超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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今回からアニメ5話分に入ります。
山場に入ったので上手く掛けてるかがますます不安になって来ました・・・。後、文字数もどんどん増えてきてます(笑)。


29話 反撃の手口

「・・・ほう?此の魂の輝きは・・・成程、興味深いな」

 

ネプギアが変身を成した時と同刻、レリウスは何らかの異変に気付いた。

それが自分にとってはとても都合のいいものであったのか、仮面のずれを直すレリウスの口元は愉しそうに嗤っていた。

 

「どうしたっちゅか?」

 

「奴らの内、一人の魂が面白い変化を見せたのでな。テルミらと合流して観察に行こうと思ったまでだ」

 

レリウスの呟きに反応したワレチューが訊いてみると、レリウスは淡々とした口調で答える。

しかし、仮面の下にある口元は狂気的な笑みを見せており、その笑みは仲間であるワレチューにすら冷や汗をかかせる。

ネズミとしては特殊すぎる為にレリウスの研究対象にされかけたワレチューだが、このズーネ地区・・・ひいてはリーンボックスへ来る前に、レントゲン投影等を受けるで留まっており、その先は一切受けてない為一先ずの安全は確保されていた。

 

「なら行ってくるっちゅか?一応、何事もなければここはフリーでも大丈夫にはなってるっちゅよ」

 

「そうだな・・・ならば行かせて貰おう。連絡は頼んだぞ?」

 

「了解っちゅ」

 

レリウスはワレチューに頼み、左指を鳴らしてイグニスを用意してある別空間に隠し、マジェコンヌたちの元へ移動を始めた。

ワレチューはそれを見送ってから、小型端末を使ってテルミへ術式通信を送った。

 

『んあ?どうした?』

 

「あっ、いきなりすまんっちゅ。レリウスが『一人の魂が面白い変化を見せた』から、そっちと合流して観察するって言って移動を始めたっちゅよ」

 

『へぇ。てことはアイツか・・・?分かった。マジェコンヌには俺が伝えておくから、何かあったらまた連絡頼むわ』

 

「了解っちゅ。それじゃあまたっちゅ」

 

テルミは特に不機嫌ではなく、むしろ上機嫌だったので話が予想以上に円滑に終わった。

実のところ、テルミ自身も焦ったりすることは幾らかあったものの、イラ立ち等の不機嫌になったことは意外にも片手で数えられる程だった。

マジェコンヌは咎める程度であったりするために、まだどうにかなるのだが、テルミの場合は底知れぬ恐怖感を感じさせるため、迂闊に怒らせるわけにはいかない。

何事もなく終わって良かった思いながらワレチューは術式通信を終了させた。

 

「さて・・・できることなら観察だけでなく、捕獲もしたいところだな」

 

テルミたちと合流すべく歩いているレリウスは、仮面の下で危険な笑みを見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

変身したネプギアが放った攻撃によりモンスターの殆どが一層されたのが確認でき、俺たちはナインと合流してからすぐに移動を始めた。

ハクメンは『スサノオユニット』の力を使って全力疾走し、コンパはネプギア以外全員の候補生とナオトを乗せて車で走り、俺はアイエフにバイクの後部座席に乗せて貰い、ナインはセリカを抱えて魔法で飛び、ネプギアは飛べるようになったので一人で飛び、ミネルヴァは高速移動形態になってズーネ地区を奥へと突き進んでいく。

途中で現れるモンスターはネプギアが専用の銃剣で攻撃するか、アイエフが時々拳銃で撃つことによってあっさりと倒されていき、障害何ぞあって無いようなものだった。

 

 

「ねえ、ネプギア・・・ネプギアはどうして変身できたの?何がきっかけになったの?」

 

「・・・・・・」

 

移動している際、ユニはネプギアに訊いてみた。それを参考にすれば皆が変身できる近道かもしれないと思ったからだろう。

しかし、ネプギアは振り向いていた顔を正面に戻して下に向けるだけで、沈黙を返していた。何かを迷っているようで、その表情は悲しげなものになっていた。

 

「・・・ネプギア?」

 

「ごめんね。多分、この事を話したらユニちゃんだけじゃなくてみんなが心配すると思う・・・それでも大丈夫・・・?」

 

「な、何よ急に改まって・・・大丈夫だから話してみなさいって」

 

ネプギアから出てきた回答に困惑しながらユニは促す。

さっきの影響で大方察しができてるのは俺だけか?いや、こう言う気配には鋭いハクメンも気づいてるはずだ。残りはわからねえが・・・。

促されたネプギアは迷う素振りを見せるが、やがて決意した表情に変わる。

 

「私が変身できるようになったことを話すのに・・・『もう一人の私』って言えばいいのかな?私がいつもと違うようになる時に出てくるその子のことが関わってくるの」

 

『っ・・・!』

 

ネプギアの切り出した話から出てきた内容はユニたち女神候補生を中心に、その場に居合わせた大体の人が息を吞んだ。

例外なのは俺とハクメン・・・ナインとラケルの僅か四人だった。

こうなった理由として、俺はネプギアから事前に話を聞いている。ハクメンは初対面の頃から『あいつ』の気配を感じ取っている。ナインが驚かなかった理由もハクメンと同じで気づいているからだろう。そして、ラケルが驚かないでいたのはレイチェルのように境界で情報を得ているからだった。

ただ、顔には出なかったとは言え俺も少なからず驚いている。ネプギアと『あいつ』の関係は気兼ねなく話せる程穏やかな話じゃねえからだ。

 

「私たちが強くなろうって決める直前の時、ユニちゃんに強く言われた後、私はこれ以上みんなに心配をかけないようにって気づかない内に『あの子』が表に出てくるのを封じちゃってたみたい」

 

困った笑みを見せながら、ネプギアは自分が変身できるようになった過程を話し始める。

この出だしを聞いた限りだと、ネプギアは確かに『あいつ』の気配を引っさげている以上、表に出た時は皆を不安にさせることを自覚している。

確かに周りの皆は元に戻ったと安心するだろう。俺もあんまり面倒事は抱えたくないから、何も事情を知らないのであればそれがいいと思うだろう。

 

「・・・どういうこと?ネプギアは・・・いつものネプギアじゃダメなの?」

 

「・・・ダメなの?」

 

「ああ、それは違うよ!必ずしももう片方になるってことじゃないの。でも・・・封じてそのままを良しとしなかったのは本当だよ」

 

不安の余り涙目になって問いかけてくるロムとラムを見てネプギアは慌ててそれを否定する。

ネプギアがこの二人がいる時にもう一人の状態になったのは、ハクメンと俺が対決してる時と、テルミにやられて気を失ってから少しするまでの二つだ。

突然別人のように変わって不安に思わない筈はないし、深い事情を知らない四女神や候補生の皆、教祖らに友人たちとネプギアをよく知る人にとっては今すぐに戻って欲しいと思うだろう。

だが、ネプギアは知らない振りして今までの自分に戻ることを選ばなかった。それを決めたとしたならあの変身する直前だろうか?

 

「私が変身する直前なんだけど・・・その時、私の中にいるあの子と会って話したの」

 

『・・・!?』

 

「な・・・あいつと話した?そりゃ一体どこで・・・って、うおぉっ!?」

 

皆はネプギアから告げられる衝撃的な事実に再び絶句する。

対する俺はネプギアが『あいつ』と話したタイミングが全くわからなかったので、体をネプギアがいる右側へ乗り出し気味な姿勢で訊いて見ようとしたが、急に左側へ傾けられたため、俺は慌ててバランスをとることに専念する。

 

「急に乗り出さないっ!あんた体デカいんだから、バランス取れなくなるのよ!」

 

「わ・・・悪い!」

 

俺はアイエフに叱咤されたので素直に謝る。しまった・・・俺がアイエフと比べて背が高いだけじゃなく、体重も結構あるんだった・・・。

 

「それで?結局その『あの子』とやらとはどういう話をしたの?」

 

「実は、『あの子』から提案があったんです。一人でダメなら二人で一緒に戦おうって・・・。そして、私はそれを受け入れたんです・・・。お互いに、自分たちの大切な人を助ける為に」

 

心なしか、ナインの問いに答えるネプギアの目は今までとは別の誰かと一緒になっているように感じさせる。

その誰かって言われたら間違いなく『あいつ』なんだろう。俺がそこまで考えると、その瞬間まるで先を読んだかのようにネプギアの表情が沈む。

一瞬焦りはしたものの、それが『あいつ』と話した時にできてしまったものなんだろうと予想がつき、それはそれでどういえばいいか分からなくなる。

 

「・・・ただ、何もいいことばかりじゃないんです。一緒になったのはいいんですけど・・・その分『あの子の魂』が混ざり込むから、今まで以上に私が不安定になって、もしかしたら本来の私じゃいられなくなるかも知れないんです」

 

『・・・・・・!』

 

流石にネプギアが今回告げた内容はある程度把握していた俺や、察しがついてたから準備が早いハクメンでも無視できない内容で、ハクメンですら首をネプギアの方に向けていた。

確かに『あいつ』の手がかりが分りやすくなるかもしれないが、それ以上にデメリットが大きすぎる。ネプギアの存在が消滅する可能性があるのはいくら何でも無視できるものじゃない。

俺やセリカはどうやって声をかければいいかが分からなくなるし、ハクメンも『此れは私が口出しできるものではない』と言わんばかり顔を正面に戻した。

 

「ネプギアのバカっ!昨日アタシが戻ってって言ったばっかりじゃないっ!何でそんなことしてるのよ!?」

 

「ごめんね・・・私が危険なことをしてるのは、分かってるつもりだよ」

 

ユニが涙目になりながらネプギアを責め、ネプギアは謝りながら顔が下に傾いていく。

分かった上での選択だったからこそ、こうして改めて言われるのに応えるのは良くわかる。

 

「だったら何で・・・!分かってるのにどうしてよ・・・!?」

 

「分かっていても・・・そのまま見捨てたりするようなことができなかったの・・・。それに、危険だからそれをしないでお姉ちゃんたちを助けられないなんて・・・それこそ嫌だったから・・・」

 

「ネプギア・・・」

 

ユニに強く言われても、ネプギアは確固たる意思を持って自分の意思を貫く事を選んだ。

そのネプギアの決意を知ったユニは言葉が出なかった。そして、一度表情を見せて少ししてから何かを決めたような表情に変わる。

 

「そうまで言うならしょうがないか・・・。ただ、これだけ約束して。本来のアンタじゃなくなるかもしれないじゃなくて・・・絶対にアンタはアンタのままで戻って来るの。そのもう片方のアンタとやらが混ざってもいいから、絶対に戻って来て!」

 

「あっ!それ私とも約束してっ!せっかくお姉ちゃんたちを助けても、ネプギアが戻ってこないのは嫌だもん」

 

「私にも約束して・・・ネプギアちゃんともっと一緒にいたいから・・・」

 

「みんな・・・」

 

ユニがネプギアに頼むと、ロムとラムもそれに乗っかるようにネプギアに言う。

前にネプテューヌから話を聞いて、候補生の皆は条約を結ぶ前から仲が良かったのは知っているから、ネプギアに変化が訪れてもその仲の良さが変わらなかったのは本当に良かったと思う。

そして、皆が自分の帰りを望んでいることが分かって、ネプギアの目尻には嬉しさによって出てきた涙が見えていた。

 

「心配してくれてありがとう・・・約束するよ。絶対に戻って来るから・・・」

 

ネプギアは三人に向けて笑顔を見せて宣言した。

魂が不安定になっちまう以上、それを実行するのが簡単じゃないのは目に見えてわかる。だからこそ、俺たちもできる限りサポートしてやんねえとな・・・。

 

「!・・・話しているところに悪いが、もうじき待ち受けているテルミらとぶつかるぞ。何があるか分からん以上、セリカ=A=マーキュリーを下げた方が良いだろう」

 

「もうそんな距離まで来たのね・・・皆は準備を済ませて先に行って。私はセリカと後から来るわ」

 

「みんな!頑張ってねっ!」

 

「おう!任せろッ!」

 

「二人とも、また後でですっ!」

 

セリカを抱えたナインとミネルヴァは減速していき、俺とコンパは振り向く余裕がないので正面を向いたまま応える。

そして、車に乗せてもらっている皆は移動している内に武器などの準備を終えておく。

 

「あっ、そうだ。私、イストワール様とチカ様から伝言貰ってるからそっちに行かせてもらうけど大丈夫?」

 

「それならば問題ない。預かりし言葉を伝えに行くと良いだろう」

 

「アイちゃん、それなら私もついていくですよ」

 

《ナオト、私は万が一のことを考えてアイエフの方に行くけど、問題ないわね?》

 

「ああ、もしもの時は頼むぞ」

 

アイエフの問いに、ハクメンは迷わず肯定し、コンパは同行を申し出た。

また、ラケルもついていく事を選び、ナオトは一切反対する様子を見せずに頷いた。

 

「ええ・・・ありがとう。みんな」

 

そのまま暫く進んで行くとまたあの崖の所まで近づいてきて、その先にはさっきの結界が見えていた。

 

「ここで降ろすわ。時間がないから、また後でねッ!」

 

「分かった。そん時はまた頼む」

 

乗せてもらっていた俺たちは降ろしてもらい、そこからは走って近づいた。

 

『お姉ちゃんっ!』

 

崖の可能な限り奥まで進んで行き、候補生四人はその中にいる自分の姉ちゃんたちに声をかける。

奥にあるアンチクリスタルの結界を見てみると、まだネプテューヌたちは生きていた。

 

「ネプギア・・・?そっか・・・その格好、変身できたんだね・・・」

 

「ネプギアちゃん・・・頑張りましたわね」

 

ネプテューヌはネプギアの姿を見て喜びの笑みを見せた。

ネプギアを労うネプテューヌとベールを筆頭に、結界の中で捕らえられている四人は希望を見出したと笑みがこぼれた。

 

「良かった・・・あんたら全員生きてるな!?時間ねえからこのまんま来ちまったが、ちゃんと戻って来たぞ!」

 

「ちゃんと生きてるよーっ!死なないって約束したでしょー!?」

 

ナオトの問いかけに、ネプギアの変身した姿を見て少しだけ気が楽になったネプテューヌは、ナオトにしっかりと聞こえるように大きめの声で問い返す。

それを聞けたナオトは安心して溜め息交じりに笑った。

 

「待っててね・・・すぐに助けるから・・・」

 

「ようやく来たところ悪いが、ここは通行止めとさせてもらうぞ。どうやら一人変身できているようだが・・・貴様ならば寧ろ好都合だな」

 

「ああ、全くだ・・・。これならレリウスも大喜びだな・・・ケヒヒ」

 

「・・・・・・」

 

ネプギアはすぐに飛んでいこうとしたが、横から声をかけられたことでネプギアのみならず全員がそっちを振り向く。

そこにはマジェコンヌとテルミがいて、二人はネプギアの姿を見てほくそ笑む。

対するネプギアは、マジェコンヌの方はともかく、テルミを見て何やら複雑そうな表情をしていた。

 

「ネプギア、大丈夫か?」

 

「大丈夫です。ただ・・・テルミを見てると何か違和感があるんです」

 

心配になって俺は訊いて見たが、一応大丈夫らしい。ただ、見逃せない発言はあった。

 

「違和感?」

 

「はい・・・『ネプギア(私自身)』には、マジェコンヌたちと手を組んで私たちを倒そうとしている人なんですけど・・・。『あの子(もう一人の私)』にとっては、自分の幸せな時間を奪った許せない相手です。私が違和感を感じたのは・・・その二つが混ざっている状態で見ちゃってるからだと思います」

 

気になったことをネプギアに訊いてみると、ネプギアはそのことを説明してくれた。

違和感の理由を聞いた俺は自然と納得していた。もしかしたらしてしまったなのかもしれないが、少なくとも俺には納得しただった。

 

「おうおう・・・随分と馴染んでんじゃねえか。その内存在が『あいつ』そのまんまになっちまうんじゃねえの?それもそれで面白れぇから俺様はいいんだけどな」

 

「いいえ。誰が何と言おうと私はネプギアです・・・。例え『あの子』と一緒になったとしても、それは変わりません」

 

テルミがにやけ顔を見せながら煽るが、ネプギアはそれに動じることなく、自分の持つ考えを告げる。

それを聞いた候補生の皆は心底安心した表情をした。俺も話を聞いてテルミに呑まれないかどうかが不安だったが、そうならなくて良かったと思う。

 

「そうかい・・・なら、そいつがどこまで続くか見せてもらいてえな・・・」

 

テルミは一瞬拍子抜けしたような顔を見せてから、再びにやけながらそう言い放った。

結果的に、テルミの楽しみを一つ増やしちまったみてえだな。

 

「ふむ・・・それは私も同感だな。お前の魂の融合度合いがどのように変わるか・・・興味深いな」

 

「レリウス・・・テメェは相変わらずみてえだな」

 

レリウスはこっちにきながら個人の思っていることを呟き、対するナオトは頭を掻きながら溜め息交じりに呟いた。

 

「レリウスも来たか・・・。目的は聞くまでもなさそうだな」

 

「ああ。私がどうしようとしているかは、既に解っているだろう」

 

レリウスの答えを聞いたマジェコンヌは「それもそうだな」と言いながら笑う。

そして、顔を俺たちの方に向け直した時、マジェコンヌは余裕そうな笑みを見せていた。

 

「そういやまだ聞いてねえことがあったな・・・テルミは俺をぶっ飛ばす。レリウスは自分の研究だってのは解る・・・。ならマジェコンヌ。テメェの言う混沌という名の福音ってのは何だ?」

 

「マジェコンヌ?じゃあ、この人がお姉ちゃんたちを・・・」

 

俺がマジェコンヌに問いかけたところで、昨日の夜に話で出ていたことを思い出したユニがハッとして反応する。

 

「ほう?話しは聞いていたのか・・・ならば答えようじゃないか」

 

そのことを聞いたマジェコンヌは驚きながらも、すぐに上機嫌になった。

 

「私を始めて見るものもいるだろうから改めて名乗ろうじゃないか・・・。私の名はマジェコンヌ。四人の小娘が支配する世界に混沌という名の福音をもたらす者・・・。ここまでは聞いているだろう?ではその先を答えるが・・・私の目的は確かに女神打倒だ。それによって女神を必要としない新しい秩序・・・誰もが支配者になり得る世界を作ることを望んでいる」

 

「チィ・・・ッ!『混沌という名の福音』ってのはそういう事だったか・・・」

 

「それって・・・あなたが支配者になろうとしているだけなのと変わらないんじゃないですか!?」

 

マジェコンヌが告げてきた目的を聞いて、俺は剣を手に取って構えながら歯嚙みする。

勿論、そんなことを俺たち・・・特にネプギアたちは受け入れられるはずもなく、ネプギアが問い返すような形で糾弾する。

 

「そんなことは無いさ・・・私より強い者が現れればその時は潔く譲る。それこそ平等な世界だろう?」

 

「何、最もらしいこと言ってんのよ・・・!」

 

糾弾されてもマジェコンヌは余裕そうにおどけて見せるのを見て、ユニは嫌そうな表情を隠さず愚痴のように吐き捨てる。

あくまでそういう世界を作るだけであって、自分は女神を倒せればいいらしいな。それによってできあがる世界は過程ってことか・・・。考えたら少しこみ上げてくるものがあった。

 

「まあ、そういうことなら俺はハクメンちゃんに・・・もう一回躰返して貰おうかね?それと『蒼』さえありゃ、簡単に俺様の望む世界を創れるしな・・・ケヒヒヒヒッ!」

 

「テルミよ・・・私は二度も同じ轍は踏まんぞ・・・!」

 

テルミはハクメンに向けて煽るように言うと、ハクメンは怒気の籠った声を出しながら『斬魔・鳴神』を構えた。

 

「テメェ・・・やっぱり諦めてる訳じゃなかったんだな。テメェの魂胆だと・・・現状俺から『蒼』を奪い取ろうってか?」

 

「当たり前よッ!場所探しって言う振り出しに戻った以上、それが手っ取り早いだろうが。恐怖によって支配する世界・・・!それが俺様にとって真の自由だからなァッ!」

 

俺の問いに、テルミは声を高らかに答える。こいつはこっちに来ても全く変わらなかったみてえだな。

 

「ハクメンさんの躰・・・?どういうこと?」

 

「・・・奴のもう一つの名は『建速須佐之男』。私が使っている『スサノオユニット』本来の所有者だ」

 

「え・・・!?」

 

「あの人のなの・・・?」

 

「なんだよなんだよ・・・俺様のこと話すのに『スサノオユニット(それ)』は大事だろぉ?」

 

気になって聞いてきたラムに、ハクメンは迷いながらも答え、それを聞いたロムとラムが筆頭に、皆が驚く。

元々ジンとして生きていたから別のものだというのは皆が分かっている。ただ、テルミのものだというのは話していなかった為、そこで皆は驚いた。

テルミはその話を聞いて少し不満そうに投げかける。実際いるとは思わなかったので、不用意にそのことを話して不安を煽るわけにもいかない以上、ハクメンと俺はそのことを話さないでいた。

 

「まあいいや。なぁハクメンちゃんよぉ・・・こっちでの『スサノオユニット(そいつ)』の使い心地はどうよ?向こうだと『マスターユニット』に縛られる感じしてすげえ面倒だったからなぁ・・・訊いてみてぇんだよ。俺様の躰だとしても、こっちじゃテメェしか使ってねえからな・・・」

 

「縛られるか・・・成程。合点が行くとまでは行かないが、推測は立てられるな」

 

テルミに問いかけられたハクメンはそこでハッとし、少しばかり考え込んだ。

 

「ハクメン?お前が前より強くなってる理由が分かったりでもしたのか?」

 

「まだ推測の域に過ぎんがな・・・ともあれ、以前より此の躰による動きが軽いのは事実だ」

 

俺は気になって訊いてみたが、推測の域を過ぎないのであればどうしようもない。

ハクメンでも曖昧なことであるなら、流石にこれ以上追求するだけ無駄に近いからな。

 

「へえ・・・『軽い』か。それなら尚更頂きたくなったな・・・。仮に『マスターユニット』に縛られてませんなんて事だったら、それこそ俺様も大喜びだ」

 

「貴様に返す心算は無いぞ・・・」

 

テルミがヘラヘラした顔で嬉しそうに考えるのに対して、ハクメンは『斬魔・鳴神』を握り直して気を引き締める。

 

「ふむ。確かに『マスターユニット』の影響は盲点だったな・・・時間があれば調べてみよう」

 

「いいのか?それなら頼むわ」

 

「・・・あまり期待はしてほしくはないがな」

 

テルミに頼まれたレリウスは、呟きながら「凌ぎきるので手一杯になるかも知れないのでな」と付け足した。

正直、俺からすれば普段から戦わないのに凌ぐだけはできるってので十分ヤバいと思う。ただ、勝てると言わないのは研究者故に弁えてるのが伺えた。

 

「まあ、こう言うことだ。テルミが本来の力を取り戻し、それによって支配者になるならばそれでも私は一向に構わん」

 

「ふざけないでっ!単にアンタは女神の力が羨ましいんでしょう!?」

 

「そうだな・・・確かに、女神の力を欲した時期は私にもあったよ」

 

マジェコンヌが余裕そうに言ったところを、我慢の限界が来たユニが糾弾するも、マジェコンヌは全く動じることなくあっさりと肯定して見せた。

予想外の回答を聞いて俺たちは驚くが、それだけでマジェコンヌの言葉は終わらなかった。

 

「だが、今は違う・・・!なぜなら・・・」

 

マジェコンヌは強く言い放ちながら、自身の体を光に包んだ。

その光は赤く禍々しいもので、一目見ただけで危険だと感じさせるものだった。

そして、光が消えると、マジェコンヌの服装は魔女のような格好から黒を基調とした露出の多い格好に変わり、右手には槍のような特殊な武器を持ち、背中には悪魔のような翼が生えた姿になっていた。

 

『っ!?』

 

「私自身が・・・女神と同等の力を宿しているからだッ!」

 

「そんな・・・どうしてあの人が変身を・・・?」

 

「あいつは女神じゃないのに・・・」

 

その姿に俺たちは驚きを隠せなかった。特に、候補生たちの動揺は大きく、変身したという事実を吞み込みきれないでいた。

 

「姿を変えたってマジかよ・・・。正真正銘の魔女ってか?面倒ったらありゃしないぜ・・・」

 

ナオトは焦りが混じるものの、平常心はまだ残っており、眉を潜ませながらぼやくのに留まっていた。

どうやら『ムラクモユニット』だの『黒き獣』だのなんだのってヤバいもんがありまくる俺たちの世界とは違って、ナオトの世界はそういうのが少ないからなのか、目の前の事態の驚きが俺たちより心なしか大きい気がした。

 

「驚くのはまだ早いぞ・・・?真に驚くべきはこれからだ・・・!」

 

「え・・・!?」

 

マジェコンヌはニヤリとした顔でそう言いながら自分の持っている武器を赤い光で包み、その形を変えていく。

その光形を変え切ったところで消えると、マジェコンヌの手に持っている武器は変身したネプテューヌが使っている刀の色違いに変わっていた。

そして、マジェコンヌは危険な笑みを見せながら戸惑っているネプギアに狙いを定めて一気に近づく。

 

「クロスコンビネーションッ!」

 

「きゃあっ!」

 

そして、マジェコンヌは俺がトゥルーネ洞窟で見たネプテューヌの連撃と全く同じ動作でネプギアに連撃を浴びせる。

ネプギアは自分の姉の技を使われると思って無かったこともあり、反応が遅れてしまって最初の一撃で武器を弾かれて体制を崩され、残りの五撃を全て受けてしまった。

変身できた恩恵で防御力が跳ね上がっていたため、吹っ飛ばされることは無かったものの、ネプギアは尻餅をついてしまった。

 

「・・・ねぷっ!?それ私の技・・・!」

 

「ど、どうしてその技を・・・?」

 

マジェコンヌがその技を使ったことに最も驚いたのはネプテューヌで、動揺したのはネプギアだった。

前者は自分の技を見事にそのまま使われたこと。後者は自分が信頼する姉の技を他人にぶつけられたことにだった。

 

「フフフ・・・実は、私には他人をコピーする能力があってな・・・。遂には女神の技さえも我が物にしたと言うことさッ!」

 

「そんな・・・そんなことができるなんて・・・」

 

「動揺しているところ残念だが、事実なんだよ」

 

嘲笑しながら告げるマジェコンヌの言葉を聞いたネプギアは動揺を見せる。

マジェコンヌはその動揺に追い打ちをかけるが如く、再び武器を光に包んで形を変える。

形を変え終えると、今度はブランが持っている斧になっていた。

 

「テンツェリントロンぺッ!」

 

「きゃあああっ!」

 

マジェコンヌは斧に形を変えた武器で、ネプギアに連続で回転しながらの攻撃を加える。

ブランの攻撃が元々威力が大きいのもあったのか、ダメージが重なってしまったのか、ネプギアは赤い防御方陣を張ったもののすぐに破られてしまい、最後の一撃で吹っ飛ばされる。

 

「へえ・・・コピーのことは聞いてたが、そこまで行けるなんて面白れぇじゃねえか」

 

「後で血液サンプルをもらっても構わんか?研究が進みそうだ」

 

「構わんが取り過ぎるなよ?盟約だから協力は約束するがな」

 

テルミは口ぶりから一度見たことがあるんだろう。楽しそう率直な感想を述べ、レリウスは仮面のずれを直しながらニヤリとした口元を見せる。

マジェコンヌはやれやれと言うかのように首を振りながらも、それを受け入れることを告げた。

 

「ああ。そうだ・・・『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』よ。貴様は確か、シェアエナジーを体内に宿すようになっていたな?」

 

「・・・だとしたらなんだ?」

 

マジェコンヌはこっちに向き直りながら、ニヤリ顔で俺に問いかけてくる。

何か嫌な予感がした俺は武器を握り直し、マジェコンヌを睨み付けながら聞き返す。

 

「感謝するぞ・・・そのお陰で、貴様の技を習得するのが早まったのだからな・・・」

 

「・・・何?」

 

マジェコンヌは再び武器を変える。

すると、今度は俺の使っている剣に形を変えやがった。

 

「自らの技で果てるがいい・・・デッドスパイクッ!」

 

「ざっ・・・けんなぁッ!」

 

俺たちは全く同じタイミングで剣を下から振り上げ、黒い炎のようなものを地面に走らせる。

それらは正面からぶつかり、飛び散る形で消滅した。一先ず突破されるなんてことがなくて良かった。技だけで突破されちまったら、『蒼炎の書』の面目が立たねえ。

 

「ほう?まだ力を再現し切れていないか・・・この男の技を習得したのはいいが、些か私とは相性が悪いようだな」

 

「相性も何も、魔導書の力を簡単に再現されてたまるかよ・・・」

 

マジェコンヌが首を傾げる所に俺は吐き捨てながら否定する。

さっき二つのデッドスパイクぶつかった感じだと、マジェコンヌは『ソウルイーター』をコピーできていない。

こうして目の前で女神の技や俺の技をコピーしたことを披露しているので、油断はできるわけじゃないが、そう簡単に『蒼』の一部を使った『ソウルイーター』の力を完全再現できるとは思えない。

・・・こういうのは神頼みだからあまり期待するわけにもいかねえが、俺が『蒼炎の書』を封じられている状態のようなことがマジェコンヌにも起きれば或いは・・・と言ったところだろう。そこまで考えて、面倒になった俺は一度首を横に振りながらその思考を置いておくことにした。そんなことを考えてるならあいつらを助けねえとな。

 

「それもそうか・・・。だがいいのか?貴様らが何もせんのなら、私はこの小娘から抵抗する気力を奪うだけだぞ?」

 

マジェコンヌは俺の吐き捨てた言葉に納得を見せながらネプギアの方へ向き直り、再び武器をブランの使っている斧に変える。

抵抗する気力を奪うと言うのだから、先端が鋭く、殺傷力の高い他の人の武器よりも、ある程度加減して使えば痛めつけで済ませられるブランの武器が有効だと判断したんだろう。

そして、マジェコンヌはその斧をネプギアの眼前で振り上げて見せた。それはまだ戦いに不慣れなネプギアに、恐怖感を煽って動きを奪うなら十分な効果を発揮していた。

 

「ッ!テメェ・・・ふざけてんじゃねえぞ・・・。ッ!」

 

俺はすぐにネプギアの方へ走ろうとしたが、背後の殺気に気づいてそっちに向き直りながら剣を左からの水平に振って何かを弾き返す。

 

「おいおい・・・こっちにいるのも忘れてもらっちゃあ困るぜ?女神たちを倒すのはマジェコンヌ。んで、テメェはこの俺様が倒すんだからなァ」

 

「クソッ・・・邪魔すんじゃねえ・・・!」

 

弾いたものはテルミが飛ばしてきた『ウロボロス』で、テルミはさも楽しそうにこっちにニヤついた顔を見せてきた。

仕方がないので俺はテルミの方へ走り、剣を上から縦に振り下ろし、テルミはそれを左手に取り出したバタフライナイフを上から縦に振り下ろして受け流す。

受け流されても負けじと、俺はもう一度剣を振りかぶって上から縦に振り下ろす。それに対してテルミは右手にもバタフライナイフを取り出し、二つのバタフライナイフで交差させながら押し付けるようにそれを防いだ。

 

「ヒヒヒ・・・。なぁラグナちゃん・・・教えてくんねえかな。テメェにとってあの嬢ちゃんはどっちなんだ?」

 

「ああ?何があってもネプギアはネプギアだろ?・・・俺はお前はこうだなんて言うつもりはねえよ」

 

訊いてくるテルミに対して、俺は誤魔化そうとばかりにネプギアの言ったことをほぼまんまテルミに返した。

正直なところ、答えを出していいのかわからなかった。確かに『あいつ』が持つ気配は非常に強くなっているが、それでもネプギアはネプギアだ。

それに、あいつはネプギアとして皆のところに帰ると言った以上、俺がどんな見識を持っていてもネプギアの決意は変わらないだろうと思うが、ここでそれを妨げてしまう事を言う方が野暮ってもんだ。

テルミはそれを訊いて「どこまで続くかね?」と問いかけながら嗤った。それには何も答えず、俺は剣に体重をかけていく。

 

「此のままではいかんな・・・少年、少女の事を頼めるか?」

 

「分かった!そっちは頼んだぜッ!」

 

「悪いが、そう簡単に行かせることは出来ないな」

 

俺がすぐに行くことは無理だと判断した二人は、俺の代わりにネプギアの方へ走ろうとするが、レリウスは左指で音を鳴らしてから、自分の背に隠してある機械の腕二つでハクメンに殴りかかり、レリウスに呼ばれたイグニスは左手をドリルに変形させてナオトに突き立てる。

それに対してハクメンは『斬魔・鳴神』を斜めに二回振るうことで弾き返し、ナオトはイグニスの左側をくぐるようにして避けた。

 

「あっぶねえッ!やっぱ目的の為なら手加減なしかよチクショウッ!」

 

「貴様・・・あくまで此方の足を止めると言う事か・・・!」

 

「観察ならばこうしながらでもできるのでな」

 

ナオトは愚痴をこぼしながら体制を整え、ハクメンは怒気の籠った声で『斬魔・鳴神』を構え直す。

対するレリウスはあくまでもそこまでと言う旨を嘲笑するような、或いは自嘲しているかのような笑みを見せながら答えた。

元々研究者であるレリウスがここまで戦える方がトンでもねえ話だが、それでも納得してねえんだからヤバいったらありゃしない。

 

「レリウス、手早く終わらせるから少しの間頼むぞ」

 

「ああ。そちらも手際よくな」

 

そう言ってマジェコンヌは一度降ろしていた斧を振り上げ直し、レリウスはイグニスに構えを取らせて迎撃の準備を済ませる。

先程の影響で動けないでいたネプギアはその場から脱することができてなく、俺たちが足止めを受けたこと。奴らにとって変身してない候補生は大した障害にはならないという認識であるのか、三人を全く気にも止めていない。つまりはほぼ助けられる手段が無かった。

 

「やめて・・・!」

 

「・・・あ?」

 

マジェコンヌがその斧を振り下ろそうとした時、ロムが勇気を振り絞って制止の声を掛けたことでマジェコンヌはそっちを振り向いた。

ただし、斧を振り上げたままである為、どの道動こうとすればすぐに振り下ろされてしまう可能性が高い。

 

「ネプギアに酷いことしないで・・・!」

 

「・・・ハッ!ガキはおしゃぶりでも咥えてなッ!」

 

ラムも懇願するように、或いは注意を引く為にマジェコンヌに言うが、マジェコンヌは全く気にも留める事無く言葉を投げつけてからネプギアの方へ顔を戻した。

そして、その振り上げていた斧を、マジェコンヌは遂に振り下ろした。

 

「オラッ!どうだッ!」

 

「あぁっ!いやっ!兄さま・・・!」

 

一撃、また一撃と。マジェコンヌは斧を振り上げては振り下ろすを連続で行い、ネプギアを痛めつける。

 

「「っ・・・!」」

 

「ほう・・・此の乱れ具合は中々のものだな・・・」

 

レリウスはその様子に気付き、興味を持った眼でちらりとそれを見やる。

マジェコンヌが斧で叩きつける瞬間、恐怖感と、その光景を見ていられないという気持ちが重なったロムとラムは思わず目を瞑ってしまう。

 

「・・・ッ!サヤッ!」

 

「おいおい・・・俺様を前に余所見してる暇あんのか?」

 

『兄さま』呼びが聞こえた俺は思わずもう片方の呼び方をすると同時に、首をそっちに回してしまう。

その時に体重をかける量を緩めてしまい、俺はテルミに剣ごと押し返される。

 

「行くぞぉ・・・轟牙双天刃(ごうがそうてんじん)ッ!」

 

「グアァ・・・!」

 

テルミは両足に碧い炎のようなものを纏わせ、左右の順番で体を右に回しながら連続で俺を蹴り上げる。

俺は押し返されてから体制を立て直すのに遅れ、それをまともに受けてしまい、上に吹っ飛ばされる。

 

「ぐうぅ・・・!」

 

「ああ・・・やっぱり全力じゃねえとそんなもんだよな・・・」

 

俺が咄嗟に受け身を取って体制を立て直したのを見て、テルミは首を横に振りながら呟いた。

一先ず追撃が来なかったのはいいのだが、問題はそこではなく、俺が全員から距離を離されてしまったことにある。

これではネプギアを救援するにも遠く、誰かの元へ加勢しようにもテルミに割り込まれる・・・。つまるところ分断されたことになる。

 

「どうした?そろそろ弱って来たのか?」

 

「うぅっ・・・あぅ・・・っ!」

 

そんな間にも、マジェコンヌの攻撃は続いていて、ネプギアは攻撃を受け続けたせいで弱り始めていた。

助けにいこうとしたが、テルミは回り込むようにこっちに立ちはだかった。

これでは本当に間に合わなくなる・・・そう危惧した時、ロムとラムが何かを決めたような素振りを見せた。

 

「私・・・あの人嫌い・・・」

 

「うん・・・私も大っ嫌い!」

 

マジェコンヌへの敵意を確認しあった二人は手を重ねあう。

 

「やっつける・・・!」

 

「私たち二人で・・・!」

 

「・・・?」

 

そして、二人が互いにマジェコンヌを打つという決意を固めた瞬間、二人の体が光に包まれる。

ネプギアに攻撃を加えていたマジェコンヌのみならず、この場にいた俺たち全員は思わずそっちに目を向ける。

光が消えると、二人の格好は白を基調としたレオタードに変わっていた。

差異がある点として、ロムは右側が長い水色の髪、ラムは左側が長い桃色の髪になっていて、手に持っている杖はロムが右手、ラムは左手に持っていた。

 

「絶対許さない・・・」

 

「覚悟しなさい・・・!」

 

「ロム・・・ラム・・・できるようになったのね・・・」

 

二人は変身を成し遂げた。ネプギアがパープルシスターなので、この二人はそれぞれホワイトシスター・ロム。ホワイトシスター・ラムで合っているのだろう。

妹の晴れ姿と言ってもいいその姿を見たブランは安心した笑みを見せた。

 

「ん?また変身か・・・」

 

「どした?そろそろ使うか?」

 

「いや、それはまだいい。三人ならばいくらでも対処できる」

 

テルミがマジェコンヌに問うが、マジェコンヌは自信をもってそれを断った。

三人でも平気っていうそのセリフは俺たちを悩ませるには十分なものであった。

となれば、四人ならやりようは出てくるが、その際テルミの『碧の魔導書』をどう抑えるかが課題になる。

だが、そんな先のことはなるようにやるしかない。今は現状が大切だった。

 

「ネプギアーっ!そこから離れてーっ!」

 

「なっ・・・!貴様ッ!」

 

ロムと一緒に上空へと上ったラムがネプギアに呼びかけ、それを聞いたネプギアは素早く起き上がりながら頷き、即座に距離を離す。

マジェコンヌはネプギアが起き上がった辺りでそのことに気づき、慌てて斧を振り下ろすが、間に合わずに地面を叩きつける形となる。

 

「「アイスコフィンッ!」」

 

二人はマジェコンヌに向けながら互いの杖を重ね、それぞれが持つ杖の先端の間に大きめな氷の塊を作り上げ、それをマジェコンヌに向けて飛ばした。

 

「っ・・・ぐおぉッ!?」

 

「「やったー!」」

 

放たれた氷塊はマジェコンヌに直撃し、当たった場所を中心に土煙を起こす。

それを見て勝ったと思った二人は空いてる方の手を重ね合わせて喜んだ。

ただ、それでもテルミとレリウスが対して動じるような事がないため、この二人の近くにいた俺たちは一切油断ができなかった。

 

「・・・?」

 

「どうした?終わりならば、次はお返しをさせてもらおうか」

 

煙が晴れていくと、ロムとラムは違和感に気づき、見えてくるものを注視する。

そこには全く傷を負ってないマジェコンヌがいて、余裕を持って問いかけたマジェコンヌは二人を待たずに武器を変える。

今度はノワールが使っている剣に形を変えた。

 

「レイシーズダンスッ!」

 

「「きゃあああああっ!」」

 

マジェコンヌは二人に対して数回の蹴りによる連携をぶつけてから、剣を横一線に振り払う。

それによって二人は吹き飛ばされてしまうものの、二人で協力しあってどうにか体制を立て直す。

 

「そうだな・・・貴様ら妹たちに絶望を与えるのもいいが、逆にお前たちを苦しめ、あの四人に更なる苦痛を与えるのもまた良かろう・・・」

 

顎に手を当てながら呟いたマジェコンヌは、翼の近くに浮いている無数の黒いひし形の何かを、自分の周囲から変身している候補生の元へと送り飛ばした。

 

「覚悟はいいか?では・・・蹂躙の時間だ」

 

マジェコンヌはそのひし形のものの内、一つの先端から、ロムとラムに向けて赤いエネルギーの弾を放つ。

 

「・・・きゃあっ!?」

 

予想外の攻撃に反応が遅れたロムとラムは慌てて赤い防御方陣を張るが、十分な防御力を確保できず、方陣を貫通されて攻撃を受けてしまう。

 

「ロムちゃん・・・っ!ラムちゃん・・・っ!」

 

更に、残ったひし形のものは全て二人の危機に気を取られたネプギアへと回された。

それに気づいたネプギアは、自身の持つ銃剣からビームを撃ってひし形のものの迎撃を試みが、的が小さすぎて不規則に動くのものもあって、当てられないでいた。

そのことに焦っている間に、ひし形のものの一つがエネルギーの弾を撃ち、それがネプギアの左肩に当たる。

 

「あぅぅ・・・!」

 

「フフフ・・・どうだ?避けるので精一杯・・・下手に反撃したり、防ごうとすれば当たるだろう?」

 

マジェコンヌは更にひし形のものを半々に分けて、ランダムに候補生を撃たせて行く。

ネプギアたちはどうにかして打開しようとするものの、迂闊に手を打とうとすれば横からひし形のものの一つに妨害され、手出しができないでいた。

 

「おお・・・ありゃすげえな。正に弱いもの苛めって感じで可哀想だなぁ・・・ケヒヒッ!」

 

「クソ・・・こっからじゃアレを叩き落せねえッ!」

 

テルミはそれを愉しそうに眺め、俺は焦りの色を隠せないままそのひし形のものを目で追っていた。

低空であれば止められただろうものも、空に飛ばれてしまってはどうしようもない。術式操作で無理矢理飛ぼうものなら、そこから離れさせるのが目に見えていた。

 

「私の『鳴神』で斬れさえすれば・・・まだ望みはあるか・・・!」

 

ハクメンは自身の武器に活路を見出してひし形のものの一つを狙い、ある程度動きを予想して飛んだ。

斬ったものの刻を殺す『斬魔・鳴神』なら、確かに望みはあるはずだ。

 

「なら・・・俺がこっちを止めれば!」

 

「残念だが、こう言うこともできるのだよ・・・。ベル・ラフィーノ」

 

「・・・クソッ!んなのアリかよ・・・!」

 

レリウスは左指を鳴らしてイグニスに指示を与え、それを受けたイグニスは専用の空間で即座にハクメンの頭上を陣取った。

そのこともあって、ナオトが放った左足の蹴りは、イグニスがその瞬間に消えてしまったので空を切った。

それを目の当たりにしたナオトはイグニスを探しながら歯嚙みする。

 

「何・・・?ぬぅ・・・!?」

 

ハクメンは突如目の前に現れたイグニスに驚き、動きが一瞬止まる。

イグニスは現れるや否、即座に自身の足をドリルに変形させ、それを回転させながらハクメンへと降下していった。

対するハクメンは、『斬魔・鳴神』で防ぎながら押し合いに負けぬように踏ん張りを入れた。

 

「いいねえ。楽しくなってきたぜェ・・・!さあ、ラグナちゃん。この場をどうやって切り抜けるよ・・・ケヒヒヒヒッ!」

 

テルミは両腕を大きく広げながら問いかけてきた。ナインがまだこっちに来てないと言う状況下で、いい案が出ない俺は歯嚙みをするしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・」

 

この危機的な状況で、マジェコンヌに狙いを付けているユニは手元が震えていた。

一つはマジェコンヌの見せた圧倒的な力への恐怖感。二つ目は自身が殆ど何もできていないという無力感。

 

「(アタシだけ変身できないなんて・・・お姉ちゃんだって見てるのに・・・)」

 

三つ目は自分だけ変身がまだできていないという劣等感から来る焦りだった。

今まで、姉の仕事を手伝いながら自分のできるところを見てもらいたいと頑張っていたユニではあるが、最大の成果とも言える変身が一人だけ出来てないという事が、姉に認めて貰えないのではないかという不安になっていた。

そして、そこまで考えていたユニは、一つの間違いに気付く。

 

「(・・・何でアタシ、お姉ちゃんのことばっかり考えてるの?)」

 

今大事なのは姉からの評価ではなく、マジェコンヌたちを撃退してみんなを助けることにあった。

マジェコンヌはそんな間にも自身の周囲にひし形のものを集めながら移動を始め、ネプギアに猛攻を仕掛ける。

 

「くぅ・・・っ!」

 

ネプギアは距離を詰めながら放たれる攻撃を避けきれず、エネルギーの弾のいくつかをもらってしまう。

自身の異変もあって、誰よりも大変な思いをしているであろうネプギアは大切な人を助けたいという一心で頑張り、傷ついているというのに、自分は何を考えているのだろう。ユニはこんな時にも評価を気にした自分を殴りたくなった。

そして、ユニは変身ができない自分を、ゲイムギョウ界に来たばかりの『蒼炎の書』が封じられていたラグナに見立てることで、一つの結論を出した。

 

「(できないならできないなりに・・・できることをすればいい・・・!それなら!)」

 

効かなくても、弾を当てて注意を引き付けよう。そう考えたユニはマジェコンヌにもう一度狙いを付け直し、ライフルを連射する。

今回は実弾ではなく、専用の高威力が出るビームの弾をマジェコンヌに向けて撃ち込んでいく。

 

「当たれ・・・当たれ当たれーっ!」

 

「ユニ・・・」

 

マジェコンヌはひらりと次々に避けて行くが、それでも構わずユニはとにかく弾を撃ち続ける。

その姿を見たノワールは、変身ができずにやけになったのかと心配したが、それと同時にユニもできるはずという期待が残っていた。

そして、何発も撃ち続けている内に、ひし形のものの一つに弾が当たり、それは爆発を起こした。

 

「・・・何?」

 

「・・・よしっ!」

 

戦力外として見ていた自分の評価が甘かったか?女神でもない相手に被弾を許したマジェコンヌはイラ立ちを見せ、自分にもできることがあると分かったユニは僅かに喜び、それが自信に繋がった。

まずはひし形のものを撃ち落とす。そう決めたユニは落ち着いて狙いをつけ、一発撃っては正確にひし形のものに当てていった。

 

「あのガキ・・・思ったよりもやるじゃねえか。けどまぁ、変身できてねえなら俺様がサクッとやっちまえば・・・」

 

「テルミ・・・さっきの余所見がどうこうってのを、そのまんま返してやるぜ!」

 

「・・・何?」

 

テルミはユニに目をつけ、無防備となっているユニに『ウロボロス』を飛ばそうとしたが、一瞬だけラグナのことを思考から離してしまい、ラグナの攻撃に反応が遅れた。

 

「掻っ捌くッ!」

 

「ぬおぉッ!?」

 

ラグナは飛びあがりながら、黒い炎のようなものを纏わせた状態の剣を右から斜めに振り上げる。

テルミは青い防御方陣を展開して防ぐものの、時間が間に合わず、ラグナに打ち上げられる形でラグナと共に上空へと飛ぶ。

 

「ブチ撒けろぉッ!」

 

「ガアァ・・・ッ!」

 

ラグナは剣をしまいながら術式の応用で空中制御をし、右腕でテルミの腹辺りを殴りつける。

まともな防御態勢を取ることができなかったテルミは、地面へと叩きつけられてしまった。

 

「テメェ・・・やるじゃねえか・・・」

 

「とりあえず、一回には一回だ」

 

テルミは起き上がりながらラグナに言うが、ラグナはそこまで気にしてはいなかった。

それよりも、ユニが上手くやれるかどうかが気になって仕方ないでいた。

 

「(そうよユニ・・・。今は標的に集中するの。大丈夫、やれる・・・)」

 

ユニは一度深呼吸をしてからマジェコンヌに狙いをつけ直し、再びライフルによる射撃を敢行する。

それは次々とマジェコンヌに当たっていき、僅かながらにダメージを与えていった。

そして、できることをやると決めたユニにもその時は訪れ、彼女の身体も光に包まれる。

光が消えると、そこには白い髪を二つのロールで纏め、黒いレオタードの格好をしていて、先程よりも巨大な武器・・・ライフルというよりは最早ランチャーと言った方がいい武器を持った少女・・・変身を完了したユニがそこにいた。

 

「エクスマルチブラスターッ!」

 

「ぬあぁぁぁッ!?」

 

ユニはマジェコンヌに向け、先程とは比べ物にならない威力をしたビームを撃つ。

それはマジェコンヌの肩に当たり、予想以上の高威力にマジェコンヌは吹き飛ばされてしまった。

どうにか体制を立て直し、自分を撃ったものの正体を確認したマジェコンヌは流石に焦りを見せた。まさかこんな短時間で全員が変身をものにすると思わなかったからだ。

 

「もう迷いなんてない・・・あるのは覚悟だけよ・・・!」

 

「ユニちゃん・・・カッコイイ・・・!」

 

「・・・えっ?」

 

自分が切った啖呵をネプギアに称賛されたことで、ユニはようやく自分の異変に気づいた。

自分の武器と左手を見てみて、普段と違う姿であることから、ユニはここで自分が変身できたことを認識できたのだった。

 

「やったね、ユニちゃんっ!」

 

「すごーい・・・!」

 

「ま、まあ当然よね!それに、主役は遅れて登場するっていうし・・・」

 

ラムはユニが変身できたことに喜び、ロムは嬉しくて称賛をする。

友人が待ってくれていた嬉しさと、変身ができたことへの嬉しさの二つが重なり、どうにか抑えようと思ったユニは照れながら余裕そうな言葉をわざとらしくいう。

 

「うん。すごいよ、ユニちゃん」

 

ただ、それを真に受けて褒めてくるネプギアを見て、ユニはどうしたらいいのかと困惑しながら照れた笑みを見せるのだった。

 

「ユニ・・・よくやったわね」

 

「ええ・・・皆さん、凄いですわ・・・」

 

その姿を見たノワールは安心した笑みを見せ、それに同意したベールが候補生を称賛する。

望みは消えていない。それが分かった四人は、身動きができない中でも確かな希望を胸に持つことができた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ま、まさか全員が変身をできるようになるとはな・・・」

 

「全く、んな都合のいい展開は『化け猫』混ざりに抑えてくれよ・・・。しょうがねえからアレ使うぞ?」

 

マジェコンヌとテルミは目の前の事態に思わず愚痴をこぼした。確かに、俺もこいつらだったらそうなるだろうな。

 

「頼む・・・。レリウス、その二人なら抑えられるか?」

 

「ああ。可能だ」

 

「なら始めよう。テルミ、頼むぞ」

 

「おうよ!」

 

三人は短く話を済ませ、テルミは頭上で両腕を交差させる動きを見せた。

 

「第666拘束機関開放・・・次元干渉虚数方陣展開・・・!」

 

『・・・!』

 

俺たちはテルミの行動を見て反射的に目を向ける。アレが起動されたら俺はある程度何とかなるようになったが、候補生の四人は確実に動きが悪くなって非常に危険だ。

 

「この野郎・・・!そいつは使わせねえぞ!」

 

俺は剣を引き抜くと同時にテルミの方へ走るが目の前に突如槍のような武器が飛んできて、俺は反射的に飛びのいた。

 

「悪いが、この先は通行止めだ」

 

「・・・この魔女野郎が・・・!」

 

マジェコンヌは余裕そうな顔で宣言してきて、俺は苦虫を嚙み潰したような顔で吐き捨てた。

どうやらマジェコンヌは大立ち回りで俺たちを止めるつもりらしい。

 

「っ!みんな、今なら・・・」

 

「そうはさせんッ!」

 

自分たちがフリーになったことでハッとしたユニが候補生三人に呼びかけ、テルミを撃とうとしたが、マジェコンヌは槍のような武器を候補生の方に投げつけながらそっちへ飛んでいく。

飛んできた武器に当たればただ事じゃないとみた候補生たちは、慌ててそれを避ける。

そして、間を縫うように通り過ぎたマジェコンヌは投げた武器に追いついてそれを掴んだ。

 

「何よそれっ!?」

 

「残念だったな・・・もう時間だ」

 

焦るラムを尻目に、マジェコンヌはテルミを見やりながら無慈悲な宣告を告げた。

 

「コードS・O・L!」

 

「不味い・・・此れでは間に合わんッ!」

 

「クソがぁ・・・!まだ終わったわけじゃねえぞッ!」

 

イグニスと『斬魔・鳴神』で押し合いになっているハクメンが焦りの色を見せ、ナオトはレリウスにいなされながらも啖呵を切っていた。

そして、無情にもその時はやってきた。

 

「『碧の魔導書(ブレイブルー)』、起動ッ!」

 

「グァ・・・!」

 

『あぅ・・・っ!』

 

テルミが腕を下に振り下ろし、碧いサークルが奴の周囲に短時間で現れたことで起動を完了したと同時に、俺と候補生の四人は体に重みがかかったような感覚に襲われた。

これを見た限り、ハクメンとナオトはまだ平気らしい。それならばまだレリウスは止めてもらえる筈・・・。だったらテルミをどうにかしよう。そこまで考えた俺は体が重い中、右腕を腕の高さまで持ってくる。

 

「第666拘束機関開放・・・次元干渉虚数方陣展開!」

 

「おいおい何だ?『蒼炎の書(ソレ)』使って俺様に負けたことを忘れたか?まあいいや・・・とりあえず、無防備晒すんならそのまま死になッ!」

 

テルミは一瞬首を傾げたが、その思考を破棄して俺に『ウロボロス』を飛ばそうと構えた。

 

「そうはさせないわよ・・・果てなき真紅の襲撃(クリムゾンレイダー)ッ!」

 

「・・・うおぉっ!?」

 

だが、その瞬間にテルミの斜め上から迫ってくる爆炎が見え、テルミは前へくぐるように慌てて避けた。

その炎が周囲を巻き込まないように霧散すると、そこからナインが現れた。

 

「待たせたわね・・・。全員が変身できてるようで何よりよ」

 

ナインはネプギアたちを見て、簡単な言葉で褒めて微笑みを見せた。

また、捕らわれている四人はナインが来たことでちゃんと戻って来てくれたと安堵した。

 

「何だぁ?俺を殺すのは自分がやるってか?」

 

「今のは時間稼ぎのやり返しよ・・・。さあ、見せてみなさいラグナ。あんたの持つ、呆れるくらいにある諦めの悪さを!」

 

テルミは怪訝そうにナインを見据えるが、ナインはそれなりに余裕を持って答え、俺に呼び掛けてきた。

 

「おう!『イデア機関』接続!」

 

「・・・はぁッ!?」

 

テルミは俺の発言に素っ頓狂な声を上げる。ここまで『イデア機関』のことを黙っていた結果が功を奏した。

そして、右手の甲と足元からいつものように蒼い螺旋が出始めた。後はそれを解き放つだけだ。

 

「『蒼炎の書(ブレイブルー)』・・・起動ッ!」

 

俺の右手の甲から蒼い方陣が出ると同時に、今までにない勢いで蒼い螺旋が空へと昇って行った。

それが消えると同時に起動は完了し、俺から体の重みは消えていた。

 

「テルミ・・・こっからが本番だぜ・・・」

 

「上等だ・・・やれるもんならやってみなッ!」

 

変身ができるようになった四人に、限定的ながら『イデア機関』を再び使える俺。そして、奥に控えるセリカとミネルヴァ・・・。

これらを交えた総力戦が始まろうとしていた。




とりあえず全員の変身が完了しました。
前書きでも言った通り本当に字数がヤバいです・・・その数約21000文字(笑)。

ブレイブルーの最新作でまた新しいキャラが来ましたね。
ブレイブルー側はプラチナが決まりました。六英雄勢でハクメンを差し置いて参戦するとは・・・ロリは正義ってことなんでしょうか?

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