超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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新章の開始となります。
残りが短くなって来ましたが、最後まで楽しんでいただけると幸いです。


選ばれる未来、蒼の男が手にしたモノ
55話 決戦に備えて


ラステイションの廃工場にて、レリウスは『スサノオユニット』を創り上げる作業に入っていた。

今までの中で全てのデータを入れ込んでいき、現段階での完成度を確認するのだが、データの量が思ったより多く、取り入れるのに時間がかかっていた。

データを入れている際、変化していくデータを目で確認しながら、なるべく当初の予定とずれが少なくなるように注意して作業を行うので、かなり苦労するものだった。

 

「(ほう?此れは、まだ入れ込みの余地が残っているか・・・)」

 

コレで負けてしまった場合、次は相当に長い時間準備する必要がある為、『スサノオユニット(己の傑作)』の完成度は少しでも高い方が良いのだ。

確かに女神同士の戦いという、最も重要なデータは手に入っている。しかしながら、あの時はネプテューヌが全力では無かったのもあってデータの密度がほんの僅かに浅いことが判明していた。

その為、現段階で入れ込めるデータを全て入れたところで一度作業を中止した。

 

「ならば、次はどこかの国に潜入して調査を行えば良いだろう」

 

レリウスは結論を出してから一度研究室を後にし、マジェコンヌたちが集まっている場所に足を運ぶ。

そして、ドアを開けてみれば案の定全員がその部屋にいた。

 

「お?終わったのか?」

 

「いや、途中でもう少しデータを入れられる余裕があることに気が付いてな・・・。それを得る準備として、どこかの国に潜ろうかと考えていた」

 

テルミに訊かれたので現状を答えると、「アレでまだ余裕あんのか?」と驚きの表情を返された。

もう十分だと思っていたテルミには嬉しい知らせだし、しかもそのデータを取り込めば調整自体はすぐに終わるので、もう完成は目の前だった。

 

「ならば、どこかで戦いを引き起こさせるような状況を作り出す必要があるか・・・」

 

「シェアエナジーをどこかに偏らせるって言うのはどうっちゅかね?それなら一番その状況を作りやすくなるっちゅ」

 

「それは確かに思いついたことだが・・・誰もその方法を持ち合わせていないのが問題だな・・・」

 

ワレチューの提案は確かにマジェコンヌも思いついたことだが、実はそうさせるような手段を持ち合わせていなかった。

その為、この提案はマジェコンヌの中では蔵入りとなってしまい、別の提案を考えていた最中だった。

 

「あ、あの・・・その提案なんですけど・・・」

 

『・・・・・・?』

 

こう言ったことにはあまり口出ししてこなかったレイが手を上げながら切り出したので、全員が物珍しそうにそっちを見やる。

 

「私の記憶が戻ればなんですけど・・・もしかしたら、その提案が実現できるかもしれません」

 

『・・・・・・』

 

レイからまさかの発言を聞いた一行は一瞬固まる。

その固まっている間に大急ぎで頭の中を整理すると、レイができるかもしれないと言う発言をしたという事実が残る。

 

『・・・・・・何ィッ!?(マジっちゅか!?)』

 

マジェコンヌとテルミ、ワレチューの三人は面食らい、レリウスですら「それは素晴らしいな」と満足そうな表情を見せているが、内心冷や汗ものだった。

それだけ、レイの発言が全員にとって予想外過ぎたのである。とは言え流石に大袈裟だったか、レイは「そ、そんなに驚かなくても・・・」と苦笑交じりに呟くのだった。

 

「・・・どうするっちゅか?今までで一番イチバチな提案っちゅけど・・・」

 

「私は構わん。とにかく、その記憶に引っ掛かりそうなものを全て洗い出そうじゃないか・・・。お前たちもそれで構わんか?」

 

「良いぜぇ。それが打開策になるなら持って来いだ」

 

「私も問題ない。新たなデータがもらえる可能性は、何処にでもあるのだからな」

 

「・・・なら、オイラも協力するっちゅ。コレで女神どもに一泡吹かせられるならもってこいっちゅよ」

 

ワレチューが振ってみると全員が記憶関係に協力するつもり満々であったので、ワレチューも乗り気になった。

 

「皆さん・・・ありがとうございます。絶対に記憶を戻して見せますね・・・!」

 

「ああ。そうなれば、私たちが聞くことを可能な限り答えてくれ。それを元に探していくぞ?」

 

全員が協力を約束してくれたことが嬉しく、レイが笑みを見せながら礼を言う。

そして、この後レイは各人からの質問を丁寧に答えていき、同盟の全員が少しでも調べやすくなるように尽力するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「さて・・・後頼まれてたのはっと・・・」

 

ラグナは久しぶりにプラネテューヌの街並みを歩き回っていた。

と言うのも、食材や香辛料。新しい予備の電池など、使っている内に足りなくなってきていた買い出しをネプギアに頼まれたのである。

最近ネプギアが絡むと落ち着きが僅かに薄れるラグナは快諾し、そのまま必要なものを用意してプラネタワーから出て今に至ったのである。

そうしてまたメモを確認するラグナだが、一つここで頼まれた以外のことで気づいた事がある。

 

「(俺、ネプギアのことを考える比率が跳ね上がったな・・・)」

 

最近になって、正確にはR-18アイランドに向かっている途中からだろうか?ラグナはネプギアを意識することが多くなっていた。

それがプルルートによって引き出されたものなのかどうなのかは分からないが、彼女のことを意識すれば心臓が跳ねるのは明らかだった。

 

「(・・・これは病気とかそういうのじゃねえのは確かなんだけどなぁ・・・)」

 

体に問題ないのは確かなのだが、心に残るこれを何と呼ぶべきなのかがラグナにはわからなかった。

そう言えばと・・・少し考えたラグナは、こういうことに詳しそうな人がいることに気が付いた。

 

「(ナインなら何か知ってんじゃねえのか?)」

 

ナインは暗黒大戦時代を切り抜けた後、自身の師匠である獣兵衛と結婚している。そうであるならば恋心も抱いているはずなので、何か聞き出せるだろうと思ったのだ。

こういう時に頼れる身内がいるというのはとても大きい。そう結論付けたラグナは、少しだけ肩の荷が下りたような気がした。

 

「(余裕があったら聞きに行こう。ついでにあの同盟(あいつら)の対策を練ることができればいいんだが・・・)」

 

重要な案件が混ざればナインも話を聞いてくれるだろう。彼女に更なる疲労を与えるという罪悪感も生まれるが・・・。

他にも、自分のネプギアに対する感情が分りさえすれば、少しは安心できるという期待感も混ざってはいるのだが、それはできたらの話である。

 

「そうなったら、コレもちゃっちゃと済ませちまうか」

 

考えを纏めたラグナは、一先ず頼まれている買い出しを済ませるべく足を早めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「へぇ?こんな所には初めて見たなぁ・・・」

 

「ああ。私もここには来たことが無かったな・・・」

 

レイの話を一通り聞き終えた同盟の全員は、その情報を基に古びている遺跡にたどり着いた。

場所としてはラステイションの廃工場よりも更に国から離れた場所にあった。人が寄り付かない証拠なのか、遺跡は所々にひびが入っていたり、カビが見えていたりした。

しかし、レイから聞いた話ではここに自分の記憶に関わる物があるらしいので、自分たちには確かに入る意味がある。

 

「何か仕掛けが残っていたりする可能性はあるか?最悪、ネズミが待機せねばならない可能性が生まれる」

 

「いえ、仕掛けがあったりはしません。私がいると特に何も起こらないので・・・」

 

レリウスは大事なことを聞いておく。もし仕掛けがある場合、戦闘で何もできないワレチューは置いていくしかなくなることがある。

無論、ワレチューもそれは把握しているので特に文句はないが、せっかく仲間のことをどうにかできるのだから全員で行った方が良いのは言うまでもない。

しかし幸いにもその可能性はレイから否定されたので、レリウスは一安心する。

どうやらレイはこちらに近づくたびに記憶が少しずつ戻って来ているらしく、このまま行けば奥にたどり着く頃には全ての記憶が戻るだろうと踏んでいた。

 

「取り敢えず中に入ってみようっちゅ。この感じなら何かあっても事前に避けれそうっちゅよ」

 

「道解んなくても道なりに行けば良さそうだが・・・どうよ?」

 

ワレチューの言うことは最もで、今ならレイのお陰で事前に回避が可能な確率は極めて高かった。

この先の遺跡の道が分らなくても、この同盟は適当に進んでも最後は辿り着けるものの、レイが道を分かっているならそれに従った方が良いのは明白である。

 

「道のことなら平気です。私が案内できますから」

 

「ならば話は早いな。是非とも案内を頼む。護衛はこちらがしっかりと行うから、安心しろ」

 

「私は研究も兼ねるから後ろにいよう。先導は任せたぞ」

 

「わかりました。それじゃあこっちなので、着いてきてください」

 

幸いにもレイは案内できるようなので、案内を頼む形を選ぶ。

順番は先導する影響からレイが先頭。彼女の隣にはマジェコンヌ。その一つ後ろにテルミとワレチュー。最後尾にレリウスが控える形となった。

 

「此れは何かの装置か?」

 

「はい。それは不法に入ってきた人たちを迎撃する為のものなんです。今回は私が皆さんを招いてる扱いなので、稼働するところは見せられませんが・・・」

 

「そうか・・・だが、動かなくとも構造を把握することはできそうだな」

 

レイの説明を受けたレリウスは、ダメならダメなりに調査を行う。

元々、ゲイムギョウ界自体が未知の世界であったレリウスからすれば、この世界で無駄になるものの方が珍しいのである。

 

「ところで、ここはいつからある場所なんだ?このボロ付き具合からして、昔は人が住んでいたと思うが・・・」

 

「そうですね・・・。そのことは私のことと纏めて話しますので、少し待っててくれますか?」

 

テルミの問いに、レイは一瞬迷いながらもちゃんと答えたいと思ったので、それに相応しい場所で答えることを選んだ。

その回答を聞いたテルミも一瞬考え込んだが、「応えてくれるならいいや」と納得してくれた。

レイが招き入れた扱いであることは本当らしく、装置の稼働している様子は見れるものの、非常時の動きを見ることは無かった。

 

「・・・別れ道が減ってきたな?」

 

「もう少しで一番奥まで付きますよ」

 

マジェコンヌが一本道のみになっていることに気が付き、それによって呟いた彼女の声を聞いたレイが進み具合を話す。

レイの話を聞いた全員は、もうそこまで進んだのかと思った。特に周りを気を付ける必要性がないのもあって、随分と気を楽にしていたようだ。

 

「ここが一番奥です。扉を開けるので、少し待っていて下さい」

 

一番奥までたどり着くや否、レイはすぐに扉の近くにある電子パネルを操作し始める。

悩む素振りが見られないことから、どうやらロックを外す為の番号は思い出しているらしく、一度のミスも無くロックの解除は完了して扉が開いた。

 

「こっちです」

 

自分がこれから話そうとしていることでマジェコンヌたちがどう思うかは分からないが、それでもレイに迷いは無かった。

ただ、記憶のことに協力してくれたのだから、話すべきだし話したいと考えているのは事実だった。

そして、自分が本当は何をしていても驚かなそうな彼らは、興味津々な態度を崩さないままレイの案内についていった。

扉をくぐれば少しの間階段が続き、階段続きの狭い通路から出ればその先にはあまりにも広い会議室のような部屋があった。

 

「何だ?ここ・・・」

 

「デカい部屋っちゅねぇ・・・」

 

テルミとワレチューから出たのは呆然とした感想だった。いきなりこれだけ広い場所に来た身としては戸惑いの一つや二つがある。

しかし、外は所々老朽化している様子があったのに、どうしてこの部屋は新しさが残っているのだろうか?その疑問がレリウスとレイを省く共通の疑問符であった。

 

「・・・ふむ。何やら古びた資料が残っているな」

 

「おい。いくら人がいなかったとは言え、それは無いだろう・・・」

 

「大丈夫ですよ。もうそれは使われない資料ですので」

 

レリウスが無断で引き出しを調べ出していたので、マジェコンヌは少しだけ咎めたものの、レイが大丈夫と言ったのでまあいいかとその思考を投げ捨てた。

ここを知っている本人からの許可を得たレリウスは、他にも資料が残っていないかの確認を行ってから、集め終わった資料を読み始めた。

こうしてレリウスが資料を読み漁るのも、全ては己の研究に使える物があるかもしれないからだ。

レイが許しを出したから資料の件はもう良いのだが、これによってもう一つの疑問が浮かび上がることとなった。

 

「この資料を知っているということは・・・お前はここで何かをしていたのか?」

 

「はい。今から相当昔に、国を持っていました・・・」

 

マジェコンヌの問いには全く迷う素振りを見せないままレイは答えた。

―国を持っていた。その言葉だけでも、この同盟はレイが何者かを大方察することはできた。

 

「・・・ということは、レイは女神(・・)だったわけっちゅね?」

 

「もう数えるのが馬鹿馬鹿しいくらい前に辞めちゃったので、信仰者は一人もいないと思ってたんですけどね・・・」

 

ワレチューの問いに答えながら、レイの体が光に包まれたので、全員がその光景を凝視する。

驚かないで済んだのはレイが自ら「私は女神ですよ」と答えてくれたからで、そうでなかった場合は間違いなく平静を保てなかっただろう。

そして、レイを包んだ光が消えると、体格や髪型などに変化は見られず、服装が女神らしいそれに変った程度であったので、テルミたちはそれがレイの変身した姿なのだと理解した。

 

「皆さんが信じてくれる気持ちが信仰心になったんでしょうね・・・。お陰で変身することができたみたいです」

 

自分が変身できた理由を説明するレイであるが、自分自身でも予想外なことが起きていた。

 

「(以前は性格が変わっちゃってたけど、それは力を得たからって驕り昂ったせいなんだろうなぁ・・・)」

 

この力を失うより前は平時からあからさまに暴走したかのような言動や性格になっていたが、今回はそんなことは無かった。

つまるところ、あの性格の豹変は己の心持ちのせいであると気付くことができたのであり、それだけでも大きな収穫だと感じることができた。

 

「成程・・・この資料から推察するに、御前の納めていた国は国民が御前に求めていたものと、御前が国民に与えようとしたものの違いから崩壊したと見えるが・・・どうだろうか?」

 

「その通りです。彼らは救済や自由に暮らせる場所を求めていたのに、私はただこうしろと押し付けるだけ。それで嫌気がさした国民たちが離れて行くのを見た私がしたのはただの八つ当たりも同然の事だったんです・・・」

 

―ちなみに、私が治めていた国はタリと言う名前です。とレイは付け加えた。

資料を読み終えたレリウスが確認すると、レイから肯定されたので間違い無かったことが分かった。

レリウスが読んでいた資料はレイが女神として国を持っていた時代の資料で、国民の声や入ってきた人と去る人の数の確認などができるものだった。

それによって気になった全員が資料による目を向けたので、レリウスはテルミに預けて残りの人たちに読んでもらうことを選んだ。

読み終えた全員は、「なるほど。これではダメだな」と理解することができた。

 

「今思えば、私が女神を嫌っていた理由も、自分はああだったのにこの人たちは普通に人が寄り付いているから許せないっていう、自分のせいなのに何を考えているんだっていうものでした・・・」

 

「まあ、確かにそりゃあ八つ当たりって言われてもしょうがねえな・・・」

 

自身が女神を嫌う理由を話して、レイは今までの自分が馬鹿馬鹿しくて仕方ないと思ってしまう。

ただ自滅して人から離れられたのにも関わらず、それで他の女神を恨むのはお門違いにも程があるものだった。

流石にテルミもそれには同意するしかなく、レイもそれは分かっていたので「そうですよね・・・」と納得するに終わった。

 

「だが、今は違うはずだ・・・今のお前はどうしたい?国を取り返したいとか、そういう訳でも無いのだろう?」

 

「そうですね・・・」

 

マジェコンヌに問われてレイは少し迷う。自身の記憶を求めていたので手一杯だったので、その先を考えていなかったのだ。

この同盟を抜けるつもりはないのは確かだが、女神を倒す・・・という表現は少し違う気もした。それでも女神に用ができたことには変わりないので、少し表現を考える。

そして、考えた結果次の答えが出た。

 

「私は・・・今の女神がどれだけやれているか、試したいんだと思います」

 

「詰まる所女神と戦うことを所望している・・・それでいいのか?」

 

レイの答えにレリウスが問いかければ、レイはそれに頷くことで肯定を示した。

また、頷いたレイは「私たちに負けるようなら彼女たちはそこまでだったんでしょうね」と付け加える。確かに、一人増えたくらいで負けるならそう思われても仕方ないことだろう。

 

「じゃあ、この同盟はまだ暫くは続くっちゅね」

 

「ただ、このままだとこちらが危ういのもまた事実か・・・」

 

同盟が解散ではないことに安堵こそすれど、次の戦いに負けた場合そのまた次も戦いを挑めるかと言えば怪しいだろう。

そう考えれば無論、死力を尽くして相手をしなければならない。その為には用意の忘れや万が一の備えなど、全て万全に済ませる必要がある。

 

「さて・・・どうにかする為にもまずはシェアエナジーを偏らせる方法だが・・・どう行うのだ?」

 

「コレを使ってシェアの操作を行います」

 

マジェコンヌに問われたレイが答えると、それに呼応するかのように彼女の足元の床がスライドし、その中から小さい光の球が現れ、全員がここにもシェア収集装置があったのかと驚いた。

 

「ところで、国はどこにしましょうか?」

 

レイが問いかけたのは、シェアエナジーを操作するとは言ってもどこの国に集めるかを決めていなかったからである。

 

「そうだな・・・一番怪しまれなそうなところって言ったらどこだ・・・?」

 

「逆にここは無いって言われてるところでも良さそうっちゅね。プラネテューヌなら毎度シェアが一番少ないし、色々女神たちで荒れるかも知れないっちゅよ?」

 

悩んでいるテルミにワレチューが自分の意見を出せば、全員がなるほどなと頷いた。

確かに、プラネテューヌならば多少なりとも影響は出るだろう。そうなれば後はこちらで準備がやりやすくなる。

 

「では、プラネテューヌで大丈夫ですか?」

 

「プラネテューヌにしよう。それまでに準備は済ませておきたいから、準備が終わってからそれを使おう」

 

「わかりました。準備が終わったら、またここに来ましょう。後、ここの中も説明しておきたいので、案内しますね」

 

シェアエナジーはプラネテューヌに集めることで決まり、準備の手助けができればと思ったレイは遺跡の中を案内することにした。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「成程・・・。確かに、現段階では対策が無いか・・・」

 

「ええ。だからこそ、どちらかに使ってもらえるのならそれで対策は成り立つのだけど・・・」

 

リーンボックスの教会でナインに用意されている部屋で、ハクメンとナインが今後のことで対策を話していた。

現状、対策として用意できるものは錬金術が必要なもので、魔法なら幾らでも使いこなせるナインと言えど、流石に今すぐ習得できるものではなかった。

 

「だが、使うのはあまり望ましくないだろう。本来、あの力は行き過ぎたものなのだからな・・・」

 

―できることなら、使わないのが一番望ましいわね・・・。ナインがハクメンの言葉に相づちを打った直後にドアをノックする音が聞こえた。

その音を聞いたナインが許可を出せば、ドアを開けてラグナが入ってきた。先程ラグナが今後のことを話したいと言ってきてくれたので、彼に頼めるかどうかを確認できるのでハクメンと意見が一致して呼んだのである。

 

「悪いな。お前も忙しかったろうに・・・」

 

「いえ。私たちも丁度、あなたに頼めないか考えていた事があったの」

 

「・・・俺に?」

 

ナインからの言葉を聞いたラグナは首を傾げる。ナインが自分に頼むことは非常に珍しいと感じていた。

 

「実はね・・・今ハクメンと一緒に、あの同盟を倒す方法について考えていたの」

 

「・・・!なるほどな。俺もちょうど、あいつらどうにかしたいと思ってたんだ」

 

確かに、同盟をどうにかするのは死活問題であった。その為ラグナはその対策の協力は乗り気であった。

 

「まず、見回り方は普段通りで大丈夫そうか確認しましょう」

 

「ルウィーは三人と外に出ることが多いのでな・・・その間に私が確認も兼ねて行っているから問題はない」

 

「リーンボックスは私が調べているから問題無くて・・・」

 

「プラネテューヌは特に出かける場所が無いやつが率先してやってて、時々女神と俺も混ざるから一番安全だろ」

 

「確か、ラステイションは女神二人がローテーションをしていたわね・・・。時々あの三人で一緒に監視を変わってもいる」

 

一通り確認してみたものの、全く変える必要が無かったのでどうしようも無かった。

次にテルミらの同盟があの後何か動いたかを確認するも、特に動きが無かったので引き続き警戒することに留まる。

こうして考えてみると、大分手詰まり感が強い状態であることが判明した。

 

「現状、テルミを止めるにはなんか方法はあるのか?俺は無理矢理捕まえることはできても、その先が残ってねぇからな・・・」

 

「ならば、私の持つ『鳴神』を使うとしよう。此れならば奴の刻を止め、動けぬ身にすることも可能だ」

 

「そうね・・・現状、それが一番良いわね」

 

テルミのことに関しては現状、ハクメンの『鳴神』に活路を見出すことになった。

やり方としては、『エンブリオ』で行ったことに近い方法で行うことが決まった。

もちろんこれは博打に近い方法である為、可能ならば『刻殺しの刀(ヒヒイロカネ)』が欲しい所であった。

 

「現状は此れで良いとして・・・後は祈るしかあるまい」

 

「そうね・・・。後はお互いにできることをやっていきましょう」

 

「分かった。それと・・・ネプギアに『蒼』のことは俺から話しておく」

 

この三人で話して見たのは良いものの、できることが限られているのが分り、ネプギアに『蒼』のことを改めて話すことに留まった。

そして、これによって同盟への対策の話はお開きとなるのだが、ラグナは忘れずに聞いておきたいことを聞くことにした。

 

「そうだった・・・。ナイン、これはさっきの話とは違うことになるんだけどよ・・・」

 

「・・・?どうかしたの?」

 

こんな問いかけ方をするのがラグナにしては珍しすぎたので、ナインは思い切ってその話しに乗ることにした。

一体何があったのだろうか?それが気になったのである。

 

「実はな・・・」

 

それからラグナは、最近ネプギアのことを意識する。またはネプギアの近くにいると落ち着きを失いやすくなっていることを話した。

また、その時心臓が跳ねるようなものを感じるのだが、何でそうなったかが良く分からないことも忘れずに話した。

 

「これって・・・何かの病だったりするのか?」

 

「・・・・・・」

 

ラグナが素で聞いてきたのが分かり、ナインは数秒の間硬直してしまう。

そして、ラグナがそれに気が付いていないことと、本当に分からない様子でいるのがおかしくなって吹き出し、腹を抱えて盛大に笑った。

 

「お、おい・・・どうした?」

 

「どうしたも何も・・・。まさかそこまで自分に鈍いとは思わなかったもの・・・」

 

困惑するラグナに答えながらも、ナインは再び爆笑する。それだけラグナの無自覚さが面白かったのである。

一方で、ハクメンは「御前にもその時が来たか」と、少し楽しそうな声を出した。

 

「ええ。それは確かに病よ・・・『恋』と言う名の心のね」

 

「・・・・・・マジかよ。けど、言われて見れば納得できるな・・・」

 

ナインに言われたラグナは、そこでようやく己に芽生えたものを自覚する。

どうやら知らない内にそうなっていたらしい。まさか自分がそんなものを抱くようになるとは思いもしなかったのである。

 

「その想いが成就することを・・・一人の友として願おう」

 

「そうね・・・私も、あんたが上手く行くことを願うわ。後、困った事があったらいつでも聞きなさい?少しだけでも、私の経験談が助けになるかもしれないから・・・」

 

「ああ。そうさせてもらうよ・・・」

 

この話しは今この場にいる三人の秘密となり、今度サプライズになれば良いなと願うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・さて、そろそろ頃合いだな」

 

遺跡の案内を受けてから数日後、そろそろ良いだろうと感じたマジェコンヌたちは再び遺跡に足を運んでいた。

そして、変身した姿のレイが自身の正体を話した場所で準備の出来ている収集装置を囲むように集まり、後は収集装置を使って行動を起こすだけだった。

 

「場所は当初の予定通りで大丈夫ですね?」

 

「ああ、予定通りプラネテューヌに集める・・・。それから行動を始めよう」

 

「了解した。起動した直後から私はプラネテューヌに潜り込もう」

 

「俺は周囲に邪魔するやつがいねえか確認しておくわ」

 

「おいらはここを使って周りの反応を確認するっちゅ」

 

全員が与えられた役割を確認して、開始の時を待つ。

そして、もう待つ必要はないと分かっているレイは、水晶を起動することにした。

 

「それでは、行きます・・・!」

 

レイは収集装置に横から両手を触れそうなくらいまで近づけ、意識を集中させる。

暫くすると収集装置が紫色の光を放つようになったため、これで起動を完了させることができたレイはその手を収集装置から離した。

 

「さて、これで準備完了です」

 

「感謝する。では、始めよう!」

 

マジェコンヌの合図で全員が動き出す。

レリウスとテルミはその場を飛び去って外に出ていき、残った三人は遺跡の中に残って最後に必要なものを準備していく。

 

「(三度目の正直というやつか?恐らく、これが最後になるやもしれんな・・・。だからこそ、出し惜しみはないようにせんとな)」

 

もしかしたら、これ以上はできないかも知れない。そんな危惧を持ったからこそマジェコンヌはいつものような高笑いをしようといった思考は出てこず、その代わりに手元は汗で濡れていた。

こうして、和平を結んで以来最大の危機がラグナたちの下にやって来ようとしていたのだった。




今週、インターンシップに備えた事前学習があった事で少しだけ文章を考える余裕が無くなってしまいました・・・(汗)。

ここ来てようやくラグナが初恋を自覚する形になりましたが、大丈夫かどうかが凄い不安になっています・・・。
レイの方は迷った末このような形を取らせて頂きました。原作と比べて明らかに違うものがあったりしますが、もしこの方が良いとあったら一声いただけたら幸いです。こちらも無理のない範囲で修正を効かせようと思います。


次回からアニメ11話本編に入りたいと思います。
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