IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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B 次話はどこだ
A このクソッたれ・・・。
B どこだ答えろ!
A 誰が喋るかよ、くたばれりやがれ・・・。
B 見上げた反骨心だ作A。だがな、読者の評価を貰うほど値打ちのある作品か?さぁ頭を冷やして、よく考えてみろ・・・。
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第34話 バトル喫茶

 「すまない、私が余計な買い物をしたばっかりに予定が狂ってしまった。」

 一通りの買い物を済ませた2人は、レゾナンス内にあるレストランで食事をしていた。

 「いや、大丈夫だよ。誤差、誤差。」

 珍しく気にしているラウラに、少々驚くシャルロット。

 「だが、良い買い物ができた。」

 「折角良い服買ったんだから、着て帰ればいいのに。」

 ラウラの服装は、いまだに制服。

 本人が頑なに断った結果だ。

 「駄目だ。」

 こんな感じで。

 「何で?最初は一夏に見せたいから?」

 「最初に見たのはお前だぜ。違うか?」

 「そ、そうだけど・・・。」

 冷やかすつもりだったが、表情一つ変えずに言い負かされてしまう。

 「デザインは良いが、動き辛い。」

 「」

 どこまで行っても脳筋なラウラであった。

 いつも通りのラウラに、シャルロットはうな垂れる。

 「――いは?」

 「え?あ、ごめん聞いてなかった・・・。」

 「午後の(予)定だ。帝を出せ!」

 *午《誤》字ではありません

 「生活雑貨を見て回ろうよ。」

 素早く予定表を開け、そう告げたシャルロット。

 「そうだなぁ~、僕は時計を見に行きたいんだ。日本の腕時計は性能が良いって言うし。」

 「時計?太陽の角度で分かるだろ。」

 おしゃれな時計が並ぶショーウィンドウを想像してにやけたシャルロットを、雰囲気ガン無視のラウラの言葉が現実に引き戻す。

 「いや、実用性のあるアクセサリーとして。」

 「なら、発光式のやつはお勧めしない。アレは地下で目立ちすぎる。敵に自分から居場所を教えることになるからな。」

 「いや、普段使いだから・・・。」

 一々、過剰なシチュエーションを想定するラウラに、シャルロットは言葉が出ない。

 「戦闘はいつ発生するのか分からん。用心するに越したことはない。OK?」

 「OK!」

 そこへ、命知らずが割り込みをかけた。

 「誰だお前は。」

 「ルームサ・・・、@クルーズの店長。」

 そう名乗った女性だが、何かを隠すように慌てて言い直したお陰でラウラの不信感を買った。

 「この紙は何だ。」

 「求人票。」

 「何の用だ。人の誘拐(客引き)ならお断りだ。」

 ラウラはカバンからチェーンガンをちらつかせ、プレッシャーをかける。

 「うちの店でバイトしてくれない?今日だけで良いから!」

 「悪いな、先約があるんだ。」

 必死の形相で頼む店長。だか、ラウラは首を縦に振らない。

 「そこを何とか!!」

 「どうする。」

 ラウラは、シャルロットに尋ねる。何せ、今日の予定を立てたのはシャルロットなのだから。

 「(制服が)上げ底に見えなくもないけど。」

 「あー、違うなアレは本物だ。・・・間違いねえ。あんなのに袖を通してみてえ。」

 「!!」

 シャルロットが止めないと分かると、あっさりと掌を返したラウラであった。

 

 「いや~助かるわ!今日は、本社から視察が来るって言うのに、突然二人駆け落ちしちゃって消えたのよ!」

 @クルーズに到着した3人は、さっさとお店の制服に着替えた。

 「全くひでぇ話だ。」

 雑談をする2人の横で、シャルロットは顔を引きつらせていた。

 「酷いけど・・・確かに酷いけど何で僕は執事の格好なのでしょうか。僕もメイドの格好ならスッキリするのに。」

 明らかにどす黒いオーラを醸し出しているが、ラウラが相手にするはずが・・・。

 「そこらの男よりも格好いい顔をしてるのはオメェだぜ。」

 なかった。

 「それ褒めてるの?」

 「貶――」

 「大丈夫よ!凄く似合ってるもの!!」

 ラウラが何を言おうとしたか敏感に感じ取った店長は、大声でそれをもみ消した。

 「そ、そうですかね。」

 ただし、それがシャルロットの喜ぶ答えではなかったのも、残念ながら事実だが。

 「店長!喋ってる暇あったら手を動かして下さい!」

 「はいよ!」

 「デュノア君!主砲テーブルにアイスティー二つお願い。」

 スタッフのバイトをすることになった2人は、ホールに入っていた。

 「主砲?」

 あまり冗談の通じないシャルロットは、意味が分からず首をかしげる。

 「四番のことだろ?」

 「へぇ・・・・・へー・・・。」

 ラウラに説明されても、いまひとつ納得がいかないようだ。

 「コーヒーとレモンティー。それからカルボナーラ入りました!」

 そんな2人をよそに、厨房は戦争の真っ只中だった。ただし、ラウラとシャルロットからしてみればのんびりとした動きではあったが。

 「手先ばかり達者なトーシローばかりよく揃えたもんですなぁ。まったくお笑いだ。大佐がいたら、奴も笑うでしょう。」

 その様子を、呑気(当社比)にコメントしながら見つめるラウラ。

 「ラウラさんだっけ?うちのスタッフは、みな働き者だ。」

 「ただのカカシですなぁ。大佐なら瞬きする間に、調理できる。忘れないことだ。」

 普通に話している中でも、ラウラは次に何が出来上がるかの目で追いチェックする。

 「是非紹介してくれない?うちの厨房に置いておきたいの。」

 「1000年後ぐらいでどうだ?」

 「直ぐだな。」

 「二人とも!仕事して!!」

 別にサボってはいないのだが、厨房のスタッフは忙しくてイライラしているようで、話をしていた2人はそのストレスをぶつけられる。

 「今行く。おっと、客が来たな。」

 そのとき、階段を駆け上がってくる振動が伝わってきた。おそらく男性、複数人だ。

 「ようこ――」

 「助けてくれい!」

 接客の決まり文句を言おうとしたラウラの声を遮って、入ってきた(駆け込んできた)男たちは全員が覆面をしていた。

 「兄貴!違います!」

 「あぁ、ま、間違えた!!」

 いったい何のコントなのだろうと、不思議そうに眺めるラウラ。

 「ラウラ、本物に見える?」

 「あー、違うなアレは上げ底だ。・・・間違いねえ。私には分かる。シークレットブーツだ。」

 シャルロットが聞きたかったのは、武装が本物かどうかだったのだが、ラウラにとってはどうでもいいことだった。

 「全員、動くんじゃ――」

 「@クルーズにようこそ!ご入店の目的は?ポイントカードはお持ちですか?」

 武器を構えたため、ラウラが戦闘モードに入る。

 「「「」」」

 「お水は如何?」

 ザバァアァァァンツ!【【【100/500】】】

 どこからとまもなく現れた大バケツでの水打ちにより、強盗達は派手に押し流される。

 「何しやがる!」

 怒りに任せ拳銃(はじき)を構えたが、それは非常に悪手である。

 「面白い奴らだな。気に入った。ぶっ飛ばすのは今にしてやろう。」

 \デェェェェェェェェェェン!!!/

 『あー、君達は警察に――』

 警察の呼びかけをぶった斬り、ロケットランチャーを放つ。引き金を引く手には、一切の容赦も迷いもなかった。

 「ら、ラウラ、警察来てたけど大丈夫なの?」

 「いいんだ、観客が来ただけだよ。」

 落ち着き払った動きでロケットランチャーを仕舞う。そこに、焦りは微塵も存在しない。

 「店員さんですか?警察のものですが、先程の音は?」

 爆発の音に驚いた警察官が駆け足で突入してくる。

 「安心しろ、何でもない。」

 店内は全くの無傷であることを指差してみせる。

 「到着は早かったでしょうか?」

 「手遅れだ、マヌケ・・・。」

 警察に捕まったほうがマシだったということなのだろう。倒れていた強盗は、脊椎反射のように警察官にそう言うと、リーダーらしき人物は力尽きた。

 「コイツは?」

 先程まで追っていた強盗のそれとはかけ離れた、消し炭のような外見になっていたため警察官は判別しかねる。

 「あぁ、『リア充爆発しろ』って言って、『あり得ないんだぜ。』って倒れた。」

 「あぁ、なるほど・・・。」

 深く聞けば自分もただでは済まないと感じたのか、それ以上の追及を受けることはなかった。

 「で、先程の音は?」

 「花火みたいなものだ。気にするな。」

 別の空気の読めない警察官がその話題を振ったが、ラウラは気に留めない。

 と、そこへ、ダッシュで近付いてくる足音が一つあった。

 「ラウラ!今ここにテロリストが来なかったか!?」

 飛び込んできたのは一夏だった。

 当然、彼の意気は全く上がっていない。

 「!!大佐!今ぶちのめしたところです。」

 「・・・違う、コイツは只の武器持っただけの一般人(強盗)だ。くそ、奴らめ何処へ消えた。」

 間違って追いかけてしまったと、一夏は悔しそうな顔をする。

 「手伝いは?」

 「千冬姉がいる。」

 「なら安心です。」

 一夏を相手に逃げられる相手だけに、ラウラは手助けが必要かと考えたが、流石にそこは手配済みであった。

 「あまり遅くなるなよ。寮に門限はあるからな。」

 「はっ!」

 そう言い残し、一夏は@クルーズからダッシュで立ち去った。

 そしてラウラは、片手間に強盗を始末して店の手伝いに戻るのであった。

 夕方。シャルロットとラウラは公園を歩いていた。

 「思ったよりも早く切り上げられたから、クレープでも食べていこうよ。」

 IS学園の門限までにはまだ時間があると、偶々目に付いた移動販売のクレープ屋さんに寄っていこうとシャルロットは提案した。

 「甘いお菓子が死ぬほど食いたかったんだよぉ!もう半日もマトモな菓子食ってねえやってられっか!」

 「・・・そう。」

 ラウラが予想以上の反応を見せたので、思わず困惑してしまう。

 「で、この公園のクレープ屋さんでミックスベリーを食べると幸せになるっておまじないがあるんだって。」

 「幸せになる?マッチョの方が嬉しいな。」

 ロマンもへったくれもない言い方にも、随分慣れてしまったなとシャルロットは肩を落とす。

 「・・・ま、まあ、食べてみようよ。」

 そう言い、クレープ屋に向かって歩みを進める。

 「すいません!クレープ2つ下さい、ミックスベリーで!」

 ラウラに変な突っ込みを入れられまいと、シャルロットは一息にそう言い切る。

 「あぁ、ごめんなさい。今日の分は売り切れたんですよ。」

 申し訳なさそうにする店員。

 「残念・・・、なら僕は苺で。ラウラは?」

 「なら、ブルーベ・・・ブドウをくれ。」

 最近、目が疲れるからとブルーベリーを頼むつもりだったが、ラインナップにそれがないと気付き、見た目の似ているブドウで我慢することにした。

 「お買い上げ有難うございます。」

 お金を受け取ると、店員は奥へと入っていく。しばらくすると、生地の焼ける匂いが漂ってくる。

 そのときラウラは、匂いに引っかかりを覚えたが、何なのかが分からなかったので口には出さないでおいた。

 「お待たせしました。」

 2分程度で完成したクレープが運ばれてくる。

 「あぁ、どうも。」

 それを受け取り、食べられそうな場所を探す。

 「・・・あそこに座って食べるとしよう。」

 「うん。」

 2人が座れて荷物が置けそうなベンチを見つけたので、そこへと移動する。

 「・・・シャルロット、あの店は違うんじゃないか?ミックスベリーというのはなかったぞ?」

 座るなり、ラウラはそう話し掛けた。加えて彼女は、店の設備が綺麗すぎることにも引っかかりを覚えていた。

 「よく見てるね。」

 流石の洞察力だと、シャルロットは感心する。

 「当然だ。テロリストの偽装だったらどうする。真っ先に制圧する必要があるだろ?」

 例え、それがロマンチックな理由でなかったとしても。

 「グレネードが爆発したらとか考えないの?」

 ラウラにしては大人しい考えだなと、シャルロットは敢えて派手なものを選び聞いてみる。

 「爆発したら、携帯電話を盾にすれば良い。」

 「携帯?・・・ISか!」

 「そうだ。それからな、爆風を潰すのは、蚊を叩くようだぜ。」

 「」

 生きている次元が自分とは全く違うと、その会話から改めて認識させられる。

 「おっと、もう一つ。あの店はベリーとつくものは苺しかなかったぞ。」

 そんなことはつゆ知らず、話題を変えるラウラ。

 「そうなの?」

 「そうだ。では、頂くとしよう。」

 そこに何かを隠そうとする意志は、毛ほどもない。

 「ん!美味しい!」

 いいお店を見つけたと喜ぶシャルロット。そんな彼女の横では・・・。

 「・・・中身は何だこれ?食べ覚えのある味だな。」

 「え?そう?」

 不思議そうに首をかしげるラウラがいた。

 その直後だった。公園内に、チュドォォォォォォォォォォォォン!!!っという爆音が残響するほどに響いた。

 「!?」

 驚くシャルロット。その表情は、まるで豆鉄砲で蜂の巣にされた鳩のようだった。

 「何してるんだ?こんな所で。」

 間もなく、2人の前に手ぶらの一夏が現れる。

 「大佐!・・・あぁ、大佐手作りのクレープの味だ。」

 彼を見て、ラウラは納得の表情を見せた。

 「だろうな。俺のレシピブックを盗んで商売してやがった。」

 一夏の顔は、明らかに怒ってますといったものになっていた。

 「もしかして一夏、テロリストって言うのは?」

 そう言ってシャルロットが振り返れば、先程クレープを買った移動販売車はバラバラになっていた。

 「奴らのことだ。」

 しばらく考えた後、シャルロットはこう叫ぶのだった。

 「・・・飯テロか!」




B 何してる?作A
A 次話作るんだよ!悪いか 
B イカれた(天災)作者
友 怖いな・・・

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