仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
貴利矢視点
「そういえば、君は私のことを殴らなかったな?なぜなんだい?」
永夢の病室を出て、CRで一息ついていると檀黎斗が声をかけてきた。
「ん?」
「君は永夢と仲がいい。特にな。鏡飛彩や花家大我の「頼れる仲間」とは違い、君と永夢は何だか「つるむ友人」のような感じがするからな。私はてっきり、君にとどめを刺されるものだと思っていたぞ」
そういってドレミファビートの画面が暗転するが、俺は話を終わりにする気はない。
「アンタがそこまで馬鹿じゃないのは知っているつもりだ。あそこであんなこと言ったら永夢が怒るのは目に見えてるしな。アンタなりに、何か考えがあったんだろ?」
「まあ、そうだな」
「いちおう、話してもらおうか?」
画面にまた光がともり、檀黎斗は一言だけしゃべった。
「ああいった苦しみは本人にしか分からない。野次馬が「うんうん、わかってるよ」というような安いフォローをしても逆効果だ。元凶である私が言うのもなんだが、永夢自身に解決してほしかった。それだけだ。まあ、こんな事態になるとは思っていなかったがね………今回は私のミスだ。目が覚めたら素直の永夢に謝るとするよ」
「………だからって、あんたのやったことは許されねぇよ………」
「今問題が起きているのは君じゃない。許されないといっても、君に許しを請う気持ちは全くないよ」
それだけ言って、檀黎斗は今度こそ何も言わなくなった。
檀黎斗視点
「…………………………ッチ…………………………」
今のやり取りで、思い出したくもないことを思い出した………うんざりだ、あの記憶は………
[お母さん………どうして………どうして………!]
[僕は、もっとお母さんとゲームの話がしたかったのに………]
[『辛いわねぇ、黎斗君………お母さんがいなくなっても、しっかりね………』]
(うるさい………五月蠅い………!)
(お前らなんか、お母さんが死ぬまで一回も病院にお見舞いにい来なかったくせに………!)
(やめろ………!!お母さんのお葬式で、安い涙なんか流すな………!)
(僕を口先で励まして、「自分は優しい人間なんだって思って、優越感を得たいだけだろう………!?)
(いらない………………)
(口先だけの優しさも、安い涙も反吐が出る………!)
[父さん、あんたもだ………お母さんが死ぬとわかった途端、生活の全部を会社優先にして、母さんの葬式にも来ないあんたも同類だ………!]
[『黎斗君、何か言った?』]
[いえ………なにも? どうもありがとうございます。僕一生懸命頑張ります]
[『あら、黎斗君、もうすっかり大人になったのね?』]
…………懐かしいな、思えば、あの日から私は他人に対して仮面をかぶるようになったんだ。
………永夢、君は強い男だ。必ず帰ってくるだろう。
………美しい水晶を持つ君には、流石に私と同じ轍を踏ませるのもな………。
お読みいただきありがとうございました。