亡霊ヒーローの悪者退治   作:悪魔さん

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本編?ですね。更新します。
次回あたりで再会かな?


№4:母校訪問

 翌日。

 雄英高校1年A組――出久が属するクラスでは、ここ数日立て続けに発生した未曽有の大量殺人事件の話題で持ちきりだ。

 殺された者の全員が刃物で斬られた痕が残っていることから、犯人は同一人物であり単独犯でもあるとして警察は捜査をしている。

 この連続大量殺人事件での犠牲者の数は60人を超えており、エンデヴァーやベストジーニストをはじめとしたプロヒーロー達にも知れ渡るようになった。各テレビ局のニュース番組やワイドショーもこれを報じており、社会的な影響の大きさも伺える。

「犯人不明、動機不明、行方不明……迷宮入り事件の三拍子が揃ってやがる」

 金髪の男子――上鳴電気は若干顔を引きつらせる。

 今回の事件は、被害者全員が(ヴィラン)であるのが最大の特徴だ。つまり、敵を狙った犯行である。

 だがもし自分が犯人に(ヴィラン)と勘違いされたら、惨たらしく殺されるかもしれない……と上鳴は思い、ゾッとしているのだ。

「何が目的なんだろうな……でも(ヴィラン)ばっか狙ってんだから、何か恨みでもあるんじゃね?」

 赤い髪色のスパイキーヘアと尖った歯が特徴の男子――切島鋭児郎はそう言う。

 事件の犯人は、(ヴィラン)に対してとてつもない恨みを持っている。そうじゃなかったらこんなマネはしない……と推測しているのだ。

「いずれにしても、犯人は相当な手練れだろう……只者ではない。これまで殺された(ヴィラン)の数を考えると尚更だ」

 鳥のような顔立ちの男子――常闇踏陰の言葉に、話し合っていた男子達は同意する。

 (ヴィラン)はヒーローと同様、〝個性〟を操れる。〝個性〟次第では、ヒーローすら凌駕するモノもある。だがそれすらも蹴散らして斬り殺す犯人は、自分達では敵わないほど強大な力の持ち主である可能性が高いのだ。

 (ヴィラン)達を無慈悲に殺害する今回の事件の犯人は、プロヒーロー達に匹敵する歴戦の強者に違いない……それが彼らの見解だ。

「……」

(ヴィラン)狙いか……」

そんな彼らの話に耳を傾ける、二人の男子。

 一人は、逆立った金髪に赤目の三白眼が特徴の男子――爆豪勝己。出久の幼馴染であり、このクラスではトップクラスの実力者だ。

 そしてもう一人は、右半分が白で左半分が赤の髪の毛をした、左目周辺に火傷の痕がある男子――轟焦凍。かの有名なエンデヴァーの息子である。

 二人も事件のことは耳にしており、色々と警戒しながら情報収集をしているようだ。

「どうしよう、ウチ外出できないよ!」

「いや、白昼堂々殺戮なんかしないよ……」

「でも、万が一の可能性もあるわ」

 クラスの女子達も、それぞれ心配そうな顔で話し合う。

 一番の問題は、日中に遭遇してしまう事だ。さすがに白昼堂々殺人をするとは思えないが、相手が未知の存在である以上は油断出来ないというのは事実だ。

 そんな中、その事件の犯人を唯一(・・)知る出久は考えていた。

(剣崎さんが異空間から解放されたんだ…でもこれからどうする気なんだろう?)

 剣崎が異空間から解き放たれ、(ヴィラン)達を狩りまくっている…出久はそう確信した。

 自分が生まれるよりも前に、〝個性〟を扱えない者とは思えぬ比類なき力で敵達に災いをもたらした往年の伝説的人物…そんな彼が死から蘇り、全敵滅亡の為に悪者退治を再開したのだろう。

(剣崎さん、雄英高校に来たりするのかな……?)

 剣崎がこれからどうするのか……そんなことを考えていると、チャイムが鳴った。

 そして…。

 

「私がーーーーーー!!! 普通に教室に入って来たーーーーーー!!!」

 

 ガラッと扉を開け、オールマイトが登場。

 皆が憧れるNo.1ヒーローの登場に、生徒達は盛り上がる。

 オールマイトはスーツ姿でウキウキしながら教卓へ向かう。その後に、ぼさぼさの長髪に無精ひげという小汚い恰好をした男性…1-Aの担任である相澤消太が続く。

「今日は生徒達への講話……で合っているかな?相澤君」

「……内容はお任せですがね」

 オールマイトの言葉に、相澤は返答する。

「てめェら、今から講話やるから耳の穴かっぽじってよく聞いてろよ。後で感想文書かせるから」

「感想文?」

「内容がクソだったら、反省文書かせるから」

(理不尽だ!!!)

 感想文がダメだったら反省文を書かせるという、相澤の理不尽な課題に衝撃を受ける生徒達。

 しかし、誰も反論しなかった。相澤(たんにん)はこういう時に限っては本気だからだ。

「ゴホン…では始めよう」

 オールマイトは、いつものあの笑顔のまま…真剣な眼差しで語り始めた。

「私はかつて、ある少年と出会った事がある。その少年は、君達と同じ1-Aの生徒だった。少年の名は剣崎刀真――君達と変わらぬ年頃で74人の(ヴィラン)を討伐した、強く勇敢な若き少年だ」

 

 

           *

 

 

 雄英高校の正面入り口。

 ここに、一人の少年が立っていた。

「懐かしき、我が学び舎……」

 深緑の癖毛とマントのように羽織ったボロボロのコートを揺らし、校舎を仰ぎ見る少年。

 そう…オールマイトが講話をし始めた同時刻に、あの剣崎がついに母校――雄英高校に訪れていたのである。

 そんな剣崎の前に立ちはだかるのは、雄英バリア。雄英高校の関係者以外の人間が敷地に入れないようにする為のセキュリティだ。

「……何か昔以上にセキュリティが強化されてるな……」

 (ヴィラン)達の侵入を防ぐ為のセキュリティは16年前にもあったが、ここまで徹底的に強化されてはなかった。

 16年前も時が経てば、さすがに情勢も違うようだ。

「下手に問題起こすと厄介だよな……ほぼ不死身とはいえ、オールマイトを相手取る展開だけは避けなきゃならないな。どうせならないだろうけど」

 剣崎はゆらゆらと揺れる髪の毛をモリモリと掻きながら、頑丈に閉められた扉へ向かって悠然と歩を進め、そのまま雄英バリアをすり抜けて敷地内に難なく侵入した。

 彼の〝個性〟は「亡霊」……壁や建物を透明人間のようにすり抜ける事が出来るのだ。それは彼が手にしている刀や羽織っているコートも同様だ。

「……不法侵入になるかも知れねェが、止むを得ないな」

 強固な雄英バリアをいとも容易くすり抜け、刀をステッキのように突きながら大股で校舎へと歩き始める剣崎。

 16年ぶりの学び舎に、剣崎は思いを馳せる。

 相棒のミッドナイトと悪者退治をしたり、体育祭では同級生をフルボッコにして出禁処分になったり……。わずか数ヶ月ながら、とても楽しい日々ではあった。

「フッ……もし出久君が入学していれば、礼くらい言わないとな」

 生ける亡霊と化しておぞましい姿で蘇った〝ヴィランハンター〟剣崎刀真と、そんな彼に救われた少年――緑谷出久。

 3年ぶりの運命の再会を、果たそうとしていた。

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