仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・なッ・・・・・・・・・!!?」
その直後、俺はその時の光景を、生涯忘れることはないだろう。
海帝は、俺のファングを受け止めた。そして、俺のその二股に裂けたファングの先端は海帝の腹部に食い込んだ。海帝はゆっくりとその場にひざまずき、倒れた。
「あ・・・・・・・・・かっ海帝!!!」
変身を解いた俺は倒れた海帝を助け起こすが、もうわかっている。
彼は・・・・・・・・・助からない。
これが彼のゲームのルールだから。
一発でも相手の攻撃が当たれば、即死亡。
彼が助かることはない。
だが・・・・・・・・・なぜ・・・・・・・・・!?
こんな、なぜこんな決着なのだ!?
こんな、こんなたまたま偶然の勝利など、俺は欲しくはない! こんなことになるのなら、死んだほうがましだ。
「ふ・・・・・・・・・寄る年波には勝てんなぁ・・・・・・・・・若ければ・・・避けられたものを・・・・・・・・」
・・・・・・・・・!そうだ。海帝は、思えば人間態はかなりの老人。人間に当てはめれば、体中から力が抜け、かつて培った技術など幻のように消えているはずだ。
ならば、このお方は・・・・・・・・・
「海帝・・・・・・・・・まさか、貴方は・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・気付いたか・・・・・・・・・左様、其方の思う通り、合うたびに一回りずつ弱体化していたのだ」
・・・・・・・・・何ということだ。それを俺は、自分が強くなったなどと慢心し・・・・・・・・・道理で技術力で勝てないわけだ。力や速さは落ちても、身体がその動きを覚える限り、技術は五体から逃げることはない。俺は、初めから負けていた。心においても、技術も、ただ、相手が弱くなっているのを利用し、さも自分が強くなったように勘違いしていただけだ。
なんと・・・・・・・・・滑稽な・・・・・・・・・!
・・・・・・・・・なのに、俺は生きている。
「気に病むな。運も実力のうちだ・・・・・・・・・それに、これは必然だと儂は思う」
「必然・・・・・・・・・?」
海帝は、自分の刀をじっと見つめ、言葉をつづけた。
「相手よりも切れ味がよかったから、敗けた、か………不思議なものだ。武器の性能が相手よりも良かったことが負けの要因になるとはな。
きっとこれは・・・・・・・・・某の友であり、相棒であるこの刀が、老いて弱っていく某に引導を渡したのだろう。今こそ新時代の若者へ剣をつなげ、と………」
そうして海帝はふらつきながらも自分の力で立ち、拾い上げた刀を俺へと差し出した。
「貴様の武器を壊してしまったからな…あれでは使えんだろう? 受け取れ。我が愛刀にして、天上天下無双刀、「蓬莱海・真打」だ。この刀も、それを望むはず」
海帝の目の前で正座し、お辞儀をする。立ち上がって刀を受け取り、腰にさす。
「なかなか様になっておるぞ………これからは「剣帝竜戦士」と名乗るがよい」
「………ありがたく頂く………我が生涯の師よ!!!」
敵同士でこそあったが、俺は海帝から多くを学んだ。例え海帝が望まずとも、俺は勝手に呼ぶ。あのお方は、俺の尊敬するお方だ、と………
「最後に………わが友達ともしも合うなら、伝えてはくれんか?
………と……さらばだ。我が一番弟子よ………」
言葉を終えると、我が師は消滅した………
俺は、泣きながらその場で頭を下げ続けていた。
泣いたのは、これが初めての事だった。
俺はこの日のこと、生涯忘れないだろう。
たった一瞬の、敵同士の師弟関係を築いた偉大な武士を………
海帝は武人だったため若く逞しく、才能にあふれたグラファイトに刀を預けたんでしょう。これから、グラファイトはグラファイトファングではなくこの刀を使っていきます。
もはや超えることがかなわない、彼の永遠の師匠の死を背負って………
結局、彼は生涯あの日の自分の勝利を認めることはありませんでした。