超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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アニメ7話分の続きです。


44話 迫る恐怖、近づく予兆

『続いてのニュースです・・・』

 

プラネタワーにて、ピーシェが遊び疲れて。プルルートは新しくピーシェのぬいぐるみを作ろうとした瞬間に昼寝してしまったので、ネプテューヌは休憩も兼ねてテレビを視聴していた。

これは彼が一人でエンシェントドラゴンを倒して以来度々報道されることだが、ラグナが何かしら大きなことを成し遂げるとニュースで報道されるようになってきている。

ラグナが報道される大きな理由として、彼の存在が女神でなくともエンシェントドラゴン等大型のモンスター相手に何かできる。

つまり大型モンスターが多く国に入ってきてしまった場合でも国民への被害を減らしやすくなるという、力なき人達に希望を持たせる事と安心感を与えると言う目的があった。

こう言ったニュースを見るたびに、ラグナが「また任されんのか・・・ったく、めんどくせぇな」と言いながらも少しだけ嬉しそうにするのはプラネテューヌ居住組でよく見る光景だった。

 

「(ブランが言うにはハクメンもだったっけ・・・最初私たちが見た時は一触即発な感じだったのにねぇ。時間の流れって早いもんだよね・・・)」

 

実はハクメンもニュースで称えられてはロムとラムが称賛して来るので、反応に困っているとブランから聞かせてもらったことがある。

その時は場所に構わず爆笑してしまったのを今でも覚えている。当時ラグナが転げまわるのを抑えてくれなかったら間違いなく服が汚れていただろう。

ちなみに、ラグナとハクメンが決着を付けるべく命懸けの真剣勝負した時のことは、『孤高の武人であるハクメンが(おの)が武を高める為ラグナに挑んだ』と言う報道のされ方をしている。

これはハクメンの立場を悪くしない為に、女神たちと教祖達全員で集まって必死に考えた覚えがある。それを知ったハクメンが謝った時は全員して慌てたものだった。

 

「あっ、もうこんな時間か・・・お昼食べたらぴーこ次第で私も調べに行こっか!」

 

テレビに映る時間を見ればもう昼食を取って良いような時間になっていた。

もしピーシェの相手を代わってもらえるのなら代わってもらいたいが、出来なさそうなら自分がやるべきだとネプテューヌは割り切っていた。

というのも、ピーシェの遊びが危ないので、代わってもらうにしても女神でないと難しいし、更に四女神は基本的に多忙だった。

女神候補生に代わろうと思っても、ロムとラムに無理をさせる訳にはいかない。ユニはノワールの仕事を手伝う時間が多い。そしてネプギアは何かの突拍子で『少女』と入れ替わった時に何が起きるか解らないので、迂闊に代わる訳には行かなかった。

そうなると残りはプルルートなのだが、彼女がぬいぐるみを作ってくれているのに任せて良いのかと言われれば『?』がついてしまう。

 

「・・・まあ、私が頑張ろうか。その代わりみんなに仕事とか頼んじゃうけどさ」

 

「お、お姉ちゃーん!」

 

そこまで考えたネプテューヌは一種の覚悟を決めた。

他の人ができない・・・それは裏を返せば自分にしかできない立派な役割だと前向きに受け止めれば気が楽になった。

そうと決まれば次の遊び時間に備えて英気を養っておこうと思ったネプテューヌだが、ネプギアがNギアを持って慌てて駆け寄ってきたのでそれを中断することになった。

 

「ネプギア、どうしたの?」

 

「こ・・・これを見て!知らないアドレスと一緒に地図が添付されてきてたのっ!」

 

「・・・知らないアドレス?どれどれ・・・。って、これアイちゃん!?」

 

ネプギアが見せてくれた画面には十字架の姿勢で囚われているアイエフの姿があった。

―これはぴーこと遊んでる場合じゃないね・・・仕方ないっ!今までの出来事によってだらけ具合が直り始めているネプテューヌはすぐに立ち上がった。

 

「いーすーんっ!いるー!?」

 

「どうかしましたかネプテューヌさん?そんなに慌てて・・・」

 

ネプテューヌは事情を伝える為真っ先にイストワールを呼んだ。

するといきなりのことで驚きながらもイストワールはすぐにこっちに来てくれた。

 

「アイちゃんが捕まってるの・・・!罠かもしれないけど、私も前に助けられたし、友達も放って置けないから私今から行ってくる!ぴーこの事頼んでもいい?」

 

「分かりました。ピーシェさんはこちらにお任せください。ネプギアさんもお願いします。プルルートさんにも手伝ってもらいましょう」

 

「わかりました。お姉ちゃん、私はプルルートさんを起こして事情を伝えるね」

 

「うんっ!私はラグナたちに連絡するよ!」

 

話が決まれば早いか、二人はそれぞれの行動を始めた。

ネプギアが「まだ寝てたい」というプルルートに、事情を伝えて起こしているのを見る間もなく、ネプテューヌは大急ぎで術式通信を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「カーネージシザーッ!喰われろッ!」

 

ラグナはいつものようにクエストをこなす一環として、今回は広い平原に来てしまっていたエンシェントドラゴンの討伐を行っていた。

今までの定石通り、会敵早々に『蒼炎の書』を起動してから確実に弱らせていき、最後に大技で止めを刺すといういつもの流れであった。

ラグナが剣から放たれた、血の色をした鋏状のエネルギーがエンシェントドラゴンを縦に切り裂き、エンシェントドラゴンは絶叫を上げながら光となって爆発を起こすのだった。

 

「終わったな・・・」

 

エンシェントドラゴンがいなくなったことで、周囲から慌てて逃げ出すモンスターたちを見たラグナは剣を腰に収めた。

バイクによって移動が楽になっていたことが影響し、普段以上に早く予定分のクエストを完了させていた。

 

「(そういや、今日はやたらと交通整理が多かったな・・・あんな一斉に起きるモンなのか?)」

 

クエストが普段より早く終わったにしろ、ラグナが今回大回りしながら運転する羽目になってしまっていたのは事実で、交通整理の量には疑問を持っていた。

時間に余裕があるので少し考えてみていた所に、術式通信が飛んできたので、ラグナはそれに応じる。

 

「俺だ」

 

『あっ、ラグナ!?今どこにいるの!?』

 

「プラネテューヌから少し離れた平原だけど・・・どうした?」

 

ネプテューヌの様子が普段と比べてかなり焦っているのが分かったので、ラグナも思わず聞き返してしまった。

それ程少し前までのネプテューヌからは考えられない状況であった。

 

『実はちょっと・・・いや、かなり大変なことになってて・・・順を追って説明すると・・・』

 

ネプテューヌは今すぐに行きたい気持をどうにか抑えながら、大体の状況が伝わるようラグナに伝える。

ネプギアが持っているNギアに、知らないアドレスと一緒に添付された地図と画像があり、その画像はアイエフが囚われているものだった。

その為、現在自分たちはラグナたちに連絡を済ませてから助けに行くことにしていたと言うことを確かに伝えた。

 

「・・・んなっ!?それってマジかよ・・・!分かった。俺もすぐに戻る!」

 

『お願いっ!Nギアからそっちに地図を送っておくから!』

 

「ああ!それじゃあ切るぞ!」

 

ラグナは術式通信を終えるとすぐにバイクへまたがり、そのまま急いでプラネテューヌに戻るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「何だって!?分かった。俺たちもすぐに行くよ!」

 

『うんっ!私たちが途中で見つけたら拾って運ぶからっ!』

 

「助かる!それじゃあもう切るからな!」

 

ラグナが戻り始めた直後、ナオトもネプテューヌから通信を受けて状況を伝えて貰った。

 

《急ぎましょう!私が躰を借りれれば、多少は強引な脱出も見込めるわ・・・!》

 

「ああ、そん時は頼んだぜ!」

 

ラケルはアイエフの持つ躰との相性が非常に良く、彼女の躰を借りることでこちらの世界での行動を最低限可能にしていた。

当然平時は彼女の仕事を妨害することになってしまうから借りないが、今回のように緊急の事態が起きた場合は話が別である。

ラケルの言っていることを十分に理解しているナオトはそれに反対することなく、信頼していることを口にして走り出す。

それをみたラケルも、ナオトの速度に合わせてついていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ん・・・・・・」

 

アイエフは意識を取り戻してゆっくりと目を開ける。

すると目の前には何故か畑が広がっており、街からはかなり離れてしまっていることが伺える。

また、何かに手足を縛られている感覚と体の背面が何かに当たっているのを感じた。

 

「・・・・・・!?」

 

「ほう?ようやく目が覚めたようだな?」

 

よく見て見れば自身が十字架の姿勢で縛られてしまっているのが分かり、自身の思わず息を吞んだ声が聞こえたマジェコンヌがこちらに振り向く。

 

「アンタ、こないだの・・・!私を捕まえてどうするつもり?」

 

私自身は(・・・・)特に何もせんよ・・・。私にとってはプラネテューヌの女神をおびき寄せる釣り餌だからな」

 

「・・・釣り餌?アンタ何を言って・・・」

 

「そうだな。ここはナスを作るために用意されている畑なのだが・・・ここまで言えば、誰に狙いを絞ったかは解るな?」

 

マジェコンヌの言っている意味が解らなかったアイエフが食いつくが、ナスの単語で全てを悟ってしまった。

つまり、マジェコンヌは今回ネプテューヌを確実に潰す為にこの畑に誘い込む事を目的としていたのだった。

臭いだけでナスがダメだと言っているネプテューヌにとって、これ程厳しい場所は他にないだろう。

 

「(こうしている場合じゃない・・・。コンパも見つけなきゃだけど、それ以前にネプ子を逃がさないと・・・!)」

 

「ああ、そうそう。確かに私自身は貴様に何もせんと言った。この意味は理解できたか?」

 

「・・・何もしない?さっきもそんなこと言っていたけど・・・えっ?まさかだけど・・・」

 

術式通信を行おうとしたところでマジェコンヌが言葉を投げかけたことで、アイエフは意識をそちらに向ける。

途中まで気がつかなかったが、自分を捕らえた人物を思い出したアイエフは背筋を凍らせた。

そして、アイエフが思い起こした人物は呼ばれるのを待っていたかのように、足音を立てながらやって来た。

 

「その通りだ。御前に用があるのは此の私だ」

 

「・・・!」

 

レリウスが口元を緩ませるのが見え、アイエフの恐怖感を煽った。

ズーネ地区の時はラケルに躰を譲って脱出したことと、戻って来た時はレリウスがこちらに研究意識をあまり向けて来なかった事から、然程そう言ったものを感じることは無かったのだが、今は違う。

今は誰の助けも借りることができない。そしてレリウスの研究意識は完全にアイエフへ向けられている。

それなりにドライブが使えるようになった程度のアイエフでは非常に厳しい状況ができ上がってしまっていた。

 

「・・・何をする気なの?」

 

「まだ観察を行うだけだ・・・今はな」

 

どうにか顔から恐怖の表情を押し殺しながら問いかけることのできたアイエフだが、レリウスの一言がそれを蘇らせる。

ズーネ地区でレリウスを前にして動けなくなった少女は、あの時このような感覚に襲われたのだろうか?身動きのできない現状もあってアイエフは体が震えていた。

その眼を向けられる対象が自分であった場合、ここまで恐ろしくなるとは思ってもみなかったのである。

 

「さて・・・私は観察に集中させて貰う」

 

「分かった。何かあったら伝えるぞ」

 

マジェコンヌに一言を伝えたレリウスはそのままアイエフの観察に入り、そうなることがわかりきっていたマジェコンヌはアイエフに背を向けて周囲を見回す。

これによって、アイエフの動きを確認するレリウスと、その他周囲を確認するマジェコンヌと言う、アイエフが何かする時間を与えない構図ができ上がってしまったのである。

 

「(不味い・・・このままだと・・・!)」

 

これから起こりうる状況を考えたアイエフは嫌な汗をかくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

プラネテューヌでマジェコンヌたちが動き出している中、テルミも洞窟の中を歩いていた。

一つ目の別れ道は、テルミも例に溺れず何事もなく突破していた。

 

「この洞窟・・・レリウスの言ってた場所にしちゃあちと退屈だなぁ・・・」

 

まだ進み始めたばかりとは言え、テルミはあくびをするレベルで退屈さを感じていた。

それ程今までレリウスに物事を頼まれた時に比べて変化が少ないのだ。

 

「・・・こりゃいるだけ無駄かぁ?それならさっさと奥まで進んで・・・。・・・?」

 

テルミが歩調を早めてさっさと切り上げてしまおうと考えたところで、『ムラクモユニット』のような何かがわらわらと周囲に現れた。

 

「何だぁ?『ムラクモユニット(人形)』の真似事してどうする気だ・・・?」

 

テルミは現れた『ムラクモユニット』たちの目的こそ瞬時に把握することはできなかったものの、彼女たちが臨戦態勢を取っていることは分かった。

それを見たテルミは「へぇ・・・」と呟き口元を緩める。

 

「面白ぇじゃねえか・・・そういうことなら掛かって来いやァッ!」

 

テルミは吐き捨てながら近くにいた『ムラクモユニット』一体へ『ウロボロス』を伸ばし、その胸元を貫く。

するとダメージが限界になったのか、『ムラクモユニット』の一体は霧が霧散するように消えていった。

テルミの一撃が引き金となり、彼を敵だと判断した『ムラクモユニット』たちが一斉に襲い掛かる。

流石にこんな狭い場所と相手の人数もあって、『ウロボロス』では無理だと判断したテルミは懐からバタフライナイフを二つ取り出す。

 

「オラオラどうしたァ?んなナリしといて、中身はポンコツってかぁ!?」

 

迫りくる『ムラクモユニット』たちの動きはかなり単調で、テルミは左右のバタフライナイフを縦に、横に振り、途中で足技も混ぜながら次々と捌いていく。

しかし、流石にずっとくる敵を順番に倒しているだけではキリが無く、『ムラクモユニット』たちは倒された仲間の場所を埋めるように次々とやってきていた。

 

「ったく、多過ぎんだろ・・・。どこかに抜け道作るか・・・」

 

ジリ貧になるのを避けるべく、テルミは自分が進もうとした方向にいる『ムラクモユニット』たちを集中して倒す方針に変更し、彼女らをなぎ倒しながら先へと突き進んでいく。

テルミが奥へと進み始めたことで、『ムラクモユニット』たちは慌てて止めるべく一斉に進みだすが、あまりにも自分たちの数が多すぎたせいで狭い道になった瞬間に引っかかり、彼女らは自ら行き止まりを作ってしまった。

 

「ハッ・・・!いくら数だけいようが、連携できねえんじゃ世話ねえなッ!」

 

―所詮は人形の真似事だなッ!テルミは捨てセリフを置いてそのまま奥へと走っていく。

そして、少しした後最奥部の扉まで辿り着いた。

 

「よしよし・・・どうにか目ぼしそうなものが見つかったなぁ・・・」

 

テルミは早速扉を押したり引いたりしてみるが、全く扉の開く様子が見られない。

 

「・・・はぁ?何がどうなってんだ?」

 

テルミが困惑しながら左手で扉に触れ、扉の構造の把握を試みた。

解析に集中していると、いつの間にか左側の扉の外枠と、書かれている文字がが蒼く染まっていた。

しかし、右側半分は何も変化が無く、左側の扉も、時間が経過したせいか少しずつ光が収まっていった。

 

「何かしら複数の条件付きみてえだな・・・。んで、俺様がその一つを満たしてるがもう一つは満たされていない・・・となると、必要なのは『蒼』か・・・」

 

テルミはこの扉の開く為に必要な条件を大方把握した。

『蒼』を手にするのに、最も近道なのはラグナから『蒼炎の書』を強奪することだろう。

 

「よしよし・・・やることは見えてきたし上出来だろ。今回はもう、用済ませちったから帰るかね」

 

テルミはほくそ笑みながら両腕を交差させるようにして頭上に掲げる。

レリウスであれば転移魔法を使って即座に退避できたのだが、自分はそれを持っていないので強行突破するしかないのだ。

 

「第666拘束機関開放・・・次元干渉虚数方陣展開・・・!コードS・O・L!『碧の魔導書(ブレイブルー)』起動ッ!」

 

テルミは両腕を振り下ろして起動を完了させ、体から碧い炎のようなものを溢れ出させながら来た道を戻り始める。

 

「さぁッ!死にたい奴から前に来やがれ人形どもォッ!」

 

そして、道が広くなる場所に溢れかえっている『ムラクモユニット』たちを見て、テルミは一気になぎ倒しながら突き進んでいくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「どうだ?」

 

「ふむ。確かにドライブの発現自体は私たちの世界と変わらん・・・その人物個人となれば、非常に細かい部分で違っては来るが大方変わった部分はない・・・此れでは深い部分まで調べる必要は見受けられないな」

 

マジェコンヌに問われたレリウスは口調こそいつもと変わらないものの、内心は落胆していた。

ゲイムギョウ界でドライブに目覚めた身であれば何かが変わるかと思われたが、ラケルとの契約の影響が無い部分を省き、ナオトのようなパターンと然程変化が無かったのである。

 

「となると外れか・・・お前にしては珍しいな・・・」

 

「ああ。此の世界で初の外れを引き当ててしまったようだ・・・」

 

テルミの躰の案件といい、洞窟の事といい、レリウスはどのような事でも最低限収穫のある結果を得ていた。

その為、レリウスが今回何も成果を得られなかったことはマジェコンヌには意外に見えたのである。

 

「この後指定した座標に連れていくことは中断。このまま釣り餌を続行させるとしよう。あの施設は、必要な時が来たら調整を行う」

 

「了解だ」

 

「(・・・どうにか自分の心配をする必要はないのかしら・・・?それならコンパを見つけないと・・・)」

 

ひとまずレリウスがその先をしないという判断を下した以上、アイエフはコンパを探してみるが、自分の視界に映らなかったのでまた嫌な汗をかくことになった。

 

「そう言えば、コンパはどこにやったの?どうして私だけこうしているの?」

 

「もう一人はネズミに任せた。此処から離れた場所で対処させておけば、あの娘の性格上こちらにくることは無いだろう」

 

「戦闘力はほぼ皆無のネズミだが、あの小娘は戦う意思のないネズミとやり合うことはあるまい・・・」

 

―少なくとも、時間稼ぎだけなら今回程適任はないだろう。マジェコンヌは自信たっぷりに付け加えた。

コンパが無事であることが分かって一瞬安堵するが、それでもネプギアやラグナが来ない限り救援は期待できない。

ネプテューヌは確かに強いのだが、マジェコンヌの思惑次第では完封されてしまうので、できれば早々に伝えて逃がしてやりたいところだったが、時は無情か、変身した姿のネプテューヌとネプギア、そしてその二人に両手を持たれて牽引されているプルルートの姿があった。

 

「・・・!ネプ子、ネプギア・・・」

 

「ほう?レリウス、これは良い釣れ方みたいだな?」

 

「ああ。思わぬ遭遇だ」

 

アイエフの声を聞いてマジェコンヌとレリウスは顔を見合わせる。

本来ならネプテューヌを倒すためだけにナス畑に誘い込んだのだが、まさかのレリウスが是非とも研究したいと願っていたネプギアも一緒に来ていたからだ。

―成功した場合は施設を調整するか・・・。レリウスは仮面のずれを直しながらほくそ笑んだ。

 

「お相手して欲しいならしてあげるわ。だからアイちゃんを・・・。・・・っ!?」

 

「・・・お姉ちゃん?」

 

ネプテューヌがマジェコンヌたちに向けて言い切るよりも早く、匂いに耐えられなくなって鼻を抑え、制止したのでネプギアも止まって問いかける。

 

「ごめんなさい。ナスの臭いがこんなにも来てるとは思わなくて・・・」

 

ナスという言葉を聞いて下を確認してみれば、確かに下にはナスの畑が広がっていた。

臭いだけでもナスがダメだと言っているネプテューヌにとって、これ程天敵と呼べる場所は存在しないだろう。

更に、奥に控えるはマジェコンヌとレリウスの二人・・・こうなると最悪は自分一人でみんなを逃がす必要があるかも知れないとネプギアは考えた。

一方で、ネプテューヌの様子をみたマジェコンヌは自分の考えが合っていたことを確認できて笑みを浮かべた。

 

「やはり、貴様はこの場所が大の苦手だったようだな・・・。その様子ではまともに戦えまい?」

 

「ふざけないで・・・!幾らナスが嫌いだからって、私がそう簡単に・・・」

 

「ならば、これを見てもまだその口を叩けるかな?」

 

マジェコンヌの煽るような問いかけににネプテューヌは反論するが、マジェコンヌは最後まで聞かずに準備してあった無数のナスをネプテューヌたちに向けて放り投げる。

一見するとただのナス・・・。それだけでもネプテューヌには十分嫌気がするものだが、ネプギアはマジェコンヌの行為に違和感を感じてナスを注視してみる。

 

「・・・何アレ?」

 

ただのナスとは違う。ネプギアがそう感じたのと、投げられたナスがポンポンと変わった爆発音を出して煙をまき散らしたのは同時だった。

煙が出ていた時間と範囲はそこまでのものでは無かったが、その煙が晴れると羽の生えた馬と、それに乗っかっているナスのような何かが大量に現れた。

 

「・・・!?」

 

強さ自体はマジェコンヌが微量の魔力を分け与えて生み出した程度なので大して強くはないのだが、それでもネプテューヌの動揺を誘うには十分すぎる効果があった。

その動揺がキーとなってしまったのか、ネプテューヌは変身を維持できなくなって普段の姿に戻ってしまった。

変身が解けたと言うことは即ち飛べなくなったと言うことで、二人でプルルートを支えていたから良かったものの、ネプテューヌの重みが増したことで二人分の重みがネプギアの腕へ襲いかかった。

 

「っ・・・!」

 

慌てて両手でプルルートの腕を掴み直してどうにかして持ち上げようとするネプギアだが、その重さに耐えられず、プルルートの手が滑り落ちるように離れてしまった。

 

「「うわぁぁぁぁ~っ!?」」

 

「っ!?しまった・・・!」

 

二人が落下していくのを見たネプギアが一歩遅れて追いかけるが、落下の速度は早く、二人は地面に激突した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

ネプテューヌたちがアイエフのいる場所に辿り着いた頃、ナオトらと合流したラグナは二人を乗せてバイクで疾走していた。

 

「しかし・・・二人乗りなんてして大丈夫なのか?まだ取ったばっかだろ?」

 

「事情を説明したら今回だけ特例もらってな・・・今度正式に追加試験受けることになってる」

 

実のところ、ラグナは本来ならバイクを二人乗りする資格を持っていないのだが、事態の対処に当たれるメンバーを連れていくという名目で許可を貰うことに成功していた。

また、現在は交通整理の最中であったが為に車などの交通は殆ど見受けられず、ラグナは多少の無茶を承知の上でドリフトなどをしながら進んでいた。これも、今回ばかりは特例で許されていた。

何度目かの曲がり角をドリフトで曲がり切った直後、大きな音がどこかから聞こえてきた。

 

《まさか・・・もう戦闘が始まっているというの!?》

 

「だとしたらヤバいな・・・。ラグナ、急ごう!」

 

「分かってる!しっかり捕まってろよ?」

 

音の方角からしてネプテューヌたちが先行して飛んでいった場所である為、ラケルは大方予想を立てた。

相手が何者か解らないので、自分たちも急ぐ為ラグナはバイクを更に飛ばし、ラケルもその速度に合わせてついていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「うわぁ~!?ナスは嫌だよぉ~!?」

 

ラグナたちが急いで現場に向かっている頃、ネプテューヌはモンスターたちに背を向けて逃げ回っていた。

モンスターと言えど見た目はナス。その段階でネプテューヌは生理的に受け入れられなかったようである。

 

「・・・はっ!ええい!」

 

ネプギアは二人を救援する為、M.P.B.Lを振り回してモンスターを倒して行く。

しかし、すぐにマジェコンヌが新しくモンスターを放り込んでくるので、せっかく道ができてもすぐに囲まれてしまい、見事に足止めをされていた。

 

「ほぇ~?なぁにぃ~?」

 

一方、プルルートはモンスターたちに対して反撃せず、その攻撃を避けるような素振りも見せていなかった。

その理由として、このモンスターたちの持っている槍は極端なまでに威力が低く、何度刺されても傷はできないし、痛みも無いのだ。

その為プルルートには戯れに来た何かにしか見えていないのだ。

 

「ね、ネプ子!そいつら凄く弱いんだから、ちょっとくらい我慢して倒しちゃいなさいよ!」

 

「で、でもナスなんだよぉ!?どうしろって言うのさぁ~っ!?」

 

「ああ、そう言えばまだ口が使えたのか」

 

ネプテューヌの様子を見かねたアイエフが促すものの、ネプテューヌはナスの見た目をしたモンスターを前に良く分からない恐怖感に襲われ、お手上げな状態だった。

そして、アイエフが言葉を発したことでマジェコンヌが彼女の状態に気付き、近くに歩み寄ってきた。

 

「ここで台無しにされても困るのでな・・・。これで口を防がせてもらおうか!」

 

「・・・!?」

 

マジェコンヌはいきなりアイエフの口の中にナスを放り込んだ。

いきなりのことで驚いてしまい、アイエフは目を見開く。

 

「噛み切られたり、吐き捨てられたりして何かされても困るのでな・・・こうして防がせてもらおうか」

 

「んん!?んん・・・!」

 

アイエフはマジェコンヌの言った通り吐き捨てようとしたのだが、その行動が予想されていたマジェコンヌによって防がれる。

その結果、口内をナスで弄ばれるという、人生で最も意味の分からない状況に陥ってしまうのだった。

 

「・・・・・・」

 

「・・・?此れはもう少し観察すればわかりそうだな」

 

そのマジェコンヌに危害を加えられるアイエフの姿を見たプルルートは、自分の奥底に溜まっている不満がこみあげてくるのを感じた。

そして、そのプルルートの変化に気づいたレリウスは、彼女の変化を詳しく調べるため、集中して観察することにした。

それとほぼ同時に、ラグナたちはナス畑が見える場所までたどり着き、ナス畑に踏み入れる直前の位置でバイクを停止させて状況を確認する。

 

「・・・あれか!」

 

ラグナはアイエフのいる場所を即座に見つけることができた。

現在の状況を見て、すぐに助けなければ危険かも知れないと三人は判断した。

 

《あの二人を引き離せれば私が躰を借りて脱出できる・・・時間稼ぎをお願いするわ!》

 

「よし、分かった!」

 

ラケルの話を聞いてナオトが答え、ラグナとナオトはすぐにバイクから降りて戦闘の準備をする。

ラグナは剣を腰から引き抜き、ナオトはドライブを全開にすることで準備を終わらせた。

 

「細けぇ事までは気にしてられねえな・・・取りあえず行くぞッ!」

 

「ああ!」

 

ラグナとナオトはアイエフを助けるべく、ナスを真っ直ぐ突っ切るように進んで行き、ラケルもチャンスを逃さない為に彼らの後ろをついていくのだった。




今回はもしかしたらょっと短くなってしまったかもしれません。

二つゲームを同時に買ったのはいいのですが、一方を進めるともう片方が手つかずになる自分の性分が時々悲しくなってきます・・・(笑)。
どうやら私はマルチタスクが苦手な人のようです。

次回でアニメ7話分が終了します。
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