仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE   作:桐生 勇太

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第10話:本当の心は………

永夢視点

 

 もともと自分が暮らしてた、橋の下のダンボールの家。そこでうずくまっていると、パラドが現れた。

 

「……………よくここがわかったな………パラド………」

 

「俺の心は、お前とつながってるからな………」

 

 もういいや。めんどくさい。

 

「帰れ………………帰れよ……………!」

 

「なあ………………永夢、

 

 

 

 

 

 

 

もう………もう、やめないか?」

 

 ………何言ってんだ? こいつ、何を辞めるって? 生きることか?

 

「はぐらかすなよ、もう、強がるのはやめろ、永夢。

 

何が「俺」だよ、お前の一人称は「僕」だろ?

もう、いいんだよ、泣いていいんだ。

永夢、無理に強がって、「お前にとって強い自分」を演じるな。

もういいんだよ………」

 

「ハッ………誰が演じてるって?」

 

「お前だよ。永夢。

邪魔する奴は容赦しねぇし、口調は「俺」、まさに俺、パラドクスの真似っこだろ?」

 

「………………うるせぇ………………」

 

「永夢………お前は………」

 

「うるせぇって言ってんだ!!!」

 

 殴りかかるが、ひらりと躱された。

 

「強い自分を演じるな、永夢、お前はもう十分に強い奴だ」

 

「ふざけんな! 

俺は………()は、女の子一人救えない…!その程度なんだよ!!!!!!」

 

「お前が届かないなら、ほかの皆がいるじゃねぇか、永夢、お前もわかってるだろ?

俺は今、お前の心の通りに話してるだけだ。いい加減、心の闇に逃げるな!!!!!!」

 

「うう………うぅぅぅぅぅぅぅぅぅっぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!」

 

 頭が………割れそうだ。……………いたい………痛い………

 

「………永夢、CRで、俺は待ってる」

 

 それだけ言って、パラドは消えた。

 

「言いたい放題言いやがって!!!

 僕は………俺は………僕は………!!!!!!!」

 

 また、あの温かい病院に帰る、そんな資格が、自分にはあるのだろうか?

頭を掻きむしり、泣きわめく。僕は………どうすればいい?

 

……………………………………………………………………………………

 

 

 

……………………………………………………………

 

 

 

…………………………………………

 

 

 

………………………

 

 

 

………

 

「永夢………永夢………?」

 

 泣きつかれ、いつの間にか眠っていたみたいだ。空は赤く染まり、目の前にはポッピーがいた。

 

「今度はポッピーかよ………」

 

「永夢………私、永夢に帰ってきてほしい。永夢とまた、一緒に仕事がしたい。ドレミファビートがしたい。皆で………一緒に笑いたい」

 

「俺には…僕には、そんな資格はない。他の人でいいじゃん、

適合手術をすれば、またエグゼイドは現れるんだ。

ハイパー無敵だって、本当の天才ゲーマーのパラドにやらせれば………」

 

「永夢以外じゃ………いやなの………」

 

「………ッ

何でだよ!!!!!! 僕なんか………どうして、どうして僕なんだ!?」

 

「私………永夢が………好きなの………!」

 

[君はきっと気づいてないけれど…君は、きっと、永夢のことが好きなんでしょ?]

 

「前に………キッドが私にそういったの。だから………………」

 

 胸が、痛い。穴が開いているみたいだ。

 

「僕は………僕には、そんな………愛されるほど、価値なんて………」

 

「私、永夢が好き。

 

一生懸命患者さんのことを考えている永夢が好き。

 

ゲームをしている永夢も好き。

 

別の一生懸命な姿が見られるから。

 

ジェットコースターに乗っているときも好き。

 

なんだかんだ、不承不承のくせしてしっかり楽しんでいて好き。

 

そして………何より好きなのが………

 

患者さんが治って、心から嬉しそうな笑顔をしている永夢が、一番大好き」

 

 涙が止まらない。僕は………僕は………

 

「もう私、帰るね………さよなら………」

 

 そう言い残して、ポッピーは消えた。

 

「………?」

 

 いつの間にかダンボールの上に見慣れない箱がある。開けてみると………

 

「………これは………テガミ?」

 

一つ一つ開いて、読んでみる。

 

「蓮介さん………」

 

______________

 

お久しぶりです、宝生先生。

 

あの時に送ったアップルパイ、お口に合ったでしょうか?

 

あの後無事に結婚式を挙げ、今ではおなかに赤ちゃんがいます。

 

親身になって彼女の話を聞いてくれた先生のおかげです。

 

一度、ぜひ遊びに来てください。

 

 名取蓮介

 

______________

 

「これは………上杉さん………」

 

______________

 

先生、元気かい?

 

あの時放送で俺の息子のことを言ってくれたの、嬉しかったよ。

 

これからも俺は、事件を追っていく。

 

先生、あんたも頑張ってくれ。

 

上杉平次

______________

 

「周平くん………誉士夫さん………曜子さん………勇樹くん………颯太くん………ソラさん、シドさん、シシドさん………」

 

 どの手紙にも、ありがとう………ありがとう………としか書いてない。

 

こんな………僕なのに………

 

「………これは………若菜、ちゃん………?」

 

 それは、一冊のノート。

 

[にっき

 

こうさかわかな]

 

 ………なにが、書いてるのだろう………

 

僕は恐る恐る、日記を開いた。

 

[〇がつ×にち、きょうはとってもやさしいせんせーにあえた]

 

[△がつ●にち、きょうはえむせんせーにげーむをみせてもらった]

 

[□がつ▽にち、せんせーといっしょはたのしい。きょうはたくさんおはなしができた]

 

「これ………全部、僕のことばっかり………」

 

 そして僕は、ついにあの日、あの子が最後に日記を書いた日のページを開いた。

 

[◇がつ☆にち、きょうもせんせーはかっこよかった。

せんせー、わたし………わたしね………せんせーのこと、だいすき]

 

 僕はすべて理解した。あの日、あの時、あの子が言おうとした言葉を。

 

若奈ちゃん………僕は………僕は………




お読みいただきありがとうございました。
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