超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER- 作:ブリガンディ
今回でアニメ8話分が終わります。
「ふぅ。ちょっと遅くなっちゃったなぁ・・・ただいまーっ!」
「あっ、ねぷてぬ帰って来たーっ!」
R-18アイランドでの調査を終えた夜、ネプテューヌはプリンの残りが減ってきていたので、一度プリンを纏め買いしてからプラネタワーに戻ってきた。
ネプテューヌが帰って来たことを告げると、真っ先にピーシェがこちらに向かってきた。
「おお、ぴーこ!遅くなってごめんね・・・待ったでしょ?」
「うん、待った!」
やはり普段最も構ってくれるネプテューヌがいなかったこともあって、ピーシェはどこか寂しさを感じていたのだろう。
聞いた話ではプールを用意したら普通に皆と聞いていたが、それでも終わった後は少し退屈だったと言うことになる。
ナオトも遊び相手を付き合ってみようと試みたが、余りのパワー差にすぐさまギブアップするというかなり情けない結果となってしまっていた。
「そっか・・・寂しくさせちゃってごめんね」
ネプテューヌが誤りながら頭を撫でてやると、ピーシェはニッとして白い歯を見せる。
その様子と今回の事を踏まえて、ネプテューヌは一つ伝えておこうと思った事を思い出した。
「あっ、ぴーこ。もしもだけど、ぴーこが今回の私みたいに寂しい思いをさせちゃった時は、ごめんなさいって言えるようにしようね?」
「うんっ!いえるようにするっ!」
ネプテューヌが自分を例にして話せば、ピーシェは素直に頷く。
「素直でよろしいっ!さて、外も寒くなって来たし、中に入ろっか?」
「うんっ!ぴぃ、お腹すいたっ!」
そうして二人は中に入っていき、この後プラネテューヌ居住組全員で食事を取るのだった。
* * *
「えっと・・・大体こんな感じかな?」
ラステイションの廃工場にて、レイは今までの動向を見た限りでピーシェの状況を纏め上げていた。
まず初めに、普段はプラネテューヌの預かりで、プラネタワーからあまり出てくることは無い。しかし、ネプテューヌと外出する時だけは例外的についていく事がある。
チャンスは非常に少ないものの、絶対にないと言う訳でもない。チャンスがあるだけ非常にマシな方だとレイは考えた。
また、これはネプテューヌの影響である為か、プリンが好きであるようだ。一応、食べ物は全般的に好きであるようだが、プリンは飛びぬけて好んでいるようだ。
であれば、ねらい目は食べ物で釣る。これが最も有効であると言える。そう結論付けたレイは一度体を椅子の背もたれに預けて体を楽にする。
「(これで上手く行けば良いんだけど・・・)」
「此処にいたか・・・」
「あっ、レリウスさん・・・」
レイが一度体を休めていると、部屋にレリウスが入ってきた。
今回、ピーシェをこちら側に連れてくるのに当たって、プラネテューヌ国内から外へ連れていくのはレイが担当。その後は合流してレリウスの転移魔法で素早く離脱を行うことになっている。
第一実行日も近づいていたので、この二人は最後の確認をする予定であった。
「連れてくる手立ては見つかったか?」
「あの子は食べ物が好きみたいなので、それを利用しようかと思います。準備する為に食費の一部を割いてしまいますが・・・」
レリウスの問いに肯定しながら、問題点も忘れずにレイは伝える。
それを聞いたレリウスは顎に手を当てて少し考え込む。
「まあ、あまり掛かり過ぎなければ良いだろう。連れてこれるのであれば必要経費だ」
「分かりました。それなら少しだけ使わせてもらいますね」
テルミとマジェコンヌ、そしてワレチューの三人は既にピーシェを連れて行く施設への移動を先にしてもらっているので、今ここにいるのは二人だけだ。
戻って来る可能性は十分に見込める為、保存食等一部の物はこちらに置いておくが、研究データなどは情報漏洩防止の為に全て新しい施設に移動させてある。
ただしそれでも、レイが加入して以来食費自体はレイに担当させているものの、それでもあまり余裕があるとは言えないことが理由で無理に割くことができないのが難点である。
今回は連れてくる為の必要経費だと考えれば、マジェコンヌたちには我慢してもらうしかないだろう。
承諾して貰えたので、レイは経費を使うことを視野に入れることが可能となった。
「そう言えば、当日あの子を連れて来た後の場所はどこになったんですか?」
「此処だ。プラネタワーから少し離れた森道・・・。此処で御前たちを回収する」
レイの質問には地図の情報を見せながら答える。
レリウスがこの場を選んだ理由は、人目が付きにくいとレイの足でもそこまで時間を掛けずに来れるの二点だった。
「なるほど・・・ここならそこまで時間は掛からないですね」
「ならば問題無いな・・・では、実行日私は時間の許す限りは此処にいる。後は頼むぞ」
「はい。やって見せます」
レイの返答を聞けたことにより、第一実行日に行動を起こす事は確定となった。
テルミによって連れて来られた形でこの同盟に参加したレイではあるが、今やもうすっかりと馴染んでいた。
彼女自身が女神を廃したいと思っていたことと、彼らが作り出していた空気が比較的馴染み易かったこともあって、当時の慌てやすい性格はいつの間にか何処かへ消えていた。
意気込みを聞けたレリウスは満足そうに頷いてから、身を翻して部屋を後にした。
「(そう言えば、私ってどうして女神が嫌いなのか解ってないんだよね・・・)」
―そっちも知っておかないとなぁ・・・。一人部屋に残ったレイは、自分の記憶の事も考え始めた。
* * *
「(とうとうこれを見せる日が来ちまったか・・・)」
夕食を取り終えたラグナは部屋で休みながら今日の思い返していた。
彼女たちが狙っていたと言う事はまず無いのは解るので、結局は自分のミスが問題だ。
調査するにあたって水着か裸でなければいけないと聞いた段階で可能な限りの対策はしたのだが、それでも限度はあったのだろう。
「(まあバレちまったのは仕方ねえし、話すことは話そう・・・)」
―悪いなハクメン。せっかくの協力が無駄になっちまったな・・・。ラグナは心の中で彼に詫びる。
しかしながら、話すことは多いことは変わりない。自身の『
後は何を話すべきか・・・?考えれば数が出てくる。しかしながら、全てを話そうとすると『蒼炎の書』とは関わりの無い部分も出てくるので、一部は省略がいるだろう。
そう考えていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「いいぞ」
「はい。それじゃあ入りますね」
ラグナが許可を出せば一言を入れたネプギアがドアを開けて部屋に入り、それに一歩遅れるような形でプルルートも部屋に入った。
どうやら、ネプギアが一緒に話を聞こうと思えた相手はプルルートだったようだ。
ネプギアがプルルートを呼んだ理由としては、自分がラグナの右腕を気にしていた所で協力してくれた事が大きい。
「二人でいいのか?」
「はい。今回はプルルートさんが手伝ってくれたので・・・」
「あたしもぉ~・・・色々気になっててぇ~」
―そう言えば、プルルートは俺らが共有している情報の殆どを知らねぇんだったな。彼女が気になると言った事でラグナはそれを思い出した。
もしかしたら、また最初の頃のように話さなきゃいけないのかもしれない。ラグナは長い夜になるかもしれないことを覚悟した。
「取りあえず、『
「・・・ラグナ?」
立ち上がって上着を脱ぎだしたラグナを見てプルルートは困惑を示す。ネプギアも同様ではあったが、ある程度察しが付くのでプルルート程では無い。
最初こそ困惑していたものの、二人はラグナが上半身裸になった時には完全に絶句していた。
何故なら、ラグナの右腕は上腕の途中までが人ならざる別のモノになっていたからだ。
殆どの部分は黒いテーピングのようなもので頑丈に覆われているが、それでも隠しきれていない部分はまるで獣であるかのように刺々さを感じるような形になっていた。
「お前らが気になっていた右腕はこうなってる・・・。『蒼炎の書』はこんな形してるんだ・・・」
「「・・・・・・」」
二人の絶句したあまり何も言えない状況を見て、ラグナはあまり見せていいものではないと改めて感じる。
やはり『
「ラグナ・・・ゲイムギョウ界の人じゃない~って、言ってたけどぉ・・・今まで何があったのぉ~?」
「そうだな・・・まずは、俺が小さい頃どうしていたかから話すとするか。気になるところがあったらその度に聞いてくれ」
ラグナが言ったことに二人が頷いたことを確認し、ラグナは己の過去を話し始める。
ネプギア自身はラグナの大まかな過去の話を聞くのは二回目だが、当時は特に質問等をする余裕が無かったので、今回は訊いて見ようと思うのだった。
「俺の小さい頃なんだが・・・」
まず初めに、自分には弟と妹が一人ずついた。両親は物心着いた頃からいない。
最初の頃はどこだか解らない研究施設にいたが、ある日を境にシスターがいる教会に連れていかれ、以後は四人で小さいながらも幸福な時間を過ごしていた。
しかしながら、何も問題がないわけでは無かった。
「ほぇ?何がいけなかったのぉ~?」
「妹に構いすぎたせいで、弟をほったらかしにしすぎた・・・」
教会での暮らしでラグナの最大のミスはこれにあるだろう。
いくら妹のサヤよりもジンの方が上だとは言え、それでも小さい子供であって、シスターは育ての親であっても血の繋がった家族ではない為、どうしてもラグナに構って欲しいと思う面が出てくる。
しかし、ラグナは「サヤの方がジンより小さい」、「サヤは体が弱い」ということもあって、ジンの事をつい後回しにしてしまっていた。
それ故にジンは、「妹のサヤは兄のラグナを奪う存在」だという考えがどこかで根付いてしまったのだろう。ノエルにとてつもない敵意を見せたのも、それが起因するはずだ。
「お前の変身を良いって言ったのは確かに本音だが・・・。俺の中には、ジンのようにダメって言われ過ぎて後に影響を残して欲しく無いのもあったんだ・・・」
これはラグナの中にある紛れもない後悔だった。
確かにジンの方が一大事なので面倒を見たりしたこともあった。しかしそれでも、サヤに構ってあげた時間の方が圧倒的に多かったのだ。
それ故にラグナは、この世界に来た以上自分のように家族関係で後悔する人を増やしたくなかったのだ。
「そっかぁ~・・・。ごめんねぇ~・・・気を遣ってもらっちゃってぇ・・・」
「気にすることはねぇよ。どの道、変身しても良いって言おうとしてたことに変わりはねえんだし」
先程まではただ嬉しくて喜んでいたプルルートも、事情を知れば変わる。
ラグナ以外にも、ハクメンたちが己の後悔を繰り返さないように配慮してくれたのならと思うと、プルルートは申し訳ない気持ちになる。
しかし、ラグナたちが変身を肯定することに関してはどの道変わらない。
「それに・・・俺はこの経験が無くても、お前に変身して良いって言ってたと思う」
「・・・ホントにぃ~?」
「ああ。何しろ、甘えん坊な
プルルートが不安げに聞けば、ラグナは何も迷う事無くそう言う。
それを聞いたプルルートは安心した笑みを見せる。何があろうとも、
弟をほったらかしにしてしまったと言うが、大変な時は最優先で相手をしてあげたのだから、その時はきっとラグナの弟も安心できていただろう。つまるところ、大事なのは気持ちなのかも知れないとプルルートは考えた。
「って、ああ悪い・・・。変身を良いっつったのもそうだが、大事なのは『
ラグナの右腕がこうなった最大の原因は、『あの日』の惨劇である。
当日、ラグナはシスターの畑仕事をする約束をしていて、一度水を汲みに行ったのだが、突如として教会が焼けていた。
中にはジンとサヤがいたので、慌てて戻ったのは良いものの、そこには何故か『ユキアネサ』を持っていたジンとサヤ・・・そしてテルミがいた。
ラグナは未だにどうしてジンが『ユキアネサ』を持っていたかは解らないが、恐らくはテルミかレリウスの差し金だろう。だが、サヤを連れて行くとなれば、レリウスが計画したと考えれば自然だろうか?そうラグナは考えた。
「そんで、妹を助けようとしたシスターはテルミに殺されて、俺はあいつに右腕を切られた・・・。弟の方はこの時は正気を失ってたせいか、そのままテルミについていったんだ・・・」
「確か、『
「ああ・・・。それ以来、右腕は『
ネプギアの質問にラグナは肯定する。
『あの日』の悲劇によってジンは利用され、サヤを連れていかれ、シスターを殺され・・・そして右腕を切られた状態で生死を彷徨っていたラグナは、突然として目の前に現れたレイチェルの計らいによって『
「ただ、『
実際にゲイムギョウ界に来てからも暫くは危険な状態だった。
特にハクメンと対決する直前は、あと一歩でゲイムギョウ界に多大な迷惑と被害を与えてしまうところであった。
そして、その話を聞いたプルルートが体を振るえさせているのが見えた。
「どうして・・・ラグナにそんな『
「多分・・・俺に必要だと思ったからだろうな・・・。実際、俺は師匠に修行を付けてもらって、制御のやり方も教えて貰った」
『蒼の魔導書』の力は強大だが、使い方を誤れば自身を喰い殺す極めて危険なもの・・・。だからこそ、それを扱えるように制御の仕方を身につけるのは当然のことだった。
当然、その強大な力を制御できるようにするのだから、生半可な事では済まないが、それでもラグナは諦めることをしなかった。
その理由は全て、連れていかれてしまった妹を助ける為であった。そして、暫くして師である獣兵衛と共に『窯』の中で精錬されていたものを知って愕然としたものだった。
その後暫くして、十分な実力を身につけたラグナは、妹を助ける為に『素体』たちを破壊しに向かうことになった。
「まあ、そん時『統制機構』の支部を何個か壊したのもあって、そいつらからは指名手配されちまったがな・・・」
それでもラグナには関係無かった。妹を助ける以上、ありとあらゆる手段を行使するつもりでいたので指名手配がどうこうで驚きはしないのだ。
また、『統制機構』の裏事情を知っているラグナは、彼らからすれば非常に厄介な存在であるが、ラグナ自身はそれを特に公表するつもりは無かった。
実際に指名手配を食らったのはカグツチの時ではあるが、それでも相当な額になっていたのは変わらなかった。
「裏事情を知ってんのはごく一部の人間だけで、知らない人は最高司令官でも知らなかった・・・。ただ『統制機構』憎しでそんなことをやる必要もないし、それを知った事で、関係ない奴らが危険な目に遭う必要はないしな・・・」
「「・・・・・・」」
ラグナの考えを知った二人は何も言えなくなる。
そして、関係ない人は例え敵であっても巻き込まないようにする。その分かる人にしか分らない優しさを知って少し悲しくなる。
「暫くしてそうして色んなとこ回ってから、俺どころか、世界が大きなターニングポイントに直面することになったんだ・・・」
「ターニングポイントぉ~?」
「ああ・・・俺たちの世界は、あることを条件に世界が必ず特定の場所まで巻き戻されてたんだ・・・。そして、その引き金は俺の死だ」
ラグナが語った衝撃の真実を前に、二人が絶句する。
裏側の事情を知っていたハクメンも、「ラグナとニューが融合し、『黒き獣』になる」ことが条件だと考えていたが、まさかラグナの死が理由だったとは思わなかったのだ。
あのナインも、ラグナが関わっているのは分かっていたが、まさかそちらが条件までは考えていなかった。
「じゃあ・・・どぉやってその巻き戻しを乗り越えたのぉ~?」
「俺一人じゃどうしようも無かった・・・。また『予定調和』が繰り返されそうになった時、それに干渉して変えたのがノエルだったんだ」
ノエルは『予定調和』が繰り返されそうになった時、『境界』に落ちそうになったラグナを引き留めて助け出したのである。
それによってその『予定調和』は崩され、あの世界に住む人たちはようやく次の場所へ進むことを許された。
とは言え、これで全てが解決したわけでも無かった。
「確かに『予定調和』は乗り越えたが・・・問題はまだ妹を助け出せてないのと、テルミが俺の前に現れたことだ・・・」
―他にも、ハクメンとはこの時敵対してたから普通に命狙われてたりしたし、とにかく一難去ってまた一難って感じだったな・・・。ラグナは思い返すだけでも頭が痛くなった。
と言うより、ラグナからすれば自身が妹を助ける度に出てから、こちらで少しするまでは極めて多忙な時間を送っていたと思う。
また、その多忙な時間の途中で『冥王・イザナミ』の依代とされてしまったサヤと対面することになった。
当然『イザナミ』は止めなくてはならないので、それまでは『素体』の破壊をして回っていたが、世界に等しく『死』を与えようとする『イザナミ』を止めることも追加された。
「ただ・・・ここで最大の間違いをしてるのは、妹を『殺す事で、苦しみから解放する形で』助けようとしてたことだな・・・」
「他に・・・方法は無かったんですか?」
「多分あったはずだ・・・だが、その時の俺はこの手段しか解らなかった・・・」
―後で妹に言われたよ・・・。助けて欲しいと待ち望んでいるのに、殺そうとして来ていたらそれは悲しくなるだろう。
最終的に助け出すことができたから良いものの、それまでの間どれだけの時間寂しく辛い思いをさせてきたか・・・そう考えると情けなくなる。
「助けて出した後は、最後にやることを済ませてから世界を去るだけだったんだが・・・どういう訳か、このゲイムギョウ界に来てた・・・」
―その後も元の世界のいざこざと対面することになるとは思わなかったけどな・・・。ラグナは自分でもそうなるとは微塵も思っていなかった。
ハクメンとの決着を付けたり、倒したはずのテルミが何故かゲイムギョウ界にいたりなど・・・。余りにも予想外すぎた。
「ほぇ?ハクメンさんとラグナ・・・仲悪かったのぉ~?」
「仲が悪いってよりは・・・因縁って言うのか?そんな感じだったな・・・ケリが付いたからもうそんなこと気にする必要は無いんだがな・・・。ニューも助け出せたし、これからはもう気にする必要もねえさ・・・」
プルルートが困惑するのも無理は無いだろう。何せプルルートがこちらに来る頃には、既にその因縁は終わっていたのだから。
ハクメンは『蒼炎の書』が『黒き獣』と深く関係してるのが理由で、ニューはラグナと融合して『黒き獣』となり、自身が嫌う世界を破壊する事が目的であった。
今は落ち着きつつあるが、かなり巨大なものを抱えていたのかとラグナは思った。それほど、自分はあの世界で大きな影響があったのである。
「そう言えば、ラグナさんは妹さんと一緒には来れなかったんですか?ようやくの思いで助け出したのに・・・」
「どうなんだろうな・・・。『これからはずっと一緒』って・・・言った手前これなんだが・・・」
もちろん、何も手がかりが無いわけではない。『少女』の正体がどうなのかで全ては変わるからだ。
ラグナ自身、ネプギアが『少女』と交代している時はサヤと呼んでいるので、その可能性がゼロでは無い。
「だから・・・『あいつ』が誰なのかで全てが決まる・・・。もし『あいつ』がサヤなら・・・その言葉はちゃんと形になるんだが・・・」
ラグナ自身、これは何とも言えない状態だった。言動等を考えても殆ど一致するのだが、ゲイムギョウ界に来た時は自分一人だったからだ。
それ故に、今は手掛かりとなるものが欲しかったのだ。以前に見た夢が事実なのかどうかを確かめることも手掛かりに繋がるだろうと考える事もできた。
「『あの子』って言ってたよねぇ・・・?それがラグナの言っている人なのぉ?」
「ああ・・・。それと、そいつの生まれ変わった姿がネプギアじゃないのかって話も出てる」
その話を聞いたプルルートは目が点になった。
実際のところ、まだ完全に言い切れる訳では無いのだが、非常に高い確率でそうだとは言われている。
「だから・・・俺たちは『あいつ』の正体を知る必要があるんだ・・・」
これはラグナのみならず、全員が気にしている事だった。
ゲイムギョウ界組を安心させる為にも、『少女』の正体を判明させるのはとても大切のことであった。
「・・・とまあ、やらなきゃいけない事はまだ残ってる・・・。取りあえずは、それを何とかしねえとな」
終わった後のことは、その時に考えれば良い。以前の世界から去る事が決まっていたラグナは、終わった後のことは余り考えないようにしていた。
本来は世界から消えるような形で去り、何もやれなくなるはずだったので、再びこうして生きていける事に直面して戸惑ったからだ。
これからは真っ当に生きるにしろ、自身のいた世界から続いている物は片付ける必要があるだろう。
ハクメンとの因縁、ニューの救援は終わったので残りはテルミとの決着とノエルたちを元の世界に返すこと。そして『少女』の居場所を突き止める事だが、難儀することは想像に難くなかった。
「今度こそぉ・・・ちゃんと終わると良いねぇ~?」
「ああ・・・。どうにか終わらせりゃ良いがな・・・」
テルミとの決着を付けるのは当然の事だが、少し不安な要素も残っていた。
まず初めに、以前は『
更に言えば、前回は『蒼炎の書』を賭けて『蒼の境界線』で戦っていたのだが、ラグナが既に真なる『蒼』を手にしてしまっているので、それができるかも怪しい事になっていた。
しかし、それでも可能性があるならば諦めはしない。ラグナはそう言う方針を持った男である。
「・・・色々と頭が痛くなるようなことを話し込んだが、大丈夫か?」
「何とか大丈夫~・・・。でもぉ~、ちょっともう起きるのが辛いかもぉ・・・」
ラグナがこの短時間で知ったプルルートとネプギアの事を案じて問うが、プルルートがそろそろ限界に近づいていた。
確かに、時間を考えればもう日を回ってしまっているので、このままだと明日に響くのは確実であった。
「最後にだが、今回の事を無理に話す必要はねえ。もし話しちまったんなら、俺の『
「分かりました」
「うん~。分かったぁ~・・・」
勿論、今回の事に関しては自分のミスによるものなのと、
その為、ラグナがそう言えば、二人はすぐに受け入れてくれたので事はすぐに片付いた。
そして、もう時間が遅いので話しはここまでにして二人が部屋を後にするのを確認し、ラグナはベッドに体を預けた。
「(色々と厳しい問題が残ってるが・・・やるしかねえな)」
まだまだ問題になる事は残っている。厳しい面もあるが、それでも以前と違って全てを一人でどうにかしなければならないことではない。
その希望が大きな支えになったラグナは、明日に備えて今は眠って休む事にした。
また、今回の自身の抱えているモノを改めて話すことができたのか、ラグナの心持ちは知らぬ内に、少しだけ軽くなっていた。
少し短くなってしまったのと、強引な纏め方をしてしまった感じがあるので、その辺は申し訳ございません。
次回は恐らくこのままアニメ9話分の話に入ると思います。