超次元ゲイムネプテューヌ-DIMENSION TRIGGER-   作:ブリガンディ

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今回からアニメ12話分・・・つまるところ、最終決戦になります。

まさかの感想によるサブタイバレが二回目・・・。どうしてこうも私の付けるサブタイはバレやすいんでしょうか・・・(汗)?

一回では纏め切れなかったので、前半とさせていただきます。


60話 God of War(前半)

現状、プラネテューヌにいる戦力で空を飛ぶことができるのはネプテューヌとネプギアの二人しかいないので、ネプテューヌは迷うことなくレイへと向かって行く。

 

「・・・はぁっ!」

 

「ふっ!」

 

ネプテューヌが自身の持っている刀を右から斜めに振り下ろすのに対して、レイは杖を左から真横に振るうことで受け止める。

二つの攻撃がぶつかりあった瞬間、ネプテューヌはある違和感に気が付いた。

 

「何・・・!?力が抜けて行く・・・この感じは・・・」

 

「気が付きましたね?それと、それだけ急に力の分量が変わったなら、何が起きたかなんて・・・今の貴女ならすぐにわかるはずですよ?」

 

シェアが偏っていた事から、ブランとの戦いでは体力的には余裕だった。素のパワーで負けているはずの状況も、そのおかげで今回は緩和もされていた。

しかし、ブランと戦っていた時までのそれは今この時を持って急速に失われて行ったのだ。また、それに反比例するかのようにレイの力も強まっていた。

その状況で問いかけられたネプテューヌは、もうその答えが一つしかない事に気が付いた。

また、このままだと押し切られて自身が飛ばされてしまうので、レイの強まった力を利用して武器同士のぶつかり合いを自ら終了させ、彼女から距離を取って構え直した。

 

「という事は・・・シェアの操作はあなたたちの仕業ね?でもどうやって?シェアの収集装置はあの時確かに破壊したはずよ?」

 

「確かに、あの時エディンで使ったシェア収集装置は破壊されました・・・。でも、それをもう一度作った、或いは予備が準備されていたという可能性は・・・捨てきれないでしょう?」

 

「くっ・・・・・・」

 

ネプテューヌの問いかけに答えるレイは余裕を持った表情だった。

レイが出した答えは確かに考えられるものだったが、完全に盲点であった為ネプテューヌは歯嚙みするしかなかった。

 

「参ったわね・・・。テルミもああなっているのに、シェア収集装置の問題まであるなんて・・・」

 

「果たして、本当に其れだけだと思っているのか?そら、向こうを見るが良い・・・」

 

「向こうを・・・?・・・!?」

 

ネプテューヌの呟きを拾ったテルミに促されて後ろを振り返って見れば、そちらには大量のモンスターが押し寄せて来ており、避難していた人たちがより混乱すると言う事態を招いていた。

 

「っ・・・いけない!みんな聞こえる!?キセイジョウ・レイは私が抑えるから、テルミを相手する人を一人残して、残りはモンスターの方へ行ってちょうだい!」

 

すぐ助けにいかなければならないが、レイとテルミを無視すれば尋常じゃない被害を出されてしまう。

その為ネプテューヌは、自身がレイの相手をすることと、テルミを相手する担当に一人残ってもらい、残りはモンスターを対処するように術式通信で促した。

また、通信を行って気が付いたことだが、プラネテューヌの国外にいる人たちには一切通信が繋がらない状態になっていた。その為、残りの人たちは気づいて来てもらうしかなかった。

 

『それならテルミ相手は俺が残る!お前らは行ってくれッ!』

 

『否、残るなら二人だ。あの姿相手では負担が大き過ぎるのでな・・・故に私も残ろう。残りの者はモンスターを頼む』

 

テルミの狙いは間違い無く自分だと感じたラグナは、真っ先に自分から名乗り出る。

しかし、その力の危険性を知っていて対抗できる可能性を残しているハクメンは、異議を唱えて自分も残ることを選んだ。

この時ネプテューヌはモンスターをどうにかして欲しいと思いもしたが、ハクメンがそう言ったという事はそれだけ『スサノオユニット』を身に纏ったテルミが危険な存在である事を知らせていた。

 

「なら、テルミの相手はあなたたち二人でお願い!残りのみんなはモンスターを!」

 

『分かりました。ただ、私の能力は攻撃に向かないので、逃げている皆さんの支えを優先します!』

 

『ラケル、俺は先に行くから、お前はアイエフさんと合流しに行ってくれ!』

 

『ラケル、私の場所だけど・・・』

 

話が決まれば早いから各自が慌ただしく動き出した。

ネプギアも決まるが早いか、変身して飛べる状態になる。

 

「よし・・・。私も向こうに行って、モンスターを止めないと・・・!」

 

ネプギアもモンスターに対処するべく飛び始めた、その時であった。

 

「・・・ぬんッ!」

 

「・・・!?きゃあっ!?」

 

飛び去っていくネプギアの姿をみたテルミは、自身の左足を一歩前に出し、己の左腕を前に突き出して拳の辺りから碧黒い炎のようなものを高速で撃ちだす。

撃ちだしたそれはネプギアの装着していたプロセッサユニットの左翼に当たり、それによってバランスを崩したネプギアは錐揉み回転させられてしまう。

バランスを崩してしまったネプギアはモンスターの元へ向かうことを諦め、体制を立て直しながらテルミを見据える。

その時ネプギアの表情には驚愕があった。何しろかなり離れているはずなのに、左翼だけを正確に当ててくるとは思わなかったからである。

 

「生まれ変わりよ・・・貴様は誰の許しを得て飛び去ろうとしている?我は貴様に用がある・・・無駄な時間を取らせるとは、誰に了見を得ている・・・?」

 

「な、何・・・?この嫌な感じ・・・」

 

今まで通りであれば何と言われようと怯む事は無かったが、今回はそうもいかなかった。

候補生とは言え、女神であるネプギアですらその威圧感を前に数瞬とは言えひるんでしまったのである。

―背を向けて飛び去ろうとするならただ事では済まない。それだけの圧力をネプギアに感じ取らせていた。

 

「クソ・・・!テルミッ!テメェの相手は俺が・・・うおッ!?」

 

ラグナはテルミの意識をネプギアから逸らさせるべく剣を手にとって斬りかかるが、まるで見ていたかのようにテルミは左手でラグナの頭を鷲掴みにして見せた。

 

「・・・ふんッ!」

 

「グアァッ!」

 

そのままテルミはラグナの腹辺りに自身の右手を握った状態で押し付け、左手を頭から離すと同時に右手から碧黒い炎のようなものを撃ちだした。

それを至近距離で受けたラグナは、強烈な衝撃を受けてそのまま軽めに吹き飛ばされてしまい、地面に背中を滑らせることになった。

 

「あの時と同じく、貴様の相手は最後だ・・・『ラグナ=ザ=ブラッドエッジ』・・・。我の邪魔建てはするな」

 

「ぐぅ・・・クソッ!」

 

吹き飛ばされたラグナを見ることはせず、ネプギアの方を見据えながらテルミはそう宣言する。

ラグナはすぐに起き上がろうとしたが、受けたダメージが大きいせいか、体に思うように力が入らずすぐに起き上がれそうには無かった。

 

「テルミ・・・!これ以上・・・貴様の思い通りに等させんぞッ!」

 

「貴様か・・・そう言えば、『スサノオユニット』同士の戦いはまだ試した事が無かったな・・・」

 

ハクメンが『斬魔・鳴神』を構えながら自分に向かってくるのが見えたテルミは、そちらに顔を向けながら呟いた。

 

「良いだろう・・・余興にしては丁度良いと思っていた所だ。来るが良い・・・!」

 

「ズェアッ!」

 

レリウスが製作した『スサノオユニット』を纏った自分と、本物の『スサノオユニット』を纏ったハクメン(ジン=キサラギ)

これらが激突するのも悪くないと考えたら興が乗ったテルミは、ハクメンを迎え撃つべく構えを取った。

構えを取り終えるのに僅かに遅れて、ハクメンは『斬魔・鳴神』を上から真っ直ぐに振り下ろす。

 

「ふんッ!」

 

対するテルミは『スサノオユニット』によって増強された力を利用し、左腕を前に出して片手で掴むように受け止めた。

 

「・・・何ッ!?」

 

「ほう?ここまでの力を引き出せるようになるとはな・・・。レリウス、貴様の製作・・・見事成りッ!」

 

まさか片手で防がれるとは思っていなかったハクメンは体に力を入れて押し切ることを試みるが、テルミも負けじと力を入れることによって、余力を残しながら踏みとどまる。

また、これ程の力を出せるように製作したレリウスには感謝の念を込めて称賛をした。

テルミに取って、レリウスの製作した『スサノオユニット』はそれ程素晴らしいものだったのである。

 

「(注意がハクメンさんに回った・・・!今ならまだ・・・)」

 

「行かせはせぬぞ・・・」

 

「・・・ぬおぉッ!」

 

状況を見て再び飛び去ろうとしたネプギアではあるが、その意図に気が付いたテルミが右足の蹴りをハクメンの腹に当てて軽めに吹き飛ばして距離を取り、その直後に左手から碧黒い炎のようなものを撃ちだす。

 

「っ・・・!?」

 

「今回は特別にもう一度言おう・・・何処へ行こうとしている?誰が何時、何処へ行って良いと言ったのだ?」

 

「(ここは・・・踏みとどまるしかない・・・)」

 

殺気を感じたネプギアは体を左に捻って攻撃を避け、再びテルミの方へ向き直る。

そして、同時にモンスターの方へは行けないと悟った彼女はネプテューヌとレイの戦っている様子を見て、自分がどうするべきかを決めた。

 

「お姉ちゃんごめん。どうやら進ませてもらえなさそうだから、そっちを手伝うね」

 

「どうやらそのようね・・・。なら、お願いね」

 

こうなるとレイの相手をするしか選択肢が残らず、ネプギアはそれを選ぶ。

ネプテューヌもこれまでの状況からして反対することなど一切できず、手伝ってもらう事を選ぶのだった。

 

「気をつけて。二人掛かりとは言え、相手の方が圧倒的に多くのシェアを持っているから・・・」

 

「・・・うん!」

 

ネプテューヌの促しに、ネプギアは正直に頷く。

そうして再び武器を持ったまま構えるのはいいのだが、対するレイはクスクスと余裕そうに笑っていた。

 

「・・・・・・何がおかしいと言うの?」

 

「おかしいも何も・・・貴女たちは何か忘れていませんか?テルミさんがいる以上、私は一人で来ている訳では無いんですよ?」

 

「・・・!お姉ちゃん、まだマジェコンヌが来ていない!」

 

ネプテューヌに問いかけられたレイが投げ返し気味に答えると、何故笑っていたのかに気が付いたネプギアがその答えを口にする。

それによって理由が分かったネプテューヌはハッとして、浮遊大陸の方へ目を向けてみる。

すると、まるでお前がこっちに目を向けるのを待っていたと言わんばかりに、浮遊大陸の方から変身を済ませた状態のマジェコンヌが現れ、急速に近づいてきた。

 

「受けて見るが良いッ!」

 

「っ・・・!」

 

その勢いに任せたまま、マジェコンヌは金色の槍をネプテューヌに向けて突き立てる。

速度は凄まじいものであったが、真正面から来て尚且つ距離も十分にあった事から、ネプテューヌは体を左に傾けながら同方向に移動することでどうにか避けきって見せる。

この攻撃は避けられる前提だったのか、マジェコンヌは左程驚いているような様子は無く、そのままレイの傍まで移動した。

 

「レイの言う通りだぞネプテューヌよ・・・。この私もいる事を忘れて貰っては困るなぁ・・・」

 

「マジェコンヌ・・・。あれだけ女神を打倒しようとしていたあなたがそうしているの、未だに信じられないわね・・・」

 

「何とでも言え。ただ、レイは立派に我々の仲間であることは認識しておいて貰いたいな」

 

ネプテューヌの言葉には、昔であれば「手段だから」と言って嚙みつこうとしたかも知れない。

しかし、今のマジェコンヌはレイが女神だろうと関係無く、挑戦してみたい気持ちこそあれど、仲間なら気にすることでは無い。そう言う考え方をしていた。

つまるところ、ネプテューヌたちの預かり知らぬ所で、マジェコンヌも認識の仕方が変わっていたのである。

 

「マジェコンヌもいるならレリウスもいるはず・・・。どこにいるのかしら?」

 

「この位置なら私は狙えないはず・・・。ラグナさんは大丈夫かな・・・?」

 

レイたちがまだ仕掛けて来ないので、二人は辺りを目だけで見渡して確認する。

しかしながら、こちらには見当たらなかったので、全く違う場所に行ったと考えて良いと言う決断を下し、再びレイたちを見据える。

 

「彼ですか・・・彼なら、モンスターの方へ行きましたよ」

 

「まあ当分は静観だろうが、状況次第ではわからんな・・・」

 

静観の二文字だけを聞けば邪魔をされない分マシに思えるが、状況次第と言う言葉を聞くと嫌な汗を浮かべてしまうものである。

連絡が付かない以上、他の国にいる人たちの救援を信じるしか無いので、モンスターへの対処はかなり苦しいことになるだろう。

 

「さて、話すのはこの辺で良かろう。レイ、私が先に仕掛けるが構わんな?」

 

「大丈夫です。私はそれに続きます」

 

「了解した。では、行くぞッ!」

 

短く話を決めて、マジェコンヌは勢い良く二人の方へ突撃する。

 

「ネプギア、大丈夫ね?」

 

「うん。行こう、お姉ちゃん!」

 

マジェコンヌが向かってくるのを見て、ネプテューヌとネプギアは構える。

 

「そうだ。其れで良い・・・では、此方も始めるとしよう」

 

「此れが避けられぬ戦いだとするならば、今日こそ決着を付ける時・・・!」

 

ハクメンは『斬魔・鳴神』を自身の目の前に持っていき、テルミは手元に碧い炎のような剣を手元に創り出し、肩の高さで突きが出せるような構えを取る。

 

「我は『空』、我は『鋼』、我は『刃』!」

 

「我は『剛』、我は『力』、我は『全』!」

 

互いに前口上を告げていく際に、地面が揺れる。

普段はハクメン一人だったのに対し、今回はテルミもいて二人になった結果揺れが非常に大きくなっていた。

 

「我は一振りの剣にて、全ての『罪』を刈り取り、『悪』を滅するッ!」

 

「我が身は全てを裁ち斬る・・・『神の剣』ッ!」

 

揺れる感覚が短くなっていき、最後に両者は自身の『スサノオユニット』にある髪が扇状に広がってから元に戻る。

ただでさえハクメン一人の段階で大きかった揺れが、二人分になったおかげで途轍もないものとなり、彼らの周囲にある地面のコンクリートは亀裂が入った。

 

「我が名は『ハクメン』・・・推して参るッ!」

 

「我は『ユウキ=テルミ』・・・否、此の場は敢えて此方を名乗るとしよう」

 

テルミは自身が普段使ってきていた名を名乗ろうとして、考えを改めた。

 

「我は『建速須佐之男(タケハヤスサノオ)』ッ!・・・推して参る」

 

これは『スサノオユニット』同士の戦い。ならばこちらを名乗ろうと決めたテルミは、改めてそう宣言する。

その前口上が終わるや否、二つの『スサノオユニット』も戦いを始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「・・・?繋がらない?」

 

時間はプラネテューヌに辿り着いた浮遊大陸による砲撃が行われた直後に遡る。

プラネテューヌの方角から地面が震えるような音が聞こえたノワールは、状況を確認するためにネプテューヌらプラネテューヌに滞在している人たちに連絡を取ってみたのだが、一向に繋がる気配が無かった。

通信の不具合かと最初は思ったのだが、何度やってもノイズのような音が聞こえると言う反応しか示さず、緊急通信で入れて見ても繋がらなかったので、間違い無く何かがあったと結論付けた。

その為、ノワールはプラネテューヌから離れている二人の女神に緊急で連絡を入れることにした。その通信は緊急通信として送ったのもそうだが、彼女たちもすぐに通信を送った為すぐに繋がった。

 

「全員同じタイミング・・・という事は考えは同じね・・・」

 

『ええ。さっきの大きな音・・・間違い無くプラネテューヌで動き出したわね』

 

『リーンボックスからでも、何やら光が見えましたわ・・・』

 

もうこの段階で同盟たちが襲撃に走ったであろうことが大体予想できた。

その為、彼女たちもやるべきことは自然と決まっていた。

 

「準備できた人からすぐに向かいましょう。最悪の場合モンスターまでいるでしょうから・・・」

 

『ええ。ロムとラムに伝えてすぐに行くわ』

 

『万が一怪我人が多かった時の事を考えて、セリカちゃんを連れて行けないかをナインと検討して来ますわ』

 

「ええ。それじゃあ、また後で会いましょう」

 

短くやることを決めて通信を切った瞬間、ドアノックの音が聞こえたのでノワールは入るように促す。

そして、ドアを開けて入って来たのはユニだった。

 

「お姉ちゃん、プラネテューヌで何かあったの?」

 

「ええ。あいつらの襲撃は今日の夜かもって言う、ネプテューヌの予想が当たってしまったわ・・・」

 

「じゃあ、アタシたちは・・・」

 

「もちろん、今すぐにプラネテューヌへ向かうわノエルたちを呼びましょう」

 

ユニの問いにノワールが簡単に答えたことで状況の共有を完了し、二人は急いで彼女たちに連絡を取った。

また、この時ニューが逃げ遅れた人を探すことなら自分もできると言って同行を申し出たので、モンスターたちと遭遇しても戦わず逃げること、指定した時間を回ったら自分も退避用のシェルターに走る事を条件にそれを許可した。

また、ラステイションはプラネテューヌから最も近い国であることから、モンスターたちによる二次被害の警戒を国民に呼びかけてから向かう事になった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ロム、ラム。プラネテューヌが襲撃を受けたみたいだから、これから向かう事になったわ」

 

「・・・何かあったの?」

 

「もしかしなくても・・・やったのあいつらだよね?」

 

ロムとラムの問いには即時に頷いて肯定を示した。それをみた二人はもう迷わなかった。

 

「なら、手伝いに行こうっ!」

 

「みんなを助ける・・・」

 

「ええ。その通りね・・・」

 

二人が何も不満をこぼさずそのまま応じてくれたのは何よりも嬉しいものだった。

それ故に、ブランの表情は自然に笑みがこぼれた。

 

「・・・っと。こうしている場合じゃなかったわ・・・。あいつらのことだから、モンスターを引き連れている可能性が高い。だから、見かけたらそれを倒しながら行くことは忘れないでちょうだい。良いわね?」

 

ブランの問いかけに、二人は首を縦に振って頷いてくれる。これで必要最低限の話すことは話したので、後は現場に急ぐだけだった。

 

「そうと決まれば、急ぎましょう」

 

「うんっ!ネプギアたち、大変な思いしてるはずだから・・・」

 

「ちょっとでも、楽をさせてあげる・・・!」

 

ルウィーからはそれなりに離れている為、三人は教会を出る前に変身し、そのまま空中を飛んで現場へ急行するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ、現場に行かない限り分からないのね?」

 

「ええ。転移魔法の移動範囲に指定はできますの?可能であれば瞬時に現場に向かいたいのですが・・・」

 

「ちょっと待ってて。一度確認するわ」

 

連絡を取り合った直後、ベールはナインの部屋に行って状況を伝えた。

それによって転移魔法の重要性は嫌という程分かり、ナインも座標指定に妨害が無いかを確認する。

前に行ったことがあるので、それが割り出し時間の短縮に役立ち、確認自体はすぐに終わった。

 

「大丈夫。座標の妨害自体は受けてないわ。仲違いしているから来ないと予想してるのかしらね・・・?とにかくこれは大きいわ」

 

「ええ。それなら助かりますわ・・・」

 

一先ず転移魔法で移動できることが判明したので、話しさえ終わればすぐに辿り着けるのは大きかった。

何しろリーンボックスは海を渡らなければならない都合上、空を飛べない場合は移動手段が限られてしまうのが最大の問題だったからだ。

 

「それと、これを話せば、あなたは間違い無く怒るでしょうけど、それを承知の上で頼みたいことがありますの・・・」

 

「・・・それって、まさかだけど・・・」

 

ベールの頼み方から、ある程度は察しが付いていた。

当然、状況が状況なのでベールも迷わずナインに告げる事を選ぶ。

 

「モンスターの進行も重なっていることから少なからず被害が出ているそうですの・・・。そこで、少しでも治療する人の手伝いとして、セリカちゃんを連れて行けないでしょうか?」

 

「そうね・・・確かに、その理由は理解できる。けど、それは少し待って欲しいわ」

 

「・・・待って欲しい理由は何ですの?」

 

「セリカを連れていけばテルミの弱体も期待できるかもしれないけど・・・それは同時に、テルミがセリカを狙うことで被害を拡大させる危険性が高いわ」

 

ナインの待ったを掛けた理由を聞いて、ベールは完全に盲点であったことに気が付く。

ノワールの通達によって、レリウスの製作したものでテルミが強化されるという事は把握していた。

セリカの力は確かにテルミやマジェコンヌを弱体化させたと言う実績を誇るが、これをミネルヴァの力を借りて行う場合は身動きが取れないと言う最大の問題点が存在する。

そして、強化されたテルミを抑えきれなかった場合、そのままセリカが手を掛けられて有利にできるはずの手札を失う言う危険性が大きかった。

 

「それに、転移魔法で移動するなら尚更時間を置きたいわ・・・。何しろ、私たちが最初に到着する可能性が高すぎるわ」

 

もう一つの理由はこれにあった。自分たちが早く着くという事は、人数が揃っていないことと同義であった。

そうなった場合、セリカを狙われる確率と、狙われた場合止められない可能性が高まるのである。

逆に言えば、人数さえ集まればセリカの力を発揮できるので、時が来たら連れていくことである程度は安全を確保できるのである。

その為、ナインとしては限界まで待ちたい所であった。

 

「そうですわね・・・そうであれば仕方ありませんわ。なら、タイミングを見計らって・・・」

 

「大丈夫です。私も行きます」

 

方針が決まりかけたところで、それを振り切るような声が聞こえて二人がそちらを振り向くと、決意を固めた表情をしているセリカの姿があった。

 

「セリカ・・・別に連れていかない訳じゃないの。ただ、もう少しだけ待っていて欲しいの。大丈夫になりさえすれば・・・」

 

「でも、お姉ちゃんたちが戻っちゃったら、周りのみんなが慌てちゃう・・・」

 

どうにか説得をしようとしたナインだが、セリカが告げた反対の言葉を前に何も言えなくなってしまう。

どうせ参加するのなら、少しでも長い時間いた方が良いのは事実である。また、途中で抜けてしまえば一般の人に大きな不安を与えてしまう可能性も十分に捨てきれ無いのは確かに痛いところであった。

 

「それに、みんなが傷ついてるなら、やっぱりじっとしてなんていられないよ・・・。後、プラネテューヌにって大きいから範囲外に逃げやすいし、テルミさんもそこまで意識を回さないんじゃないかな?寧ろ、ラグナやネプギアちゃんに狙いがありそうな気がして・・・」

 

「・・・用を済ませれば留まる必要も無し、ラグナと決着を付けるならプラネテューヌから引き離してでも出来る・・・そういうことね?」

 

セリカが出したもう一つの危惧も無視できないので、ナインは仕方なしと説得を諦め、確認を取ることにした。

そして、その確認にセリカが頷いた事で、ナインは腹を括ることに決めた。

 

「なら、転移はシェルター前にするわ。ミネルヴァを連れてきて」

 

「お姉ちゃん・・・。ありがとう!それと、絶対に死なないって約束する!」

 

「なっ・・・。でも、ありがとう」

 

セリカがそう宣言した事は、確かに嬉しい事であった。

その為、最初の一瞬こそ面食らうものの、意外と素直に受け入れることができたのである。

それを見送ったベールは変身を済ませる。

 

「彼らとの戦い・・・これで終わりにしたいものですわね」

 

「ええ。流石に何回もやっていられないものね」

 

ベールとナインの考えは同じであった。

これ以上同盟との戦いを長引かせるつもりは無い。だからこそ、この戦いで終わりにしたかったのである。

 

「お姉ちゃん、ベールさん、準備できたよ!」

 

「では、お願いしますわ」

 

「ええ。・・・行くわよ!」

 

セリカとミネルヴァが魔法陣に入ったのを確認するが早いか、ナインは準備を終えた転移魔法を発動し、プラネテューヌへ移動した。

 

 

 

 

 

 

 

*   *   *

 

 

 

 

 

 

 

「ズェアッ!」

 

「ゼェイアッ!」

 

ハクメンが『斬魔・鳴神』を左から水平に振るうのに対し、テルミは己の左腕を右から水平に振り払って受け流す。

己の装着した『スサノオユニット』によって能力が引き上げられたことにより、テルミはこのような技を可能としていた。

 

「連華ッ!」

 

「灼キ噴ク楼焔ッ!」

 

それに怯む事無くハクメンが二段の蹴りを放つのに対し、テルミは一度目の蹴りは右腕で防ぎ、二回目の蹴りを返しの要領で自身の左腕を地面に殴り付ける形で防ぐ。

その直後に地面から碧い炎のようなものを噴出させ、ハクメンに襲いかからせる。

それに気が付いたハクメンは考えるよりも早く体を動かし、飛びのく形でそれを回避した。

 

「レリウス=クローバーの創った『スサノオ』・・・これ程とはな・・・!」

 

「まだ終わらぬぞ・・・!さあ、もっとだ・・・もっと足掻いて見せろ・・・!」

 

ハクメンは『斬魔・鳴神』を構え直しながら、憎々し気に吐き捨てる。よくも厄介な事をしてくれたなと、レリウスがこちらに来たら言ってやりたい気分であった。

対するテルミは己の得た力に非常に満足気であり、余興を楽しむかのようにハクメンへ促した。

ハクメンが気を取り直して向かってくるのをみたテルミは、姿勢を低くして迎え撃つ構えを取った。

 

「「クロスコンビネーションッ!」」

 

マジェコンヌはネプテューヌに近づきながら、武器を彼女の使用している刀に切り替える。

そして、同時に同じ技を放ち、それらが大きなぶつかりあった音を広げ、火花を散らしていく。

 

「前よりも精度が上がっている・・・?それとも、シェアの下がった影響が・・・!?」

 

「そのどちらもだろうよ。アンチエナジーの補強が無いにしろ、ここまで優位を取れるとはな・・・!」

 

ネプテューヌはマジェコンヌが見せるコピー能力の精度に舌を巻き、マジェコンヌは自身が見せた成果に笑みを見せる。

ぶつかりあった結果として、ネプテューヌは予想以上の強さを目の当たりにして焦りを見せ、マジェコンヌは技を放った後の余力が多くなった事で気が楽になる。

 

「お姉ちゃん、今の内に体制を・・・。・・・!?」

 

ネプギアはM.P.B.Lでビームを一発放ってマジェコンヌに回避させた後もう一度撃とうとしたが、それは別の方向から放たれたビームによって阻まれた。

 

「私の事を忘れてはいけませんよ?」

 

ネプギアの行動を阻止した主はレイであり、杖の先端からビームを放っていたのである。

更にもう一度自身に向けてビームを放たれ、ネプギアは回避を強要されてしまった。

 

「まだ終わらんぞ?さあ、見せてみるが良い・・・」

 

「貴女たちの限界を・・・。でなければ、この国から順番に消えて行くだけですよ・・・?」

 

「引くつもりは無いわ・・・。私たちの後ろには大勢の人たちがいる・・・!」

 

「ゲイムギョウ界の為にも、私たちは負けません!」

 

マジェコンヌの促しに続き、レイが煽って見せた。

それに対してネプテューヌとネプギアは啖呵を切りながら武器を構え直し、同時に彼女たちへと向かって行く。

それを見たマジェコンヌは武器を自身が普段使う槍に戻し、レイも僅かに腰を落して構えを取った。

プラネテューヌを舞台に起こった戦いは、まだ始まったばかりであった。




描写の長さにかなり偏りが出てしまいました・・・。

度々言うことですが、残すところが本当にこの最終決戦だけになりました。短い間になりますが、楽しんで頂ければ幸いです。

次回はこれの後半に入ります。
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