超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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今回からアニメの2話部分が始まります。

今回変に行数が多くなっているのでちょっと読みずらいかも知れないです・・・。

お気に入り登録が100超えと、通算UAが7000を超えました!ありがとうございます。
これからも頑張りたいと思います。


追記。
申し遅れましたが、ニューとレイチェルを出して欲しいとのリクエストを頂きました。
上手く出せるようにしたいです………出せるかな?


14話 少女の影と白の侍、そして迫る危機

「兄さま・・・」

 

俺がプラネテューヌの国内を歩いていると、よく知る声に呼ばれたのでそっちを振り向く。

 

「ん?サヤ・・・!?どうした?また、待てなくて来ちまったのか・・・?」

 

その声の主はサヤだった。どうしてサヤがここにいるかは解らねえが、できるだけ平静を装って訊いてみる。

前の夢の続きであるならば、確かに教会からゲイムギョウ界に行ったことになるから追ってきてもおかしくはないが、それでも俺が考え込むには十分な状況だった。

 

「うん・・・ただ、あまり時間が無いから要件だけ伝えるね」

 

「・・・要件?どんな要件だ?」

 

俺はサヤの要件という言葉を不思議に思い、思わず聞き返した。

俺が聞き返すと、サヤは薄く微笑み・・・。

 

「私を見つけて・・・兄さま・・・」

 

一瞬で姿と声がネプギアのものに変わってそういう。予兆とかそういうものは一切無く、突然変わったのだ。

そして、サヤであろう人物はネプギアと同じ姿のままうっすらと消えていった。

 

「・・・っ!?サヤっ!」

 

俺は慌てて手を伸ばしたが、サヤであろう人物の姿は完全に消えてしまい、その手が届くことは無かった。

 

「・・・どういうことだ?私を見つけて・・・?」

 

俺は届かなかった右手を見つめながら、その場で考え込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

俺は一気に目が覚めて慌てて飛び起き、コートを着ながらドアの所まで走り、思いっきりドアをあけ放つ。

ドアを開けて周囲を見回すが、誰もいなかった。

 

「夢・・・か・・・?いや、アレは夢って言うよりも・・・」

 

予知夢だとか、夢という名のメッセージというか、そう言った類に近い。

 

「(さっきの夢に出てきた女の子・・・アレはサヤでいいのか?それともネプギアなのか?

それに・・・私を見つけてって、どういうことだ?)」

 

さっきの女の子は、最初こそサヤの姿をしていたが、最後はネプギアの姿に変わっていた。

これはサヤの魂の一部がネプギアに宿ってるのか、ネプギアとサヤの魂が混ざっているのか。それとも別の何かか・・・。

何がどうであれ、アレをただの夢で片づけてはいけない。それだけは確かだと感じていた。

 

「(探すにしても・・・どこを探せばいいかわかんねえな・・・。

まさかだが、どっかヤバそうなところなんてことはねえよな?)」

 

もしもサヤの頼みであるならば探してやりたいのだが、ゲイムギョウ界のあらゆるところを探し回ると考えたらちょっと不安になる。

一応、四女神が治める国と、その周辺・・・主にクエストで向かった先は大体分かるのだが、それ以外はまだ立ち入ってない場所もあるので、慎重にならざるを得ない。

 

「どうしたもんかな・・・?」

 

「あっ、ラグナー!」

 

俺が考え出すと、セリカの声が聞こえたので、俺はそっちを振り向く。

セリカは笑顔で右手を振りながら俺の所まで駆け寄ってきた。

 

「ラグナ、今日は早かったね・・・いつも起きるの遅いから、心配しちゃったよ」

 

「・・・朝は苦手なんだ・・・。つか、こんな朝早くからどうしたよ?」

 

シスターのような口ぶりで言うので、俺は頭を掻きながらぼやき、ついでに俺の所に来た理由を訊いた。

 

「ああーっ、忘れちゃってたのぉ?今日はみんなでルウィーって所に行くんでしょ?

もう・・・約束を忘れるだなんて、女の子に嫌われちゃうよ?」

 

「わ、悪かった!俺が悪かったよ・・・」

 

今日がみんなでルウィーに行く日であることを思い出した俺は両手を前に出しながら謝る。

 

「・・・朝っぱらからシスター(ばあさん)みたいに言われるとは思ってもみなかったぜ・・・」

 

「だってラグナたちを育てたシスターさんだもん♪・・・でも、この見た目なのに『ばあさん』って言われるのはちょっとなぁ・・・」

 

「ああ・・・確かにそうだよな・・・」

 

セリカの言う通り、記憶こそ両方ともあるが、姿見た目は暗黒大戦時代の頃だ。

確かにそう考えると『ばあさん』って呼び方はあんまりしないほうがいいかもな。現にセリカは途中から困った笑顔に変わっていたからな・・・。気を付けよう。

 

「さて・・・行くってんなら早く準備を済ませちまおう」

 

「うんっ!ああ・・・楽しみだなぁ・・・♪」

 

俺が穏やかな顔で促すと、セリカは満面な笑みで頷く。

俺たちは準備を終え、ノワールが用意してくれた馬車に乗ってルウィーへ向かうのだった。

なお、乗る前にセリカが迷子になったので、俺はネプテューヌに手伝ってもらい、全力でプラネテューヌ内を探す羽目になった・・・。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ・・・綺麗な街・・・」

 

「そうだね・・・綺麗な街だよね、ルウィー・・・」

 

馬車の窓から身を乗り出し、ルウィーの街並みを眺めながらネプギアが感嘆の声を上げ、セリカがそれに便乗する。

ルウィーは雪が降っているとは言っても、全部の場所に雪が積もってるわけでは無いので、雪が積もってない場所をこうして馬車で移動することができている。

俺はネプギアたちとは反対の窓から景色を眺めていた。過ぎ行く街並みをゆっくりとした気持ちで見ると、中々にいいものだというのに気づけた。これはいい発見だった。

暗黒大戦時代の船旅も、バレねえようにこっそりと電車に乗った時とかも、『次はここに襲撃をかける』とか考えながらだからあまり楽しめて無かったのが大きい。

ちなみに、座ってる順だが馬車に近い方を前として、右が俺、ユニ、ノワール。左がセリカ、ネプギア、ネプテューヌの順になっている。アイエフとコンパは今回仕事で来れないんだそうだ。

 

「ルウィー・・・ずっと来たかったんだぁ・・・」

 

「ネプギアがそう思ってる気がしてさ・・・。丁度良かったね」

 

「うん。ロムちゃんとラムちゃんにも遊びに来てほしいって言われてたからね」

 

ネプギアが窓から身を乗り出すのを止めながら言う。

ルウィーへ来た最大の理由は、ロムとラムが遊びに来て欲しいと言っていたので、付き合ってあげることだ。ネプテューヌはタイミングが良かったことに安心したような笑みを浮かべる。

前にも言ったが、ブランはあの二人を他の国に行かせてあげてないみたいだ。

 

「一応話は聞いてたんだけどよ・・・ブラン、そんなに厳しくしてたのか?」

 

「みたいだよ。ブランってお堅いところあるからねぇ・・・」

 

景色を眺めるのを中断し、俺は一応ブランがそうしてるという話を聞いていたので、再確認の意味も兼ねて訊いてみる。

すると、回答は案の定厳しくしてると返ってきた。

 

「うーん・・・。そんなに厳しいと、なんかロムちゃんとラムちゃんが可哀想だな・・・。

だって、ラグナはサヤと二人でキイチゴ取りに行ったもん・・・。ラグナはあの二人より大きかったけど、サヤはそんなに大差ないよ・・・?」

 

「まあ、アレは本当なら俺一人だったけどな・・・。まあ、そのまま追い返すのも可哀想だし、サヤがついていくってわがままだったのもあるけど、連れて行ったのは確かだ。

アレくらいの頃なら、誰だってわがままの一つや二つはしたいだろう・・・。ちょっとは許してやってもいいんじゃねえかな・・・?」

 

ジンとサヤは頼れるやつが俺とシスターしかいなかったのと、シスターのところに来るまでは自由もなく辛い時間だったからなおのことしたかっただろう。俺はその気持ちがよく分かってたから特に反論をしたりはしなかった。

ロムとラムだって、頼れる身内こそ多いが、本当の意味で頼りたいのはブランとミナのはずだ。心配するのは分かるが、少しは甘くしてもいいんじゃねえか?俺はそう思った。

 

「そうだよねぇー。そういうことしてると、ノワールみたいになっちゃうのにねー♪」

 

「・・・目の前にいるわよ・・・。って言うか、誰がぼっちよっ!?」

 

ネプテューヌが俺の意見に同意しながらサラッとノワールに煽りを入れる。するとノワールは案の定突っかかった。

俺たちは皆してノワールの方を反射的に注視する。

 

「いやー・・・ごめんごめん・・・。

でもー、面と向かって言われると、自分を変えるきっかけになるよーっ?」

 

「グータラ女神に言われたくないわよっ!」

 

ネプテューヌが悪びれた様子なく続けると、ノワールはまた更にツッコミを入れる。

まあ・・・何というかこの辺はいわゆるお約束ってやつだな。

以前、ネプテューヌにオススメされたマニアアーカイブでアニメを視聴してたら、いつの間にかお約束というものを理解できた。慣れって凄いな・・・。

 

「・・・誘いに乗ったの、間違ったかしら・・・?」

 

「そうかなぁ?私は、ノワールちゃんが間違ってると思って無い風に見えるけどなぁ・・・」

 

「なぁっ!?な、何でそんな風に見えるのよ!?」

 

ため息交じりに呟いたノワールの言葉に反応したセリカの言った言葉がピンポイントに刺さったのか、ノワールは顔を赤くしながら声を荒げる。

ネプテューヌに教えてもらったことが間違ってなけりゃ、これは怒ってないらしいんだが・・・大丈夫だよな?少し不安になる。

 

「だって・・・ところどころで楽しそうにしてる顔が見えたんだもん」

 

「う、噓っ!?」

 

「あれぇ~?おかしいなぁ~?ノワールは別に大丈夫だったんじゃないのぉ~??」

 

セリカが毒気の無い笑顔で言うと、ノワールが動揺し、その様子を見たネプテューヌが煽りに掛かる。

ああ・・・セリカが来たからボケが一人増えて大変だと思ってたが・・・こんなに大変なことになるとは・・・。

 

「そういえばですけど・・・」

 

『ん?』

 

俺がすぐに止めなきゃと思って動こうとしたら、ユニが手を上げながら声を出したので、俺たちはユニを注視する。

 

「ミネルヴァ・・・乗れて良かったですよね・・・・・・」

 

『確かに・・・』

 

俺たちはミネルヴァが真ん中の一番後ろの方にいるのを見て思い出した。

ミネルヴァは今、ど真ん中かつ一番後ろで立っていたのだ。一応荷物として扱うことで無理矢理乗せることができたのだ。

動く荷物とか無理があるだろうとは思ったが、まさかの『プラネテューヌだから』で済んでしまったのだ。それでいいのかプラネテューヌの備品管理・・・?

 

「・・・・・・」

 

「・・・やっぱり、荷物扱いは嫌だよね・・・。ごめんねミネルヴァ・・・」

 

ミネルヴァの抗議の念を感じ取ったセリカがミネルヴァに謝罪をする。

そして、俺たちを乗せた馬車はそのまま駆けていき、あっという間にルウィーの教会前まで運んでくれた。

 

 

 

「(サヤ・・・。のんびり景色眺めたり、皆と話すって楽しいよな・・・)」

 

「(兄さま・・・。旅って楽しいね・・・♪)」

 

ラグナはその道の途中、ネプギアを見ながら心の中で問いかけをした。

しかし、この時の問いかけが明らかにネプギアに向けたものなのにサヤと認識していたことに、ラグナは気がつかなかった。

また、ネプギアも自分ではない別の少女の意思でラグナを見つめながら心の中で喜んでいたが、そのことには誰も気がつかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「きゃああああっ!」

 

ルウィーの教会にて、女性職員の悲鳴が聞こえる。

その理由として、地面に落とされていたバナナの皮に引っかかって足を滑らせ、足が滑った人の頭上に丁度来るように設置されていたバケツに入っていた水を頭から被ってしまったのだ。

 

「引っかかったーっ!ははっ!」

 

「大成功・・・♪」

 

「ロム様!ラム様!何をするんですかっ!」

 

その様子を見たラムはジャンプしながらはしゃぎ、曲がり角から見ていたロムも喜ぶ。

その二人に気がついた女性は起こりながら立ち上がり、ロムとラムの方へ走る。

 

「逃げろーっ!」

 

「お待ちなさーい!」

 

走ってくるのを見てラムの言葉を皮切りに二人は逃げ出す。女性は必死に追いかける。

 

「よろしいですのね?この計画が実行されれば、世界に革命的な変化がもたらされますわよ?」

 

「承知しているわ・・・。その為にも、計画実行までは絶対にばれないようにしないと・・・」

 

教会にある執務室で、ベールとブランは話し込んでいた。

これはルウィーとリーンボックスの共同で進めている計画であり、実行された時の影響が大きいため、二人は真剣に話し合っていた。

 

「ロム様ーっ!ラム様ーっ!」

 

「「逃げろーっ!」」

 

「・・・・・・」

 

しかし、その会議をしている部屋の隣で、ロムたちが騒いでいるため、「仕事中は静かにするように」と言っているのに守らない二人の状態に耐えられなくなったブランはドアを思いっきりあけ放つ。

 

「お前らぁ・・・仕事中は静かにしろって言ってんだろっ!」

 

「も、申し訳ありませんっ!」

 

そして、ブランは思いっきり怒鳴る。それに気づいた女性はすぐに頭を下げる。

 

「お姉ちゃん・・・♪」

 

「見て見てーっ♪」

 

「・・・っ!こ、これは・・・っ!」

 

しかし、ロムとラムは謝る様子もなく、ブランのところに駆け寄って本に描いた絵を見せる。

ブランはその使われていた本に気がついて体を震わせる。それは自分の大事にしている本だったからだ。

 

「お姉ちゃんだよーっ♪」

 

「ラムちゃんと描いたの♪」

 

「私の大事な本に・・・!お前らぁぁっ!」

 

二人は自分たちが頑張って描いたので、幼い子供らしい無邪気な笑みを見せるが、ブランは大事な本人落書きをされたことに激怒した。

 

「同じ顔になった!」

 

「や~ん♪」

 

「待ちやがれぇっ!」

 

「わーっ!逃げろーっ♪」

 

ブランが怒ったのを見たロムとラムは笑顔で逃げ、ブランは激怒したまま追いかける。

ベールは執務室で一人、涼しい顔で紅茶を嗜んでいた。

 

「っ!?」

 

ブランは怒りのまま二人を追いかけていたが、曲がり角を曲がったところで見えた人たちにハッとする。

 

「ネプギア!ユニちゃん!」

 

そこにはプラネテューヌとラステイション女神、女神候補生・・・。

そして、『紅の旅人』ことラグナと、先日ゲイムギョウ界に来たばかりのセリカとミネルヴァがいた。

特に、遊びに来て欲しいとお願いしたネプギアとユニが来てくれたことにラムは喜んだ。

 

「ラグナさんたちもいる・・・。本当に来てくれたの・・・?」

 

「うん。遊びに来たよ♪」

 

「やっほー、ブランーっ!・・・来ちゃった・・・てへっ♪」

 

ロムの質問に笑顔で答え、ネプテューヌはわざとらしく挨拶をした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「まあー、そんなわけでさー・・・ルウィーに新しいテーマパークが出来たから、みんなで遊びに来たのー♪」

 

「イストワールからは、女神の心得を教えてほしいって連絡を受けてるけど・・・?」

 

ルウィーの中庭で、ネプテューヌがいつものようにお気楽な感じで言う。

それに対して、連絡を受けていたブランが少し眉をひそめて訊く。

・・・女神の心得ってイストワールの中ではまだ続いてんのか・・・。もういいんじゃねえか?結局人それぞれだしさ・・・。

逆に言えば、女神の心得と言う免罪符を使えばネプテューヌはいつでも出かけられるので、それもそれで良くない気がする。

 

「ああー・・・それはもういいよ。前回あんまり役に立たなかったし・・・」

 

「・・・悪かったわね・・・」

 

ネプテューヌが悪びれも無い笑顔で言うと、ノワールが少し落ち込み気味に言う。

 

「まあ・・・結局やり方なんてひとそれぞれだし、自分にあったやり方でやりゃあいいんじゃねえの?」

 

「そうだよねー。やっぱり自分のやり方って大事だよねー♪」

 

俺がノワールのフォローのつもりで投げかけた言葉に、ネプテューヌが乗っかってきた。確かにこいつも時々試行錯誤するから仕方ないのもあるけどな・・・。

 

「・・・お前は俺に頼り過ぎないようにな?後、今後セリカが迷子になったらお前も探すの手伝ってもらうぞ」

 

「勘弁してよぉ・・・。今日の朝だって大変だったじゃーん・・・」

 

女神の心得の一件の後、少しはマシになったが、それでもネプテューヌは俺に頼ることが多い。

今後俺に頼ろうと頼るまいと、セリカが迷子になったら探すのを手伝ってもらうのは確実なので、今のうちに話しておく。

するとネプテューヌは頭を抱えながら嘆いた。ネプテューヌは初めてだから無理もないかもしれない。まさかプラネテューヌ中を探す羽目になるとは思わなかっただろう。

 

「ええーっ?迷子になんかなってないよー。時間が余ってたからちょっと周りを見てみただけだよ?」

 

「「アレは周りを見るって規模になってないよっ!(アレは周りを見るって規模になってねえよっ!)」」

 

ロムたちの遊びに付き合いながら反応したセリカが講義をするが、俺とネプテューヌは全力で否定した。

セリカお前・・・俺とネプテューヌがどんだけ必死に探したと思ってんだ・・・。

 

「ねえ、ラグナ・・・セリカの方向音痴ってどんな感じなの?」

 

「セリカのアレはシャレになんねえぞ?「あっちが近道かも」・・・とか、「こっちにいいところがある」・・・とか言って知らねえ場所なのにガンガン進んでくんだぜ?

俺はあのパターンに何回付き合わされたか・・・目を離したら最後。あいつを見つけるのに相当時間食うぞ・・・」

 

「ラグナ、もうよそうよ・・・。ごめんノワール・・・。これ以上掘り返したくない・・・」

 

「な、なんかごめんなさい・・・?私、そんなに酷いとは知らずに・・・」

 

ノワールに訊かれたので、俺はその質問に答えるが、途中から思い出すのが辛くなって頭を抱える。

聞いていたネプテューヌも、今朝の苦労が思い返されたせいで頭を抱えながらストップを掛けたので、ノワールが顔を青ざめ気味に謝る。

 

「・・・あれ?ネプギアはあの時先にきてて良かったの?」

 

「私は、万が一に集合場所に戻ってきたらそのまま連れていってって頼まれてたから残ってたの・・・。

お姉ちゃん・・・大丈夫だった?」

 

「うん・・・大丈夫・・・アレは知らない方がいいもんね、ラグナ・・・?」

 

「ああ・・・あの方向音痴っぷりの犠牲者は少ない方がいいに決まってる・・・」

 

ユニの疑問にネプギアは答える。

正直言うが、俺も本当は集合場所で待っていたかった。だが、やっぱりああなったセリカを唯一知ってる身が他人に任せるわけにもいかないので、結局はいくしかなかった・・・。

心配するネプギアに回答しながら、ネプテューヌは俺に話を振ってきたので、俺は迷わずに同意した。

 

「方向音痴の話はさておき・・・テーマパークの噂は私も聞いていますわ。みんなで遊びに行くのも、楽しいのではないかしら?」

 

「スーパー二テールランド!?行きたい行きたーいっ!」

 

「連れてって・・・(わくわく)♪」

 

ベールの提案を聞いた二人は真っ先にその提案に乗っかり、行きたいことを出張する。

 

「スーパー二テールランドって・・・前に建設中だったあそこか?」

 

「ええ。そうよ・・・お願いだけど、妹たちを連れていってもらるかしら?」

 

俺の質問にブランが答えると同時に、皆にロムとラムのことを頼んだ。

 

「えっ?ブランは?」

 

「お姉ちゃん・・・いかないの・・・?」

 

「私は・・・行けない・・・」

 

その言葉を聞いたネプテューヌとロムが聞き返すが、ブランは申し訳なさそうに言う。

 

「えーっ?仕事ー?止めなよー・・・」

 

「どうせなら全員で行った方がいいだろ・・・。そんなにマズイ状態なのか?」

 

「ごめんなさい・・・。ちょっとね・・・」

 

ネプテューヌがジト目になりながら咎めるところに、俺も乗っかりながら問う。すると、ブランの顔は更に沈んだ表情になった。

 

「そうか・・・とりあえず、体壊さねえようにな?」

 

「うん。そうする・・・」

 

「体は大事にしないとね・・・。ああ、それと昔の偉い人も言ってたよ?『働いたら負けかなと思ってる』って!」

 

「それ、偉い人じゃないから・・・」

 

俺の言葉に何か引っかかるものがあるのか、ブランは少し硬い表情で頷く。

ネプテューヌが俺の言葉に乗っかりながらボケると、そのボケにノワールが突っ込んだ。

 

「それじゃあ・・・悪いけど後はよろしく」

 

ブランは席を立ちながら俺たちにロムとラムのことを頼み、この場を離れた。その様子を見たロムとラムはお互いの顔を見合わせる。

言いたいことは確かにあるのだが、今言いに行ってもまともに請け合ってはもらえないだろう。ここで立ち止まっていても仕方ないので、俺たちはスーパー二テールランドへ行くことにした。

 

「(ブラン・・・お前はそれでいいのか・・・?)」

 

移動の途中、俺はブランのことを心配していた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「わぁー・・・♪」

 

「待ってラムちゃん♪」

 

「二人共、ちゃんとコート着てーっ!」

 

「ネプギアーっ!入場券忘れてるーっ!」

 

スーパー二テールランドにたどり着き、入場口が見えるや否、女神候補生の四人が慌ただしく前を走っていく。

俺たちはそれを見ながら後ろを歩いて入っていく。今日が平日ということが幸いし、人は少ないため楽に進むことができる。

そして、ブランの釘刺しもあり、暫く外に出れず退屈していたルウィーの双子はすぐにはしゃぎながら遊具で遊びだした。

その後、土管が無数にあるアトラクションにて、ネプギアとユニも二人に付き合う形で遊びだす。

先にネプギアとユニが一つの土管の中に入り、少ししてからロムとラムが土管に入る。

 

「ネプギアーっ!ユニちゃーんっ!」

 

「どこー?」

 

「はーい!」

 

「こっちよーっ!」

 

先に出てきたのはロムとラムの方で、まだ出てこない二人を探して辺りを見回す。

すると、ネプギアはラムの後ろ、ユニはロムの後ろにある土管から姿を表して手を振った。

 

「あっ♪スライヌ模様のコイン・・・♪」

 

「こっちはアエル―だぁ♪」

 

ネプギアとユニはそれぞれ、愛嬌あるモンスターの絵が描かれたコインを手に入れ、笑顔になる。

このスーパー二テールランド、所々にモンスターの絵が描かれたコインが置かれてあり、それらは持ち帰ることができるみたいだ。

ロムとラムも負けじとコインの所へ走り、それを手に取る。

 

「・・・テリトス・・・」

 

「こっちはテスリト・・・つまんなーいっ」

 

しかし、自分たちが思ってたものより良くなかったためか、二人は不服そうだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「下さいなー♪」

 

一方、俺たちは近くにあったベンチに腰を掛けて休んでいた。

ネプテューヌはベンチの隣にある売店で販売されている桃を買っていた。

 

「みんな元気だね・・・私、流石についていけないや・・・」

 

「ああ・・・俺もちょっとアレは無理だな・・・」

 

「・・・・・・」

 

「ミネルヴァも体が持たないか・・・。確かにあれは大変だよねぇ・・・」

 

セリカは女神候補生が遊んでるところを笑いながら見ている。セリカの言葉には俺も同意する。

多分、セリカ(シスター)に会ったばかりの頃の体ならついていけたんだろうけどな・・・。過去に戻るのは時だけが限界らしい。

つか、ミネルヴァも無理なのかよ・・・。ああ・・・でも、セリカの能力の補助が本来の役割だから、無理もない所はあるな。俺は一人納得した。

 

「ねえラグナ・・・。私たちが会ったばかりの時にこういう所に来てたらどうなってたかな?」

 

「そうだな・・・俺たちがああでもないこうでもないとかって言って喧嘩するかもしれねえけど、楽しめると思うよ・・・」

 

教会での暮らしを始めた俺たちなら、今まで楽しめなかった分も相まって、あっち行きたいこっち行きたいの主張で喧嘩する可能性は十分に高い。

その中で俺は一人、「シスターを困らせんな」って言うんだろうか?でも多分、最後はみんなで楽しんでるだろう。なんとなくだが、俺は最後に全員が笑っている光景が思い浮かんだ。

 

「・・・ラグナがそう言う、ならきっと間違いないねっ!」

 

「お、おい・・・いくらなんでも買いかぶり過ぎじゃねえか・・・?」

 

セリカが何の疑いもないような笑顔を見せるので、俺は少し後ずさる。

セリカが俺に全面的な信頼見せたり、俺だから平気だって言う発言は今に始まった訳じゃないが、やっぱり面と向かって言われるとこうなってしまう。

 

「うーん・・・他国の女神が来てるんだから、ブランも付き合うべきじゃない?ホント、何考えてるんだかわかんないわ・・・」

 

ノワールは今回のブランの行動に疑問を持っていた。確かに俺もその疑問は分からなくもない。

というか、自分の妹たちのことをあんな簡単に頼んでしまっていいのだろうか?俺の場合は今までの境遇も兼ねてそんなことはできないだろう。

何からブランに言うべきだろうか?簡単に妹たちを任せちゃいけないことか?それともこういう時こそ妹たちと一緒にいてやるべきってことか?

やっぱり柄でもないことは難しいな・・・。だが、俺のような過ちを犯させないようにするためにも、できることをすべきだとは思っていた。

 

「まあ確かに・・・彼女はもう少し大人になるべきですわね・・・。この私のように・・・」

 

ベールはノワールに同意しながら、自信を持った笑みを見せながら胸を強調するような動作を見せる。

それを見た俺とノワールはどう返せばいいかわからず、苦笑するしかなかった。

 

「むー・・・確かにベールさんの大きい・・・でも、大事なのはバランスだよね?ラグナ?」

 

「ちょっと待てセリカ・・・なんでそれを俺に振ったんだ!?」

 

セリカが振った話題が、何でか知らねえが答えたらヤバいやつだという勘に従い、俺は即座にセリカに突っ込んだ。

そういや、前にもこんなやり取りしたことあったなぁ・・・。暗黒大戦時代に行った時、アルカード家に泊まらせて貰った時のことか・・・。でもアレ、俺が『普通』って言った単語に寝ぼけたセリカが間違えた反応しただけな気もするが・・・。

 

「ふむふむ。大事なのはバランス・・・。確かにそれはわかるわ」

 

「・・・オイオイちょっと待て?何でノワールは納得したかのように言ってんのっ!?」

 

何故か少し嬉しそうに頷いているノワールがいたので俺は焦る。ノワールがツッコミを入れなかったので内心焦ったのもある。

胸の話題ってのは・・・女性の永遠の宿命らしいな。俺は女性って難しいと改めて感じた。

 

「バランス・・・。確かにそれも大事ですが、最終的にはやはり・・・」

 

「お前は火に油を注ぐようなことを言うなぁぁっ!」

 

俺はベールの挑発的な発言に即座に反応し、絶叫気味に突っ込む。

今日が人のいない平日で良かったが、これが人の多い休日だったら目線を集めてしまうことだろう。考えるだけでも冷や汗が走る。

 

「ねぇ、そう言えばどうしてベールはルウィーに・・・」

 

「ねぷぅっ!?」

 

ノワールは話題を変えるべく、ベールがルウィーにいた理由を訊こうとするが、ネプテューヌの悲鳴が聞こえたことにより、俺たちは全員がそっちを振り向く。

よく見ると、ネプテューヌが買い上げた桃の入っている袋を狙った亀がネプテューヌに尻餅をつかせ、そのまま袋にある桃を奪おうとしていた。

 

「この亀・・・私のピーチを狙ってるよぉっ!?・・・いやーっ!助けてーっ!」

 

ネプテューヌが叫ぶのを無理やりにでも意識から外し、周囲を見ると、桃を狙う亀がいるから気をつけてということを示す看板が一つあった。

 

「(なるほど・・・それに気づかなかったわけか・・・)」

 

しかし、脅して追い返すのも後々悪影響出そうで困るな・・・。どうしたものかと考えると、一つのことを思いつき、俺は売店に足を運ぶ。

 

「ネプテューヌ、それをそいつに渡しちまえ」

 

「えっ?でも・・・」

 

「いいからいいから」

 

俺が急かすと、ネプテューヌは半信半疑に袋を亀の目の前に置く形で手放す。

俺の思いついたことは、もう一個ネプテューヌが食うために買って、ネプテューヌが買った桃はそのまま亀に渡してしまおうという考えだった。

俺は購入した桃の入っている袋をそのままネプテューヌに渡す。

 

「・・・いいの?」

 

「今まで住ませてもらってる分の礼ってやつだ。今度は盗られないようにな?」

 

「うんっ!ありがとうラグナっ!う~ん♪美味し~♪」

 

最初は戸惑ったものの、俺の言葉を聞いたネプテューヌは笑顔でお礼を言って桃を頬張る。

そして、食ったらすぐに幸せそうな顔になった。金銭的に考えたら俺は何にも特は無いが、この笑顔を見れただけいいだろう。

 

「ラグナ・・・あなたよくもまああんな簡単にお金はたいたわね・・・」

 

「ちょっと平和的解決ってのに慣れておきたくてな・・・」

 

ノワールの呟きに俺はこう答えた。今まで物騒な方法ばっかりだったのもあって、なるべく穏便な解決方法に慣れておきたかった。

 

「今の解決法はちょっとずれてるわよ・・・?」

 

「そうか・・・?まあ、これから慣れていくさ・・・。・・・?」

 

やっぱりずれていたか・・・。暫くの間は試行錯誤するしかないな・・・。そう感じたところで、右腕にまた妙な重みを感じたので、右腕を見やる。

その右腕からはまた蒼い炎のようなものが見えていた。また、心なしか右腕が震えているような感じがした。

 

「ねぷぅっ!?ラグナの右腕がまた蒼くなってない!?」

 

「ラグナ・・・!?あなた・・・大丈夫なの・・・?」

 

「ああ・・・一応平気だ・・・」

 

それを見たネプテューヌは驚き、ノワールは焦りながら訊いてきたので、俺はなるべくいつも通りの様子で答える。

とは言え、セリカが来たってのに余りにもすぐなので、流石に俺も内心焦ってはいる。

そして、俺が返答をした直後、蒼い炎のようなものはすぐに消えてしまった。ただし、セリカの時と同じように、消えたかわりに引っ張るような感じは微弱ながらあった。

 

「・・・消えたのか・・・?」

 

「ラグナさん・・・お体の方は平気ですの?」

 

「ああ。特には問題ない」

 

「なら・・・いいのですが・・・」

 

炎のようなものがすぐに消えたので、俺は首をかしげる。今までのことを考えると、右腕が震えている感じがするだけなのが違和感を感じさせた。

ベールには大丈夫だと答えたが、ベールの方も疑問は消えないようだ。

 

「大丈夫?一応、治療するね」

 

「悪い。頼むわ」

 

今まではこのようなことが起きても何とも無かったのだが、もしものことを考えて俺はセリカの治療を受けることにした。

 

「(セリカが来た時とは違って右腕が震えてる感じがある・・・今度は何が起きるんだ?)」

 

俺がセリカの治療を受けながら考えるが、何が起きるかは全く予想が立てられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

白き躰をした者は見知らぬ地に立っていた。

白き躰をした者は、頭の後ろから伸びている長く白い髪と、右の背に掛けられている非常に長い野太刀は、まるで侍のような風貌を醸し出している。

そして、白き侍の周りは、右側が雪の影響で道が白くなっており、左側はが無く、通常の道となっていた。

 

「此処は・・・『境界』と謂う訳では無い様だな・・・」

 

白き侍が発す声は低い男のもので、自分のいた場所とは違うことを認識する。

 

「(此れがトリニティ=グラスフィールの計らいとは思えぬ・・・。恐らくは何者かに召喚()ばれたか・・・)」

 

白き侍が知る限りの最後は、役目を終えた為に盟友の一人・・・トリニティ=グラスフィールの計らいにより、自身の体として機能している『スサノオユニット』を窯の奥深く・・・人が手をつないで出せないように封を掛けてもらった。

であれば自身はその窯の中、『境界』にて身動きをすることなく沈んでいるはずなのだが、何故かこの見知らぬ地にいた。

白き侍はその現状を鑑みて、自分をこの世界に召喚()んだ者がいると踏んだ。

それと同時に、侍は己に課せられた使命を確認する。

 

「(我が使命は、この一振りの剣にて、全ての『罪』を刈り取り、『悪』を滅すること・・・。

であれば・・・。この世界に私が滅するべき『悪』が居ると謂う事か・・・)」

 

白き侍は自身の右の背に掛けられている野太刀を抜刀する。

鞘から刀を抜く際、その刀の刃は風となり一瞬消え、鞘から抜き切ると同時に刃は再び現れる。

引き抜いた刀をやや上段に構えるようにし、その刀の刃を見つめる。

その際に、白き侍はいくつかの『悪』の気配を感じ取った。そして、その内二つは自分のよく知る気配であった。

 

「成程・・・貴様が此の世界にいるのなら・・・私が成すことは決まっている・・・」

 

白き侍は二つの気配の内、一つに狙いを決め、野太刀を鞘に収める。

 

「『黒き者』よ・・・永きにわたる因縁・・・今度こそ、決着を付けよう・・・」

 

白き侍は、『悪』の気配の内一つである『黒き者』のいる・・・白き道の方へ自分の体を向ける。

 

「『黒き者』・・・(いや)、『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』よ・・・。貴様は、此の『ハクメン』が滅する・・・!」

 

白き侍・・・ハクメンは『悪』の気配の一人、ラグナの元を目指して歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ああーっ!デッテリュー模様だーっ!レアアイテムだよー♪」

 

ロムとラムはコイン探しをしている最中、レアなコインであるデッテリュー模様のコインを見つけた。

それを見たラムは嬉しそうに何度かジャンプする。

 

「あっちもデッテリュー・・・♪」

 

「あっ、あれも・・・全部デッテリュー・・・!・・・でも、もういいかな・・・?」

 

ロムが指さす方には大量のデッテリュー模様のコインが並んでいた。

一度に貴重ななものが多く手に入るのは確かに嬉しいが、それは大体、2、3個程度のことで余りにも大量に並んでいると流石に飽きてしまう。それをラムはわかりやすく表現してくれた。

 

「お姉ちゃんにも持って行ってあげる・・・♪」

 

「ええー?お姉ちゃん、一緒に来てくんなかったんだよ?」

 

「・・・そうだけど・・・」

 

ロムは姉のことを思って、多めに持って帰ろうと考えたが、ラムは不服そうな態度を示す。ここの所皆に会いたいのに会わせてもらえなかった分、不満が溜まっていたのだ。

それを見たロムはしょんぼりとした顔になる。

 

「・・・・・・。分かった。お姉ちゃんの分も取って帰ろう」

 

「・・・うん!」

 

ラムは一度考え、ロムと一緒にブランの分も持って帰ることを選択した。

そうと決まれば早く、二人はコインの回収を始めた。・・・それを何者かが仕掛けた罠だと気づけずに・・・。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?あれ?」

 

「どうしたの?ネプギア」

 

時を同じくして、ネプギアはロムとラムを探していた。さっきまでは一緒にいたのだが、いつの間にかどこかへ言ってしまったのだ。

 

「ロムちゃんとラムちゃん・・・どこに行っちゃったのかな・・・?」

 

「さっき、あっちの方に行ってたけど・・・」

 

ユニはさっきロムたちが走っていった方を指さす。二人はそちらへと歩き出す。

余りにも不自然なコインの並び方をしているが、それに気づく余地は無かった。

 

「ロムちゃーん。ラムちゃーん・・・。・・・っ!」

 

「アックックック・・・」

 

ネプギアたちが曲がり角を曲がった所には、黄色い体をした巨大で、カメレオンのような下をしたモンスターと、緑色の髪に少し白すぎるくらいの肌をした、ガラの悪い女性がいた。

その巨大なモンスターの両手にはロムとラムが握られており、ご丁寧に口元をモンスターの親指で押さえられていた。

 

「ロムちゃん!ラムちゃん!」

 

「アンタっ!何やってんのよ!?」

 

ネプギアとユニの責める声に対して、モンスターは長い舌による殴打で答えた。

 

「「きゃああああっ!」」

 

突然の攻撃に反応できなかった二人は軽くふっ飛ばされてしまった。

 

「幼女以外に興味はないっ!」

 

「上手く行きましたね。トリック様」

 

「アックック・・・」

 

ガラの悪い女性にトリックと呼ばれたモンスターは、舌を遊ばせながら「お楽しみはこれからだ・・・!」と言い残す。

そして、トリックは高笑いをしながら、ロムとラムを抱えて去っていく。ガラの悪い女性はそれに付いていった。

 

「ロムちゃん・・・!ラムちゃん・・・!」

 

ネプギアは去りゆくトリックたちの方へと手を伸ばすが、その手は力なく地面に落ちた。

 

「(ラグナさん・・・私・・・)」

 

それと同時に、ネプギアは自分がまだ無力であることを痛感するのだった・・・。




チラッとだけハクメンを登場させました。
ラグナたちとの絡みはまだこれからですね・・・。

後、前回の話を投稿した後にランキングを確認したんですけど、まさかの日間8位の載っていました。
一体何があった!?お気に入り登録が倍近くまで増えてるし・・・何があったの!?と狼狽しましたが、とても嬉しく思います。

さてさて・・・次回はまたなんだかんだ先生を書く場面があるはずです。

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