~球磨の水平線~   作:餅(草)蛇

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31話 海をかけるネコ 中編

 

「さっきの木曾の雷撃で深海棲艦の包囲に穴が空いたにゃ

ビスマルク早く来るにゃ」

 

「ありがとう、助かったわ」

 

「露払いは多摩がしておくから木曾はビスマルクを連れてできるだけ離れておくにゃ」

 

「分かった姉さん、無理はするなよ

じゃあ行くぞ」

 

「待って、あの子1人で大丈夫なの?」

 

「まあ、大丈夫だろ姉さんは強いからな」

 

 

敵は15隻、その中の1隻がうねりを上げる

それに続くように他の船は呻きとも悲鳴とも取れない奇声を発し

全ての砲身を多摩に合わせた

 

対する多摩は未だに艤装すら付けていない

じっと深海棲艦を見据えるのみである

 

もう一度大きくうねりを上げ、深海棲艦達が一斉砲撃を開始した

その砲弾はすぐに直撃し、多摩を爆風に包む

 

かに思われた

 

深海棲艦達の放った砲弾が完璧な軌道を取って多摩に直撃する刹那

辺りに突風が吹き荒れた

 

次に深海棲艦達が目撃したものは、多摩に届かず空中で爆発する砲弾と

知らない砲弾に装甲を撃ち抜かれた仲間の姿だった

 

「悪いけど早めに済まして貰うにゃ」

 

深海棲艦は残り14隻

 

深海棲艦達は動揺しながらも次弾を発射した

 

多摩まるでネコのような身のこなしで砲弾を避け

深海棲艦との距離を詰める

 

100メートルはあった距離があっという間に無くなり

深海棲艦は至近距離から砲撃を受ける

 

「あと、13隻」

 

多摩はすかさず両舷から魚雷を射出する

それは深海棲艦達に命中し、船底に空いた穴は深海棲艦達を海の底へ引きずり込んだ

 

「4隻しか当たらなかったにゃ

どうにゃ?実力差が分かったなら見逃してやるから深海に帰れにゃ」

 

深海棲艦達はその言葉に少し戸惑い、渋々といった雰囲気で消えていった

 

 

____________

 

「きそー、終わったにゃ」

 

「早かったな、と言うか遠くで見てたんだが どうして逃がしたんだ?」

 

「いやー、艤装つけたら魚雷が1回分しかなくてにゃ

多摩の超高速海上戦は砲撃が弱いから遠距離だと装甲を抜くのに2発もかかったし、あんまり魚雷無しじゃ戦いたくないにゃ」

 

「あー、そう言う事か

さっきの岩場で補給しなかったのか」

 

「菱餅のせいで完全に忘れてたにゃ」

 

「にしても、すごい戦闘だったわ

ラバウル以外の艦娘はみんなああなのかしら」

 

「確かにブインでは高速海上戦が結構一般的になってたけど

姉さんレベルで扱えるのは数人しか居ないよ

所でビスマルク、君はなんでこんな所にいたんだ?」

 

「ああ、そうね

まずは助けてくれてありがとう

私はラバウル基地に所属している戦艦ビスマルク、って 見ればわかるわよね」

 

「ここに初めて見たのが居るけどな」

 

「にゃ」

 

「そ、そうなの?

それで私はこの辺りの海水温が異様に冷たくなってるから

他の艦と一緒に調査しに来たんだけど、深海棲艦達に襲われてしまってバラバラになってしまったのよ」

 

「その深海棲艦たちはさっき姉さんが撃退した奴らか?」

 

「いいえ、違うわ

ホンモノの軍艦に形が近い奴らだったわ

そいつらは私たちを襲ったあとどこかに行ってしまったけど」

 

「実戦艦化か...」

 

「所でビスマルクちゃん?」

 

「ん?」

 

「多摩たちは青いスカーフをした球磨を探してるんだけど

なにか知らないかにゃ?」

 

「ああ、そう言えば今日の朝

ブインとショートランドの避難民たちが球磨に連れられて来てたわ

その球磨が確か青いスカーフだったわね」

 

「やったな姉さん!球磨姉見つかったじゃないか」

 

「でも、少し休憩したら直ぐに出発すると言っていたから

今も居るかどうか...」

 

「取り敢えずその情報だけでもありがたいにゃ

それにまだ居るかもしれないし、ビスマルクちゃん案内して貰ってもいいかにゃ?」

 

「勿論よ、助けて貰った恩もあるしそれくらいお安い御用だわ」

 

「じゃあ行くか!

目指せラバウル基地だ!」

 




遅れて申し訳ありません、時間も無けりゃやる気も無かったんです
これからはボチボチ投稿を再開していきます

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