亡霊ヒーローの悪者退治   作:悪魔さん

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今年もあと1ヶ月ちょっとですね。早いなァ~…。


USJ襲撃事件~慈悲無き正義と、途方無き悪意~
№17:動き出す悪意


「刀真…お前だけでも…!!」

「いい加減くたばりやがれ!」

 

 ドォン!!

 

「父、さん……?」

「……逃げて……と、うま……」

「は……早く……!」

「ちっ、まだ息があったか」

 

 ドスッ……

 

「母、さん……? おばあ、ちゃん…?」

「おい、このガキはどうする?」

「一応殺すか……見られちまったしな」

「う……うあ……うわあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!」

 

 父さんが死んだ

 

 母さんが死んだ

 

 おばあちゃんが死んだ

 

 家族を奪われた

 

 幸せを奪われた

 

 全て奪われた

 

 (ヴィラン)が笑ってる

 

 社会のクズの癖に

 

 ユルサナイ

 

 ユルスモノカ

 

 コロシテヤル

 

 ホロボシテヤル

 

 ホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤルホロボシテヤル!!!!

 

 ヒトリノコラズ、ミナゴロシダ

 

 (ヴィラン)トイウ「悪」ヲユルスナ

 

 

           *

 

 

「……夢か……」

 ゆっくりと瞼を開ける剣崎。

 何十年経った今なお消えない、忌まわしき惨劇。ごく普通の純粋無垢な少年が、殺戮悪鬼と化す原因となった事件。

 一夜にして父と母、祖母を奪われた、ヴィランハンター誕生の瞬間。

 人の道を踏み外し、修羅の道を歩むきっかけになった、全ての始まり。

「……もう朝か。昨日出久君と会話して、その後は……宿直室借りて……それで寝たんだったな」

 剣崎は今、宿直室を借りて寝泊まりしている。

 昨日校長の根津から「あまり外を出歩くと面倒事になる」と言われ、渋々妥協したのだ。

「起きるか…」

 布団代わりにしていたコートを羽織り、傍に置いていた刀を腰に差す。

 そして扉をすり抜け、廊下へ出る。

「この時間帯は……朝だから全員勉強か。花の学校生活、青春真っただ中かい。さて今日はどうするか……」

 すると、剣崎は外の方が騒がしい事に気が付いた。

 外を見ると、何と校門の前でマスコミがたむろしているではないか。

「……俺の噂でも嗅ぎつけたか?」

「――どうやらオールマイトが教師を始めたことを耳にしたようね」

「! 睡、いつの間に…」

 いつの間にか、剣崎の隣にミッドナイトがいた。

 しかしミッドナイトは少々困惑気味だ。それもそのはず…オールマイトが雄英高校で教師をやっているという話はできる限り伏せていたのだ。それを嗅ぎつけるマスコミには恐れ入るが、これが面倒事の引き金にならないか心配なのだ。

「……睡、こうは考えないのか?」

「え?」

「マスコミがああやってたむろってる隙に、別の入り口から(ヴィラン)が侵入してこないか……ってよ」

「っ!?」

 剣崎の言葉に、目を見開くミッドナイト。

 それと共に彼女は思い出した。剣崎の勘は、高確率で的中するのを。

「……仮に俺がこの学校を攻め落としに行くなら、そうするがな」

「刀真……あなた……!」

「教師陣にこう伝えろ。今日一日中は警戒を解くなってよ」

 

 

 同時刻、東京都池袋――

 山の手3大副都心の一つであり大規模な歓楽街と繁華街が広がるこの街のあるビルでは、ある悪の組織が集会を開いていた。

 組織の名は「無間軍」……強豪(ヴィラン)で結成されており、あの(ヴィラン)連合をも凌ぐ力を誇っている。

「今日集まったのは他でもない…かつてこの私に決して消えない傷をつけた忌まわしい小僧の件だ」

 黒のスーツに顔に仮面を付けコートを羽織った男が、そう言う。

 男の名はシックス・ゼロ。悪のカリスマ的な存在で(ヴィラン)達から慕われている危険人物で、無間軍の首領だ。

「小僧というのは、やはり剣崎刀真の件ですかな?」

 刀を手に携えた隻眼の男性の言葉に、シックスは頷く。

 隻眼の男性の名は、札付礼二(ふだつきれいじ)。かつて剣崎と戦い敗北した剣士の(ヴィラン)だ。

「うむ。あの小僧は16年前に表舞台から消えたのだが……つい最近、その奴が蘇り同志達を無慈悲に斬殺したという。すでに70人も奴の凶刃の犠牲となった。このままでは、悪がこの世の支配者となる時代を目指す私の野望が阻まれる。我々(ヴィラン)の脅威はオールマイトだけではない……殺戮悪鬼と化している剣崎も、だ」

 シックスはかつて、一度だけだが剣崎と死闘を繰り広げた。

 しかしシックスは、当時15歳の少年である剣崎を未熟者だと甘く見て痛い目に遭ったのだ。剣崎の一瞬の迷いのない戦いぶりとヒーローを名乗っているとは思えぬ無慈悲さに戦慄すら覚えたのは、16年以上たった今も記憶に残っている。

「厄介さでいえば明らかに剣崎だ……奴は殺すと決めたら地の果てまで追いかけてくるような性格だからな……」

 顔を覆う三角巾と腕に着けた小さいマンホール、銀色のマントが特徴の筋肉質の男が怒気を孕んだ声で言う。

 男は〝ホールマント〟と呼ばれる(ヴィラン)。剣崎と戦い惨敗したが何とか生き延びた数少ない生存者である。

「うむ、その通り…剣崎はどれ程の傷を負っても戦う事を止めない」

 シックス曰く、剣崎は「人の姿をした(ヒグマ)」だという。

 羆は自分の獲物への執着心が異常に強いという習性を持つ。これを剣崎に当てはめると「一度殺すと決めたヴィランは、何が何でも殺す」という意識が非常に強いということに他ならない。

「奴の情報が流れ始め、早速〝ヒートアイス〟が動き出した。これに呼応したのかどうかは知らんが…(ヴィラン)連合も本格的に活動を始めている」

「剣崎は16年経った今も(ヴィラン)達の憎悪の対象…無個性でよくぞまあ…」

「感心している場合ではないぞ、礼二。近い内に必ず奴は我々の同志達を皆殺しにし、今度こそ私の首を…いや、私だけではない。オール・フォー・ワンの首も狙いに来るだろう……それだけは絶対に避けねばならん」

 すると、一味の中で最も若い(ヴィラン)……ピエロの格好をした少年・道化師郎(どうけしろう)が興味本位で尋ねる。

「その剣崎って人、そんなに強いの?」

「…強い。お前じゃあ勝ち目はないぞ」

「アハ♪ 逆に殺したくなってきた♪」

「おいおい、あいつは勢いだけで倒せるような相手じゃないぞ?それに復活した今は未知の実力……侮ったら死ぬぞ」

 ケラケラ笑う師郎に忠告する礼二。

 礼二は剣崎の恐ろしさを知る数少ない人物。ゆえに、剣崎に関する彼の言葉には重みがあるのだ。

 しかし師郎は礼二の心中とは裏腹に好奇心が増していく。

「いずれにしろ、今の剣崎はどういう状態か知らねばならん。今回は先に(ヴィラン)連合が動いた……まずは奴らの活躍を様子見といくが、異論はあるかね?」

 シックスの言葉に、周囲は無言で頷く。

 それを確認したシックスは、会議を終わらせる事を宣言する。

(今度こそ、あの小僧の息の根を止めねばな…今度は16年前よりも甘くないぞ)

 シックスは、いずれ再び相見えるであろう因縁の敵(ヴィランハンター)を排除すべく、決意を新たにしたのだった。




yonkouさんと肘神さまさん、覇王龍さんのオリキャラを採用しました。
ありがとうございます。
無間軍についての詳細設定はまた後日。
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