IS《ISの帝王:小説版》 作:只の・A・カカシです
A おーい、もう1月だぞ、何やってんだテメェ!どっかし天丼!
B 俺の冬休みは5日までだ!今更御託を並べる・・・な?????
一夏とイーリスは閉じ込められていた乗組員たちを解放し、逃げ遅れがいないかを見て回っていたとき、爆発音とともに巨大な空母が揺れた。
「何だお!」
「爆弾が炸裂したんだろ。逃げるぞ。」
「あち!あちち!ああっ!くそっ!息子がやけどしちまったじゃねえか!ちっくしょうもう!バッカ野郎!クソッタレが!どうしてくれんだよこのザマ!海は汚れる!(IS)スーツは台無し! おまけによぉタマはゆで卵になっちまった!」
浸水により船体が傾き、足場が悪くなっているにもかかわらず、二人はデッキへむけ猛スピードで駆け上がる。それも、お話をしながら。
「お前男だったのか?」
「違う、ストレス解消法だよ。ボディービルの観賞、筋肉へ栄養をやり、特別な発声法に無意味な罵倒、そしていい木霊を聴く。気が落ち着く。くだらない気休めだと思うかもしれんが、心臓のバイパス手術を受ける羽目になるよりはマシだ。」
艦内から飛び出すと、躊躇せずに海へと飛び込んだ。
「ブハッッ!おい、織斑一夏!お前が居てこの様か!?」
イーリスは、逃げているときは空母が沈むはずがないと高を括っていいたが、いざ目の当たりにするとやはり動揺してしまう。
「これはちょっとした手違いだ。傷つけるつもりはなかった。」
「傷つくどころか沈んだ!」
「そうかい、じゃ、俺はうちに帰ってのんびりして、テレビのトレーニングモノでも見て勉強するさ。」
あまりに責め立てられるので、嫌気がさした一夏は陸に向けて泳ぎ始めた。
「おいおい、お連れさんはいいのか?」
そんなつもりなど毛頭なかったイーリスは慌てて話題をそらす。
「ん~、どらどら~?」
きれいさっぱり忘れていたといった感じで、一夏は楯無を探し始める。
そこであるものが見えた一夏は固まった。
「見たことが無いISだ。・・・どうした織斑一夏。」
返事がないことを不審に思い、イーリスは横を見る。
「・・・そんな。」
柄にもなく震える一夏。
「何だ?」
「・・・殺したはず。」
「どうした。」
明らかに様子がおかしい。彼女は警戒を強める。
「スコール・ミューゼル!あんのヤrrrrルォ!生きてやがったか。おい、アイツを倒せ!」
言葉の割りに余裕そうな彼を見て、少しばかり軽快を弱める。
「アイツって、某国野郎の事か?いい考えあるか。」
「何か思いついたか?」
「私も聞きたい!」
ノープランか。そう知るや、彼女は不安になる。
何せ、彼女が所属する基地を襲撃され、あまつさえそれを取り逃がしたから。
もっとも、それは彼女が勝手に思っているだけで、実際にはビビって逃げたわけだが。
「クソッ、チェーンガンを寄こせ!」
「・・・チェーンガンって何だ?」
チェーンガンが通じないのか。一夏は苛立つ。
「ミニガンだ!」
「ああ!?ミニガンなんかねぇよ!ヌンチャクならあるけどな!」
「そいつを寄こせ!早く!」
何故それがあるのか。だが、今この瞬間にそれはさほど問題ではない。
「どうする気だ?」
「スコォォォォォルゥゥゥゥゥゥ!!!」
それを奪い取るや、一夏はぶん投げた。そう、ただ単に遠距離を攻撃できるものであれば何でも良かったのだ。
「ふふっ、無駄よ、更識楯無。」
ロシアの代表と聞いて身構えていたが、何のことはない。そこら辺の体表候補生に毛が生えた程度の戦闘能力しかない。
防御能力は・・・桁違いだったが。
「あなたのISじゃ私を・・・ん?ぶっ!?」
倒せないと告げ戦意を喪失させようとしたところへ、下方からの飛来物が邪魔をする。
「えっ!?ちょ、ちょっと織斑君!?」
今まで放っておいて、まさかこの場面で参戦してくると思っていなかったため楯無は困惑する。
「来やがれ!どうした?やれよ!殺せ!どうした、こいよ!俺はここだ!さぁ殺せ!殺せ、殺してみろ!どうした!ここだと言ってるだろうが!どうした!さぁ殺せ!殺してみろ!」
「チィ・・・!織斑一夏・・・。」
「織斑君、生身じゃ無理よ!逃げて!」
この敵は今までとは格が違う。しかし白式では重すぎて、水に沈んで仕舞う。
「もう遅いわよ!」
ニヤリと歪んだ笑みを浮かべて、スコールが攻撃を行おうとした。
「うっ・・・!?」
まさにその時を待っていましたと言わんばかりに行われた援護射撃が、スコールに直撃。彼女はバランスを崩す。
「おーい、友達が来たぜー。」
そういいながら、先陣を切って向かってきたのは・・・。
「か、簪ちゃん!?」
「更識さんだけではありませんわ!」
もちろん、こんな楽しい時間を見逃す手はないと、他の連中ももれなく同伴である。
「ここまで来て俺は一匹狼だなんて言うなよ!」
「死ぬときゃ一緒、二度と言わせるな。」
「セシリア!俺の武器あるか?」
一夏は、スコールを倒す武器を選ぶためにラインナップを教えてくれと頼む。
「魚雷!ドイツのアサルトライフル!マグナム44!なんでもありましてよ!」
「セシリアちゃん、何でそんなもの揃えてるのよ!」
「テメェをKOROSU道具だ!」
手っ取り早く黙らせるには、縮み上がらせるのが一番。
「えっ??」
「冗ぉ談だよォ!真に受けるな!」
の筈だったが、こういう場面に限ってお互い声が聞き取れていなかった。
「隙だらけね!織斑一夏!」
その間に、手っ取り早く一夏を始末しようとしたスコールだったが。
「クッ・・・!?」
迂闊にも声を出したがために、攻撃するタイミングを悟られて(待たれて)被弾してしまう。
「アタシ達がいるのを忘れてもらっちゃ困るのよねぇ!」
「くっ、中国の候補生・・・生身の癖に調子に乗って・・・!」
「寝ボケた事を・・・私達を何だと思ってる。福祉団体じゃないぞ?IS学園の生徒でしかも、人殺しの道具を持ってる。ISが相手となったら、生身で戦うのは当然だろ。」
「そっちは・・・まさか篠ノ之博士の・・・」
「お言葉を遮るようで申し訳ないけど・・・」
そして、またお話のタイミングで被弾。
普通の相手なら、声を掛ければ待ってくれるかも知れないが、この連中に関しては問答無用、何ならお話中でも平気で撃ってくる。
「よし良いぞ簪!今だ!」
「爆破ですよぉ!」
「クソォ・・・仕留め損なった・・・」
それはリップサービス。仕留めなかったのは、宣言して攻撃する方法を身体に刻み込み、次回への課題として出したからだ。
「あの体・・・やっぱりサイボーグ・・・。」
「ターミネーターみてぇだ。腕がなるよ。」
驚愕する楯無をよそに、目をランランと輝かせるのは簪。
「簪ちゃん・・・ばらす気?」
「そうは行かない!」
このままやられてたまるか。スコールは見た目が一番気弱そうな簪に攻撃を行う。
「簪ちゃん!」
その攻撃自体は粗方予想できていたので、無駄に防御を張って待っていた簪。しかし、その前へ何をとち狂ったか楯無が割り込んだ。
「クソったれ・・・逃げられたか。会長、五分死ですか。」
低空で煙が発生したせいで、スコールに逃げられた。もっと遊ぶつもりでいたのに。
「え、えぇ・・・まぁ・・・。」
「よーし、パーティーは終わりだ、みんな家に帰れ。」
「おいおい待て待て」
陸に向けて泳ぎだした一夏を鈴が呼び止めた。
「?」
「ここまで助けに来たんだ。何かあっても良いんじゃねぇか?」
「・・・ラーメンでいいか?」
「飯がくえりゃ文句はねぇ。」
「晩飯が死ぬほど食いたかったんだよぉ!もう半日もまともな飯食ってねぇ、やってられっかい!」
そして、イーリスもシレッと(?)紛れ込んだ。流石本家アメリカン。
「おーい、友達が来たぜー。」
行きつけの店に着き、暖簾をくぐりながら一夏は店主を呼んだ。
「何でぇ、一の字・・・えらく花抱えてやがるな。」
「花?花なんか抱えてない。抱えてんのは腹だけだ。」
「こんだけいてそれってのもどうなんだ・・・てもどうすんだ、こんなにいっぺんに屋台に入らねえぞ。」
後方とチラリと見て、それから店の椅子の数を数える。
「ああ・・・ちょっと待ってろ。」
そう言って、一夏は颯爽とどこかへ走って行く。
ほどなく、どこからかガコンッと言う音が聞こえた。
「これで出来た。」
そう言って一夏がテーブルと椅子を店の外に配置した。
「一の字・・・これどっから持ってきたぃ?」
「後で返す。」
ばれなきゃ犯罪ではないの精神なのか、俺が法律の精神なのか計りかねるが、無頼を除きこの場にいた全員が腹ぺこで大雑把になっていた。
「ああ・・・そうかい。千の姉御の弟離れは遠いなぁ・・・。」
「弟離れ・・・?ありえないね。家事の一つもこなせないんだ。誰が手綱を握っとくんだ?・・・姉貴頼めるか?」
意味ありげに呟いたので、てっきりその気があるのかと一夏は判断する。
「・・・ちょっと待ってろ、スープが沸いてる。」
まるで逃げるように、無頼は鍋をかき混ぜ始める。まあ、客が来たのだから当然の行動とも言えるが。
「どうなんだ答えろ!」
「え!?ラーメン六つな!」
「無頼めぇ・・・!クソォ、逃げたか!」
これ以上やっても腹の虫が鳴くだけと、一夏は諦めた。
「アンタ、往生際が悪いわよ!大人しく答えなさいよ!」
勿論、そんなスッパリ諦めてくれる人ばかりではないが。
「イェアァァァァァ!麺どうだ!?早いとこ湯切りしようぜ!伸びちまう。」
「鈴、諦めろ。毎度のこった。」
今、茹で始めた麺をパフォーマンスで湯切りする無頼を見て、一夏はこれ以上虐めてやるなと鈴をなだめに入った。
「ところでヌンチャクさんよ。ラーメンの食い方分かるか?」
そんな一夏と鈴を横目に、箒が楯無に話し掛ける。
「・・・私の事?」
「違ったか?最新のチェーンガン、いや違う。弓だ、間違いない。・・・セイバーか?」
「私は刀奈よ!カ・タ・ナ!」
「Katana?」
「セシリアちゃん、発音良くしなくていいから。」
「あら、これは失礼。」
反省しているのか、していないのか、微妙なラインではあったがラーメンが到着したので途切れる。
「はいよ!ラーメンお待ち!」
「はい、ナイフさんお箸。」
そして、すぐに再開する。
「刀奈よ。」
「マジで怒ってるな?」
「残念だが、刀とナイフとは大変良く似ている。」
割り箸を手に取って、それを北京と日本に・・・ゲフンゲフン・・・ペキンッと日本に割ったところで箒が呟いた。
「サイズが違うでしょ!サイズが!」
「サイズって、なんの事かしらぁ・・・?」
そして、先ほどまで無頼をいじり倒していたのに何故か参戦する鈴。
「ちょ、鈴ちゃん、そっちじゃ・・・!」
そこで、窓の外から何処ともなく飛来したお玉が楯無に命中した。
「麺が伸びる前に・・・。」
それに気付いた素振りもなく麺を啜り始める簪。
「か、簪ちゃん・・・なんで私だけに・・・。」
「一緒にいる時間の長さより中身の濃さだよなぁ?」
「簪ちゃんに友達が出来たのはうれしいけど、なんだか複雑だわ・・・で、これどうやって食べるの?」
そしてこの切り替えの速さである。
「これか?これはこうするんだ。」
ズゾーッと、豪快に麺を啜る一夏
「え、す、すするの?」
「私も、すするのは少々苦手ですわ・・・。」
「お嬢さん方、ラーメンってなぁ、気取って食うもんじゃねえ。本能だ本能!思いっきり音立てて食ってみなァ!激ウマだでぇ!」
「うっ・・・『ズゾーッ』・・・あら、美味しいですわ!」
パアァッと表情が明るくなる。最初は躊躇っていたが、それは文化として「啜る」がない国の生まれなので普通である。まあ、普段が普段だけに「?」になってしまうが。
「うぅ・・・わ、私も・・・『ズゾーッ』・・・本当、美味しいわ!」
「気に入ってもらえたようで何よりだ。」
但し楯無は、横で簪が既に啜っていたので誰も努力を認めてはくれなかった。
「・・・そういえば織斑君、後二人はどうしたの?」
「お使いを頼んでる。」
「お使い?」
「ス、スコール・・・。」
都内にあるビルの一室の片隅にボロボロの人型をした何かがいた。
「オータム、がっかりした?」
「いや、体の事は分かってた。」
「あら、そう。」
特に驚かれる様子もなかったため、スコールは少し胸をなで下ろす。
「敵は私が討つ。今度こそ・・・」
そう決意をしたところに、雰囲気をぶっ壊しに二人が現れた。
「邪魔するぜぇ!」
「友達が来ましたよ?」
「お、お前ら、ドイツの軍人にデュノア社の娘・・・!どうしてここが!?」
「いやー、一夏が片腕だと可哀そうだから早いところ腕を取りに行かざるを得ないようにしてやれってぇ・・・。」
おっかなびっくり、話すシャルロット。
「クソッ・・・スコール、逃げるぞ!織斑が来たらマズイ!」
襲えば、あるいは勝てたかも知れないが、勝ってしまった場合末恐ろしいことになりそうだったのでスタコラと逃走していった。
「え、ええ・・・!」
一戦交えることになるかも知れないと身構えていただけに、あっけにとられる。
「あの二人・・・ただの仲間かと思ってたが・・・もっと深い関係だな?」
「ラウラそれ、二人の前で言わなきゃ。」
「・・・手遅れ。」
言いそびれたことを、心底残念そうにしながら二人は立ち去った。
B ・・・何だあのタイトル
A 知らない方が良い
B マジで何だ?あのタイトル
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