仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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第13話:そして少女は天を掴む

Sad Romance (Violin Version)

 

同日・夜23時27分永夢視点

 

 ………これは夢か? 目の前にこの場にいるはずのない少女の姿があった。

 

「若菜………ちゃん?」

 

「………」

 

 ど、どうしてあの子がこんなところに!? 

 

「若奈ちゃん! こっちに来ちゃだめだ!!」

 

 とにかく、ここから若菜ちゃんを離れさせないと…!あの子は外で生きられるほど丈夫じゃないんだ!

 

「せんせー、せんせーは、わたしがたすけるよ………」

 

【KAMENRIDER CHRONICLE!】

 

「うそ…………だろ! なんで若奈ちゃんがそれを!?

 

【Enter The GAME!Riding The END!………

流星の神…その者、天を掴むライダー………名を刻めクロノ・ストーリー!今こそ 時が極まった!】

 

 若奈ちゃんがクロニクルガシャットのボタンを押すと、あの子は光に包まれ、やがて頭上から板がかぶさり、あの子は僕が見たことのない暗い金色のクロノスになった。空から降ってくる雨はやまないが、世界から光と言う光が消えた。

 

「………! まずい! ガルーダ!!」

 

 雰囲気から相手の戦力を悟ったベイオウルフが一目散に一番近くにいたガルーダに向けて走った。ガルーダを抱え上げ、もう一体の場所へ向かおうとするが立ち止まり、その場に魔法のシールドを張った。間に合わないことを悟ったのだろう。

 

 そして次の瞬間、

 

【PAUSE】

 

 一瞬、しかし、おそらくそれは数分、あるいは数十秒だったかもしれない。時は止まっていた。

………そして………………

 

 

 

 

 

 

 

【RESTART】

 

時はまた動き出す。

 

 けたたましい叫び声に重なるように、炎の柱が吹き上がった。炎が晴れると、そこにはたった二体しか残っていなかった。

 

「お…おい! ベイオウルフ! しっかりしろ!」

 

「あ…ああ………大丈夫だ。だがまさか、張ったバリアを突き抜けるとは………ぐふっ!」

 

 そこにいたのは満身創痍のベイオウルフとそれに守られていたガルーダのみ。飛んできた三体も、最初からいた奴らも全員あの一瞬で死んだようだ。

 

「いかがした! 他の者はどうした!?」

 

「おい! どうなってやがる!」

 

 急に道の向こうから武士のような姿をしたバグスターとパラドによく似た仮面ライダーが来た。他の場所にもいたのか………

 

「い………いったん………退くぞ………」

 

 ベイオウルフが言うと同時に全員うなずき、量子化して消えていった。後に残ったのは若菜ちゃんだけだった。

 

「せんせー………うっ!?」

 

 急にあの子の体がぶれ、変身が解けた。クロニクルガシャットが地面に落ち、砕け散る。

 

「うぇ………けほっ…けほっ………」

 

 若奈ちゃんがその場に膝をつき、せき込む。あの子の小さな体のどこにここまでの地が入っていたのかと思うほど、あの子の体の周りの世界をあの子の体から出た血と言う赤が染めていった。

 

あの血はどちらのせいだろう? あの子の持病か、はたまたクロニクルガシャットの副作用なのか。

 

「せんせー………………せんせー、わたし………わたしね………」

 

【GAME OVER】

 

 あの子は………あの子の体は、空中に解けるように消えていった。

 

「あ………あ………………」

 

 声が次第に大きくなり、僕は叫んだ。

 

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 腕をめちゃめちゃに振り回し、何とか消えていくあの子を掴もうとする。だが無駄だった。僕の手の平はむなしく空を切り、あの子はそのまま消えていく。

 

 

 

 

ゲーム、仮面ライダークロニクルで死亡したプレイヤーのデータは、基本的にプレイヤーを倒したバグスターに準ずるプロトガシャットに保存される。

 

もしもレアキャラの仮面ライダーや混戦時の同士討ちなどで死亡したプレイヤーのデータはそのプレイヤーが持っていたクロニクルガシャットに、破損していた場合は運営が管理するマスターガシャットに保存される。

 

 ………だが、マスターガシャットそのものがもうない。つまり

 

あの子のデータの行き先が、何処にもないということ。行き場のないデータは消えるだけ。

 

つまり、無いのだ。あの子を救う術が、この世のどこにも存在しない。

 

 雨は、まだ止んではいなかった。ずぶ濡れになりながら僕はいつまでも泣きわめいていた。




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