IS《ISの帝王:小説版》 作:只の・A・カカシです
シュヴァルツェ・ハーゼ
シュヴァルツェ
シュヴァルツェネッガー
アーノルド・シュヴァルツェネッガー
アーノルド・シュヴァルツェネッガー・ハーゼ隊←クッソ強そう。
休憩時間。トイレ帰りの一夏は、速歩きで教室に戻っていた。
〈くそっ、何でトイレが近くにないんだ・・・。〉
まあ、トイレが近い(頻尿)よりはマシだろうと考える。
〈これは・・・。〉
ふとその道中、良く知った2人の話し声が聞こえてきたため、足を止め辺りを見回す。
「教官!何故こんな所で教師を!大佐もです!」
「ラウラ、何度も言わせるな。私は教官ではないし、一夏も大佐ではない。それに、日本で静かに暮らすつもりだからだ。ま、ドイツの軍より賑やかなことは否定しないがな。」
声がしたのは、廊下の曲がり角の先。そっと覗いてみてみる。
と、そこで話していた1人はラウラ、もう1人は織斑千冬だった。
「あなた方は、こんな極東の地に何の役目があるというのです!」
考えを変えてくれない織斑千冬に、ラウラは思わず口調がきつくなる。
「何もない。」
この道を通らなければ教室に戻ることが出来ない。何より、ラウラの言うことを聞いていられなくなった一夏は話に割り込む。
「大佐!!・・・お願いです。教官、大佐。我が隊、シュヴァルツェ・ハーゼにもう一度ご指導を!ここにいては、あなた方の能力は生かされません!」
「「何故だ?」」
時間を掛けていると授業の開始が遅れてしまう。ここは2人で圧力を掛けて引かせようとする。
「!!この学園の生徒は、皆カカシです!あなた方と釣り合う人間ではないのです!ISをファッションか何かと勘違いしているカカシ如きに、あなた方の時間を割くだけ無駄だ――」
「それ以上喋ってみろ。口を縫い合わすぞ。」
お前は誰に向かって口を聞いているのかと睨み付ける。
「きょ、教官、わ、わt――」
ドイツ軍時代の名残から、つい教官と呼んでしまう。
その瞬間、織斑千冬は出席簿でラウラの頭を叩く。
しかし、それは減らず口を叩いたからではない。彼女もまた、ドイツ軍時代の名残で、時と場合(戦場)においては呼び間違いは命取りになると教えていたためである。
「教官ではない。先生だ。・・・授業が始まる。さっさと教室へ戻れ。」
「ま、まだ話g――」
ドベキシ「オフゥイ・・・。」【1/8000】
まだ諦めが付かないラウラを一夏が絞める。途中で目を覚まさないよう、けれど死なないよう慎重に、そして30分程度の記憶が飛ぶように。
「子ウサギを黙らせるには、この手に限る。」
グッタリとしたラウラを担ぐ一夏。
「すまん、一夏。」
何時になく弱気な織斑千冬。一度時計を見てから、織斑千冬へと視線を戻す。
「・・・気にするな。遅かれ早かれ、けじめを付ける必要があった。その時期が近付いてきただけだ。シュヴァルツェ・ハーゼに俺達の良い印象を植え付けすぎた。ラウラの今の発言だって、俺達のせいだ。」
「あぁ、まったくだ・・・。」
葬式みたいな空気が、2人の間に流れる。
「・・・織斑、時間がない。急いで教室に戻れ。
「あぁ、分かっている。」
互いがニヤッと笑い、次の瞬間、一夏は教室に、織斑千冬は職員室へと校舎の壁を走っていった。
――とな・・・で、・・・です。・・・・・います。」
〈・・・んん。・・・!!〉
山田先生の声に目を覚ます。慌てて時計を見ると、授業開始から20分が経過したところだった。
〈い、いかん。私としたことが。教官は・・・、教官と大佐と何か話していた気が・・・。いや、思い違いか・・・。〉
何時から寝ていたのだろう。その前に、何故寝ていたにも拘わらず教官は叩かなかったのだろうと、首を傾げすぎて首を捻挫するラウラであった。
放課後、一足先に第3アリーナに付いた凰とセシリア。
「やっぱり、一夏達が居ないとアリーナが静かね。」
「えぇ、そうですわ。慣れたと言っても、やはり毎日、あの2人がいては、気が休まりませんわ。」
こういう日もないとやっていられませんと言っているが、十数分後にはここで合流する予定である。
「それにしても・・・静かね。」
意味ありげに静かという凰。
「えぇ、よく音が聞こえますわ。例えば、こちらに照準を合わせている音とか。」
刹那、アリーナに響く発射音。2人はそれを華麗に受け流す。
「ラウラ・ボーデヴィッヒ・・・。ドイツ軍の子ウサギがあたし等に、何の用?」
筋肉くさいのが来たわねと、凰は溜息を吐く。
「中国の甲龍、英のブルー・ティアーズ・・・。っは、データで見た時はどれ程強いのかと思ったが、実物はEOS並だな。」
見下した、いや、2人より高い位置にいるので見下ろしながらそうぼやく。
「はぁ?何言ってんの?カタログスペックなんて、下駄履かしてるからスペック高くてなんぼでしょ?」
「その程度のこともご存じないなんて、ドイツの軍はさぞかし世間を知らないのですわね。あ、失礼いたしましたわ。ドイツは完璧主義ですから、誤魔化すことなどなさいませんものね。」
皮肉を言ったつもりが、自虐で返されてしまう。
いや、自虐というと語弊がある。織斑一夏と言う存在に慣れた今、正直カタログスペックですら全く持って物足りないように感じているのだから。
「ふん、口の利き方を覚えるんだな。しかし、まあ数が取り柄の国と、古いだけが取り柄の国にはトーシローしか居ないようでがっかりだ。」
「そですわね。私もISトーシローに負けてることですし。」
「全くだわ。って言うか、織斑筋に限界ってあるのかしら?」
思うように挑発に乗ってくれない相手に、ラウラは苛立ちを覚える。
「どうした、来いよ!まとめて倒してやるからな!」
「セシリア、じゃんけんしよ。勝った方が練習後にジュースおごり。いい?」
「えぇ、良いですわ!」
しかし、2人は依然としてそれを聞く様子がない。
「は!舐められたものだ。2人がかりで掛かって来いと言ってんだ!さあ、ここに居るぞ!」
「「最初はグー。」」
「聞けぇ!」
それでも相手にして貰えない。仕方なくレールガンをぶっ放すも、またしても躱されてしまう。
「「じゃんけんPON☆!」」
それも、関係のないじゃんけんを続けながらである。
「っく!コケにしやがって!」
思わず声が漏れる。
「あぁ!負けちゃった。・・・何で金持ちってジュースおごりのじゃんけんで勝つのかしら。」
「おほほほほ、そんなこと私は存じ上げなくてよ!では、後でごちそうしていただきますわ!」
悔しがるラウラの前で、ふざけて舞うセシリア。
「怖いのか中国?」
何とか2人まとめて片付けたいラウラは、こちらに興味を向けさせようと挑発を続ける。
「怖がってんのは、アンタでしょ?ラウラ・・・何とかウサギ隊長。」
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ!2人まとめて掛かってこい!」
「面倒くさいですが、仕方ありません。先程からうるさくて堪りませんわ!この騒音は、手に負えませんので、鈴さん。2人で行きましょう。」
「OK。」
渋々といった顔で挑発に乗ってやる凰とセシリア。2人は、息を揃えて飛び立った。
ドン、ビシューン!【6011/8000】
「っく!!」
五分後、結果から言うとラウラは手も足も出せないでいた。
「あらぁ!?先程までの威勢はどちらに?」
「止めなよ、セシリア。みっともないから。所詮ウサギよ。」
ふざけながら戦闘を続ける2人。
「ふざけやがって!来い、ポンコツ!」
引くに引けないラウラは、強がってみせる。しかし、それが意図せずしてラウラに味方する。
「お黙りなさい!まな板!」
セシリアのこの失言で曲面は一変した。
ドゴン!【26000/27000】
背中にズドンと言う衝撃を受ける。凰に衝撃砲を打ち込まれたのだ。
「な!り、鈴さん?何を!!」
「ふふふふ・・・。誰がまな板、貧○だぁ!?」
「あ、貴方に言った記憶は・・・、っく!!」
凰の、ただの自意識過剰に過ぎないのだが、こうなっては止める術はない。
「ハッハッハ!よくも言ってくれたな!イギリス!」
「キャァァァァー!」
狂った鈴は、一方的にセシリアを打ちのめしに掛かった。
「り、鈴さん!落ち着いて下さいませ!」
「地獄へ堕ちろ!巨*!」
いくら謝っても、凰は聞く耳を持たない。
ドン!【1200/27000】
「っく!」
しかも、あの失言以降、やけに動きに切れがあり、攻撃一つ一つの重さ、速さ共に一流のそれだった。
「良い働きだったぞ。中国。」
ドン、ドン、ドゴゴォン!【1100/16000】
突如、凰を強い衝撃が襲う。
「っな、小ウサギ!アンタ、裏切る気!?」
途端に冷静になる。そして、ラウラを怒鳴りつける。
「裏切る?手を組んだ覚えはないぞ!」
お前が勝手にやっただけだと、あざ笑いながら凰と弱ったセシリアに先程までのお返しをお見舞いするラウラが、そこにいた。
〈賑やかだな、一夏達、もう始めてるのかな?〉
丁度その頃、アリーナの観客席入り口付近を歩いていたシャルルは、中から聞こえてきた音に、時間に遅れたのかなと思い時計を見る。
「シャルル、良いところにいた。今から特訓をしようと・・・。賑やかだな。見てみるか。」
「・・・い、一夏あれ?」
てっきり一夏が中で暴れ回っているものばかりだと思っていた彼女は困惑する。そんなシャルルを放ったまま、一夏は観客席に入っていく。それに付いて行ってみると、そこにはセシリアと凰を手玉に取るラウラの姿が。
「鈴、セシリア。・・・ラウラに負けるようでは、話にならんぞ。」
「い、いや、そんな呑気なこと言ってる場合!?」
「安心しろ、怪我は寝れば――」
「直らないこともあるから!急いで助けなきゃ!」
「必要ない。」
焦るシャルルと対極の一夏。
「何で!」
どうしてそんなに落ち着いていられるのだろうと思っていると。
「見てろ。」
そう言って、懐から何やらアンテナの付いた四角い箱のようなものを取り出す。
「何それ?」
「スイッチだ。」
「スイッチ?」
「あぁ。」
何のとは聞かない。どうせ、ロクなものでないことは分かりきっている。
「・・・どうするの?」
「押す。・・・・・行け!」
チュドォォォォォォォォォォン!【12000/15000】
【2213/8000】
「!?」
行けと言うから何か飛び出すのかと思えば、まさかの爆破。アリーナの内部で爆発が起こるなんて思っても見なかった。
「・・・クレイモアにしてはイマイチだな。」
眉間にしわを寄せ、性能に辛口評価を下す一夏。
「い、イマイチ!?オーバーキルだよ!!グランド凹んだし!!って、言うか、何時の間に仕掛けたの!?」
「あれは、シャルルの来る前のことだ。知らなくて当たり前だ。」
「いや、だから何時!?」
知っている知っていないは関係ないと、シャルルは詰め寄る。
「このアリーナでの授業で、俺がグランドを凹ませた。その時、かさ増しするのに。」
「一夏は、テロリストか何か!?普通じゃなくても、かさ増しに火薬は使わないよ!」
「俺が見間違えたんだ。袋には砂利って書いてあった。だが、正確には砂利型爆弾だった。気が付いた時には埋めた後で、掘り起こすのは無理だったんだ。」
知らなかったんだから仕方がないと言い返したが。
「だからって埋めっぱなしはマズイよ!」
スイッチで発破する火薬なんだから、誤作動で起爆したらどうするのと詰め寄る。
「大丈夫だ、今ので使い切った。」
「そう言うことじゃないよぉ・・・。」
勿論、一夏だって埋めっぱなしが危ないのが分かっている。何故、言わなかったかって?言っても取り合って貰えなかったからです。
「説教なら、後で聞く。見ろ、ラウラが引く。鈴とセシリアを助けに行くぞ。」
早く助けようと言ったのはお前だぞと、シャルルの手を引っ張りアリーナの中へと向かうのであった。
コイヨコイヨコイヨ・・・MADになぁ!作Bが