突然の
それもそのはず……この雄英高校には侵入者用センサーが設置されており、
その上、校舎と離れた
何にせよ、用意周到に画策された奇襲である。
「13号、避難開始! 学校に
「先生は!? 一人で戦うんですか!?」
出久が声を上げる。
相澤はプロヒーローであるが、大人数の
しかし相澤は、緑谷の言葉を一蹴する。
「一芸だけじゃヒーローは務まらん」
13号に声を掛け、相澤は
それと同時に出久達は避難を始めるが、
「初めまして、我々は「
その言葉に、茫然となる。
あのオールマイトを殺そうというのだ。その凶悪な野望に息を呑む一同。しかしそれと同時に、ある疑問が浮かんだ。
〝ある事実〟の確認……まるで雄英高校が何かを隠しているかのようにも聞こえるのだ。
「……とりあえず、私の役目はこれですね」
そう言うや否や、黒霧の
13号はマズイと判断し助けようとするが、黒霧は一瞬で霧状の体を広げて出久達を包み込んだ。
(生徒とはいえヒーローの卵……散らして、嬲り殺さねば)
しかし、この時黒霧は気づかなかった。
すでに「死」が、この訓練場に忍び込んでいたことに。
*
水難エリアまで飛ばされた緑谷、峰田、梅雨の三人は船に乗って作戦会議をしていた。
「カリキュラムが割れてた……轟君が言ったように、虎視眈々と準備を進めていたんだ……」
「でもよでもよ! オールマイトを殺すなんて出来っこねェさ! あんな奴らケチョンケチョンだぜ!」
「倒せる算段が整ってるから、連中こんな無茶してるんじゃないの?」
「……」
出久は考える。
梅雨の指摘の通り、
一番気になるのは、黒い霧の
オールマイトは一日の活動時間に
剣崎の場合は、
「オールマイトもいなければ、剣崎さんもいないこの状況…戦力として考えると明らかに不利だ。だけど……奴らにオールマイトを倒す術があるんなら……僕らが今すべき事は、奴らと戦って阻止すること!!」
その言葉に、梅雨と峰田も同意し、意を決した。
一方、土砂エリアに飛ばされた轟はその目を疑った。
あの黒い霧のような
しかし、轟の前には血の海が広がっていた。
「こいつは……まさか……!?」
轟には、心当たりがあった。
こんな芸当を成せる輩は、雄英高校にたった一人だけいた。16年の時を経て蘇った、出久の知人にして自分達の先輩である男が。
「な、何だこいつは!?」
「は、早く殺せ!! 脳無は何で来ないんだ!?」
視線の先には、うつむき加減に大股の歩調で歩く不気味な少年が刀を振るって虐殺していたのだ。そう、剣崎が
血塗れの刀が疾駆する。
途端に正面の
たった一瞬で、三人の
「ひ、ひえっ!!」
オールマイトを殺しに来た気でいた
こんな奴が雄英にいたとは聞いてない。何だこの化物は。そんな気持ちが渦巻き、更に恐怖心を煽った。
「ク、クソッタレがーーっ!!!」
半狂乱で
肉を裂き、肋骨を切断する強烈な斬撃。あまりの速さに避けることすらできなかった
無表情で剣崎は
「あ、ああ……!!」
気づけば、轟を囲んでいた
経ったままガタガタと震える
「がっ!?」
剣崎が
驚いたことに、
窒息しそうになりながらも、必死に足掻く
「……堕ちろ、ゴミが」
無情な死刑宣告と共に、剣崎は刀で
刃こぼれが生じた刀は氷のように冷たいにもかかわらず、
剣崎は刀を
「轟君、無事か?」
「っ………ああ、あんたのおかげでな」
「そうか、ならいい。しかしどういう事だ…なぜ
「俺もよく知らねェけどな……少なくとも連中はアホだがバカじゃねェと思ってる」
轟の言葉に、剣崎は眉間にしわを寄せる。
「それよりも、あんたこそなぜここに……?」
「――数日前に、何者かによってセキュリティが破られた。もしやと思って、ここ1週間以内に
「どうやら大事になっているようだな……俺は
コートと髪の毛を揺らし、剣崎はその場を去った。
「……あっちは……心配いらねェか」
剣崎が来たからには、奇襲しに来た
そう思いながら、轟も動くのだった。