居酒屋に逃げ込んだエギーユはウォッカの入った瓶に布を付けて火炎瓶を制作していつでも戦える姿勢をとった。部隊の隊員の1人であるウチハラはイスラエル製のサブマシンガンUZIに弾薬を装填してベレッタM92Fハンドガンの弾も装填してから感染者がドアを叩く方向へ構えた。右手にUZI、左手にベレッタM92Fの状態だった。
大量の感染者が押し寄せてきた勢いでドアが破れウチハラはUZIサブマシンガンを連射して感染者に発砲していくがひるむだけで感染者は近づいてくる。
エギーユは火炎瓶で多数の感染者に攻撃をして反撃に乗り出した。近づいてきた感染者にはナイフで応戦して倒していき厨房に逃げて裏道へ続くドアを開けて居酒屋を脱出した。裏路地の死角になるところから感染者に変わり果てた警官が現れてウチハラの上腕の筋肉にかぶりついた。ウチハラは悲鳴をあげてエギーユに助けを求めた。
「エギュー、助けてくれ。」
助けを求めるウチハラの方向に向かって感染者を蹴った。
感染者はウチハラから離れて倒れまた立ち上がった。離れた感染者に投げナイフを見舞いして撃退した。
居酒屋や風俗店が並ぶ町では防弾チョッキを着た制服警官と機動隊の銃器対策班の隊員が拳銃やサブマシンガンMP5、ショットガンM3で感染者を撃っていき迎撃して行った。ヘリからは警察特殊部隊がロープで降下して応戦する。
「クソッ、何故奴らは死なないんだよ。化け物かよ!」
機動隊の1人がボロを出しながら応戦していっていた。
感染者達は迎撃してくる警察官に迫っていき近くにいた制服警官に掴みかかって噛みついていき他の感染者も機動隊や警察特殊部隊の隊員に掴みかかって反撃していった。残りの警官はやむを得ず手を引いてその場を離れて離脱していった。
エギーユとウチハラ達は警官達と感染者が交戦していた現場を避けて風俗店が多い地域に入り込んだ。感染者の出現のパニックで部隊の仲間とはぐれてしまい3人しかいなかった。もう1人はウォンと呼ばれる男だ。国籍は香港にして元香港警察の食い詰めだった。
「これを使って止血してください。」
ウォンは新品の包帯を渡した。
ウチハラは応急処置をして気を取り直した。
「これでなんとかなるはずだ。」
応急処置して休憩を終えると現在地を離れて移動を始めた。
一方、ホンは乗り捨てられた車に乗って運転してスーパーマーケットに入り飲み物を調達しようと袋を取ってジュースを入れていた。すると出入り口から他の人が入ってくるのが見えた。人数は5人ほどで鉄パイプや鉈、ナイフなどを持っており服装も派手な柄のジャージやダボダボのズボンに龍や虎の書いてある服や作業服を着ている。髪色も金髪や茶髪が多く漫画で見るような不良男子のようだった。
「ここなら食料もあるぜ。ここを確保するぞ。他の奴らがいたら追いはらうか殺すかしろ!」
リーダー格の男がはしゃいでいた。
他の男達は物置やはしごを蹴ったりレジを荒らしてお金を盗んだりしていた。
「マジかよ。最悪な状況だな。」
ホンは出くわさないように隠れていた。ハンドガンは持っているが撃てば音で奴らがやってくる。ナイフを手にしていつでも応戦できるように待ち構えていた。
派手なジャージを着ている男がホンが隠れている方向に移動してきた。そこでホンはハンドガンに持ち替えてその男に向けた。
「動くな。」
銃口をジャージ男に向けると他の者がこっちに向かって来た。
「下手に動けばこいつの命は無いぞ。このハンドガンはトイザラスやホビーショップに売ってるようなおもちゃで無ければモデルガンでも無いぞ。俺は本気だ。」
ホンは強気で脅してジャージ男に銃口を押し付ける。
「あれが本物だってよ。どこからどう見てもおもちゃだろ!ガハハハ」
ゴロツキ風の男が腹を抱えて笑っている。
ホンはジャージ男の足を撃った。
「おぉぉ。ギャーーーーーー」
ジャージ男は足を押さえて叫び散らしてうずくまっていた。
他の男達は動きを止めて動揺していた。
「だから言っただろ?本物だと。」
ホンはニコニコしながら男達に言うとさっきまで笑っていた男がこっちに鉄パイプ持って襲いかかってきた。ホンは男の腹部を撃って動きを止めた。そして残りの男達も投げやりになって立ち向かっていくが足や腹部を撃たれて倒れうずくまっていた。
「この音で奴らが来る。まあ、せいぜい頑張って。」
ホンは無法者な男達を置き去りにして袋に入れた飲み物を持って店を出た。
従業員や警備員、清掃員の感染者達が十何体か現れて男達に向かっていた。
「来るな。来るな。来るなー」
1人が叫ぶが御構い無しに数体の感染者が群がって食いかかって行った。
ホンは調達できるだけ飲み物を確保してスーパーマーケットから脱出して近くの車庫に立て籠もった。車庫の中には車両工具やバッテリーが集められている。これといって役に立つものは何も無い。感染者達はスーパーマーケットに押し寄せたため外にはあまりいなかった。
車庫を飛び出して道路を走っていくと猟銃を装備した作業着姿の中年男と出くわした。
「動くな。」
中年男は銃を構えた。
「待て待て。俺はあんたの敵では無い。」
ホンは中年男に言った。
「おっと、すまない。これから安全な避難所があるんだが一緒に行くか?」
「俺はパスするよ。どっちにしろ救助は来ない。」
ホンは中年男に現実的なことを言った。
「なぜ、そう言い切れる?先ほど救助は署の本部に依頼したら2日後に来ると言っていたんだ。」
「当てにならんな。警察の機能はほとんどやられている。武装した警官も感染者の仲間入りだ。」
「俺はダメ元で救助を待つ。」
中年男は救助が来ることを信じることにした。
いっぽうエギーユ達は警察署まで来ていた。ウチハラは噛まれた場所を押さえて具合が悪そうにしていた。
「頑張れ。ウチハラ。あともう少しだ。」
感染者と化した警官を撃退しながら階段を登っていきヘリポートに到達した。遠くからヘリコプターが飛んでいるのが見えた。エギーユは発煙筒を使用して助けを求めた。
「おーい。こっちだ。俺はここにいる。」
ヘリコプターに向かって必死に存在をアピールするが着陸する気配は無い。その見返りとしてヘリポートにボックスを落とした。
「クソっ、俺達を置き去りにする気かよ。それにこのボックスは何だ。」
エギーユはボックスを開けてみた。
ボックスの中には救急品と3日分ほどの食料、飲料水、M16アサルトライフルが入っていた。
「ありがたいがこんなのはいらない。それより脱出だ。」
エギーユは腹を立てて怒鳴った。
「エギュー、俺たちは消耗品だ。いつでもどの世界でも。必要なくなれば使い捨て。はじめから俺たちは物なんだ。使い捨てのゴミなんだよ。」
ウォンは絶望して悲観的になっている。
「ウチハラ、行くぞ。おい、聞いてんのか?おい、ウチハラ…」
エギーユが強気で呼ぶもののウチハラは奴らと同じようになっていた。エギーユはそっぽを向いてウチハラの額に弾丸を撃ち込んで葬った。
「ウチハラ、お前はジャップにして最高の兵士だった。お前の仇は俺が取る。」
エギーユとウォンは亡きウチハラにそう誓って警察署内を調べ回ることにした。
「まずは所長室に行こう。」
ウォンはエギーユに提案しするとエギーユはそれを承諾して所長室に突入した。所長室をくまなく調べて書類を漁るとガーディアン社と警察組織の密約したものと思われるデータやプリントが見つかった。
「警察の奴ら、ガーディアン社と密約して生物兵器開発、密売に加担してたのか?」
エギーユは信じられずにいた。
ガーディアン社は各医療機関や警察組織と密約を交わし悪事を行っていたのだ。表向きは医療と軍事に精通した民家軍事警備会社だったが実はそうではなかったのだ。
所長室を出てから周りを見渡すと監視カメラが気になった。
「どうやら俺たちは見られているようだな。」
ウォンは監視カメラが気が散るような言い方でつぶやく。
2人でモニタールームに入ってカメラで確かめるとエギーユ達と同じくして派遣された傭兵部隊と制服警官に機動隊員が集まっていた。そして突然鳴り響いた銃声とともに彼らは一網打尽にされて倒れて死んだ。
遠くから覆面をして全身黒で固めた完全装備の特殊部隊らしき男達が合図をしながら全身を始めた。防弾ベストには「POLICE」と書かれていた。
「どうやら、警察内部の証拠隠滅部門の特殊部隊さんか?これは参るな。」
ウォンはベレッタM9のスライドを引いていつでも撃てるように準備した。
特殊部隊と思われる証拠隠滅部隊は四周を警戒して感染者を排除して中には潜り込んでいる警察官やガーディアン社の傭兵達を射殺していった。
「こちら1班、制圧完了。」
「こちら2班、了解。」
各班報告を終え別の場所に向かっていく。
後から出遅れて立て籠もった部屋から出てきた警察官3人は証拠隠滅部隊と遭遇した。証拠隠滅部隊はサブマシンガンを警察官たちに向けて発砲した。
「こいつら何だ。同じ警察だろ?なぜ俺らを…」
負傷した1人の警官を2人で抱えて遮蔽物に連れて行った。1人は応急処置をしてもう1人は数の限られた拳銃で応戦している。
証拠隠滅部隊の1人がグレネードを3人の警官に向かって投げた。手榴弾は炸裂して3人の警官はあっけなく死んでしまった。
エギーユとウォンはモニタールームを出て廊下を歩いていると証拠隠滅部隊とばったり遭遇した。
ウォンは奴の顔を撃ちもう1人の隊員の腕を撃った。そして腕を撃たれた隊員を殴って銃口を突きつけた。
「お前らは何者だ。」
尋問すると隊員はあっけなく答えた。
「俺は警察庁直轄の特殊部隊所属。階級は巡査だ。俺らはただ命令されただけだ。」
「そうか?ご苦労。」
ウォンはためらわずに頭をベレッタM9ハンドガンで撃って殺した。
証拠隠滅部隊の隊員達はエギーユたちを集中的に銃撃をしている。ウォンはベレッタM9ハンドガンの弾薬をリロードしてまた撃ち返していた。その何発かが隊員の首や腕に命中して何人か倒れた。エギーユ達との銃撃に気を取られた証拠隠滅部隊隊員の所に警官や機動隊員の感染者たちが現れて1人そしてもう1人に噛みついて行った。
「うわぁぁぁあ。助けてくれ。」
サブマシンガンを乱射しながら断末魔の叫びをあげていた。
その隙に証拠隠滅部隊隊員達をめがけて銃撃しながら警察署を脱出した。