仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
永夢の行動は飽くまで彼個人の行動と思っていただき、実在のホームレスの皆様方にはまったくもって反映されることではないということを読者の皆様どうかご理解とご協力をお願いします。
パセリ:花言葉…死の前兆
CRを飛び出してから一か月たち………さらにそこから二週間たち………
永夢視点
「……………腹が減った………」
ここ最近、何も食べられていない。前まで使っていた場所には警備員がいて、とてもじゃないが飯を取りに行けない。
「さすがに殴るのはやりすぎたか………」
悔やんでも、もうどうしようもない。仕方なく俺は新たな食い物がある場所を求めて歩き出した。
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…
もうすっかり夜になった。町の中では何も見つからず、仕方なく霧の濃い山にまで入って野生の木の実を探すが何もない。
歩き疲れて座り込むと、目の前は崖………というより急斜面だった。試しに石を転がしてみると、斜面をきれいに転がっていき、やがて茂みの向こうに石ころは消えた。
「餓死はさすがにシャレになってねぇぞ………」
完全に手詰まり。何もできない。何もない。
何の気なしにふと自分の体を見てみると、酷い有様だった。
泥だらけのTシャツに敗れ放題のジーパン、靴に至ってはそこがすり減りすぎて靴下のようになっている。
………ふと、ズボンにつけているベルトが目に入った。
「そういや革製品って食えるんだっけ………?」
本物ならいざ知らず、流石に合成品は無理だろ………いや待て、
「………………まあ、餓死より楽か」
近くの木に登り、枝にベルトを巻き付ける。…相変わらず、夜は続く。
「………あの日みたいだな………」
思い出したくもない記憶。自分の罪の記憶。消えない記憶。思い出してしまう記憶。
会えたら会いに行こう。
そんなバカなことを考えながらそろそろ日が昇ろうとしている雲がやたら多い空を見て、俺はベルトに首を通した。
ゆっくりと息を吸い、吐き出す。何度か繰り返し、目をつぶる。
枝から降り、一瞬の浮遊感、そして、首を絞めつけるベルトの感触。
意外と苦しくないんだな。と、関係ないようであることを一瞬思った。
夜が終わって朝が来た。
長い 長い
夜だった。
静かな 静かな
夜だった。
夜が終わって朝が来た。
靄に霞んだ木の枝に、一人の男が揺れていた。
かつて宝生 永夢だった。
一人の男が揺れていた。
「………ここ、何処だ………?」
気が付くと
一面の銀世界、ふと足元を見ると、目の前に少女が倒れている。
確認するまでもなく、その少女は死んでいる。寂しそうな、悲しそうな顔をした少女………
そばにいるウサギは、彼女の死を理解しているんだろうか………?
ふと、日の光が強まった気がした。雪は光をはじき、僕の目をくらませる。
次の瞬間、雪は消え、僕は夜空の下に立っていた。
目の前には蠢く巨大な骨。
「彼」は生き返る気がなかったものの、事故で生き返ってしまっていた。
彼はもう一度死ぬことを切に願っていた。
彼や、彼の仲間たちにとって、「平和で静かな毎日」は墓場にしか存在しなかった。
人々は、そんな彼を宇宙の墓場へと送った。
彼は喜び勇んで死んでいった。
僕は彼の冥福を祈るため、目を閉じた。
目を開けると、また景色が変わっていた。そこは、燃え上がるような夕焼けの広い河原だった。
河原のあちこちには大きな穴があり、その一つの中に少年がいた。
少年は泣きじゃくりながらも、一生懸命に穴を掘っていた。
全ては地球にさよならをするためだった。
不意に、彼の放った土が僕の方へ飛んできた。驚いて目をつむるが、土が当たる気配はない。
恐る恐る目を開けると、そこはもう河原ではなく、海岸だった。
海岸の一際大きな岩の上に、さっきとは別の少年が立っていた。
厳しそうな顔をしたその少年は、一人で黙々とオカリナを吹いていた。
悲しげな…悲しい雰囲気の曲だった。
ふと、その子が僕に気が付いた。
その子は怒り、何か叫んだ。
持っていたオカリナを僕の方に投げてくる。
目をつむるが、やはり衝撃は来なかった。
次は、病院の病室だった。
かつて、あの子がいた場所、あの子がいたベッド、すべてがあの日のまま。
もう、あの子はいない。
ふと、目の前のカーテンが大きく揺らめいた。
窓が開いているのだろうか?
近寄ってみると、そこは僕の知っている病院の外の景色ではなかった。
大きな川を挟んだその先に、地平まで続くパセリの花畑。
よく見ると、その花畑の中心に、誰か座っている。
………ああ………
僕は、あの子を知っている。あの日に別れたあの子………
窓から転がり出て、走り出す。
走る
走る
川の水をかき分けながら走り、何度も転びそうになる。
川を出て、あの子に向けて走り出す。
あの子は僕を見つけた時、心なしか少し悲しげな顔をしていた気がした。
でも、それもすぐに消え、あの子は笑顔になった。
………そうか! 僕が見たあれは夢だったんだ!
あの子は死んだんじゃない。ここにいたんだ!
僕はいつしか笑っていた。あの子に駆け寄り、抱き上げる。
もう、僕は君から離れないよ。若奈ちゃん。
THE GAME IS NEXT STAGE】
すいません、~完~じゃなくて、~第一部 完~でした。