仮面ライダーエグゼイド THE GAME IS NEXT STAGE 作:桐生 勇太
私的にはベイオウルフに勝ってほしいものです。
「TWAAAAAKZWOOOOOOOOOOOOOOOOOOOWN!!!!!!!!!!!!!!」
まだ誰もプロトゲムデウスにダメージらしいダメージを与えていないというのに、プロトゲムデウスは満身創痍の状態だ。よく見ると背中の羽が溶け、角も無くなっている。
「KWHAAAAAAANYWEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
大量の吐瀉物を吐きながらレーザーに乗る俺へ突進してきた。
「くっ………退くぞ!」
「おう!!」
その場でUターンして走り出す。ふとレーザーの首元を見るとバイクだったころの名残なのか速度メータ―がついていた。何気なしに見てみると………[480km]何だ、思ったほど早くはな………ん!?[秒速480km]!?
「見なかったことにしよう………」
「なんか言ったか?………うえ!?」
「DWEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEZRLYE!!!!!!!!!!!!!!!!」
声のした方向を見ると、何とプロトゲムデウスが横を並走している。バカな! なんて速さだ!! むんずとレーザーのしっぽを掴み、そのまま尻に噛みついた。
「うぎゃあ!!!!」
レーザーがバランスを崩し、俺は振り落とされて地面にたたきつけられる。
顔を上げると、爛々と目を輝かせるプロトゲムデウスが俺を見下ろしていた。
「MWOORYWEE………」
なんて言ってるのかまるで分らんな………しかし、1つだけわかったような気がする。
前々から感じていたベイオウルフとの既視感の正体。
どこかで会ったことがあるのかもしれないとずうっと考えていた。
ハッキリと分かった。
………俺だ。
俺によく似ているんだ。彼は。
昔の俺と、今の彼。
全然違うようだが、全く同じだ。
どちらも、「自分の無力」を呪ってる。
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[飛彩………世界で………一番のドクターになって………]
[小姫………!]
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あの時、俺は小姫が苦しんでいることに気づけなかった。
あの時の俺はバグスターに対する知識もゲーマドライバーもなく、ただ苦しみ、消えていく小姫を見守ることしかできなかった。 俺は無力だった。無力すぎた。
そして、目の前にいる彼もまた自分自身の無力を呪っていた。
肝心な時に恐怖で動けず、仲間の命を救えなかった自分自身に。
――呪いが彼を強くした。友の死が、彼を呪い、死へといざない、引き換えに究極の力を授けさせた。――認識を間違えていた。彼は魔王ベイオウルフではない。英雄王ベイオウルフだ。
「………同じだな、ベイオウルフ、俺もお前も、過去の自責に捕らわれている」
プロトゲムデウスになって暴走するのも、俺が初めてタドルファンタジーに変身した時と一緒だなとも思う。俺と彼は、相対的に全く逆だが、根底はきっと同じなんだろう。
言葉を介しているかは分からないが、ベイオウルフから流れ出る殺意が少々収まった。
そしてその直後、膨大な殺意が吹き荒れた。
「………そうだな。例えどんなに自分を理解してくれるといっても、所詮は敵だ。結局倒すことに変わりはない。その通りだ。………お前が人間だったら、お前は俺の隣に立っていたかもしれないな」
「PYWEEEEEEEEYEEEEEE!!!!!!!!!!!」
雄叫びを上げながら剣を振りかざす。そこに合わせるように俺もソードを振るう。
【TADDLE CRITICAL FINISH!】
ただ振っただけの長刀と必殺の威力を込めたソード、なのに吹き飛ばされるのは俺の方。 つくづく信じられないほどの戦力差を実感する。いよいよゲージがゼロに近づく………その時、
【回復!!】
どこからともなくエナジーアイテムが投げ込まれ、体力が元に戻る。 助かった………しかし、誰が?
「ブレイブ! 今ので貸し一つね!」
「なっ………!? 女子ゲーマー!? なぜここに!?」
目の前にはライドプレイヤーニコが立っている。特徴的な帽子で一発でわかった。
「だってポッピーいなくなっちゃうんだもん! アタシもいーでしょ!?」
どういう理屈だ………? だが、とにかく助かった!
「とにかく距離をとれ! 死ぬぞ!!」
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!!!!!!」
プロトゲムデウスが叫ぶが、もはや何と言っているのかさえ分からない。
一瞬で女子ゲーマーの元まで高速移動し、ベイオウルフが剣を振りかぶった。
【BANG BANG CRITICAL FIRE!!!】
直後にベイオウルフの顔面に大量の砲弾が着弾し大爆発した。多少は効いたのか女子ゲーマーの真横に剣が振り降ろされる。危なかった………
「ニコ!! こっちに来い!」
開業医が間に合ったか…! 後ろにいるライドプレイヤーは恐らくエリーゼだろう。
「▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼▲▼!!!!!!!!!」
開業医へベイオウルフが歩を進めようとした瞬間、
「ブゥン!!!!!」
どこから湧いたのかゲンムがベイオウルフに抱き着いた。
「ゲムデウスの力を得たのは失敗だ! 食らえ! ゲムデウスワクチン!!!!!!」
ゲンムの体からゲムデウスワクチンが溢れ、ベイオウルフにまとわり付いた。
「ギャアアアアアAAAAAAAAAAAAAA!!!!!!!!!!!!」
ベイオウルフが初めて悲痛の叫びをあげた。
いよいよプロトゲムデウスの外皮が溶け、中からベイオウルフが顔をのぞかせた。