「なあなあ」
飲み終わった久城くんが口を開いた。
「俺たちってさ、カップルみたいじゃね?」
「はっ…はぁぁ!?!」
信じられない。私はこの人と付き合った覚えはない。いきなり何を言いだすんだこの人…
「いや、驚かすつもりはなかったし、別に本気で言ってるわけじゃっ…て…」
完全にフリーズしてしまった。久城くんと私が!?確かに久城くんはかっこいいし優しいしってあれ?!!?何を考えているの…?
「いやぁ…べつにぃ!?付き合ってあげても…いいけどォ!?」
今更答えは変えられない。
「だってほら久城くん顔イケメンだし、優しいし、いいと思う!うん!」
脳では止めようとしても口が止まってくれない。他人の体だと思えるくらい別の動きをしている…!
「その気があるのなら乗ってやるよ!じゃ、今日からカップルな、よろしく〜」
その言葉を聞いた瞬間我に返った。
「いまなんて…」
聞き返したが久城くんは向こうに走って言った。カップル成立という言葉があてはまった。おうちに呼ばなくては…
「久城くん!!土曜日空いてるなら、おうちに来てほしいの!!」
「んぇ!?」
「あそぼうね!」
友達を家にあげたことはなく、久城くんが初めてだった。
「…かわいすぎんだろ」
久城はそうポツリと呟いて走っていったのだ。
青春とはいちごの甘酸っぱさとクリームのついたふわふわのスポンジようなショートケーキみたなものだ。
そういえば今日は水曜日。これからどうやって久城くんの顔を見ればいいのだろう…変なことしないといいな、と考えながら私は席へ戻った。クラスメイトの人たちもあまり気にしてなさそうだったし話を大きくしないようにしなければ。
久城くんは頭はあんまり良くないけど、本当にみんなに優しくてとってもいい人っていうのは知っているしそこそこ気に入ったかもしれない。午後の授業も頭に入らず聞き流していた。頭の中は久城くんでいっぱい。集中できるわけがないのだ。
「じゃあ、海口、読んでくれ。」
「はーい。今は昔、竹取の翁といふものありけり…」
海口さんは元気だなーなんて他人事のように考えていたら隣の席の桐谷くんが話しかけてきた。
「ねぇ、久城と付き合ったんだって?」
「えぇ、?!?」
大声を出しそうになった。危ない…
「その反応だと図星のようだね。まあ、頑張ってよ」
なんなのこの人。女子の中では大人気だか私にはその理由がわからない。それなら久城くんの方が…
「お、今久城のこと考えてたね〜わかりやすい」
「ほらそこ、喋らない。」
先生に注意されてしまった。
「もうしらない」
前を向いて知らん振りをした。元はといえば桐谷くんが悪いんだ。
「…チッ」
海口さんの朗読が続く空間の中密かに誰かが舌打ちしたのが聞こえた。