レイア・ホワイトリリーというIdolaの末裔ちゃんが主人公です。
彼女は毒使い。そのアクションにご注目あれ。
薄暗い廊下、周りは白い壁。悲鳴が聞こえる。
「ぎゃああああ助けてぇえええ」
逃げ惑う白い服を着た人たち。
バケモノは軽くなぎ払った、人は壁に打ち付けられて動かなくなる。
壁には血しぶきのあと。そして。そのバケモノは
「グォオオオオオオオオオン!!!!」
と、声を上げた。
かつて昔。資本主義の資本家が、その莫大な金を使い全ての富を自分のモノにしようとした。
そして人間は新しい兵器を求め、その開発に
ジリリリリリリリリリリ
ガチャ!!!耳元にあったアラームを止める。8時…、でかいアラーム音のせいでああああああ耳が痛い。
コンクリートの壁で覆われているため、太陽の光が差し込むことは無い。部屋は豆電球に照らされ、ベッドの周りには色々な薬、書類が乱雑に置かれ、机の上には銃が置いてある。我ながら物騒な部屋である。
眠たい目をこじ開けて、ベッドから起き上がる。いつも通りにポシェットの中に銃を突っ込んでこの部屋から出る。この部屋は私の家の地下室だ。
はしごを登って、天井に取り付けてある扉を開き、眩い朝日に目を細めた。
顔を洗い、フード付きパーカーとデニムの短パンに着替えカレンダーを見つめる。そうだった。明日の仕事で約束の1000万円が貯まるのだ。有頂天であった。
私は白百合カンパニーへ帰れる!!!
私は、16歳。白百合カンパニーの御令嬢、レイア・ホワイトリリーだ。そう、あれは6年前の事だった。
父が叔母に殺され、私はディストピアに追放されてしまったのだ。ちなみに白百合カンパニーはユートピアと呼ばれる地区にある。今の世界は平民と富豪で住む場所が違うのだ。富豪は、何一つ不自由なくとてもいい条件の場所で暮らしているのに、このディストピアと呼ばれるところはディストピアの地区によっても違うが、水が得られない、極寒に近いなどの条件がある。これは、結構昔に国と呼ばれる団体と資本家達の戦争からだ。そして、国という団体を滅ぼした資本家側は、科学力をみるみる発展させて、天気をも変えることができるようになってしまった。
彼らは自分たちのことを、神だ、と断言したテレビ放送を見たのは私が3歳くらいの頃だ。
今日の予定はこの前の仕事の金を受け取ること。
予定は3時。少し早めに出かけるのがポリシーだ。パーカーのフードをかぶり、青と灰色のボーダーのポシェットを引っさげて、白いスニーカーを履き玄関の戸を開けた。
まだ風が涼しい。春だからか。
私は目的地まで歩いて向かう。その途中で行き交う人たち。ディストピアと言えども、くずれたコンクリートの家のあととか戦争の後が残っているだけで別に過ごすのに何の支障もない。私がユートピアに住んでた時もだいぶ質素な生活をしていたから。
「見て、白百合の方だ。」
「こら、指を指しちゃいけません!」
親子だった。なかなか微笑ましい。そして、ちょっと羨ましくも思った。
「白百合の方だぜ!?見ろよあの姿」
「白銀の髪に、金色の目。おまけにとんでもない美少女!本物か!?」
「やべぇな、美し過ぎ…」
そんな会話も聞こえてくる。全然そんなことないのに。
アホな人たちだなぁ。と思って苦笑を浮かべる。
そんなことを思っていたら目的地についていた。
コンクリートで造られた鉄鋼がはみ出ている錆びたビルの3階、そこが、取引場所だ。トントンと、音を立てて階段を上がる。
真昼間だというのに影になっていて暗いが、一つ明かりのともった部屋がある、そこが取引場所だった。
近づいていくと、その部屋には扉がなかった。私は冷静な表情を浮かべにその部屋に入る。
「これはこれは白百合の方。」
「お待ちしておりました。」
と黒いスーツを着た男が3人立っていた。取引相手だ。1人スーツケースを持っている。お金が入っていたら嬉しいのだが。
「レイア・ホワイトリリーだ。報酬を頂こう。」
「かしこまりました。これが報酬というものでございます。」
1人の男は持っていたスーツケースを差し出した。
「開けろ。」
「え?」
「ちゃんと金額が合ってるか確かめる。開けろ。」
「いや、ボスがちゃんと入れてましたし、それはしなくて大丈夫な気が…」
「開けろ。3度も言わせるな。」
また、このパターンか。なんとなく、オチは予想できていた。
「クッソぉおおおお!このガキ、調子に乗りやがって!」
ガチャと、男3人は私に銃を向ける。
「そんなことしても無駄だよ。あぁ…
やっぱり、入ってなかったんだ。お金。」
は?というような顔つきで銃を構えながら男はこう言う。
「お前、自分の立場が分かってんのか?今、俺達はお前に銃を向けている。この状況、わかってんのか?」
はぁ…と私はため息をついた。
「銃が最強なんて誰が教えたの?そんなの、ただのハッタリじゃない。」
「このクソガキ、調子に乗りやがって…」
「痛い目見なきゃわからないようだな!」
「よし。撃てェぇええええ!!!」
バン!バン!バン!と音が鳴り響く。それと同時に、バレないように私はポケットの中の小瓶の蓋を開け、床に垂らした。これで、煙幕は張れた。
「や、やったか?あの白百合もただのガキじゃねーかよぉ全く。」
「答え合わせといきましょうか。死んでませんよ。白百合は」
「なっ、どこから声が!?」
…
「貴方の30cm前から。」
なっ!?と男3人は驚いた。
「た、確かに発砲したはずだぞ!どうして当たってたないんだ!?えぇい、もう一回だ!」
バン!バン!バンバン!
煙が引いて、もう私の姿は相手には見えている。銃を3人は私に撃った。
「なぜ…なぜ…あたらない!?」
3人はカタカタと震えあがって怯えた目で私を見る。私はそんな彼らを冷ややかに見つめ、淡々と答えた。
「何ででしょうね。企業秘密だから答えてあげないけど。さて、次はこっちのターン…」
即座に私はポシェットからスプレーを取り出し、3人が発砲する前に彼等の顔面それを吹きかけた。
「なっ、なんだこれ。」
スプレーの中身は強力な幻覚が見える薬で、吸った相手は確実に錯乱常態へとなる。即効性で彼らの目にはもはや何が写っているのか…
スプレーを吹きかけた直後、彼らの一様に上がった腕を私は蹴りこんだ。銃を…回収するためだ。銃を回収しておかないと、死者が出る。
「うわぁぁぁああああああああああああ!」
「腕が、腕がぁぁああああい、食われたぁぁああああ!痛いぃ!」
「た、助けて、食われる、誰か、誰か」
こう、変貌する。彼等が見ているのは幻覚。彼らが対峙しているのは私ではなく、彼等が作った想像そのものだ。
冷ややかにその光景を見つめる。
(さて、こいつらの所持金でも奪おうかね。)
あまり、刺激しないように、彼らのポケットから財布を盗んでいく。しみじみと思った。なんで、こういう盗むとかいう技術ばっかり上手くなってるんだろう…
とち狂った部屋から出て、ある番号に携帯電話を使い電話をかける。トゥルルルル、トゥルルルル
「…もしもし。」
「マリンスノウね。依頼だわ。」
「レイアさんですか。今、忙しいんですけど」
「大丈夫、報酬はちゃんと払うわ。前払いで。」
「…用件は。」
「死体の偽装を三つ頼みたいの。ついでに解毒薬も飲ませてくれれば。」
亡き母との約束。それは人を殺さないこと。
これは今の私を繋ぎ止めるとても優しい鎖であった。こんな仕事をしているが、まだ手をよごした事は一度もない。
「また、薬使ったんですか。解毒薬呑ませるの大変なんですよ。」
「それを含めてのあの大金でしょ。銃もちゃんと奪ったし、錯乱状態でアンタが殺されることはないと思う。だから。そこは頑張ってよ。」
「…しょうがないです。承ります。」
「よろしく。」
ピッ
携帯を切り、メールで場所をしらせて、私はその場を後にした。
…明日は、最後の仕事。ユートピアへ渡るための金が揃う日。
とても楽しみだ。