今程度の一撃、難なく捌くであろう? 不意打ちにもならんわ」
最悪だ。どうやらすでに俺の相手は決まっていたようだ。いくら何でも海帝を振り切って向こうの戦いに参戦することはできない。
「出来れば立ち合いは俺としては今度が望ましいのだが?」
「それがかなわぬこと、言った其方が理解している以上、某が何を言うのかも検討がついておるのだろう?」
まあ無理だろうな。俺は腕と足に力を込め、一気に加速する。
まともに正面からぶつかり、海帝は少し後退した………………
…………おかしい、海帝なら、避けるか回り込むか、はたまた押し切るかしたはずだが………
「どうした海帝! ぬかるんだ地面は苦手か!?」
「む………ぬぅ………」
何度も互いの武器で撃ち合う。やはり変だ。前に戦った時よりも、僅かばかり海帝の動きが遅く、そして攻撃は軽く感じる。心なしか息も上がっているような気がした。
「おおおおお! 紅蓮爆竜剣!!!!!」
刃に紅蓮の炎を纏わせ、空間を焼き切る。斬撃に触れた雨粒が一瞬にして蒸発し、あたりに水蒸気がもうもうと立ち込めた。視界が晴れると、何とか防いだものの、今度は大きく後退した海帝の姿があった。
………………俺が、伝説の剣豪を押している?
まさか………このままいけば勝てる?
俺は、強くなっている! かつての海帝との戦いを通し、確かに奴の動きがとらえられる!
このまま勢いを俺が掴んでいるうちに決着を急ごうと走り出した………
急に当たりの景色が色を失い、世界は真っ暗な闇に閉ざされた。空を見れば時折分厚い雨雲の隙間から健気に輝いていた月も、星も見えなくなっている。
「こ………これは一体………」
海帝もあまりの異常事態に驚き、呆然としている。そして、空間が一瞬ゆがみ、海帝が、雨が………時が止まった。………間違いない、これはクロノスが使っていた【ポーズ】だ。だが、奴はもう死んだはず………何がどうなっている!?
不意に時がまた動き出し、エグゼイドたちが戦っていた方向から大きな火柱が上がった。
しばらく呆然と立っていると、いつの間にか海帝はいなくなっていた。
気が付くとエグゼイドたちの方からは戦いの音はしなくなっていた。恐らくあの火柱によって決着したのだろう。パラドの方からももう戦いの音は聞こえない。俺はエグゼイドたちのいる方へ走り出した。
同日・夜23時30分パラド視点
「な………何が起きた………?」
急にあたりが暗くなったと思ったら、空間がゆがんだ。次の瞬間にはなぜか俺が戦っていたもう一人の俺は消えていた。あたりは静まり返っている。
「兎に角………あの爆発………永夢のところへ行かねぇと………………」
散々あいつに攻撃を加えられて、俺はもう満身創痍だった。
「ちくしょ………この………ポンコツの体………」
ふらふらとよろめき、俺はそのまま雨の中、コンクリートの上に倒れこんだ。