超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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今回からアニメ3話分に入り、今年最後の投稿となります。

今回、アニメ本編に入るまでの前置きが長いかと思います。


21話 再会を望む魂

どこかの大きな木の下で、金色の髪に、綺麗なエメラルドグリーンの瞳をした幼い少女は持ってきていた絵本を読んでいる。

少女は元々病弱で、何かと風邪をよく引いたりしていたが、今日は体の調子が良かったため、少女と血の繋がっている二人の兄と一緒に外へ出ることができていた。

少女の周りには草原。更にその奥には森が広がっており、その草原が作る坂道で、二人の兄は仲良く話をしていた。

その二人の兄の内、上の方はラグナとよく似ており、彼の両目を綺麗なエメラルドグリーンにして、白く染まっていた髪を金髪にし、ある程度幼い姿にすると丁度こうなるだろう。

下の方の兄と共々、物心ついたころから両親がいなかった。少女たちは、上の兄に頼ることしかできなかったため、二人は必然的に上の兄に絶対的な信頼を寄せていた。

 

―こっちにおいで。■■―。

 

そろそろシスターの待っている教会に帰る時間になったので、上の兄は左手を大きく振りながら少女を呼んだ。

 

―はい。兄さま・・・。

 

少女は返事をして絵本を読むのをやめ、二人の方へ向かう。

―今日は三人で外に出かけられて良かった・・・帰り道に少女はそれを嬉しく思いながら帰り道を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・っ!?」

 

夢の中で見知らぬ光景を見たネプギアは目を覚ましながら慌ててベッドから起き上がる。

そのまま部屋に置かれてある鏡で自分の顔を見ると、紫色の髪に十字コントローラーを形どった髪飾りを付けている。いつもの自分の姿が見えたのでネプギアは安堵する。

 

「今の・・・何だったんだろう?」

 

『夢』というよりは、自分の中にある『もう一つの思い出』・・・そう捉えた方がいいのかもしれない。

そう考えたところで、ネプギアには幾つかの疑問が引っかかる。

 

「でも・・・どうしてお姉ちゃんがいないんだろ?それに・・・」

 

夢の中で、自分はラグナとよく似た少年を『兄さま』と呼んだ・・・。その事実がネプギアに混乱を招かせた。

ネプギアはゲイムギョウ界で、女神候補生としてこの世界での生を受けた時。目の前にいたのは自分の誕生を歓迎するイストワールと、自分の姉であるネプテューヌだった。

そして、その後様々な人と出会ったり、話したりはしたのだが、ネプギアの生きてきた道の中に、夢に出てきていた少年の姿は一度も見たことがない。

だが、ネプギアはその夢をただの夢だとは思えなかった。

まるでもう一人の自分(・・・・・・・)が持っている幸せな時間という記憶が映し出されたのだろう。

そこまでは概ね解ったのだが、夢の中に出てきたので少女のことはわからなかった。

ネプギアは特に病弱だと言うわけではなく、健康な方だった。

他にも、その少女の身内に姉はおらず、代わりに兄が二人のいると言う状態になっていた。

それはネプギア自身の記憶ではないが、ネプギアはこれを自分の見ていた夢であり、自分の中にある記憶の一つだと認識していた。

 

「・・・どういうことなの・・・?」

 

自分の知らない、自分の中にある記憶・・・そう認識したことで、ネプギアは一種の恐怖を感じた。

以前から、『自分の中にいる少女』に交代させられることが度々あった。

その時は記憶が一切無いのだが、今回は寝ている間だけ交代させられた感じはない。それでも今までは今回のように知らぬ夢を見るようなケースは無かった。

本来であれば夢は夢で片すことができたのだが、自身の中にいる少女を意識してしまっている以上、簡単に片づけられなかった。

―自分が同じ姿のまま違う誰かになってしまうかもしれない・・・。それがネプギアの中にある恐怖感だった。

その恐怖を感じた瞬間、再び意識を交代させられ、一時的に現実から自分の意識を引き離される・・・筈だったが、今回は意識がしっかりと残っている。しかし、自分の思うように体が動かせないのは同じだった。

 

「兄さま・・・。早く・・・早く私を見つけて・・・」

 

そして、ネプギアの中に宿る少女が表に現れ、ラグナに祈るように願うのだった。

ネプギアはこれがもう一人の少女の言葉であることは十分に分かっていることだった。

だが、それと同時に自分も願っていることだと認識していた。それがネプギアに更なる混乱を呼んだ。

 

「(わからない・・・。お姉ちゃん。ラグナさん・・・。私はどうすればいいの?)」

 

少女がラグナに願う中、ネプギアも心の中で2人に問いかけるが、自室にいる以上それに答える者はいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

リーンボックスへ向かうために俺たちは船に乗っている。ちなみに時間は大分早めだ。

和平を結んだ記念として、今日はリーンボックスでホームパーティーをするのだが、まず初めに5pb.のライブを見てからになるみたいだ。

 

「ふあぁ・・・。やっぱり朝はキツイぜ・・・」

 

「あはは・・・ラグナ、相変わらず朝に弱いね。教会の時もそうだったよね」

 

「毎回調子出ねえんだよなあ・・・朝って」

 

俺が欠伸をしながら愚痴をこぼすと、セリカが笑いながら俺のことを弄る。隣にはしっかりミネルヴァもいる。

今俺たちはベール以外フルメンバーで船に乗っている。その中で、比較的朝に弱い俺はこうして欠伸がまだ出ているのだった。

俺以外にも、無理に早起きしたせいで眠気の取れなかったロムとラムは船内にある食堂で寝ている。ブランは二人の面倒を見ているので、この三人は外で景色を見ながら・・・という訳ではない。

一応、この船は始発であるため、人は少ない。だからこそ、ロムとラムが食堂で寝ていてもスペースを占領している・・・だなんて言われる心配がない。・・・ハクメン?あいつはみんなと少し離れた場所で外を眺めてるよ。

ロムとラムが寝ているってことを考えたら、またデカい欠伸をした。どうやら朝への弱さは治ってないらしい。

 

「ラグナ。まだ時間もあるし、ラグナも休んで来たら?」

 

「そうしたいけど・・・ミネルヴァだけで大丈夫か?」

 

セリカが笑いながら俺に提案してくるが、俺はそれを即答で受け入れる訳には行かなかった。

理由は兎にも角にも、セリカの方向音痴が原因で、ミネルヴァがセリカの意思を抑え込めるかどうかという極めて博打に近いことをする羽目になるからだ。

 

「ええーっ?船の中だから、流石に大丈夫だと思うよ?」

 

「・・・お前は今までの自分の行動を振り返ってから言おうな?

暗黒大戦時代の時も、教会暮らしの時も、それから『刻の幻影(クロノファンタズマ)』として居た時もッ!そう言って全部迷子になってんだぞ!しかも俺は必ず一回その場面に立ち会ってるからなッ!?」

 

セリカの不満そうな声を俺は全力で振り払うようにツッコむ。

こいつ、「こっちのほうが近道かも」って言ったら全然違う所に着くし、目の前に一番近い道あるのにそんなこと言うし・・・。

誰かこの苦労を分かる人いるか・・・?ナインとナオトはいないしな・・・。

・・・誰もいねえじゃねえかクソがッ!俺は一人絶望をした。

 

「・・・・・・」

 

「え・・・?こうして一歩も動かなければ大丈夫?み、ミネルヴァ~っ!酷いよ~っ!」

 

そんなことを考えていたら、ミネルヴァが後ろから髪の毛のように付いていた両手でがしりとセリカの両肩を抑える。

そのミネルヴァの提案を聞いたセリカが抗議の声を上げた。

 

「ははっ・・・そいつは名案だ。ミネルヴァ、頼めるか?」

 

「・・・・・・!」

 

「ラグナまでそんなこと言うの!?って、ミネルヴァは何でサムズアップするの!?」

 

俺が頼んで見たらミネルヴァは人と殆ど変わらない方の左手でサムズアップして応じてくれた。

俺の言葉を聞いて、ミネルヴァのその動作を見たセリカが少し涙目になる。これ・・・ナインがいたら死んでるわ・・・。

 

「ミネルヴァ・・・!私は大丈夫!だから・・・」

 

「悪いなミネルヴァ。ちょっと頼むぜ」

 

「・・・・・・!」

 

セリカが何かを言う前に俺が遮るようにミネルヴァに頼む。するとミネルヴァは頷いてくれた。

なんとなくだが、「合点承知!」とミネルヴァが言ってくれた気がした。

 

「じゃ、頼んだぞ」

 

「ま・・・待って・・・!ラグナ~!」

 

「・・・・・・!」

 

ミネルヴァの返答を確認した俺は一言追加の釘刺しをしてから場所を移動する。

この時セリカが何かをいっているが、気にしないことにした。この後、ミネルヴァは俺が戻って来るまでがっちりとセリカを抑えててくれた。

喋ってたら何か飲み物が欲しくなったので、俺も食堂に行こうと思いそっちへ足を運ばせることにした。

 

「お・・・」

 

「あ・・・」

 

んで、曲がり角を曲がったところでネプギアとバッタリ出くわした。

 

「ネプギアか・・・。どうしたんだ?俺はのど渇いたからこっち来たけど」

 

「私も・・・ちょっとのどが渇いちゃったので・・・」

 

どうやら食堂に行こうってのは同じだったみてえだな。

・・・だが、今日の朝っぱらからそうだけど、何でネプギアは暗い表情してんだ?それが引っ掛かった。

 

「ネプギア・・・何かあったか?朝っぱらからずっと暗い顔してるが・・・」

 

「えっ?朝からずっと・・・ですか?」

 

俺の問いかけを聞いたネプギアは少し不安そうな顔になった。

・・・なんだろう?どうしてか解んねえけど、これはそのままにしないで話を聞いてやるべきかも知れねえ。俺はそう感じた。

 

「俺でよければ話を聞くけど・・・どうする?」

 

「・・・いいんですか?」

 

「ああ。俺がお前らのためにできることって・・・これくらいだろうしな」

 

試しに俺が訊いてみると、ネプギアは驚きながらも少し安心した表情になる。

それを見た俺は促すように言葉を繋げる。

 

「すみません・・・それじゃあ、お願いします」

 

「分かった。なら、話は中でしようか」

 

ネプギアの承諾を聞いた俺はネプギアと一緒に食堂に入ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

 

流石に朝早くである為、準備が終わってない本格的な飯を頼むことはできない。

元々、飲み物を欲していた俺たちはさほど気にすることはなく、メニューにあったのから自分が欲しいと思った飲み物を買って、円のテーブルの一つに、お互いが向かい合うように座った。

俺たちが入った出入口の一番遠くのテーブルの方にはブランたちがいるのだが、ロムとラムの睡眠の邪魔になること、ネプギアが姉のネプテューヌや友人のユニに頼らず真っ先に俺を頼ったのは他の人に言いづらいことだと予想したので離れた場所を選んだ。

 

「ありがとうございます。わざわざ付き合ってくれて・・・」

 

「気にしなくていいさ・・・。それで?話ってのは・・・」

 

「・・・はい。そのことなんですけど・・・」

 

ネプギアのお礼に、俺はいつものように返してから本題を促す。

一応言っておくがこれは返すのが面倒だからって訳じゃない。本来俺は困ってるやつを助けたい側の人間だからな。向こうの世界では立場上上手くやれなかったが、今回はそうじゃないからなるべく助けてやりたいと思う。

そして、俺の促しに応じてネプギアは自分の中にある悩みを話し始めてくれた。

話の内容は今朝ネプギアが見た夢の話と、自分の中に『もう一人の自分がいる』ということがハッキリと解ったことだった。

 

「もう一人の自分か・・・」

 

「はい・・・。前に意思を交代させられることがあるって話したと思うんですけど・・・。

今までそうなった時は『その間の記憶だけ抜け落ちて』いたんです・・・。でも、今回は今までと違って『交代させられても記憶がしっかりしていた』んです」

 

「・・・!」

 

まず初めに話してくれたのはもう一人の自分がいるということだった。正直なところ、俺はもう一人の自分がいるってだけではよく分からなかった。

だが、ネプギアが自分の置かれている現状を詳しく話してくれたことで、ネプギアが俺を『兄さま』と呼ぶときの記憶が今までと違ってハッキリしているから、その存在に気づけたってことが理解できた。

これを聞いた俺は以前にハクメンと話していたことの一つを思い出した。

 

―『少女の魂』の一部を宿している者は、御前の身近に居るぞ・・・。

 

「(『少女の魂』って『あいつ』のことだよな・・・。じゃあ、ネプギアの中に『あいつ』が・・・?)」

 

その言葉を思い出して、俺は一つの予想を立てた。

時々、サヤとよく似ているような状態になるネプギアのことには少なからず心当たりがあった。

『あいつ』の魂はネプギアの中にあるのかもしれない。俺が立てた予想はそれだった。

 

「・・・?ラグナさん、どうかしましたか?」

 

「ん?ああ、いや。何でもねえ・・・。そうだ。今日見た夢のことを聞いてもいいか?」

 

「・・・わかりました。私がみた光景なんですけど・・・」

 

ネプギアは今回見た夢の内容を話し始める。

まず初めに周りは草原と森に囲まれていたこと。その時自分が・・・正確にはもう一人の自分が大きな木に背を預けた状態で座って絵本を読んでいたことを話してくれた。

また、その夢は自分が絵本を読んでいる途中で二人の兄の内、上の方に呼ばれたから三人で帰るというところで、途切れているみたいだ。

 

「二人の兄ねえ・・・」

 

何故だか、俺はその夢に対して心当たりがあるような感じがした。

視点に関しては上の兄になるのだが、それでも他人事じゃないと思うのは気のせいだろうか?

 

「特に上の方の兄はその・・・ラグナさんとそっくりだったんです」

 

「・・・っ!?」

 

俺はネプギアの話を聞いた瞬間、驚いたあまりガタタッと音を立てながら席を立ち上がった。

ネプギアの夢の通りであれば、ネプギアはサヤの視点で俺たちの教会にいた時の一部を見たことになる。

 

「あっ・・・えっと・・・どうかしましたか?」

 

「・・・いや、悪いな。俺があいつらと教会で暮らしてた時とそっくりだったもんだからついな・・・」

 

ネプギアが不安になって訊いてきたので、俺は簡単に答える。あいつらというのはもちろんジンとサヤのことだ。

兄が二人、その内上の方が俺にそっくりともなれば、思い返すなという方が無茶ってもんだ。

そしてもう一つ、俺の中にある疑念の一つに、新しい推測が生まれる。

 

「(ネプギアの見た夢・・・気のせいじゃなけりゃ、『あいつ』の正体って・・・)」

 

サヤ・・・なのか?それが今出した俺の答えだった。

だが、仮にそうだったとしてもまだ早いんじゃないかって言う気持ちがある。

しかし、実際に訊いてみないとわからないことも事実ではあった。そのため、俺は少し迷った。

 

サヤ(・・)・・・。俺に似ていた奴は、お前のことをどう呼んでた?」

 

意を決して、俺は訊くことを決めた。これさえ訊ければ『あいつ』のことが少しは解るかもしれない。そんな期待があった。

 

「すみません。そこだけは上手く聞き取れませんでした・・・。

・・・?ラグナさん。もしかしてですけど、『サヤ』がその女の子の名前なんですか?」

 

「・・・ん?・・・あっ、悪い・・・。その・・・嫌だったよな・・・?」

 

ネプギアの回答と同時に呼び方を聞かれたことで、俺はハッとして謝る。

やっちまった・・・。確かにネプギアは初対面の頃から『サヤに似ている』と感じていたが、サヤではない。

時々サヤとよく似た状態になることと、今回の夢の話を聞いたことが重なって、俺はうっかり『サヤ』と呼んでしまった。

 

「いえ、私は大丈夫です。それどころか・・・そう呼ばれて『私も嬉しい』って思ったんです」

 

「・・・そりゃ本当か?」

 

ネプギアは俺を嫌うかもしれない・・・。そう思っていたが、それどころかあまりにも予想外すぎる回答が帰ってきたことで、俺は思わず聞き返してしまう。

 

「・・・本当ですよ。えっと・・・ラグナさん。もしよければなんですけど・・・時々でいいので、私のことを『サヤ』って呼んでくれませんか?」

 

「そりゃいいけど・・・大丈夫なのか?」

 

「大丈夫です。それに、『彼女(・・)』も喜ぶと思いますから・・・」

 

ネプギアの提案を聞いた俺は、確認の意味も込めて訊き返した。下手すりゃ自己の否定でもあるし、ネプテューヌの不安を煽る可能性が非常に高いからだ。

だが、ネプギアが『彼女』と言ったことで俺は考えを改める。もしそれが『あいつ』のためになるなら、そうするべきなのだろう。また悩ましい案件だった。

 

「・・・分かった。ただ、本当に時々だからな?」

 

「・・・ありがとうございます。ラグナさん」

 

俺が条件付きで受け入れると、ネプギアは笑顔でお礼を言う。

・・・時々そう呼ぶと決めたのはいいが、なるべく二人きりの時に抑えるが、特にネプテューヌとユニの前で言うのは避けよう。ネプテューヌは言わずもがな。ユニはまだその不安を話していないものの、ネプギアと一番仲が良い以上不安を煽るに違いない。

 

「さて・・・もう大丈夫か?今日はせっかくのホームパーティーなんだし、楽しもうぜ。『サヤ』」

 

「はい・・・。兄さま♪」

 

せっかくだからと早速そう呼んで頭を撫でてみると、『ネプギア』は安心したような笑みで俺を『兄さま』と呼んだ。

その後は少しした後、ネプギアと別れて一度セリカの所へ戻ってみたら、ミネルヴァが見事にがっちりしたまま同じ場所をキープしていたので、迷子探しはしないで済んだ。

その代償としてセリカ(シスター)にこっぴどく説教受けたけど、それはあんたの方向音痴が悪いで振り切った。そのせいでリーンボックスにつくまで漫才のような会話をしたことで変に疲れたが・・・。

それと、これは今回一番重要なことで、これは俺が『サヤ』と呼んでネプギアの頭を撫でていた時だが・・・。この時を堺に、ネプギアの中からサヤの気配を今までより強く感じるようになった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

リーンボックスのスタジアム会場内で、俺たちはリーンボックスを中心に活動している5pb.のライブを見ていた。

会場は今日の天気に合わせて天井のドームが開け放たれていて、青空が見えていた。

5pb.は水色の長い髪と頭にかけられているヘッドフォンが特徴的で、少し派手な黒い格好をした、腹辺りに音符マークのタトゥーが入っている少女だった。

今回、5pb.のライブで公演されているのは、彼女が人気を獲得するきっかけとなった曲の『きりひらけ!グレイシー☆スター』だ。

彼女の歌や振り付けに合わせて、用意されていた戦闘機が飛行機雲を使ってパフォーマンスを行う。

この戦闘機は元々戦争に備えて作られていた最新機らしいが、和平を結んだから平和的に利用しようと方針を変更した結果、武器を取っ外すだけ取っ外してこうして5pb.のライブで初使用をする形になった。

その戦闘機には、国の象徴であるベールの服装に合わせたカラーリングが施されていて、極め付きにはベールの姿がいくつかでかでかとプリントされていた。

そして、戦闘機たちはまず手始めに飛行機雲で5pb.の腹辺りにあるタトゥーを二機掛かりで作りあげていく。

 

「おおーっ!」

 

「うわぁ・・・ラグナっ!ライブってこんなに凄いことなんだねっ!」

 

「気持ちは分かるがちょっと落ち着け・・・。確かにすげえな・・・」

 

ライブによる盛り上がりは凄いもので、恐らくは何度も聴いたであろうネプテューヌも感嘆の声を上げた。

セリカと俺は初めてこういったことを体験するため、新鮮な気分を持っている。

そんなこともあって、セリカがはしゃぎながら俺に同意を求めてきたので、俺はセリカの肩に手を置いて抑えさせながら同意した。

ライブを聴きながら、俺にもこういったことを楽しめる日が来るものなんだなと、感慨深い気持ちになった。

他にも、5pb.の歌を聴いていると、この世界でセリカの近くにいる時と同じように、力がみなぎるような感じがした。

 

「でしょ?さっすがリーンボックスの歌姫、5pb.ちゃんよね」

 

「ですぅ~!」

 

俺の感想を聞いて満足げにアイエフが5pb.を称賛し、コンパもそれに同意する。

『蒼の門』とか、『あいつ』のこととか・・・やらなきゃいけないことはまだまだ多く残ってるけど、今は小休止として楽しんでも良いだろう。

ちなみに、ハクメンはどさくさに紛れた暗殺を防ぐ意味と、ルウィーの三人に心配を掛けぬようにという二つの意味で中にいることを選んだ。

現在は周囲の警戒をしながらも俺たちと一緒にライブを見ている。・・・すげえシュールな光景になっているのは振れないでやってくれ。

ただし、ミネルヴァはちゃっかりと俺たちに混ざってライブを見ている。これもこれですげえシュールな光景だった。

 

「(そういや・・・ネプギアは大丈夫だよな?)」

 

ネプギアの方を見ると、ネプギアはさっきまでの沈んだ表情は見せておらず、明るい表情をしていた。

どうやら、このライブを楽しんでいるらしい。さっき話を聞いてやって良かったと俺は安心する。

正直な気持ちを言うと、暗黒大戦で停止時間を作ったときセリカに言ったのと同じで、俺はネプギアに暗い顔をしてほしくないと思ってる。

悲しませたくない。笑っていて欲しい・・・。そう思ってる俺はわがままなんだろうか?その辺はまだ分からなかった。

まあ・・・今は考えても仕方ねえな。一先ずライブを楽しもう。

 

周りを見ればネプテューヌやネプギア。セリカやユニたち。そして、会場の皆がこのライブを楽しんでいる・・・。それなのに俺だけ考え事してるなんて無粋だろ。

そう決めて間もなく曲はサビっていう一番盛り上がる場所に入り、会場の熱が上がっていく。

それと同時にまだパフォーマンスをしていなかった三機の戦闘機の内二機が、飛行機雲でハートマークを作りあげていく。ここにいる皆が、一つのことで夢中になっている。

皆をそうやって惹きつけられる力がある5pb.の歌は凄い力がある・・・。俺のような誰かを傷つけるかもしれない危険な力じゃない。誰かの心を動かすための・・・とても綺麗な、素晴らしい力だと俺は感じた。

彼女がその力を正しく使ってくれると信じると同時に、俺も改めてこの力を護るために使うと決めた決意を再確認できた。

 

そして、出来上がったハートマークに、最後の一機が飛行機雲を出しながら近づき、潜り抜けようとしたところで一度飛行機雲を出すのを止め、潜り抜けて少ししたところで再び飛行機雲を出しながら急加速していく。

この時のタイミングがサビの一区切りになるところと重なり、更なる盛り上がりを呼んだ。このライブ会場の盛り上がりは最高潮に達した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ライブだかなんだか知らないっちゅが、うるさいっちゅね~・・・。労働してる身にもなって欲しいっちゅ。

テルミはライブ見に行ってるっちゅけど・・・大丈夫なんちゅかね?」

 

ライブ会場のすぐ近くの海底で、ネズミはアンチクリスタルを探しながら愚痴をこぼしていた。

その愚痴に、「おまけにちょっとだけ力が抜けるような感じがして最悪っちゅよ」と追加の愚痴をこぼした。

これが5pb.の歌による相乗効果であることを、この時のネズミはまだ知らないでいた。

また、今回の海底で探すにあたって、ネズミは水中で活動できる格好をしたでいる。

テルミは今現在、ライブ会場で5pb.のライブを生で見に行ってる。女神たちにバレたらどうするんだと訊いたが、テルミは「ラグナちゃんとハクメンちゃんにバレなきゃ平気だ」と何のそのだった。テルミが言うなら大丈夫なのだろうが、ネズミはそれでも不安だった。

 

「大体、どうしてネズミが海に潜らないといけないっちゅか?海のネズミって、漢字で書いたら海鼠(ナマコ)っちゅよ・・・。っ!」

 

ネズミが更に愚痴を追加しながら海底を進んで行くと、目の前に赤い光を放つ鉱石・・・アンチクリスタルが一つあった。

 

「見つけたっちゅ・・・!」

 

それをみたネズミはこれで海から上がれることと、計画に間に合うことに安堵し、小さく喜んだ。

ネズミはアンチクリスタルを拾い、テルミが連絡に出れそうなタイミングを見計らいながら小休止を挟む。

そして、一曲が終わったタイミングでネズミはレリウスに用意してもらった疑似的な術式通信ができる小型端末で連絡を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「みんなー!ありがとーっ!」

 

「おうおう・・・これは中々いいライブじゃねえか」

 

曲が終わり、歓声が会場を包む中、5pb.が皆にお礼を言いながら手を振る。

そのライブ会場の隅っこでライブを見ていたテルミは満足そうにコメントを呟いた。

ドア付近の隅っこかつ、階段状の席の後ろである為、忍びながら見るには最適な場所であった。

 

「(ただ・・・何だったんだ?奴の歌を聴いてる時、妙に力が弱ってたような感じがするが・・・)」

 

テルミは曲やパフォーマンスはいいものだと認識しているが故に、自身の弱った瞬間が疑問だった。

セリカの近くにいるときのような吐き気は感じないが、彼女の歌が聴こえる状態で戦うことがあったらヤバいだろうと頭の隅に入れておくことにした。

テルミが5pb.の歌の能力に関する簡単な考察を終えると、術式通信と似たような通信が来たので、それに応じる。

 

「おう。俺だ」

 

「おいらっちゅ。アンチクリスタルを拾ったから合流ポイントへ移動を始めるっちゅよ」

 

「そうか拾えたか・・・。ヒヒッ・・・了解だ。俺も次の曲聴いたら移動始めるわ」

 

通信の主はネズミで、ネズミは朗報を持ってテルミに連絡を送ってきた。

その連絡を聞いたテルミは恐怖感のある笑みをこぼしながら、自分もそろそろ合流を始めることを伝えた。

 

「了解っちゅ。じゃあ、おいらはこれで切るっちゅよ」

 

「おうよ。また後でな」

 

「じゃあ、次は・・・」

 

ネズミと短く会話を済ませてテルミは通信を終わりにした。それとほぼ同時に、5pb.が自身の右腕を上に掲げるような動きを見せる。

 

Dimension Tripper(ディメンション・トリッパー)!」

 

「ラグナちゃん・・・今度こそぶっ殺してやるから、楽しみに待ってろよ・・・ケヒヒヒヒッ!」

 

5pb.が自身の新曲である『Dimension Tripper』を歌う宣言をするのと、テルミがこれから会う宿敵に予告しながら嗤うのはほぼ同時だった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ライブに招待してくれたのはいいけど、肝心のベールが来ないってどういうことよ?」

 

「そう言えば、チカさんも来てなかったよね?どうしたんだろ?」

 

「・・・・・・」

 

「あっ、ミネルヴァも気になるの?うーん・・・いくらベールさんでも、流石にゲームはやってないと思うけど・・・」

 

リーンボックスの教会に来て早々、ノワールは不満の声を上げた。

それに便乗するかのように、セリカも疑問に持っていたことを呟いた。

また、ミネルヴァがセリカに同意する念を出したらしく、ネプギアがその話を聞きながら一緒に考える。

 

「きっと、何か事情があるのよ」

 

「まあ、そう考えるのが妥当だよな・・・」

 

ブランの出した答えに俺は同意した。

・・・もし俺の『蒼炎の書』が関係しているのだとしたら謝罪も込めて準備を手伝ってやりたいところだ。

ちなみに、俺はみんなでホームパーティーが終った後、無事にバイクの免許を取れたからアイエフと夜中に軽くドライブをする約束がある。

今回俺はレンタルのバイクを使うので、今度はちゃんと自分のを用意したいところだ。

 

「ラグナさん、ラグナさん」

 

「ん?どうしたユニ?」

 

俺が謝罪の準備でもしておこうと考えていたら、ユニに声をかけられたので、俺はそっちを振り向いた。

 

「ネプギアのこと・・・ありがとうございます。あいつの友達として、お礼を言わせてください」

 

「そのことか・・・。俺はただ相談に乗ってやっただけなんだがな・・・」

 

「それでもです。アタシもネプテューヌさんも、ネプギアの悩みを聞いてやれませんでしたから・・・」

 

「そうだったのか・・・」

 

ユニからきた言葉はお礼だった。一応、当たり障り無いよう謙虚な言い方をしてみたのだが、今回のことは誤魔化し切れないみてえだな。それ故にユニは落ち込んでいる表情を見せた。

 

「大丈夫。お前にもできることはあるさ・・・。とりあえず、これからホームパーティーなんだから、楽しもうぜ。落ち込んでたら、それこそネプギアが不安におもっちまう」

 

「そうですよね・・・。アタシが落ち込んでちゃいけませんよね」

 

「ああ。そう言うことだ」

 

俺がユニを励ますように言葉を投げてやると、ユニは笑顔を取り戻した。とりあえずはこれでどうにかなっただろう。

 

「・・・励ましてるだけだって分かってるんだけど・・・。どうしてもそういう風に見えちゃうのよね・・・」

 

「・・・マジかよ。じゃあどうすりゃいいんだ?」

 

「・・・自然体でやってる以上、対策のしようがないわね」

 

「・・・嘘だろ?」

 

ノワールの悩むような呟きに反応してみると、ブランからどうしようもないと言う回答が帰って来てショックを受ける。

 

「はぁ・・・。まあいいわ。それで?どこなの?ベールの部屋は」

 

ノワールは話を切り替えるべくため息混じりに訊く。このため息は間違いなく俺のせいだろう。

今現在、ネプテューヌ。ロムとラムの三人が手当たり次第にドアノブにてをかけているが、開いてる部屋は見つかってない。

 

「おっ、この部屋開いてるよっ!」

 

何度か繰り返していると、ネプテューヌが開いてる部屋を見つけたので、俺たちはその部屋に入った。

その部屋の光景は一言で言えば魔境・・・って言っていいだろう。

積まれているゲームのケース、大量の雑誌。

極めつけにはちびっ子たちを対象にしてない、所謂『R-18』のゲームや、男同士で恋愛的な絡みをしてる絵が貼られていたりした。

 

「・・・何が、あったです?」

 

「荒らされた跡みたいね・・・」

 

「単に、掃除が行き届いて無いだけなんじゃ・・・」

 

それをみてコンパ、アイエフ、ノワールが順番に思ったことを呟いた。

コンパはその光景に動揺した様子で、アイエフは普段とあまり変わらない様子で、ノワールはため息混じりに苦笑してだった。

ネプテューヌはそのまま部屋の中にもう少し踏み入れる。

 

「おおーっ!これは18歳にならないと買えないゲームっ!」

 

「やめなさいよ。ちっちゃい子もいるんだから・・・」

 

ネプテューヌがそのヤバいであろうゲームを指差しながら声を大きくして言うもんだから、アイエフはネプテューヌを咎める。

四女神はともかく、女神候補生の・・・特にロムとラムの二人には教育によくないものであるのは確かだ。

俺とセリカは・・・大丈夫なのか?セリカは一応シスターの歳まで生きてるから大丈夫そう・・・って、そう言う問題じゃねえか。

 

「ラグナ、ラグナはこういうゲームに興味あるの?」

 

「あのなぁセリカ・・・そう言うのを堂々と答える馬鹿はいねえよ・・・」

 

セリカは今ネプテューヌが指差したゲームを手にとって訊いてきた。流アホ過ぎると思った俺は呆れながら否定で返したが、爆弾過ぎる質問が飛んできたから流石に焦った。

 

「えっ?そう言うものなの?」

 

「・・・なぁノワール。俺はどうすればいい?」

 

「ええっ!?私に聞かれても困るわよ!」

 

言ってることがわかんないと言わんばかりにセリカが首を小さく傾げたのを見て、これ以上は無理だとギブアップを決めた俺はノワールに訊いてみるが、訊くこと自体が間違いなようで、ノワールは両手を自分の眼前で振った。

 

「うぅ・・・ベールお姉さまぁ・・・」

 

「あれ?みんな、あそこにチカさんがいるよ?」

 

「あっ・・・皆さん・・・」

 

そんなしょうもない話をしてる内にチカのすすり泣く声が聞こえ、それに気づいたセリカがそっちを指差したので、俺たちはそっちを振り向く。

すると、俺たちに気づいたチカは慌てて涙を拭う。

チカは今回のホームパーティーを開くに当たって、リーンボックスで主導的に準備をしていた。

おまけに体調管理もしっかりした上でギリギリまでやっていたそうだ。それなのにあそこで膝落としてたのは一体何があったんだ?

 

「えっと・・・何があったんですか?」

 

「その・・・。出掛ける前に一時間だけって言ったきり、ベールお姉さまが部屋から出て来ないんですわ・・・」

 

「後方の部隊は何をしてますの!?」

 

ネプギアの質問に答えるや否、すぐにベールの怒声が聞こえた。余程ショックだったのかチカは再び泣き出してしまった。

 

「・・・ちょっといい?」

 

「えっ?あ、はい・・・」

 

その様子から、大方察しのついたネプテューヌがチカに頼み、ドアから離れてもらう。

ネプテューヌが一拍置いてからドアを開けると、そこにはゲームを夢中になってプレイしてるベールの姿があった。

 

「私が援護いたしますわ!」

 

ちらりと画面を見てみると、何やらイベントが起きていたらしく、そのためベールは参戦してそのまま今に至ったであろうことが容易に想像できた。

 

「ああ!?それは早すぎますわ・・・」

 

ベールは味方の動きが良くなかったのか、大袈裟なリアクションを取る。勿論、その様子を俺たちは全部間近で見ている。

部屋開けられてるのに気がつかないか・・・。この集中力すげえな・・・。俺はちょっと感心してしまった。

 

「何やってるのよベール・・・」

 

「どう見てもネトゲね・・・それも四女神オンライン」

 

「おーい、廃人さん」

 

その様子を見たノワールとブランは呆れ、ネプテューヌはベールに呼び掛けてみるが、ベールは何も反応を示さなかった。つか、前にベールがオススメしてきた四女神オンラインってこういう感じのゲームだったのか・・・始めて実際の画面を見たわ。今度やってみようかどうかで悩むが、今はそう言うこと言ってる場合じゃねえなと考えを中断した。

 

「おーい、ベールっ!」

 

「ひゃっ!?」

 

ダメそうだと分かって、声を少し大きくしてネプテューヌが呼ぶと、ベールは変な声を出しながらビクリと一瞬跳ねたように反応した。

 

「あっ、皆さん・・・来ていたんですのね。

出掛ける前に一時間だけで終わらせるつもりだったんですけど、攻城戦が始まってしまって・・・手が話せなくなってしまったんですわ・・・」

 

「ライブの後はホームパーティーで持て成してくれるんじゃなかったかしら?」

 

「もう少しで攻城戦が終わりますから、その後で・・・」

 

「あうぅ・・・お姉さまぁ・・・っ」

 

ベールが焦りながら挨拶と言い訳をしたところにブランが鋭く問いただすと、ベールは答えながら画面の方に目を戻していった。

その姿をみたチカがまた膝を落とし、地面に顔を落として泣くのだった。

 

「こういう人だったのね・・・」

 

「ま・・・まあ。趣味は色々だから・・・」

 

ブランが呆れて言うと、ノワールは焦ってるような。苦笑してるような声でフォローする。普段はもっと堂々としてる分その様子が少し気になったが、あまり引きずるのは良くないから置いておく。

 

「もぉー。ベールは駄女神だねー・・・。もしかしたら私よりダメかも?」

 

「「「それはない」」」

 

ネプテューヌが調子に乗りながら言ったところを、俺、ブラン、ノワールの三人が口を揃えて否定した。

 

「ねぷぅっ!?こんな時に限って気が合ってる!?と言うか、ラグナも混ざって言うのっ!?」

 

「そりゃ、お前・・・。俺の『蒼炎の書』が動くようになったら半月くらいなにもしてねえし・・・」

 

「うぐっ・・・何も言い返せないのが辛い・・・」

 

ネプテューヌが抗議の声を上げるが、俺がハッキリと理由を述べたら膝を落とした。

 

「お姉ちゃん・・・お仕事頑張ろ?」

 

「嫌だーっ!働きたく無いでござるーっ!」

 

ネプギアの促しを聞いて、ネプテューヌは腕を上に上げながら拒否の声を上げる。この時、一般の人じゃ殆ど使わない口調をわざとしている。

『ござる』って口癖ある奴なんて、俺はシシガミしか知らねえな・・・。そんなに何人いても困るっちゃ困るが・・・。

 

「御前たち・・・。あの者を真似しては駄目だぞ?」

 

「「はーいっ!」」

 

「ハクメンが私をダシにしてきた!?」

 

ハクメンがネプテューヌを指差しながらロムとラムを見て言うと、二人は元気よく返事をした。

ネプテューヌが驚愕の声を上げてるが、勿論俺とセリカもビックリしている。ハクメンが教育係って、何だかすげえシュールだな・・・。

 

「・・・どうします?もうしばらくかかりそうですけど」

 

アイエフに訊かれたノワールは考え出した。

 

 

 

 

 

 

 

* * *

 

 

 

 

 

 

 

そして、ノワールはどういうわけかメイド服に着替え、モップを片手に持っていた。

 

「さあ、みんなで準備するわよっ!」

 

「ええ~!?なんで私たちが準備ぃっ!?」

 

ノワールの選択はみんなで準備を手伝うだった。

当然ながら、その選択にネプテューヌは反対の声を出した。

 

「文句言わないっ!せっかくリーンボックスまで来たんだから、きっちりパーティーして帰るわっ!

まず、ネプギア、アイエフ、コンパ・・・そしてラグナの四人は食料の買い出しっ!」

 

『はっ、はい!(おっ、おう・・・)』

 

ネプテューヌの抗議もお構い無しにノワールは早速指示を出す。その勢いと剣幕に押された俺たちは、ただ返事をするしかなかった。

まあ、料理するんなら手伝ってもいいか?・・・いや、止めておこう。プロの中に素人を混ぜたら色々と失礼だ。俺は心のなかで諦めた。

 

「他の人たちは部屋の掃除よ。はい、今すぐ始めてっ!」

 

「で、でたー・・・。こういう時妙に張り切る奴~・・・」

 

「・・・変なスイッチ入ったわね・・・」

 

「・・・うるさい!」

 

ノワールの張り切りぶりをみたネプテューヌとブランが嫌そうにつぶやくと、ノワールは一括してモップでタイルを叩いてガンッ!と音を鳴らす。

 

「ちゃっちゃと働くっ!」

 

ノワールの言葉に妙な威圧感を感じた俺たちはクモの巣を散らすようにそれぞれの準備に取り掛かりだす。

唯一威圧を流せたハクメンは暫くの制止のうち、このままではいけないと感じ、一歩遅れて準備を手伝うのだった。

 

 

 

その後、買い出しのメンバーは着々と食料を買っていき、掃除のメンバーも途中で脱線したりするものの、掃除を進めていった。

また、この準備の途中に、ネプテューヌがゲームをやろうとしてノワールに阻止されたことと、ベールは皆が準備をしている間、攻城戦が終らず、結局ゲームをやっていただけなことを記しておく。

少しバタバタ感があるものの、準備は確実に進んでいったのだった・・・。




セリカの迷子防ぐならラグナがミネルヴァに頼めばいいんじゃね?という安直さ・・・(汗)。

という訳で今年最後の投稿となります。

今回サヤのくだりがこれで大丈夫かどうかで物凄い不安です・・・。「何やってんの?」と思った方はごめんなさい(泣)。
後、ハクメンはどうしても3話の前半に喋らせるとシュールになりやすいから口数が減りました・・・。

ラグナの「テメェ、馬鹿かぁっ!」という制裁は次回になるか、もしくは未遂のままスルーになるかですね。

今年も気がつけば後わずか。今日、コミケに行ってきたのですが、『ねぷねぷよりぬきアソートセットWithお片付け用軍手』を手に入れることができました。
ダブルネプ子とドラム缶風呂シーンのタペストリーで新年早々、コミケの疲れを癒して貰えたら良いなぁと思います(笑)。

長くなりましたが、今年もありがとうございました。
また来年も読んで頂けたら幸いです。
それでは、よいお年を!
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