IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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タイトルは気にしないでくれ。これは作品の都合上、MAD版の方で使ったサブタイトルを使うようにしているからこうなっているだけだ。
OK?


第46話 読者の腹筋一周忌

 月曜日の夜、1025号室にて一夏がくつろいでいると・・・。

 『じゃじゃーん、ジャン・クロウド「ナァウ!」・・・じゃなかった。楯無お姉さん登場!と言うことで、一夏君開けて。』

 騒がしい暗部がやってきた。・・・なんとも頼りない。

 そろそろ寝ようと思っていたところへの訪問だったこともあり、一夏は門前払いを決めた。

 「今日はもう遅い。帰れ。」

 すると、そうだろう。外から水の流れる音が聞こえてきた。それだけで、一夏は楯無が何をしようとしてるのかを察する。

 次の瞬間、ドアは真っ二つに切り裂かれ崩れ落ちる。

 「グエッ!」

 そして、切った張本人はそれに押しつぶされてしまう。自業自得だ。

 「(玄関のドアを)切ったのは褒めてやろう。だが、物理法則は、学ばなければな。このドアは俺のだ。直して貰おう。」

 「・・・。」

楯無は、一夏の差し出した工具箱を黙って受け取る。そして、トンカチドアの修理を始めた。

 「直ったわ。」

 見かけ倒しの暗部(当社比)ではあったが、暗部は暗部。手際はよかった。

 「よし。話があるんだな?言ってみろ。」

 明日どうせ聞かされるのは目に見えていたので、ここにいるついでに聞くことにした。

 「一夏君、昨日襲ったんですって?」

 「誰から聞いた。」

 「亡国企業からクレームの電話が来たのよ。」

 新手のクレーマーみたいなことをするなと、一夏は呆れてしまう。

 「・・・返り討ちにしただけ。襲われたのは俺だ。」

 「でしょうね。」

 その程度のこと、更識も分かってはいた。

 「それだけのために、ここに来たんじゃないんだろ?」

 「えぇ、そうよ。」 

 これは話を聞かせるための口実だった。

 「私の妹を鍛えてくれない?」

 前置きは無駄と分かっているので、早速本題へと入る。

 「子守は得意じゃない。」

 「謙遜しすぎよ。あなたは良い子守になれる。」

 そこまで言い切られては、一夏も断り辛い。

 「で、何をさせるつもりだ。」

 「簡単なことよ。今度の全学年合同のタッグマッチで妹とペアを組んで。だけど覚えておいて、妹に何かあれば・・・ササクレだろうと何だろうと、預けたときと寸分違わぬ姿で戻らなかったら、あなたも、仲間の筋肉軍団も、おしまいだ。」

 仲間の筋肉軍団。その言葉は、彼女が使うべきではなかった。

 「お前も含まれてるよな?」

 「・・・残念なことにね。」

 だが、言ってしまった以上、取り消すことは出来ない。

 「まあいい。・・・だが、俺達に兵器マニアは必要ない。」

 どこからともなく、一夏が資料を取り出す。そして、履歴書を見て難色を示した。

 「きっと気に入るわよ。」

 「だといいが。」

 若干の不安はあったが、取り敢えずは会ってみることにした一夏だった。

 

 

 

 同刻、自主規制ビルの一室には、ある女性にとって最悪の光景が広がっていた。

 「おりm・・・」

 「ヒトノユメ、ヒトノゴウ・・・ソノスバラ・・・」

 「もぉぉぉぉぉぉぉぉ・・・またぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?」

 マドカ、及びオータムの二名が、またしてもセラピーが必要となっていたからだ。

 

 

 

 翌日。現在、IS学園は昼休み中。

 「更識 簪ってのどこだ。」

 織斑一夏の姿は、一年四組の教室にあった。

 「あそこ。」

 すぐに四組の生徒が教えてくれたため、難なく目的の生徒を発見する。

 「・・・。」

 通常、名前を呼ばれれば反応の一つでもしそうなものだが、彼女は余程集中しているのかキーボードを叩き続けている。

 「中々やるな。事務員じゃないといいが・・・。」

 その正確さと速さに、一夏はかなりの驚きを示す。

 「椅子借りるよ?」

 そう言って、持ち主不在の椅子を拝借。更識簪の正面に座る。

 「何か用事・・・?」

 流石に筋肉モリモリ、マッチョマンの変態が正面に来れば、例えアイマスクをしていたとしても分かるというもの。簪は、キーボードを叩く手を止めた。

 「専用機を開発してるって聞いた。本当か?」

 「そう・・・あなたのせいで。」

 簪にギロリと睨まれたが、一夏はこの程度では一寸も動揺しない。

 「オイ待て更識、(倉持は)まだ絡んでねえ。」

 簪は瞬間的に、一夏が嘘をついていないことがなぜか分かった。。

 「俺の機体は・・・名前何だったかな。何て呼んでた・・・。」

 「白式。」

 「ああ、そうだ。そう、倉持はIS開発に乗っかって、道草や寄り道や油を売りまくってた。すると突然出てきたのが初の男性IS操縦者だ。倉持の連中はこれを好機とみて更に納期を延ばそうとした。そして倉持は倉庫の旧型機を引っ張り出した。事態は最悪、多くの技術が消えていった。開発計画も一緒にな。白式はその混乱の中で篠ノ之束に弄くり回されて出来た機体だ。倉持は・・・ただものぐさなだけさ。お前の機体を作ろうと思えば作れていたはずだった。」

 「・・・!!」

 衝撃を受け、簪が固まる。

 「・・・やはり無駄足かな。」

 そう言って立ち上がり、一夏は簪に背を向けた。

 「待って。」

 直後、簪が椅子を吹っ飛ばすほどの勢いで立ち上がった。

 「無駄足じゃないわ。」

 「・・・。そのようだ。」

 その意気込みしかと見たと、一夏は満足げな表情でその場を後にした。

 

 同日、放課後。

 「・・・駆動系の反応が悪い。何で・・・?」

 簪が整備室に籠もり、一人打鉄弐式の調整を行っているときのことだった。

 「アイヤイヤイヤイどうしたんだ~、アイヤイヤイヤイ何で~♪」

 どこぞの人が歌っていた『ふしぎなポ○ット』。その一節を歌いながら、一夏がどこからともなく現れた。

 「!?どこから入って来たの!?」

 「奥から。なあおい、一人で抱え込むなってこの大馬鹿野郎!」

 「・・・。」

 バツが悪そうに、簪は黙り込む。

 「けど、手を貸せるのも私達しかいませんわ。」

 「!?」

 またも気配なく現れた、金髪ドリルに今度は驚いて固まってしまう。

 「ISなど携帯電話だ。助言が欲しいか?」

 続いて眼帯銀髪の少女が出現し、彼女にそう告げる。

 「助言って何。」

 本当に教えてくれるのか精査するため、内容が聞きたい簪。

 「口の利き方を知らん女だ。」

 これには、ラウラも苦言を呈す。

 「俺もそう思う。」

 「良く言うよ。」

 一夏がそこへ口を挟むと、ラウラがそう苦言を呈した。

 「助言って何だ。」

 もっとも、次の瞬間には前言をぶっ飛ばすのが一夏のやり口ではあるが。

 「同じじゃない・・・まあ良いわ。あのロシア人・・・あれ、トロイ女・・・?何だっけ。何て名だ。・・・何て呼んでた・・・まあ良いわ。アレだって一人でISを開発したわけじゃない。行き過ぎた感情は身を滅ぼすわ。」

 その説明を天井から現れた小柄でツインテールの少女、鈴が行った。

 「ISは作れる。だが、俺達が一つのチームになれば、だ。お前にその気があるか?更識。」

 「・・・苗字で呼ばれるのは好きじゃない。苗字で(私のことを)呼ぶヤツは凡人、学園の屑よ。呼び方は・・・学ばないとね。」

 このノリ、タダ者ではない。一夏の表情が引き締まる。

 「何て呼べと?」

 「簪でいい・・・。」

 「「「オーケー、分かった。」」」

 

 日は沈み、ほとんど夜になっていた。

 自室に戻った一夏は、柄にもなく普通の携帯電話を使用して電話を掛けていた。

 「蘭、今度学園祭があるんだってなぁ。」

 相手は親友の妹、五反田蘭。一夏はランが電話に出るや否や用件を切り出した。

 『!!あ、あれですか!中止になりました!』

 「そうか、それは残念だ。」

 折角楽しみにしていたのにと、残念がる一夏。

 『失礼しまーす!』

 そして、すぐに電話は切られてしまうのだった。

 

 翌日の昼

 「簪、飯食いに行こう。」

 一夏は、またしても四組に出向いていた。

 「うん、でも一人で。」

 しかし、断られてしまう。仕方がないので、伝家の宝刀を使うことにした。

 「奢ってやるから。」

 「行く。」

 「」

 まるでその言葉を待ってましたと言わんばかりに、簪は誘いに乗った。

 「おい、あの織斑筋が閉口したぞ。」

 「あり得ないね。」

 その衝撃たるや、織斑筋に慣れていない四組の生徒でも驚くほどである。

 「まあいい。さっさと飯食いに行こう。」

 ここにいても腹は膨れんと、一夏と簪は足早に食堂へ向かう。

 「今日はチキン南蛮か。」

 入口でオススメメニューを見て、一夏が呟く。

 「簪はどうする。」

 「素うどん。かき揚げ付きで・・・。すごくヘルシー。」

 かき揚げ入りの素うどん爆誕の瞬間である。素うどんの定義って何だっけ?

 「ほう?かき揚げか。」

 気が付けば、ラウラが参戦してきていた。

 「簪、私と勝負だ。どっちが早くかき揚げを食べるか、テキパキサクサクと。」

 「私、全身浴派なの。」

 しかし、あっけなく断られてしまう。

 「む・・・。」

 「一本取られたな。」

 「・・・。」

 余程悔しかったのか、注文した料理を受け取るまでラウラはショックを受けて凹んでいた。

 「どこが開いてる?」

 全員が受け取ったのを見て、一夏がそう言う。

 「隅っこが良い。奥の方のテーブル・・・あそこが良い!」

 周りより背の高い一夏を差し置いてその場所を見つけたのは、何と簪であった。

 「簪、お前見た目より目良いな。」

 眼鏡のお陰かと、一夏はイジってみる。

 「これはただの携帯用ディスプレイだから。」

 「成る程な。値段を抑えたわけだ。なあ、壊物のコツを教えようか。」

 「いい。どうせロクでもないんでしょ。」

 姉と違い、意外にも勘が鋭い。

 「ああ、全くその通り。」

 「・・・。」

 そうこうしている内に席に辿り着いたので腰を下ろす。

 席に着くと、三人は早速食べ始める。

 「おい、このチキン南蛮出来たてで美味いぞ。簪も一つどうだ?」

 一夏は、箸で一切れチキン南蛮を摘まみ簪へと差し出す。

 「・・・そうやって女の子(の女子力)を墜としてるの?」

 「いいや!」

 「馬鹿め!」

 バサー!【220/200】

 簪はテーブルに備え付けの七味を、一夏のチキン南蛮へ山盛りにぶっかけて激辛化した。

 「んー、良い感じだ。美味そうだ。」

 「ああ・・・やり過ぎだが、良い。」

 けれど、一夏とラウラはそれを見て随分と余裕そうにしていた。それどころか、美味しそうに食べ始めてしまう始末だ。

 「」

 ここまで快進撃を続けていた簪も、流石にこれは引いていた。

 「おい箒、とうとう簪から一本取ったぞ。」

 「ああ、やったな。」

 気が付けば、箒が同席して飯を食っていた。

 「なんでそんなに私に構うの・・・?」

 今までこれ程までに周りに人がいたことがなかったため、簪はどう振る舞えばよいのか見当が付かない。

 「歓迎会みたいなもんだ。気にするな。」

 それに対する一夏の答えはあっさりとしたものだった。

 「そうだ。私だって入学したときは量産型だった。」

 感慨深そうに、箒が二~三度頷く。

 「今は?」

 「もっと使い物にならんヤツが来た。」

 眉間に皺を寄せ、こめかみを押さえ箒は俯く。

 「あなたの機体は第四世代よ。」

 それ程のものが使い物にならないわけがない。例えトーシローが乗ってもそこそこの成果を出せるスペックがあると、簪は思っていた。

 ・・・まあ、間違ってはいない。脳筋練習が相手でなかったのなら。

 「只のカカシですなぁ。私達なら、瞬きする間に粉砕できる。忘れないことだ。」

 「第二世代のほうが頑丈だって言いたいの?」

 「その通り。使いたいか?使って良いぞ。」

 いればやるよと、箒が待機状態の赤椿を簪に差し出す。

 「いらない。そんなカカシ。」

 「結構。」

 まあ、携帯としては優秀なので、箒自身、手放すつもりはあんまりないのだが。

 「ああそうだ簪、今日がタッグマッチの応募締め切りなんだが、放課後空いてるか?」

 そこまで長い時間はかからないから安心しろと、一夏は補足する。

 「ISを整備するつもりだったけど、その前のちょっとの時間なら。」

 「OK。職員室の申し込みについてきてくれるか?」

 「分かった。」

 簪は、少し伸びかけたうどんの残りを食べきる。

 「それはそうと、トーナメントまでにISを完成させないと。私達も放課後からサポートに入ろう。」

 「良いの?」

 先ほどまでISをけちょんけちょんに言っていた箒がそう名乗りを上げたものだから、簪は驚いてしまう。

 「これまでのことを考えて、行事がまともに進むと思うか?」

 「いいや。」

 思い返してみれば、イベントはことあるごとにぶっ壊されてきている。用心が必要だった。

 「ああ。そのとき、戦力は一つでも多い方が良い。敵はカカシに変わりないが、準備は万全にしとかないとな。」

 「敵さんの期待を裏切っちゃ悪いってこと?」

 「そうなんだよ。」

 なども同じように攻めてきては、その度に襲撃者は悲惨な目に遭っている。

 もしかしたら、また新手のドMが来るかも知れないと、一夏は予測していた。




ああ駄目、こんなの小説じゃないわ!補足のついたMAD版よ!
だったら読めば良いだろ!
そんな・・・。

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