苔を背負ってキノコ狩り   作:カーテンのシャー

1 / 2
私、○○になる。

朝か…。

 

さわやかな風が気持ちよく、まぶたごしに太陽の光が差し込んで眩しい。昨日は窓を開けたまま寝たんだっけ…、虫が入り込んでなきゃ良いんだけど…。

 

だけどまだ寝たりないし、今日は学校休みだし…。

うん、二度寝確定ですねこれは。そうして私は柔らかい土と布団代わりの葉に体を預け、再び夢の世界に旅立つのであった。まる。

 

 

 

 

 

 

…そう、柔らかい土と葉に…。

 

 

 

 

 

…葉?は?

 

 

 

 

 

 

 

ええぇ!?何!?どういうこと!?

驚きのあまり今までにないほどすっきり目が覚めたんだけど!?なんで外にいるんだ私!?

なんか体もうまく動かせないし声も出ないし、誘拐でもされたの!?

それとも寝ぼけて私自らこんな場所に来ちゃったのか!?

あ、ちなみにかのドラ⚪もんに出てくる自称ガキ大将は寝ながら空き地にまで歩いて来れる能力をお持ちだそうで…。なら私もガキ大将になれる素質の持ち主なんじゃない?やったね、私!

 

…ふぅ、騒ぐ&現実逃避のおかげで何とか冷静になれた。さて、もう一度現状把握をしてみようか。

 

体は一応動かせるけど、姿勢はかがんでるぐらいに低いし、不自由を覚える。目もなんか違和感が…。

何とか視界に入るのは、生い茂った木々。きれいな水たまり、もしくは池。自分の目線よりも高く盛り上がる土。その上に覆いかぶさる葉…。

 

えっ、本当にどういうこと?

 

しかもさっきは体の自由が効かないだけかと思ってたけど、どうもそれだけじゃないっぽい。なんというか…、私人間だよね?って感じがするぐらい、体に違和感を感じるのだ。

 

とにかく自分の姿を見たい!ナルシスト的な意味ではなく、確認したい。鏡…はないし、さっき見た水たまりで顔だけでも確認しよう。

 

 

 

 

水面を覗き込むとそこには、おでこが頑丈そうな銀色でつぶらな瞳、大きな鼻の豚さんのお顔がありました。

 

 

 

 

…イヤアアアァァァアアァァ!!!!!!

ねえまじで嘘だよね!?あり得ないでしょ!?今のが私なの!?控えめに言っても人間じゃないよ!ていうか人間じゃないよ!?

いやー、これはあれですわ、騒ぐ&現実逃避じゃ冷静になれそうにないわ。ちなみに私、これを言ってる間もずっと水面見続けてるからね?ずっと豚さんと目があってる訳ですよ。

加えて、水の中に顔突っ込んで夢じゃないことも確認しました。用意周到だね、私!

 

…うん、何とか落ち着いてきた。てかこの冷静になる速さ、私すごくない?朝起きたら顔が豚になってるって正直、ショック死のレベルだよね。

 

それにしても、う~ん…、まじか…。

どうやら私は豚になってしまったらしい。しかもただの豚じゃなく、頭が鉄?というおまけ付きだ。

 

…神様、私が何をしたって言うんですかねぇ…。これでも普通に高校生として節度もわきまえ、精一杯生きてきたつもりなんですよ。まあ、ゲームをやる時間は長かったし、親や友人との関係は良いとは言えなかったけど…。この仕打ちはひどすぎやしませんかい?

ほら、水面に映る豚さんもため息ついちゃってるよ。あ、それ私でしたね。

 

さて、自嘲タイムはそれぐらいにして…。

私、この顔どこかで見たことがあるんだよなぁ。きっとゲームで見たことがあるはずなんだけど…。

その場で1回転して胴体のほうも確認する。どっしりとして肌色の表皮、短い足、そして生えているのかそれ自体が皮なのか分からないけど、びっしりと背中を埋め尽くす…苔。

 

 

 

 

これ…”モス“なんじゃない?

 

 

 

モンスターハンター、私が大好きで小学生のころほぼ毎日やっていたゲームだ。本当は年齢対象があってやっちゃいけないんだけどね。当時ポケ⚪ンとかやっていた私には、格好いいモンスター、装備、友達との協力…。

全てが魅力的ですぐにはまった。

まあ、私がやってたのはPSPのモンハン3rdが主で、その作品にはモスは出てこなかったんだけど。

 

初めて見たのは3rdより前の作品の、2nd-G。

私の知識ではモスは基本一匹、二匹で行動してて、キノコの生えている場所に真っ先に向かってはキノコを食す。危害を加えない限り襲われないし、襲われたとしても尻もちをつくぐらいで、ダメージはほとんどない。

はぎ取るとたいてい生肉と青キノコ、たまに背中の苔がとれる。

 

…まあ、言ってしまうと地味なモンスターだった。体から青キノコが出てきた時は驚いたけど、それ以外は特にって感じ。

 

そして私がモスになってるということは、ここはモンスターハンターの世界なのか?異世界転生というやつなのか?

 

 

 

 

うん、いろいろコメントさせて頂いてもいいかな。分かりやすくまとめていこう。

 

 

 

 

一:私は昨日ちゃんと自宅の布団で寝たし、殺された、または死んだ記憶など欠片もない。

 

二:なんでモス?いや正直ね、これがハンターとか大型モンスターとかなら、戸惑いつつも喜びの感情が溢れたと思うのよ。狩友と冒険したり、大空や大海を渡りながらハンターと死闘を繰り広げたりさ。

 

三:でもモスで何をせよと?キノコ食べて移動してキノコ食べて肉食モンスターから身を隠してキノコ食べて苔を狙うハンターから逃げてキノコ食べてキノk

 

四:え、本当に何をすればいいの?人間だった頃よりつまらない生活になりそうなんだけど。モンスターハンターってレベルとかないし、強くなりようがないじゃん。

 

五:番号でまとめてみたけど、三~五の内容はただの愚痴ですね。

 

…まあ、死ぬ死なないに関係なく、モスになってしまったのは紛れもない事実。そこは素直に認めざるおえないし、今はもっと重要なことに目を向けるべきだろう。

 

もし本当にモンスターハンターの世界に転生してしまったのなら、私は食物連鎖でいう第二消費者、草食モンスターの部類にはいる。つまり、肉食モンスターの餌となる存在だ。そう言った生物から逃げながら生きていかねばならない。

 

そう考えたとき、今!私がとるべき選択肢は…!

 

このエリアの確認と、食料・寝床の調達!

 

私だってモンハンは長い間やっていたのだ。散策すればエリアの特徴、生息モンスターの傾向もわかって対策もたてられる。ついでに食料も手に入る。

 

よし!そうと決まれば行動開始だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

てくてくと、モスらしからぬ軽やかな足運びで森の中を歩き回る。

いやー、なかなかモンスターと会わないのよね。もっと頻繁に会うものと思ってたし、少し楽しみだったんだけどな。

 

後、けっこうお腹も減っている。草食だからそこら辺の草を適当に食えばいいんじゃね?とも思って試したけど、不味くて食えたもんじゃない。胃が拒絶するレベルでまずかった。

 

うん、やっぱキノコが食べたい。その一心でキノコの香りがする方へと向かう。

腹を満たした後もやりたいことがいろいろあるし…。

 

 

 

そんなことを頭の中で整理しながら歩いていたその時!

 

 

 

念願のキノコ(大量)が姿を現した!!

 

 

 

 

 

 

やふ~~~~⭐キノコだぁぁーー!!!

 

やばい!今の私にはご馳走の山、いや宝の山にすらみえるよまじで!多分モス史上最速スピードでてますよまじでぇ!あぁ、キノ「ギャア!」尋常じゃないわ!「ギャアギャア!」で「ギャアギャア!」な「ギャアギャアギャア!!」ってるて素晴らしい!!

 

ふぅ、さすがに騒ぎ過ぎた。なんかしがれたカラスみたいな声が聞こえるぐらいに興奮してたみたい。

まじでお腹が空いてる時のご飯って本当に美味しそうに見えるんだね。感動!

 

さて、この世界に来て初の食事!(あ、葉っぱはノーカンでおなしゃす。)

 

ありがたく、いただきま「ギャア!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…その声は私のすぐ横で聞こえました。なんかね、聞いたことあると思ったんだよ。視界の端にいる、鳥目で黄色いくちばしと赤いトサカ、青い体…。

 

 

 

 

私は、ランポスの群れに囲まれてました。

 

 

 

 

いつだったか、私は言ったな。

人間だった頃よりつまらない生活になりそうなんだけど、と…。あれは嘘だ。キリッ

 

 

 

 

 

 

 

 

アクティブで活動的な、生きがいのある生活を送れそうです!

 

 

 

 

 

 

 

「ギャア!」「ギャアギャア!」「ギャア!!!」

 

「ブウヒイィィィィイィィイ!!!??」

 

あ、私いま、この世界にきて初めて声を出せたよ。やったね!

第一声が豚声とかどんだけだよ。

 

 

…とりあえず、この世界で強く生きていきたいと思います(白目)。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。