IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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私を覚えているかね読者。小説版で、冬のMAD版更新に備えておいてくれ。
でないと、諸君の腹筋がバラバラになるぞ。


第44話 あっら~?(ISの)アマチュアだぁ

 第6アリーナでの授業はまだ続いている。

 専用機を持たされている一夏も、当然キャノンボールファストに参加しなければならないわけだが、白式と言う名の携帯電話・・・ではなく漬物石ではスタートラインにも立てない。

 「山田先生。ISを貸してくれ、スラスターがでかいヤツだ。それがいい!」

 仕方なく訓練機を借りに向かうと、一夏好みのデカい装備を着けたヤツが居たので迷わず指名する。

 「待って下さい織斑君!これは一般参加生徒用の大気圏離脱用のスラスターを流用した機体なんです。専用機を使って――」

 「織斑、アッシ・・・ンヴ。山田先生、貸してやれ。予備があるだろ。」

 一瞬、言ってはならないことを言いかけ咳をして誤魔化す千冬。

 「織斑先生・・・。ちゃんと返して下さいね!壊したら始末書ですからね!」

 「ありえないね。」

 この場合のあり得ないは、『使用中に壊さない』ではなく『壊したまま返すような真似はしない』と言う意味だ。

 機体を受け取り、箒達の元へ歩いて移動する一夏。

 「あれ?織斑君、ラファールになんか乗ってるの?邪魔じゃない?」

 そのあまりに珍しすぎる光景に、クラスメイトからも驚きの声が上がる。

 「俺だってマッハで走り回れるわけじゃない。」

 「そっか!」

 クラスメイトはそれで納得したが、侮ってはいけない。一夏は、脚力でマッハに到達できないとは言っていないのだから。

 「まさかISを借りる羽目になるとは。」

 普段からカモにしていただけに、量産機に乗るというのはある意味屈辱だった。

 「珍しいものに乗ってるな。」

 箒がそれをからかいに来る。

 「学園に借りを作るとは」

 「最低の気分か?」

 「ああ・・・。」

 いつになくテンションが低い一夏。まあ、それも今は仕方のないことであった。

 ただ、いつまでも言われてばかりは癪なので、自分はどうだと反撃を行う。

 「赤椿はどうだ?」

 「速度なら誰にも負けはしないが、燃費が悪すぎる。BB弾ほども飛びやしねえ。何か良い考えあるか?」

 速さの代償が、エネルギーが持って十秒、それ以上は頭打ちの落ち葉製造機。彼女は、

 「山田先生に言って、コレみたいなでっかいスラスターに変えてこい。アレが良い!」

 山田先生が予備のスラスターを倉庫から引っ張り出してきたのを、めざとく見つけた一夏。

 「!!よーし、ちょっと待ってろ。ちょちょっと手先を動かせば死に損ないのスラスターとバカでかいロケットエンジンがパパーっと入れ替わる。」

 風のように素早く、フクロウの如く山田先生の背後に近付き、彼女の肩を箒は叩く。

 「山田先生。」

 「何ですか?篠ノ之さ――」

 ドベキシッ「オフィッ!」【0/3000】

 どうせ断られるのは目に見えていたので、さっさとお休みして貰う。

 そして、すぐにロケットエンジンをかっぱらって機体に装着した。

 「箒、(ISは)元気か?」

 「絶好調!」

 これで十分戦えると、箒は握りこぶしを突き上げた。

 「大佐ァ!私の飛行を評価して下さい!」

 それが終わるや否や、ラウラが一夏の元へとやってくる。

 「よーし、いいだろう。チャンネルは305のままか?」

 「待ってくれ、しばらく使ってなかったから・・・そのようだ。」

 「よーし、行け。」

 「はっ!」

 音速まで脚力のみで加速して、ソニックブームを発生させながらコースを周回するラウラ。

 最後は、壁をクッション代わりに使ってゴールする。当然、壁は凹んだが。

 「どうですか!」

 「100点だよ!!!」

 そういって、一夏が弾をぶっ放した。それも2発。

 「何をされるのですか!?」

 これには付き合いの長いラウラも驚く。

 「ハエが止まってたんだ。」

 「そうですか!有難うございます!」

 「あの速度で本当にハエが止まるの?」

 ラウラ本人は喜んでいた。しかし、それに部外者のシャルロットが異議を唱える。

 一夏が一言もハエが生きていたなんて言っていないのに、である。

 「そう思うか?」

 「怪しいねェ。」

 それを、鈴と箒が更に煽る。

 「嘘だと?」

 「信じてるさ。」

 勿論、その二人は分かった上で煽っていたが。

 「織斑君、少し練習しませんか?」

 連中のそんな遊びを知ってかしらでか、山田先生が一夏に誘いをかける。

 「お断りだね。」

 勿論、にべもなく断られた。実力差は圧倒的なのだから当然と言える。

 「エェェェェェェェェェェェッ!?!?!?!?」

 「うるさい!」

 ベキッ【100/3000】

 毎度いつもの制裁タイム。一応、意識が残る程度に手加減はされいている。

 「よしとけ山田先生、恥を掻くだけだ。」

 「織斑先生!私だって教員です!仕事をさせて下さい!私はメチャ腕の立つ操縦者なんです!!」

 その自信がどこから来るのか。千冬はやれやれと行った表情をした。

 「なら試してみろ。織斑。」

 「分かったよ。」

 初心に返ると言うことにして、一夏は渋々勝負を引き受ける。

 「!!じゃあ始めますよー!!3・2・1GO!」

 一気にハイテンションになった山田先生は、まだ一夏の準備が完全ではないのに勝手にスタートを切る。

 「山田先生、上昇しよう。」

 「え、それは私が言うことで・・・」

 ところが、山田先生が意図して行ったフライングは、一夏が僅かに出遅れただけで普通のスタートと比べても遜色ないレベルしか差が開かなかった。

 「四の五の言うな、時間を無駄にしたくない。サッとやってサッと戻ろう、スピードが肝心。」

 「わ、分かりました。」

 既に立場が逆転しつつある。何とか阻止しようと山田先生はマシンガンが展開し、一夏に向けて発砲した。

 そして、ダメ押しと言わんばかりにグレネードを投げたところまではよかったのだが・・・。

 「良い腕だ山田先生。だがグレネードは俺に向かって投げなきゃな。」

 「へっ?」

 息をするようにマシンガンの弾を躱されたのみならず、投げつけたはずのグレネードを一夏にキャッチされて投げ返されてしまった。当然、避ける間などあるわけがなく、爆風を受けた山田先生は地面へと墜落。ゴロゴロと丸太のように転がった。

 「これで分かっただろ、山田君。どっちが腕の立つ操縦者だ?」

 「うぅ・・・。」

 そして、落下地点を予測し待っていた千冬にとどめに言葉を言われ、山田先生の心はへし折れた。

 「何か良い匂いするね。何、これ?」

 その頃一夏は、箒等の元へと戻ったところでクラスメイトの相川に絡まれていた。

 「ロケット燃料。」

 「ロケット燃料。・・・良いね、好き。」

 スーハースーハーと、彼女は胸いっぱいに燃料の匂いを満喫する。

 「相川、お前いつからおかしくなったんだ?」

 「やーねぇ、冗談よ。」

 言うのはタダだが、他人から見たら変態以外の何物でもない行動なので言い逃れは出来ていない。

 「・・・恐らく友達は俺だけだろうな。」

 「いっぱいいるわよ。」

 苦し紛れには鳴った一言も、一夏の前では通用しない。

 「バレーコートの隅に逃げ込まれちまうくせに。」

 「」

 軽くショックを受け、相川は言葉を失った。

 「ほらてめえ等、さっさと並べ。はい、礼。」

 気が付けば、授業は終わりの時間になっていた。お腹と背中が入れ替わる寸前の千冬は、雑に授業終わりの号令を掛ける。

 「よーし、飯にしようぜ!見ろ、千冬姉の背中と腹が入れ替わっちまいそうだ。」

 「ああ、相当気が立ってる。」

 一夏と箒は、いつもとは少し違う千冬の動きから、彼女の気持ちを類推していた。

 「お前らは後10周だ。」

 そして図星だったため、ペナルティーを与えられてしまった。

 「OK!」

 まあ、たかが10週でペナルティーと言って良いのかどうかは不明ではあったが。

 「よーし、今度こそ飯だ!」

 「食堂で食う気じゃないよなぁ!」

 「食うとも!」

 「行こうぜ!」

 お馴染みの連中は、揃って食堂へと歩き出した。

 

 

 

 授業も終わり、夕食の時間。

 「珍しい服着てるな。」

 一夏は食堂前でばったりとラウラに出会い、彼女が見慣れぬ服を着ていることに驚きを示す。

 「ISより身軽で良いぞ。」

 「なるほどな。その考えがあったか。」

 「なら、明日から大佐はブリティッシュスタイルだな!」

 「止してくれぇ、日本じゃただの変態だ。」

 堪らず、一夏は苦笑いをした。

 「言うと思った。」

 「なら良い。」

 気が済んだ2人は、メニューへと向き直る。

 「晩飯何にする。偶には爽やかにチーズフォンデュでも食うか。」

 チーズが爽やかかどうかはさておき、一夏は無難に今日のオススメと書かれたメニューを選ぶ。

 けれど、ラウラは違った。

 「そうだな、なら私も爽やかに、鯨のケツ、アザラシの子ども・・・。」

 そもそも、何でそんなメニューが用意されているのか。

 「・・・朝どれだってよ。」

 勿論、今日の朝なんて一言も書かれていない。

 「夏が旬だ。」

 「それだけで足りるか?」

 普段はもっと食うだろと、一夏は彼女が夏バテでではないかと心配する。

 「肉が食えりゃ文句はねえ。腹の事考えな、言いたいのはそれだけ。」

 けれど、ジョークにはいつも通りのキレがあるで、それだけはないなと一夏は一安心した。

 「はい、お待ちー!」

 「どうも。」

 完成したそれを受け取り、2人は席に向け歩き出す。

 「大佐ァ、いよいよ明日だな。」

 周囲に人は居らず情報漏洩の可能性は極めて低いが、それでも小声で話し掛ける。

 「亡国企業か?」

 「キャノンボールファストで仕掛けて来るんだってなぁ?」

 直接会う機会がなかったため、ラウラは鈴からこの話を聞いていた。

 「ああ、愚かだ。だが、手は抜くな。」

 彼らの場合手を抜くなは、うっかり仕留め損ねたら恥だぞと言う意味で、怪我をするなとかそう言う意味では決してない。

 「観客の期待を裏切っちゃ悪い。」

 「観客?亡国企業の、だろ?」

 「ああ、その通り。」

 不敵に笑みを浮かべ、割り箸を箸入れから取り出した。

 

 

 

 「IS使って何してる?」

 キャノンボールファストの会場で、ラウラがISを操作していた。何をしているのか気になった一夏はそれを尋ねる。

 「天気見てるんだ。悪いか。」

 「空見れば分かるだろ。」

 呆れたと、一夏が天を仰ぐ。

 「晴れ、時々弾丸って所か。」

 「何発外す気だ?」

 たかがテロリスト相手にと、一夏は付け加える。

 「相手のだ。」

 「安心したよ。」

 流石にそんな真似はしないかと、一夏は胸をなで下ろす。

 「一夏、そろそろ開始だ。準備しろ。」

 「ああ・・・花火が上がってるな。」

 少しばかり離れた場所で、一発それが打ち上がった。

 「見えるか?」

 「見えるわけあるかよ。昼間だぜ?」

 明るすぎて、形は全く見えない。ただ、音が聞こえてくるだけだ。

 「ああ、のろしにもなりゃしねえ。亡国の連中気付くかな。」

 「なかなか、鈍いからな連中。」

 そして、その花火は亡国企業への警告として一夏達が打ち上げたものだ。

 『ワァァァァァァァァッ!!!』

 最も、観客達には、それは聞こえていない。

 2年生の部、その先頭を飛ぶ生徒に、観客達は釘付けだったから。

 「盛り上がってるな・・・。あのサラ・ウェルキンっての何モンだ?」

 その操縦には癖がなく、お手本のように基本に忠実で技術も洗練されている。

 「私にISの操縦を教えて下さった方ですわ。」

 それを聞いたセシリアは、得意そうにそう言った。

 「なるほど、流石セシリアの師匠だな。紅茶の匂いがするよ。」

 まあ、お前は癖まみれだけどと言う余計な一言を、一夏は言おうとしたが引っ込めた。

 「本当かよ、オイ。」

 「嘘に決まってるだろ。」

 そんなもの嗅ぎ分けられるかよと、一夏が鼻で笑う。

 「安心したよ。筋肉モリモリマッチョマンの変態からただの変態にジョブチェンジして無くて。」

 「さて、そろそろ俺達の番だな。」

 言い時間潰しが出来たと、一夏は歩き始める。

 「ああ行こう。」

 それに、全員が従って移動を始める。

 『皆さーん!スタート位置について下さーい!!行きますよー!3・2・1・GO!』

 山田先生の合図で、全員が音速スタートを決める。誰も一歩も譲らない、激しい加速競争。

 一夏が、僅かに後れを取った・・・その瞬間。

 「ん?・・・ウオッ!」

 影が出来たと同時に、一夏が弾丸を受けて地面に落ちた。

 「おいでなすったか・・・。」

 まあ、その程度で怪我をする一夏ではない。

 「撃たれまして?」

 「ああ2発。」

 勿論、当てられたのではない。跳弾して観客席に飛び込みでもしたら大変なので、受け止めたのだ。

 「一夏さんでよかったですわ。」

 「嬉しいね全く・・・。」

 弾を当てる方がよっぽど楽しいと、一夏は再認識したのだった。




原作へのリスペクトは大切だ。リスペクトを欠くのは凡人、二次作家の屑だ。お互いに組合員だ。リスペクトしよう。腹筋は、温かいバターを切るように殺すべきじゃない。だが、リスペクトは、学ばなければな。
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