超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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今回からアニメ6話部分に入ります。


41話 狙われたノワール

「さぁて・・・今日のお仕事も終わりっと・・・」

 

夜のラステイションの教会にて、仕事を終えたノワールは執務室を後にして廊下にいる。

 

「ふ~ん♪ふっふふ~ん♪」

 

そして、今から自室に向かうノワールなのだが、その足取りはどこか弾んでいた。

ちなみに、ノワールがこんな風にさも楽しそうに自室に向かうようになったのは、ユニが変身できるようになって暫くしてからだった。

ユニもモンスター討伐に参加できるようになったので、仕事の効率が大幅に上がったのだ。ノワールとしては女神としても、姉としてもユニの成長を喜ばしく思っているのは確かだ。

そう考えている内に、ノワールは自室のドアの前までついたので、勢い良く部屋に入るや素早くドアを閉め、鍵をかける。

 

「さぁ!今日もやるわよ~っ!」

 

ノワールは張り切った様子であり、気合いを入れるように言うや早速服を脱ぎ始めた。

これはノワールが仕事に余裕ができた事で、最近始めた趣味なのだが、他人に見せるのは些か恥ずかしいものがあって、今はこうして一人で誰にもばれないように行っている。

・・・筈だった。

 

「(さぁて・・・今日はどんな姿のノワールちゃんが見られるかしら?シャッターのタイミングはしっかりしないと・・・)」

 

まさか隠しカメラでそんな事をしている姿を盗撮されている事など知らず、ノワールは今日も趣味に勤しむのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「そういやラケル、俺がまだ帰れない訳だけどさ・・・仮に元の世界に帰れたとして、戻った時は俺がラグナたちのいた世界に飛ばされてから、どれくらい時間が経ったことになるんだ?」

 

ナオトはプラネテューヌの街並みを歩きながらラケルに尋ねた。

異世界組の中でもナオトは唯一、二度も連続して異世界移動をしてしまっている為、ふと思い出してから気になって仕方が無かった。

 

《そうね・・・。私がどれだけ持ちこたえられるかにもよるけど、酷くても一週間以内に抑えられる筈よ》

 

「おお・・・そりゃ良かった・・・。けど、あんまりもたもたしてらんねえのに変わりはねえか」

 

《ええ。特にハルカが心配するでしょうし、元の世界へ戻るときに時間がずれ過ぎないよう気を付けておくわ》

 

実際、ハルカを待たせすぎると激しく心配されるので良くない。

あのスピナー=スペリオルとの時だって、左腕と右足を失って入院し、ハルカを泣かせた経験がある。そうそう何度もやりたいと思える経験では無かった。

 

「取りあえず、やれる事はやって早めに帰るに限るな・・・。なんか無性にあいつの飯を食いたくなってきた」

 

《あら?それならユキさんの言ってた通り、本当にお嫁に貰った方がいいのでは無くて?》

 

「な、何でそうなった?つか何でお前がそれ知ってんだよ!?」

 

ナオトはラケルの発言に焦って問いかける。

その話は自分とユキの二人の時だけで話したもので、ラケルは知らないはずだったからだ。

 

《あら?忘れた?貴方から何も聞かずにその『眼』の事を知ったように、今回もそれで知ったのよ?》

 

「なんでだよッ!俺にはどうしてその情報入って来ねぇんだよ畜生ッ!」

 

ラケルが勝ち誇ったような言い方で煽って来たので、ナオトは思わず眼を見開いて絶叫するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ねぷてぬ~っ!ぴぃとあそんでっ!」

 

「うぇ!?ちょ、ちょっとだけ待っててね~・・・くそぉ、RPGを選んだのが間違いだったかなぁ?」

 

今日も今日とてピーシェに遊び相手を頼まれるゲーム中のネプテューヌ。

しかし運の悪いことに今回遊んでいたのは、プレイの一つ一つに時間のかかるRPG。前回と違ってすぐにセーブができるものでは無かった。

そして時は無情な如く、何者かによってゲームが強制終了される。

 

「あ、ちょっとぉ!ケーブルは抜いちゃダメってあれ程・・・。アレ?」

 

真っ先にケーブルを引っこ抜かれたと思ったネプテューヌが確認してみると、先端部は確かに刺さりっぱなしだった。

しかし、そこから先が切断されて(・・・・・)いた。何があったのかと思って慌てて周囲を見てみると、ピーシェが引きちぎったことを証明するように千切れたコンセントを持ったまま白い歯を見せて笑っていた。

その千切れたコンセントとピーシェの笑顔を見たネプテューヌは乾いた笑みになってしまう。

コンセント買い直しのショックと、ピーシェの怪力に戦慄したものだった。

 

「ぴ・・・ぴーこ?ちょっと待って?私今からそのコンセント直さなきゃ・・・」

 

「まてなーいっ!ねぷてぬとあそぶ!」

 

「ねぷあぁぁぁぁっ!?ちょっと待って~!」

 

前回は覚悟を決めていたからいいものの、今回は突然の事態に準備ができていない。

その為ネプテューヌは何か言い訳を作って逃げようと試みたが、ピーシェが待つはずもなく、結局いつものように付き合わされることになった。

 

「結局いつも通りだな・・・」

 

「でも、ネプ子がいないとあの子に付き合いきれる人がいないから何とも言えないのよね・・・」

 

「ねぷねぷとピーシェちゃんが仲いいですし、大丈夫だと思うですぅ♪」

 

ラグナはもう見慣れてしまったので日に日にコメントできることが無くなっていく。ラグナからすれば自分が日常に溶け込めて、自分の身内に大事が起きないだけでも十分満足なことだった。

アイエフの言う事は確かな問題であり、万が一ネプテューヌが体調を崩したり、骨折等をしてしまった場合ピーシェの遊びに付き合える人がいなくなってしまう。

コンパの言う通りピーシェとネプテューヌの仲は良く、ピーシェと最も仲がいいのはネプテューヌだった。

ピーシェがここまでネプテューヌに甘えるのは、ネプテューヌが最も彼女に合わせて上げようとして、実際に土壇場ながらも合わせられるからだろう。・・・今回は合わせられそうに無さそうなのはこの際置いておく。

 

「ぐふぉおっ!?」

 

「いえーいっ!」

 

気が付けば、ネプテューヌがまた強烈なアッパーカットを受けて地面に伸びていた。ピーシェのガッツポーズもいつものように入っていた。

ラグナがネプテューヌを抱えてケガの具合等を確認してみると、幸いにも大したケガは無かった。

そう安心したところで、ドアが勢い良く開け放たれた。

 

「お、おい・・・!何かデカい音が聞こえたけど・・・。ってまたやられてるのかッ!?」

 

《ネプテューヌ・・・貴女のその体を張った付き合い方は真似できないわ・・・》

 

どうやらナオトとラケルが何かあったのかと慌てて飛び込んできたようだ。

しかし、その結果が案の定だったのでスムーズにネプテューヌを部屋に搬送する作業へ移行した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ところでネプギアちゃん・・・最近は大丈夫なんですの?」

 

「はい。今のところは何も・・・お気遣いありがとうございます」

 

プラネタワーの屋上にあるベンチで、ベールとネプギアは話し込んでいた。

先程まではゲームや仕事などの他愛のない話だったが、ベールが気になってネプギアの現状を聞いたのである。

 

「いえ・・・なんてことはありません。何かあったら、お姉ちゃんに頼ってくれてもいいんですのよ?」

 

「・・・えっ?でも、私のお姉ちゃんは・・・」

 

ネプギアに礼を言われたのが嬉しいのか、ベールはネプギアの顔を自分の胸に押し当てる。

困惑しながらネプギアは抗議の声を上げるが、少しずつその意志が侵食されているような感じがした。

 

「大丈夫ですわ・・・。ほら、その身を委ねて・・・?」

 

「あ、私の・・・私のお姉ちゃんは・・・」

 

ベールの誘うような言葉を前に、ネプギアの意志がより侵食されていく。

このままではもうじき自分の意思を折られてしまうだろう。

 

「心配はいりませんわ・・・。さあ・・・」

 

「なんだかもう・・・」

 

「オイオイ・・・。こっちはこっちで違う問題が起きてるじゃねえか」

 

――ベールさんがお姉ちゃんでいいかも。ネプギアが言い切るよりも早くラグナが言葉を発してそれを遮った。

 

「・・・リリィランク爆上げ中です?」

 

「何だ?そのリリィランクってのは・・・?」

 

「簡単に言うと、二人の間にある友好度や絆と言ったものかしら」

 

ベールたちの光景を見たコンパが疑問に持ちながら発したリリィランクのことが分からず、ラグナが問いかけるとアイエフが答えてくれた。

アイエフは説明の最後に、人によっては理解しきれない意味合いもあるけどねと付け加えた。その意味が分からず、ラグナは頭の上にクエスチョンマークを浮かべる事になるのだった。

 

「ちょっとベール!ネプギアに何してんのさぁっ!」

 

「・・・お姉ちゃん!?」

 

ネプテューヌが傷を押し切ったまま無理矢理やってきて咎め、そのお陰でネプギアは正気に戻る。

 

「いいじゃありませんの。たまに親睦を深めるぐらい・・・」

 

「この三日間毎日じゃない!ネプギアは私の妹なんだからねっ!」

 

実際の話、ベールは最近プラネテューヌに来てネプギアに話しかけることが続いている。

しかも質の悪いことに、事前に仕事を終わらせているからナインは止めようとはせず、セリカに至っては友人と話す時間は大切だと寧ろ推奨している。

そのせいでチカが一人止めようとしても限度があり、結局プラネテューヌに出かけられてチカがショックを受けるのだった。

 

「ていうか・・・チカさんほったらかしなのもそれはそれでマズいんじゃねえの?」

 

《そうね・・・。大怪我してハルカに心配かけたナオトみたいになってしまうわ》

 

「・・・今その話を使うのかよ・・・」

 

ナオトに続いて発言したラケルの言葉がかなり刺さる物であり、ナオトは肩を落としてしまう。

そんな二人の様子を見て微笑みを見せたベールだが、大事な事を話すべく本題に入ることにした。

 

「あ、そうでしたわ・・・実は、ネプテューヌに確認しておきたいことがありまして・・・。ブランからメールが来ていませんこと?私たちが全員で取り組んでいる物事の整理をしたいから、ラステイションの教会に集合したいとのお話なのですが・・・」

 

「・・・?ちょっと待ってて。今確認するよ・・・」

 

ベールに言われた内容は恐らく自分が気を失っている間だと確信したネプテューヌは慌ててNギアでメールを確認した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「どう?最近飼い始めた耳長バンディクートのクラたんよ!可愛いでしょ?」

 

「可愛い・・・!」

 

「抱っこしたーい!ねぇねぇ、いいでしょ!?」

 

ラステイションの教会の屋上にて、ユニに最近飼い始めたペットであるバンディクートを見せられたロムとラムは目を輝かせた。

飼った日の約束通り、ユニはしっかりと自分で世話をしている。条件でなくとも基本的に自分でやるつもりでいたので、そのことは何も問題なく、ユニはこのクラたんのお陰で生活の楽しみが一つ増えたのである。

 

「ターターとも仲良し・・・」

 

「◎#=%×~・・・♪」

 

意外なことにターターとはすんなりと仲良くなり、ターターも他人への関心が強くなったので良い傾向だった。

 

「ところでノワール、最近開発が決まった各国共通化に成功した金融機関のセキュリティはそっちが担当していたわよね?」

 

「ええそうよ。何せウチのセキュリティは世界一ですもの!」

 

ユニたちが平和に溢れる空間で楽しくしている中、ノワールたちは真剣な話をしていた。

ブランの問いかけにノワールは自信満々に肯定する。ラステイションのセキュリティ関係は各国の中でも非常に強く、ラグナがパソコンを買う時もネプギアがラステイションのセキュリティソフトを推奨するくらいだ。

そのノワールの自信に満ちた回答を聞いたブランは少し言いづらくなるが、ここはしっかり言うべきなので、その迷いを振り切った。

 

「実は、その金融データがついさっき何者かにハッキングされたとの話があったの」

 

「いやいや、あり得ないわよそんなの!こっちの技術者たちが必死に改良を重ねた最高作なのよ!?」

 

「だが、先程『蒼の少女』が対応に当たっていたのを我らは確とこの目で見たぞ?」

 

「・・・えっ?そんなの何かの間違いでしょ?」

 

ノワールはもう一度自信満々でそれを否定するが、ハクメンの発言を聞いたら流石に無視できなくなった。

しかし、ハクメンが無情にも首を横に振ったのを見たノワールは何かが崩れるような間隔に襲われた。

ノエルはパソコンを扱えるということから、時々デスクワークを手伝うことがあり、今回もその延長で問題の対応に協力していた。

今回の信じられない事態を詳しく聞こうとしたノワールだが、何か空を切るような音が聞こえてそちらに顔を向けた。

 

「ねぷぅあああ~!?どいてどいてどいてぇ~!」

 

「・・・えっ?」

 

どういう訳かネプテューヌが空から落下してきており、ノワールは思わず疑問の声を上げた。

しかも段々と近づいて来ていて、こちらに近づいてくると同時に落下が早くなるように感じたノワールは狼狽する。

 

「の・・・のわぁぁああああぁぁぁぁあああぁあっ!?」

 

そして勢い良く二人は激突し、激しく土煙が舞う。

余りの勢いにハクメンは対応に遅れたことで、ネプテューヌを止めることが出来なかった。

また、ブランも吹き飛ばされそうになったのをどうにか堪える。

 

「の、ノワール・・・大丈夫!?」

 

「・・・よもや、御前が落下して来ようとはな・・・プラネテューヌの女神よ」

 

ノワールの安否を気遣うブランとネプテューヌが落ちてきた事に驚くハクメン。

いくらハクメンでも、この事態に平然といることは不可能だった。

 

「いやぁ・・・ぴーこを空飛んで運んであげてたんだけど、うっかり変身解いちゃってさぁ・・・。ネプギアにパスが間に合って良かったよ・・・」

 

どうやらピーシェのわがままに付き合って上げていたのだが、途中で変身を解いてしまうといううっかりで非常に危険なミスをしてしまったらしい。

幸いネプギアとベールが一緒に移動していたので、今回ピーシェに別状がないので良かったものの、これがネプテューヌ一人だったらただ事では無かっただろう。

 

「ネプテューヌ・・・わがままに答えてあげるのは良いけど、いのちをだいじにね」

 

「うん・・・次は気を付けるよ・・・」

 

「ちょっと・・・こっちにも気をつけなさいよね・・・」

 

ブランは子供のわがままに応えられるなら応えると言うネプテューヌの精神を悪く思っていない為、注意程度に留めた。

ネプテューヌも今回は失敗したなと自覚している為、すんなりと受け入れることで一件落着・・・と言う訳でもなかった。

現にノワールがネプテューヌに乗られたまま咎める声を上げた。

 

「おおっ!?お尻からノワールが生えた!?ちょっとビックリ!」

 

「ちょっとビックリじゃないわよっ!というか空から落ちてくるなんて非常識にも程があるわよ!」

 

ネプテューヌが久しぶりに見るようなボケ方をすると、ノワールはまくし立てるようにツッコミを入れる。

流石にノワールもこんな事態など想定できないので、焦るわネプテューヌがボケるせいで怒り気味になるわで散々だった。

そんな風に思っている最中、何者からか術式通信がかかってきたので、ノワールはそれに応じる。

 

「もしもし?私だけど・・・」

 

『おお、繋がったか!ラグナだけど、そっちにネプテューヌが落ちてきてねえか?』

 

術式通信の主はラグナだった。ラグナは飛べないので地上から移動するのだが、その途中でネプギアからネプテューヌが落ちたと言う通信を受け、重なるようにこの光景が見えたので焦って通信を送ったのである。

 

「ええ・・・。まさか私に激突するなんて思わなかったわ・・・」

 

『・・・激突した!?オイオイ、ケガとかは平気なのか?』

 

「ええ大丈夫よ。・・・ところでラグナ、一つ質問いいかしら?」

 

状況を聞いたラグナが焦って問いかけるが、ノワールは別段平気だった。

また、通信をしている最中に一つ気が付いたことがあるので、ノワールはラグナに聞いてみる事にした。

ノワールが気づいたのは、何やらエンジンの音だった。

 

『どうした?』

 

「さっきから何か音が聞こえるんだけど・・・何を使って移動して来てるの?」

 

『バイクだ。ついこないだ買ったからな・・・』

 

「・・・バイク!?いつ免許取ったの?」

 

ラグナの回答に驚き、ノワールは思わず問いかける。

それもその筈、免許を取っていた事などアイエフくらいしか知らなかったのである。

 

『あのホームパーティーより前には取ってたぞ?』

 

「・・・ああ。そう言えば乗っていたわねあの時・・・」

 

ラグナに言われて、あの日現場に赴いたラグナがバイクに乗っていた事をノワールは思い出した。予想より早かったと言えるだろう。

 

『ああ・・・そろそろ付くから一旦切るぞ?』

 

「ええ。また後でね」

 

流石に術式通信しながら停車は難しい為、ラグナは通信を切った。

ノワールが通信を終えて周りを見てみると、ピーシェを抱えた状態でネプギアとベールが降りてきた。

ちなみに、残りのプラネテューヌ組は全員バイクで来ている。但し、免許のないナオトとコンパはそれぞれ免許持ちのバイクに乗せてもらっている。

ラケルは随伴するように飛んでいるので、何も問題にはならなかった。

 

「ふぅ・・・どうにかなった・・・」

 

「間一髪でしたわね・・・ネプテューヌ、流石にあれはうっかりしてはいけませんわよ?」

 

「それ・・・ブランにも言われたよ・・・」

 

ピーシェを無事に下ろせたことで安堵するネプギアとネプテューヌのうっかりを咎めるベール。

ネプテューヌはすぐに二度目を聞いてしまったので、少ししょんぼりとしてしまった。

この後、ラグナたちがようやく合流したことで、ピーシェの相手は候補生たちに任せ、残りのメンバーはハッキングの問題にあたるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ハッキング終了。痕跡は分かりにくくても残してるから、その内こっちに来てくれると思うわ」

 

『了解した。例の子供を見つけたら、そちらのタイミングで連絡を頼む』

 

「ええ、了解よ・・・それじゃあまた後でね」

 

アノネデスとレリウスは短く通信を終える。

通信を終えたアノネデスがカメラの様子に目を向けると、女神たち一行が集まってハッキングの問題に当たっている姿があった。

勿論、そこには当然ノワールの姿があるのだが、今回の映像の映り方には少々不満がある。

 

「(う~ん・・・これじゃあノワールちゃんの姿が見づらいわね・・・。皆して画面に入っているから仕方ないわね)」

 

彼の目当てはあくまでもノワールの姿であり、他の人たちは特に興味を向けていない。

その為、ノワールの姿が見づらいこの状況をアノネデスは好ましく思っていない。

 

「(はぁ・・・ノワールちゃんたちがこっちに来るまで期待するしかないわね・・・)」

 

アノネデスは退屈な思いをしながら彼女たちが来るのを待つしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「どうかしら?」

 

「すみません。予備の回線が何個も張られているみたいで、見つけるには早くても日が暮れてしまいます」

 

「うぅ・・・参ったわね・・・」

 

ノワールはノエルに問いかけてみるものの、どうも状況は芳しくなかった。

ノエルも流石にこの手の対応をあたる機会が少なかったので、迅速に行うには限度がある。

それでも日が暮れるまで待てば見つけられるのは凄い事ではある。しかし、それでは逃げられてしまうので今回のばかりは頭を抱える事態となった。

 

「全部電子データ管理なんだっけ?こりゃ大変だね・・・」

 

「何か紙に纏めておけば、そこまでのデータに戻すことはできたのだけど・・・」

 

「・・・返す言葉もないわ」

 

ネプテューヌに問いかけられ、ブランの案を聞いたノワールは顔を落とした。

今回の金融データは全て電子データで管理しており、それがハッキングされてしまった事でズタズタになっていたのだ。

しかもそのハッキングの主が見つけられないのは中々に辛いことだった。このままでは何もできぬまま終わると言う悲惨な結果になってしまうので、それだけは何としても避けたいところであった。

 

「ノワール。一つよろしくて?」

 

「・・・?どうしたの?」

 

「先程、リーンボックスから来てもらうように頼んでいた方が来たので、その方に任せてもよろしいかしら?」

 

「そうね・・・。この際何としても犯人を捕まえたいし、お願いするわ」

 

ベールの提案を聞いたノワールは一瞬迷ったが、様々な事情がある今は協力することが大切だと判断して素直に受け入れた。

 

「わかりましたわ。お入りになって」

 

ベールに促されて、綺麗に切りそろえられている黒髪を持ち、眼鏡をかけている女性が入ってきた。

 

「リーンボックスが誇る超天才プログラマー、ツイーゲちゃんですわ」

 

「初めまして、ツイーゲですビル。よろしくお願いしますビル」

 

ベールに紹介された女性・・・ツイーゲは一度頭を下げてから礼儀正しく自己紹介するが、その予想外すぎる語尾に全員が固まってしまう。

 

「・・・び、ビル?」

 

「今時あり得ない語尾でキャラ付けっ!?それ絶対に失敗してるよ!」

 

ブランが思わずその語尾を復唱し、ネプテューヌは狼狽しながらその無茶振りであろう語尾を指摘する。

 

《ナオト、私たちの周りにこんな語尾の人は・・・》

 

「いるわけねぇだろ?いたら俺、絶対回れ右して逃げる自信あるわ・・・」

 

ラケルが焦り気味の問いかけをしてきたので、ナオトは溜め息交じりに否定をする。

これはかなりグレーゾーンな感じがするが、同じ学校にいる先輩の女子生徒である霧島カナだけは映像で少々危険な一端を見ている為、否定し切れるかと言えば少し怪しいところであった。

 

「(まあ、あの人は普段は何とも無いからセーフだな。アレはあくまでも映像内の話だし)」

 

しかし、冷静に考えてみれば平時は普通だし、アレはあくまでも日常の裏側なので触れてはいけない。

自分もたまたま御剣機関に見せて貰っただけなので、知らない振りをすれば何も問題はない。そう考えればナオトの中で霧島は何も問題ない人と言う結論になった。

 

「ご安心くださいビル。このシーン限りの使い捨てキャラですビル・・・」

 

ツイーゲの回答を聞いたラグナは、カグラがもったいねえとか言いそうだなと考えていた。

 

「それでは、早速取り掛かりますビル」

 

そんな全員の反応はいざ知らず、ツイーゲはハッキング元の追跡を始める。

それから一時間弱で、ハッキング元の追跡は完了するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ノワールさんが部屋に籠りっきり?」

 

「うん・・・」

 

ノワールたちが原因を調査している時間から少しだけ遡る。

ピーシェ、ロム、ラムの三人がクラたんと一緒に遊び、ラムダとニューの二人がターターの様子を見ている間にユニはネプギアに自分の悩み事を話すことにした。

 

「しかも部屋の鍵までしっかりと掛けてるの・・・だから、何があったか気になってて・・・」

 

彼女の持つ悩みとして、ノワールが最近夜は部屋に鍵を掛けて籠りっぱなしらしい。

今までそんなことが無かったので、ユニは興味半分不安半分と言いたいが、今回は明らかに不安の方が大きかった。

 

「なるほど・・・。うーん・・・アレを使って言いなら調べられなくもないんだけど・・・」

 

ネプギアは一つ対応策を持っていたが、そんな本人の許可なく使っていいものか解らないものだった。

ユニもノワールと同じく真面目な性格である為、方法なだけあってかなり慎重にならざるを得なかった。

 

「何か方法があるの?」

 

「うん。だけど・・・ちょっと人道的とは言えないものだから・・・」

 

「体の方で被害は無いのよね?」

 

ユニの問いに躊躇いながら答えるネプギアだが、重ねて問われたので、その心配はないことを頷いて伝える。

 

「ネプギア、一度その方法を教えて。他に何も無かったらそれで行くわ」

 

「ユニちゃん・・・」

 

ユニの迷い無い意思を感じたネプギアは一度考え込むが、友人の悩みを解決するならいいだろうと判断して、話すことを決意した。

 

「分かった。その方法なんだけど・・・」

 

その直後、ネプギアの考えている方法を聞いたユニが絶句してしまったのは無理も無いだろう。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ・・・本当にコレ(・・)以外有効な手段がないなんて・・・」

 

ノワールの部屋にこっそりと入り込んでネプギアが準備をしている中、ユニは同じくノワールの部屋で罪悪感に駆られていた。

まさかネプギアが持ってきた小型のカメラで盗撮紛い・・・。否、盗撮をすることになるとは思っても見なかっただろう。

当然ユニはネプギアから聞いた提案を真っ先に却下して他に方法が無いか探したのだが、それでも見つからず、ネプギアがもう一度問いかけた時に最も確実な方法である、カメラという悪魔の囁きに負けてしまったのだ。

 

「ごめんねお姉ちゃん・・・本当にごめんなさい・・・」

 

「ゆ、ユニちゃん・・・大丈夫?」

 

ユニが姉へ謝罪の言葉を呟いているところでネプギアが戻ってきて心配そうに問いかける。

ネプギアの判断で強引に行われた事なら怒りに任せて問いただしたところだが、今回は自分の判断である為、自分に責任があるので責める場面では無かった。

 

「だ、大丈夫・・・それで、準備は終わったの?」

 

「うん。ちょっと待っててね・・・」

 

ユニの問いに肯定しながらネプギアはNギアを使った遠隔操作でカメラの映像とリンクさせる。

すると、Nギアにはカメラの映像がハッキリと映し出されていた。

 

「良かった・・・うまくいったみたい」

 

映像には部屋の中を走り回るロムとラム、ピーシェの三人と、その奥で本棚に並べられている本を眺めているラムダとニューの姿があった。

また、プラネテューヌで作られた最新の解像度を誇るチップを入れており、それによって高画質化に成功していたことも分かってネプギアは安堵する。

 

「じゃあ、後はこれで確認すればいいのね?」

 

「うん。時間に合わせて起動するようにすれば問題ないよ」

 

今日早速使ってみる?そんな問いかけがネプギアから付け加えられたが、ユニは考え込む。

確かにできれば今日中に知りたいのだが、場所を間違えると誤解を招くので非常に悩ましいことだった。

 

「?混線してる・・・?」

 

「・・・どうしたの?」

 

自分の持っていたNギアの画面にノイズが走ったので、ネプギアは真っ先にその原因の可能性にたどり着く。自分のカメラが自作で新しく手を加えたものである為、動作不良以外はそれしかなかったからだ。

そして、混線するという事は自分以外にも遠隔操作のカメラを置いている人がいるという事なので、ネプギアは何があるかすらも把握できた。

そして、ユニが気になって問いかけて来たところでネプギアはその真実を伝えることを迷わなかった。

 

「この部屋・・・誰かに盗撮されてる!」

 

「・・・へ?」

 

ノワールが何をしているか以前に衝撃的な真実を知ることになったユニは一瞬固まってしまう。

 

「えぇぇぇぇぇぇええぇぇええぇえええええっ!?」

 

余りにも信じられない緊急事態に、ユニは思わず絶叫を上げるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「あら・・・?回線が混線しちゃったわね・・・という事はそろそろ来るかしら?」

 

ネプギアが隠しカメラで盗撮していることに気づいた一方で、アノネデスは極めて冷静だった。

その理由として、逃げる必要がまるでないことにある。普通なら捕まらない為に逃走をするのだが、アノネデスは今回寧ろ捕まってしまってもいいので(くだん)の子供を探す必要があり、来てくれるなら寧ろ好都合なのである。

それでも逃げるに越したことはないが、今回は子供を探す方が優先である為、自分が逃げ切ることを考える必要は無かった。

となれば残りは潔く待って、成敗されないようにだけ気を付けるだけであり、依頼分としてアノネデスがやることは殆ど残っていないのだが、個人としてはやることが一つ残っていた。

 

「さて・・・忘れない内にノワールちゃんの色んな姿をプリントして回収しておかないと・・・」

 

アノネデスは己の欲望に正直になり、急いで作業を始めるのだった。

しかしその作業自体は早く、ノワールたちがハッキング元を見つけ出す頃にはその作業が終わっていて、残りは来るのを待つだけとなった。




この調子だと早くて次回に6話部分が終わると思います。

ブレイブルーの最新作まで後少し・・・楽しみで仕方ないです。
ちなみに、前回ラグナに小パン系ないと言っていましたが、4Aで小パン打てることに気が付きませんでした・・・誤情報を出してしまったことをこの場で謝ります。本当にすみませんでした。
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