超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER- 作:ブリガンディ
「うーん・・・どうしようかなぁ?」
冷蔵庫の中にある複数のプリンを見て、ネプテューヌは唸っていた。
その理由は『ネプの』と書いてあるプリンをいつものようにとって食べようと思ったのだが、食べている途中にピーシェが食べたいと言ってしまったらどうしようかと考えていたからだ。
「・・・何やってんだ?ネプテューヌ」
「あっ、ラグナ・・・実はなんだけどさ・・・」
いい案が思いつかないので誰かに相談しようと思っていたところで、丁度ラグナがやってきた。
その為、ネプテューヌは自分の現在の状況を伝えると、ラグナは少し考えて次の答えを出した。
「それなら、もう一個『ネプの』って書いたプリン準備して、一緒に食べようって言えばその心配は無くなるんじゃねえか?」
「あっ、それだ!その手段があったっ!目から鱗とは、正にこの事だよぉ!」
ラグナの提案を聞いたネプテューヌは、非常に満足そうな笑みを見せて彼の提案を使うことにした。
善は急げ。早速行動に移ることにしたネプテューヌは、何も書かれていないプリンを一つと、『ネプの』と書かれたプリンを一つ取り出してからテーブルの上に置く。
「ごめん、ちょっとだけ見てもらってて良い?」
「いいぜ。早いとこ行ってきな」
「ありがとーっ!」
ラグナに頼んでみたところ、あっさりと承認してくれたので、ネプテューヌは礼を言いながら走っていく。
そして、それとは丁度すれ違うタイミングでピーシェが入って来て、プリンが置かれてあることに気がつく。
「あーっ!ネプのプリン!」
「ん?ああ、ちょっと待ってな。ネプテューヌがちょっと準備してるから」
「・・・じゅんび?」
やはりと言うべきか、ピーシェはそのプリンを見て食べたくてしょうがない表情を見せる。
それを見たラグナが待つように言うと、準備の意味が分からずピーシェは首を傾げた。
困惑しているピーシェに「いいから待ってな」と声を掛けるものの、食べたくてうずうずしているピーシェがどこまで持つかが解らないので、早く戻って来て欲しいと願うばかりだった。
「ありがとうラグナっ!あっ、ぴーこもいたんだね?」
「ねぷてぬっ!じゅんびってどれくらいかかるの!?」
「すぐ終わるからちょっとだけ待っててね~?」
右手にペンを持ってネプテューヌが駆け足で戻って来て、我慢の限界が近いピーシェはネプテューヌに問いかける。
問われたネプテューヌは答えながら普段と同じように何も、書かれていないプリンの蓋に『ネプの』と文字を書いた。
「よし、できたっ!」
「・・・!」
書き終えたネプテューヌの声を聞いたピーシェが二つのプリンを覗いて、嬉しそうな表情を見せた。
「ネプのプリンが二つーっ!」
「その通り~!これで一緒にネプのプリンが食べれるね♪」
「やったーっ!」
「(これでどうにか解決したな・・・)」
同じ『ネプの』と書かれたプリンを楽しそうに、そして幸せそうに食べる二人を見てラグナは一安心する。
そして、二人がプリンを食べている様子をチラリと見てからそろそろクエストに行こうかと思ったところで、いつもの部屋に教祖を省く全員が入ってきた。
「あら。いつも通り仲良しみたいね?」
「あれ?みんな揃ってどうしたの?」
ノワールが二人の様子を見て率直な感想を述べたことでネプテューヌも皆が来たことに気がつき、振り向きながら問いかける。
「ネプテューヌ、R-18アイランド・・・と言う場所はご存知でしょうか?」
「R-18アイランド?ううん、聞き覚えないなぁ・・・何があったの?」
ベールの問いにネプテューヌは否定を返した。実際にR-18アイランドの存在は始めて知ったのである。
「実は、そこに何やら怪しい施設がある事をルウィーの持つ人口衛星で確認しましたの。それで、早速全員で調査に赴きたかったのですが・・・」
「ドレスコードは水着か全裸のどちらか、それに18歳以上でなければ入ることすら許されないから・・・今回は行けるメンバーだけで調査に向かうことになったの」
ベールがしている説明の続きをノワールが行う。
ドレスコードと18歳以上で無ければ入れないと言うことを聞いた瞬間、ネプテューヌの頭の中には一つの結論が浮かび上がった。
「・・・えっ?それって、今回から少しの間サービス回ってこと?」
『・・・・・・?』
「それがどうなるかはともかくとして、みんなが分らなそうにしてるから・・・」
「あっ、確かにこれは的外れだったね・・・」
ネプテューヌの斜め上を行く答えに異世界組が首を傾げる。
そうなることが予想できていたかのような様子のブランに言われたことで、ネプテューヌは頭をかきながら苦笑する。
「でも18歳以上でしょ?女神五人は確定で現場に行くとして・・・他に誰が行けるの?」
ネプテューヌの言っていることは最もで、運が悪いと女神五人だけになってしまう恐れがある。
女神候補生の四人は、正直言ってネプギア以外は体系的に引っかかってしまうだろう。
「俺は平気だろうな・・・」
「『
「私も行けるけど・・・まだその他諸々の整理が終わらないのよね・・・」
「それなら整理の方をお願いしますわ。ナインが抜けて、色々回らなくなってしまうと大変ですので・・・」
体格的にも精神的にもラグナなら何も問題は無いと全員が頷く。
ハクメンも『スサノオユニット』が通過対象であれば問題無いので、こちらも同行が決まる。
ナインも完全に通過できるのだが、こちらは溜まり込んでいる仕事の量が甚大なこともあり、ベールの案で今回は見送りとなった。
「俺はダメだな・・・高校二年だし」
「私もダメです・・・」
「「
逆に絶対的に参加できないのはナオト、ノエル、ニュー、ラムダの四人とネプギア以外の女神候補生、ピーシェである。
ナオトたちは実年齢的な意味で通過不可能で、女神候補生とピーシェは体格で引っかかってしまう。
「ええっと・・・私はどうなんだろ?」
《私もグレーなところね・・・そもそも日常生活の段階で、ナオトと共に行動している精霊的な扱いを受けてるもの》
最後に、判断に困るのがセリカとラケルであった。
セリカは見た目が学生として見られてしまう可能性が十分見込まれるので難しく、ラケルはそもそも入場審査に参加できるかどうかが問題だった。
そんな風に判断できる材料が大方揃ったことで、皆で今回調査に参加するメンバーを決めた。
「・・・よし。これで行きましょう」
ブランが纏め終えた結果、今回調査に参加するメンバーは女神五人、ネプギア、ラグナ、ハクメンの八人となった。
その他のメンバーは残念ながら今回は待機となる。
「ええっと・・・海を渡るのか?」
「ええ。だから今回、ラグナとハクメンを私たちで運んでいくことになるわ」
ラグナの問いにブランが肯定する。
その回答を聞いた瞬間、ラグナとハクメンが互いに見合わせて唸ることになった。
その理由として、ノエルは『クサナギ』を装着したことによる体へ来る負荷の軽減、ナインは魔法で一時的にハクメンの重量を減らして運んでいた事で一人でも運べていたのだが、彼女たちはそれら無しに運ばねばならないからだ。
ラグナの体重は背丈の大きさもあって80近くあり、ハクメンに至っては『スサノオユニット』の影響で150を超えてしまっている。
それ故に運搬が非常に困難なことを物語っていた。
「まあ、全員で変身をして運べば何とかなるでしょう」
「そうね・・・全員で行けば問題無いはずよ」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って!?ぷるるんを変身させちゃうの!?」
ノワールとブランがとんとん拍子に話を進めて行くところに、釘を刺すように話の流れを止めたのはネプテューヌだった。
彼女はプルルートの変身した姿を一度見てしまっているのもあり、そんな簡単に変身させていいものでは無いと本能が訴えていた。
「えぇ~?あたしは変身したいよぉ~・・・」
「ネプテューヌ、何か不味い理由でもありますの?」
プルルートは当然の如く不満を口にしたので、ベールは問いかけてみた。
ベールもそうだが、プラネテューヌ居住組以外、プルルートの変身した姿を知らないので、全員がネプテューヌの言い分を理解できないのだ。
「みんなは変身したぷるるんを見てないからそう言えるんだよ・・・!ね、ネプギアもあんまりさせない方がいいでしょ!?」
「えっ?う、う~ん・・・どうすればいいんだろう・・・?」
「ぷる~ん・・・」
ネプテューヌに話を振られたネプギアも否定できなかったのが災いし、プルルートが落ち込んだ様子を見せた。
「そうか?俺は別に問題ねぇと思うんだけどな・・・」
「・・・!」
「ねぷぅっ!?ラグナ本気で言ってるのぉ!?」
ラグナは本心で助け舟を出すように言ったので、それを聞いたプルルートは目を輝かせ、ネプテューヌは激しく動揺した。
「いやだってよ・・・たかだか性格が変わるだけだぜ?それに何の問題があるよ?」
「いやいやいやっ!ラグナは何でそんなに平気なのさ・・・!?」
「まあ・・・性格とかそういうのがガラリと変わる奴なんて見慣れたしな・・・」
実際ラグナは何も間違ったことは言っていない。
特に『氷剣・ユキアネサ』を支配下に置く前のジンが顕著であったため、ラグナは性格の一つや二つで驚きはしなかった。
「私は前科持ちなのでな・・・口出しはせぬ」
「ニューも前科持ちだからいいと思う」
「ニューが前科持ちなら、実質的にラムダも前科持ち」
「あぁ・・・私も一応前科持ちなので・・・」
まさかのラステイションに住まわせてもらっている三姉妹とハクメンが名乗り出たので、ネプテューヌどころかラグナとナイン、セリカの三人を省く全員が啞然とした。
ハクメンは『スサノオユニット』を身につけるまでは『ジン=キサラギ』として生きていたので、ニューは言うまでもなくズーネ地区で確認済みだった。
ちなみに、ゲイムギョウ界に来てからは触れられてないが、ラムダは当時『境界』に取り残されていたニューの魂を使っているので実質的に前科持ちとなる。
最後にノエルだが、こちらはテルミの策で『クサナギ』に精錬されてしまい、その時は世界に対する憎悪しか残っていなかった。
「う、噓だ・・・何かの間違いだよきっと・・・」
「悪いなネプテューヌ・・・全員分目の前で見たわ」
ネプテューヌの儚い希望は、ラグナの一言によって音を立てて崩れ去った。
―ぷるるんの味方多すぎない!?ネプテューヌは現在の状況が信じられないくらいだった。
「あっ!な、ナオトは・・・違うよね?」
「俺か?性格変わるだけなら良いんじゃねえか?周りに迷惑かけないようにすりゃいい話だし」
《私も問題無いわ。そもそもこの状態なら被害を被る心配が無いもの》
「ちょっと待ってぇ~!?ダメって思ってるのホントに私だけ!?」
最早頼めるのはナオトしかない。そう思って訊いてみたのだが、生憎とナオトは賛成派だった。
更にラケルも同意したので、今度こそネプテューヌの退路は完全に断たれた。
「まあ、変身したプルルートの姿には早めに慣れた方がいいだろ?性格の癖が強いから尚更な・・・」
「確かにそれもそうね・・・どの道変身した姿に慣れておかないと後々大変だものね」
「わ、分かったよ・・・ここで私だけ言い張ってもどうにもならないもんね・・・。よし、腹は括った!」
ラグナの一言にアイエフも賛成したので、ネプテューヌも腹を括るしかなかった。
「そういうことだ。プルルート、変身して大丈夫だ」
「わぁ~い♪あ~り~が~と~♪」
「さぁて・・・これで何人が驚くのかなぁ・・・?」
大丈夫の人声をもらったプルルートが花咲くような笑顔で礼を言いながら体を光に包んだので、ネプテューヌは冷や汗をかきながらその行く末を見守る。
「と言う訳でぇ、これが変身したアタシの姿よ。よ・ろ・し・く・ね♪」
「・・・アレ?いつもより上機嫌?」
プルルートが前回と比べて明らかに接しやすい雰囲気を醸し出しているので、ネプテューヌは思わず首を傾げた。
前回プルルートがあそこまで恐ろしい雰囲気を纏っていたのはマジェコンヌがアイエフを傷つけていた事が原因であり、今回は不満を持っていたりショックしていたところに大勢のフォローをもらえたこともあって弾んだ様子であった。
「はーい。よろしくね~♪」
「よろしく・・・♪」
格好こそ派手なものではあるが、それはノエルや変身した女神たちの姿で慣れていたので今更突っ込むことは無い。
そんなこともあって非常にスムーズに受け入れて貰うことができたのだ。
「さて・・・顔合わせも終わりましたし・・・いざ、R-18アイランドに参りますわよ!」
どこか上機嫌な、それでいてやる気満々なベールが仕切ったことでこの話に決着がつき、調査に参加するメンバーはR-18アイランドへ飛んで移動することになった。
* * *
話が決まってから30分後。調査に向かうメンバーは女神たちが変身した状態で、異世界組を飛びながら運んでいく形を取っていた。
ラグナの事はプルルートとネプギアの二人、ハクメンの事は四女神によって運ばれていた。
「今日は最高の一日ねぇ・・・♪まさかアタシの変身を受け入れてくれる人がこんなにいてくれるとは思わなかったわ♪」
「そんなにダメって言われてたのか?性格変わるだけなのに大袈裟だな・・・」
どうやらプルルートは本来いた世界でもネプテューヌのように変身するなと言われてしまってので、今回ラグナのサポートは非常に嬉しかったのだろう。
ラグナからすれば、「性格変わるだけなのにどうしてそこまで大袈裟なんだ?」と言う疑問にしかならないが、ネプテューヌは前回の事からピーシェに悪影響が出ないかを心配していた面もあった。
しかし、残念ながら異世界組の人たちは性格の変化を気にしない人たちだらけで、変身したプルルートの真の恐ろしさを知らないが故にこうなった。
もし知っていたのなら、こうまであっさりと押し切られる事は無かっただろう。
「そうなのよぉ・・・みんながみんなダメだ~って言うの・・・。だから、みんなが良いって言ってくれたのが嬉しくて・・・」
「人に迷惑かけねえならなんだっていいさ。少なくとも俺はそう思う」
「もぅ・・・おだてたって、なぁんにも出ないわよ?」
プルルートの話を聞きながら、ラグナはプルルートの姿を特に否定しない。寧ろ人に迷惑を被らないのであれば何も問題無いと考えている。
こういった思考を持っているのも、自分が教会で過ごしている時はサヤに構いすぎてしまって失敗していることが起因している。それ故に似たような事を繰り返したく無かったのである。
もしネプテューヌの考えを理解していたら変わっていたかも知れないが、不満を抱えたまま『ユキアネサ』を持ったジンがああなってしまったと考えたら、プルルートに変身するなと言うことはどの道無理であった。
幸いにもそんなラグナの境遇を知らないので、プルルートは純粋に喜んでいた。知っていたら今頃複雑な気持ちになっていただろう。
「ねぇネプテューヌ。何も問題無いんじゃない?」
「見てる感じ楽しそうに話しているだけだな・・・」
「本当に、何かダメだった所がありますの?」
「本当に今日は何も無い・・・前回は状況が状況だったのかしら?」
ノワール、ブラン、ベールの順に問いかけられ、ネプテューヌは困惑しながら考える。
前回はマジェコンヌのしていた行いが許せなくて変身。それ故にあの狂気であったが、今回はラグナたち自分の変身を肯定してくれる人たちの好意に甘えて変身。それは上機嫌な様子で会話をしていた。
ここまでくれば自分の早とちりだったかもしれないとすら思えてきたが、やはりあの危険な笑みだけは忘れられない。
「御前はあの者の変身する姿を見た時期が悪かった・・・。そう謂う事なのだろう?」
「ええ。その通りよ・・・今は大丈夫だけど、あまり機嫌を損なわせすぎないように気を付けて・・・私が危惧している状態になるから」
ハクメンは先ほどのネプテューヌの慌てぶりと、変身したプルルートが奥に秘めている物を感じ取って大方察しを付けていた。
自分が立てた推測を持って問いかけると案の定その通りだったらしく、ネプテューヌは肯定しながら警戒を促した。
「・・・よく解んねえけど、一応気を付ける」
「気になるけど、そこは我慢ね」
「何であれ、触らぬ神に祟りなし・・・ですわね」
ネプテューヌですら何度も念押ししてくるその姿はただ事では無いと感じ、三人も一応気を付ける事にした。
「あっ、そうだ♪ねぇねぇラグナ、今回はみんなが水着だって言うけど・・・誰の水着姿が一番気になるの?」
「えっ?俺?・・・全く意識して無かったな・・・」
「・・・・・・」
プルルートに訊かれて、ラグナは改めてそう言った色沙汰に興味を失ってしまっていた事に気づかされる。
しかし、何も答えないのも不味いかも知れないと考えたラグナは頑張って考えて見る事にした。
ちなみにネプギアが頬を少しだけ朱にしながらそわそわしていたが、それに気づくことは無かった。
また、四女神たちも気になっていたことである為、一瞬で聞き耳を鋭くするのを感じさせた。
「う~ん・・・当てて見てもいい?」
「?別にいいけど・・・」
「ホント?そうねぇ・・・」
ラグナは少し困惑しながら許可を出し、それを聞いたプルルート少しだけ悩む素振りを見せる。
ある程度考えて思いついたので、プルルートは「あっ、コレかも」と前置きを作ってラグナに答えを聞いてもらえるように準備する。
「ズバリ・・・ギアちゃんでしょ?アタシの予想だけど、ラグナは多分・・・ギアちゃんみたいな女の子が純粋な笑みを見せて寄って来る姿に弱いと思ってね・・・」
「ち、ちょっとプルルートさん!?買ってくれるのはありがたいんですけど・・・私近くにいるのに言うんですか!?」
「えぇ?だってぇ・・・元々近くで話してたのにギアちゃん止めなかったじゃない・・・?」
「(ネプギアの水着姿ねぇ・・・)」
ネプギアがプルルートに話術で翻弄され、そこに途中でネプテューヌが参加してああだこうだと話している中、ラグナは一人ネプギアの水着姿を誘導されるかのように想像した。
どの様な格好をするのかまではイメージが沸かないが、それでも自分が近づいた事に気が付き、花の咲くような笑顔で手を振って迎えてくれるネプギアの姿は想像しやすいものだった。
―アレ?俺って今までこんな考え方してたっけ?考えている内にラグナはそんな疑問に直面した。その答えは否で、ラグナはそのような事があっても精々似合うかどうかくらいしか無かったのだ。
「(・・・何で急に、そんな事考えるようになったんだろうな・・・?)」
ラグナは己の持つようになった考えに戸惑うことになったが、その答えが一切出ないままR-18アイランドに到着することになった。
また、皆が色々と水着のことで話し合いをしていたのだが、ラグナは話の内容が一切入って来なかった。
* * *
「ほう。やはり御前が最も早いか」
「まあ、時間かからなかったしな」
R-18アイランドの入場審査がある部屋で待機していたハクメンは、戻ってきたラグナをみて予想通りと言いたげな呟きをした。
ラグナ自身も女の子は着替えに時間を使うから自分が早くなるのはおかしくないと考えていたので、然程気にしていない。
「その格好であれば『
「ああ。変に心配させる訳にはいかねえからな・・・」
ラグナはポケット付きの海パンに腕を隠せる長袖一枚と言う構成の水着姿をしていた。
ハクメンが気付いた通り、これは常人の右腕とはかけ離れた姿をしてしまっている『
赤が基調であることはいつものラグナらしさが残るのだが、この二人はそんなことよりも『蒼炎の書』を人の目に晒して余計な不安を与えないようにしたいと言う念が強かった。
「隠せそうか?」
「可能な限り左腕を使えば・・・ってところだな。戦闘とかになっちまったら手首から先が見える」
「そうか・・・ならば、今回は基本的に私が戦いを引き受けよう。必要となった時にだけ頼むとしよう」
「悪いな・・・頼むわ」
願わくば戦いなど一切起きないことが最も望ましいのだが、万が一の事があったら今回は大人しくハクメンに頼もう。
しかしそれでも止められないなら自分も戦いに赴く・・・ラグナは自分の加勢を最終手段に留めたいと思った。
「お待たせいたしましたわ」
実際に海を楽しむなどといった言った思考が出てこないラグナたちが真面目な話をしていると、ベールの声が聞こえたのでそちらを振り向く。
するとそこには水着姿の女神たちがいた。普通の男性であれば思わず引き込まれてしまう光景であっただろうが、そこは使命と正義に生きるハクメンと、多くの人を護る事が最優先のラグナ。反応こそすれど彼女たちが予想していたものよりも明らかに反応が弱かった。
しかし、ラグナは先ほどからネプギアの事を意識するようになっていたので、そこだけは違っていた。
「どうですか?似合ってますか?」
偶然目が合ったので、ネプギアはラグナに問いかけてみる。
ネプギアの水着は白のビキニであり、その純白の水着が清楚感を、デザインのシンプルさが水着らしさを、そして機能美も兼ね備えている為に多くなった露出が健康感まで感じさせていた。
ネプテューヌの藍と白の二色で構成された目を引くようなビキニや、ノワールの赤と白の横縞模様の大胆な三角ビキニ。ブランの青と白の縦縞のチューブトップや、プルルートの黒と赤の二色で構成されたビキニ。極めつけにはベールが貝殻ビキニで腰にパレオを巻いていると言う格好でいるが、それが目に入って来ないくらい、ネプギアに目を持って行かれていた。
「ああ・・・似合ってるよ」
「・・・!良かったぁ・・・似合ってるって言ってもらえて安心しました」
ラグナは何も迷うことなくその水着姿を褒めて、それを聞いたネプギアが頬を赤くしながら笑みを浮かべた。
その笑顔を見た時、ラグナは何故か心臓が高鳴ったのを感じた。
「(・・・なんでだ?今までそんなこと無かったんだがなぁ・・・)」
ラグナが首を傾げながら困惑していると、その様子に気が付いたネプテューヌが歩み寄る。
「ラグナ、どうかしたの?」
「いや・・・大した事じゃねえんだ・・・ただ・・・」
「ただ・・・?」
「(何で急にネプギアの事が気になりだしたんだ?)」
ネプテューヌにラグナは歯切れ悪く答えている途中で口を噤んでしまう。
良く分からない感情に戸惑っているので、どう答えればいいのか全く解らないでいたのだ。
しかし、そんな悩みは体のあちこちを何者かにつつかれだした事で一時的に吹き飛んだ。
「あらぁ?もしかしてラグナ、ギアちゃんに見惚れちゃった?」
「・・・?いや、どうなのかは解んねぇな・・・。つか、何で俺の体をつついてんだ?」
体をつついていた主はプルルートで、その質問にラグナはハッキリとした回答ができなかった。
しかし、ラグナはそれ以上に何故自分の体をつついて遊んでいるのかが気になって仕方なかった。
「ラグナの体が凄い筋肉質だったから、つい気になっちゃって・・・♪」
「あっ・・・確かに凄い鍛え上げられているわね・・・」
プルルートがその理由を答えると、ノワールも目を点にしながらそれに同意する。
ラグナの体は非常に筋肉がついていて、自身のタフネスさを表すかのようだった。
露出が少ないとは言え、筋肉質の強い男性の体を直接見たことは殆ど無かったので、ハクメン以外が思わず食いついてしまっていた。
「まぁ・・・これも大事なもの護る為につけたもんだからな・・・誇っていいのやらどうなんだか・・・」
「動機は何であれ努力の形なんだし、私は誇っていいと思うぞ?」
「ええ。それだけ努力したからこそ今のラグナさんがいて、笑顔で暮らせる国民がいるんですわ」
「謙虚になり過ぎないで、たまには自慢してみてもいいんじゃない?」
「そうね・・・。みんなが言う通り、ちょっとくらいは自慢したって良いと思うわよ?」
ラグナが困ったような顔をしていると、ブラン、ベール、ノワール、ネプテューヌの順で言ってくるのでラグナは少しだけ面食らう。
「そっか・・・なら、少しはそうしてもいいのかもな」
ラグナが左手で頭を掻きながらそう言うので、女神たちは安心した笑みを見せる。
その後頃合いを見たハクメンが促したので、全員が入場審査を始める。
電子画面に「18歳以上ですか?」と問われたので、全員が「YES」で回答をする。
体格もあってハクメンとラグナは何も問題なく通り、外見で問題無いと判断されたブラン以外の女神とネプギアも通ることができる。
唯一審査に手間取っているブランだが、こちらは一人だけやたらと審査がしつこかった。
「だから18以上だって言ってんだろ・・・!」
イラつきを露わにしながらブランは「YES」のボタンを連打する。
質問が来た順番としては最初に「18歳以上ですか?」と言うもの。これ自体は何も問題は無い。
その後は「本当に18歳以上ですか?」と来て、更に次は「本当の本当に?」と煽るように問われた。これによってブランの電子画面を押す勢いが少しづつ強くなってきていた。
ここまではまだイラついているだけで済んでいたのだが、決定的にダメな質問が来てしまったことで、その拮抗は遂に崩される。
『その小さな胸で?』
「ッ・・・!だぁぁ畜生ッ!胸なんざ年齢に関係ねぇだろうがぁぁぁッ!」
ブランはとうとう堪忍袋の緒が切れ、電子画面を思いっきり叩きつけた。
それによって電子画面はノイズを出しながら消え、代わりに受付の所から暴動を抑える為に現れた人型のロボットがいたが、ブランは戦斧を放り投げて何か言われるよりも前にそれを黙らせた。
何事かと思って外で待機していたベールが覗いてみると、丁度ブランが戦斧を投げた直後であった。
「悪い。ちょっと時間かかったわ」
「ブラン・・・当たって砕けろどころか、当たって砕きましたわね・・・」
いくら何でもやり過ぎだろう。ベールはその光景を見て苦い顔をした。
取りあえず全員が通ることができたので、全員で奥へ進んで見る事にした。
何も宛はないが、歩いていけば辿り着くと言う客観的な思考から全員が談笑しながら歩いて進んでいく。
ここまでは別に問題なかったのだが、ネプギアは一つだけ気になっていた事があった。
「(そう言えばラグナさん・・・どうしてずっと右手を隠してるんだろう?)」
ラグナは水着に着替え終えてからというものの、右手はポケットに入れたままであった。
他の全員は気にしていないようだが、ネプギアは気になって仕方が無かった。
「(どうにかして聞けないかなぁ・・・?)」
歩き続けている間、ネプギアはその一点で悩み続けることになった。
今回は出だし部分になります。
ラグナの水着についてですが、CPのギャグシナリオにあった水着姿そのままになります。
前回から悩んでいたプリンに関する案件はVのシナリオにあったプリンイベントの内容を参考にしてみました。現在のネプテューヌの現状から取り合いに発展させるわけにもいかないので、本小説ではこのような形になりました。
ラグナの持つネプギアへ対する心境の変化は少し無理矢理感出てしまったかもしれませんので、もしそう感じてしまった人はごめんなさい・・・。
次回かその次回でアニメ8話の内容は終わりにする事ができると思います。