IS《ISの帝王:小説版》 作:只の・A・カカシです
いやぁ、その通り。それが悪いのか?
「ババーン、おりむーの隣の席争奪!ババ抜き大会~!」
修学旅行の前日。本音は一年生を食堂に呼び寄せていた。
「私帰るね、マッチョの遊びには付き合えないや。」
「(織斑君の隣は)破壊的だって、評判悪かったぞ。」
「あれは酷いのなんのって、ベトナムが天国に思える。」
ところが催しの内容を知るや、一組の生徒の大半は立ち去っていった。
「よーし、何人かライバルが減ったぞ~。」
実に棒読みな声で、ラウラがそう言った。
「一夏の隣は私が・・・!ち、ババだ。」
「生まれの違いを、教えて差し上げますわ!あ、ババ・・・」
「ふん、アンタらの実力なんざそんなもんだぁ!ババァ!!」
「もーみんな猜疑心の強いんだからぁ、あっらー?ババだぁ。」
「私は直感を信じる!・・・おぃおぃおぃ、ふざけんなこんなのアリかよマジで契約違反だ。顔面にバッテンつけて頼んだのにこんな札よこしやがって!ペパロニのピッツァ頼んだら台湾ソーセージのっけてきたようなモンさ!サギだよサギ!」
「ホンっとドイツ人は怒りっぽいんだから~w・・・ババ・・・。」
狙い澄まして、一同はババを回す。全力でババを引く。手当たり次第にババを引く。
「お~私上がり~。よーわっ」
そうこうしている内に、本音が一番に上がる。それ自体は計画によるものだったのだが、最後の煽り文句がかんに障ったようで、彼女たちは腕まくりをして本音を追いかけ始める。
「十年前だったら素手でぶっ殺してたぜ!!!」
「ぶっ殺してやる!」
「や~!まだ死にたくないよぉ!」
殺気を感じて、本音は一目散に食堂から撤退する。
「小娘めぇ!逃げたぞ!」
「追いかけ見つけ出して殺せぃ!」
とても女子校とは思えないカオスな状況・・・でもない。今更か。
一同が騒いでいた頃、一夏は自室に籠もって写真の整理を行っていた。
「これで人数分・・・」
ばらけた写真を手に持ち、机にトントンッとやって揃える、と、不思議にも一枚だけ写真が床に落ちた。
「おっと・・・集合写真か・・・。」
一夏はそれを拾い上げ、そしてそこに写っていた人物の名を呟いた。
「ダリル、フォルテ・・・いい兵士だった・・・。」
「のんびりやるさ、古都の中でな。」
出発の日の朝。見送りに来た生徒会の二年生以上のメンバーに一夏はそう言った。
「いってらっしゃい、織斑君。お土産はよろしくお願いしますね。」
「お任せを!」
お土産とは、弾からのプレゼントのことである。
「えへへ~おりむ~の隣の席~。私愛されてるっ」
一夏がバスに乗り込む。指定された席の隣には、本音が座った。
「寝言言ってんじゃねぇよ。」
「本番は京都だ!」
「ああそうだ!」
「行こうぜ!」
ドアが閉まり、バスが発車する。
「おりむ~駅弁何買う?」
「スタミナ丼!」
東京駅まで移動するまでの間、暇だった本音が質問すると、間髪入れずに一夏は返答する。
「一夏、ソレはこの間も食べただろ。今日はこらえろ。」
と、後ろから箒がツッコミを入れる。
やいのやいのと言いながらも、バスは東京駅へと走り続ける。
駅に到着してバスを降りると、本音は駅弁売り場へと急行する。
「お~い勘弁してくれぇ。」
追いかけるこっちの身にもなれと、普段のことを棚に上げて一夏が叱る。
「お~富士のますのすしだ~。西欧テクノロジーの結晶、200ドルもする。」
「富山じゃなかったのか!?」
富士にそんな料理あったか?あったとしてもそんなに有名か?地名が違わないかと、一夏が聞くと。
「ジョークが好きなんです、気にしないでください。」
屈託のない笑顔でそう返された。
「あー、布仏さんいいなー。」
「っていうか、くっ付きすぎじゃない?」
「まあ、本音だし。」
その様子を遠巻きに見ていた一部の生徒からは、一夏にべったりの本音を羨む声が上がる。
「・・・おぉい、(あんなのの隣が良いなんて)よしてくれぇ。」
一歩踏み外せばどうなるか。そのこわさを身に以て知っている一組の生徒と二組の一部の生徒からは、そう言った生徒は白い目で見られる。
「よぉーしくそったれども、新幹線が来たぞ、乗り遅れたくなかったら、気を抜くな。いいな?」
一同が乗り込む列車が、プラットホームに滑り込んできた。まだこれから清掃があるのですぐには乗れないが、臨戦態勢を整える。
「へいへーい、IS学園だ、悪かねぇぜ。」
「織斑一夏君は!?織斑君を出せぃ!」
「アンタもミーハーよねぇ。」
「モぉチロンです。(野次馬)プゥロですからぁ?」
そうこうしていると、野次馬が騒ぎ始める。男は女子生徒を、女は一夏を目当てに近付いて来た。
「おーおりむ~人気者~。」
「ほっときゃ良いさ、野次馬なんぞクソッ食らえだ。」
短時間の内に野次馬は数を増やす。
そろそろ収束が付かなくなるか。それ程に人数が膨らみかけたところで、ようやく乗車が開始された。
「よぉし、全員乗ったな。」
ドアが閉まり新幹線が動き出したタイミングで、千冬が点呼をとる。いくら天下のIS学園と言え、公共交通機関を待たすことはできない。
「OK!」
それ以前に、間に合わなければ一夏が詰め込んだことだろうが。
「まっすのすし、まっすのすし♪」
「あん?何だそりゃ。」
「なんだそりゃって・・・分かってんだろ・・・。竹とゴムで押さえつけて鮮度を保ってるんだよ~」
「へぇ・・・」
そこではなく、その歌が何だと尋ねていたので、一夏は生返事で返した。
「おりむ~外していいよ~。」
「そんじゃ、お言葉に甘えて。」
ぼちぼち腹も減ってきた。本音から弁当を受け取って、一夏は蓋を取ろうとして、輪ゴムで自分の手を叩いた。
「ヤロォォォォ!!!」
「わぁ待って!止まれぇ!おりむ~、食べ物を粗末にしちゃ駄目だよ~。」
この脳筋は、食べ物を粗末にしない。心配ゴム用・・・ご無用だったが、本音はそこまで走らなかった。
「随分と楽しそうじゃねぇかぁ。」
眠ろうとしていた箒は、賑やかさに少しだけ目を開いて呟くと、また目を瞑った。
「ひよこ・・・ひよこ・・・」
「ラウラ、どうしたの?」
「金とヤクに、未練たっぷりだ。」
「ラウラ、ひよこどこでも売ってるから・・・。」
そして別の場所では、お土産売り場で見たお菓子に未練タラタラなラウラをシャルロットが慰めていた。
「は~新幹線楽しかったねぇ。」
京都駅に到着。新幹線を降りて、歩いて移動していると本音が一夏にそう話し掛けた。
「そうかぁ?」
筋トレもできずただ暇なだけだと、一夏は理解しかねる。
「織斑くーん!写真撮って、写真!」
「任せとけぇ!」
不意に一夏は写真をリクエストされ、すぐにカメラを構えてシャッターを切った。
「写真が出来たら送ってあげるねぇ!」
「いらねえ!写真は嫌いだ。」
「そんなこと言ってたか!?」
撮らせておいて何でだ。一夏は首を傾げた。
「さー、次は京都観光DA!」
修学旅行のしおりを見て、鈴が意気揚々と歩き出す。
「お前は、もう一働きだ。お前は撮影の天才だ。IS学園記念撮影の歴史を根底から覆してしまった。アカデミーで汗を流して学んだテロリストの心理、写真現像に光度分析、張り込みに人質解放交渉のテクニック、犯罪心理学、あれは一体何なんだ?観光気分でドライブして、『ああこの家がそうだ、ここが悪党の隠れ家だ』って指差して済むと思ってんのか?!」
この修学旅行に先だって行った視察旅行でのことを蒸し返されて、一夏は居心地悪そうにする。
「最初は清水寺でいいかい?」
「・・・行ってこい。」
もうお前さんと悪党の隠れ家巡りはごめんだ。観光がしたいと一夏は追い出された。
「おりむ~飛ぼう。」
そんな一夏を見かねて、本音が助け船を出す。
「よし来た任せとけ。」
ガシッと、一夏は本音を掴んで持ち上げる
「え?」
そして、脚力にものを言わせてジャンプ。
からの、特撮級の噴煙を発生させるダイナミック!な着地を決めた。
「地面が無くなちゃったわ。」
クレーターができた道路。一夏が平手で地面をペチペチすると・・・。
「これで出来た。」
「アイツ、ナニモンなんです?」
綺麗さっぱり、元通りになってしまった。
「のほほんさんずるい!」
その様子を、アトラクションか何かと勘違いした他クラスの生徒が羨ましがる。
「未だにこんなこと言う奴がいるとはなぁ・・・。」
呆れてものも言えないと、鈴。
「私たちも飛ぶぞ!」
京都は上から見るに限る。箒がISを展開しようとしたとき。
「皆さん、座れ。そのISも閉じてろ。どうしても行くというなら、私を倒していってください☆」
山田先生が両手を広げ、箒、鈴、セシリア以下略の専用機持ち達の前に立ちはだかった
「OK!」
そしてお約束。ドベキシッ!と殴られた山田先生は「オフィ・・・」と言って倒れ込み、ピクリとも動かなくなった。
「まあ、行かないけどね。」
面倒事は知らぬ存ぜぬが一番。鈴はパンパンと手を叩いた。
「おい山田君。立って歩け。」
ゲシゲシと、千冬が寝っ転がる山田先生を蹴る。パワハラだ!・・・え?今更だって?
「腰にロープでも繋いどくんだなダンナ」
「なるっほど、ソイツぁ良い。」
「・・・」
痛さのあまり、山田先生は何も言い返せなかった。
「わ、わぁ~一瞬だぁ~。」
「そりゃ当然。」
アッシーを使ったため、清水寺までひとっ飛びで到着した一夏と本音。
「清水寺きれいだね~」
「それがおかしいんです少佐、どう見ても人っ子一人いないんですよ。」
トンッと舞台の上に着陸する。ところが、これだけの観光名所にもかかわらず人が全く見当たらない。
おかしい。これは罠か。本音は身構える。
「ちょっと、あなた達、どこから入ってきたの?!今は映画の・・・てアナタは織斑一夏!?」
と、柱の陰から女性が現れて、一夏を見て目をまあぁるくした。
「先に行かせてもらうぜ友達ぃ!!!」
素早いダッシュで、離脱を図る一夏。
「ゑ?おりむ~!?」
だが続いて本音が一夏の名前を口にした所為で、いたる場所から人が出て来た。
「逃がすなぁ!捕まえrrrrロ」
「え?・・・えぇ!?織斑一夏だ!」
ここで暴れて寺を壊したら何を言われるか分からない。デパートでスコールを見逃して以来の屈辱を一夏は味わう。
「すっげぇ筋肉、今も鍛えてんの?」
「もぉち論ですぅ。プロですからぁ?」
それでも何とか逃げていたのだが、筋肉の話を持ち出された途端、うっかり足を止めてしまった。
「捕まえた。」
「いっけね、やっちまった。」
だがまあ、いつでもその気になれば逃げられるが。
「よぉ~し、間抜けども、ボーナスが欲しけりゃ気を緩めるなよ、いいな?」
「「「了解!」」」
監督らしき、メガホンを持った男がスタッフに指示を出す。
「よし、織斑君!主役は君だ!ヒロインは・・・君に決―めた。」
監督がメガホンで本音を指す。
「セリフはどうしようかしら・・・そのままでも良いけど・・・。」
「動くな!大人しく銃を捨てないと脳みそを周りに撒き散らしてやるわよぉ?」
すぐに脚本家と思われる女性が、マジで考え始めたので一夏が助言をする。
「それだ!」
そして、かなり物騒な台詞にもかかわらずそれは採用される。
「大丈夫かぁ?この映画。」
放送コードに引っ掛からなきゃいいが。珍しく一夏は他人の心配をした。
「それより二人ともお着換えね。」
「断る!俺は(ロケバスから)降りるぞ。」
ここにある服では俺の動きには耐えられるはずがない。一夏はそれを拒否した。
「織斑君、サイン頂戴!」
「ISだ!ISを出せ!」
「写真撮らせて!」
着る着ないの押し問答をしていると、スタッフがワラワラと集まってきて、それぞれが発言を始める。
「ヌォォォォォ!全員纏めてかかってこんかい!」
「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
太っ腹な対応に、スタッフから歓声が起きた。
「さぁ嫁をくれ!なぁいい子だ、お前だって死にたくはないだろう!」
ドレスを身に纏った本音は、ボロボロになったサングラスの集団に追い詰められていた。
「あの人はとどまることを知らない・・・私帰るよ。マッチョの遊びには付き合えないや。」
どっちがマッチョだ。役者は心の中で絶叫した。
「と、飛びおりた!?」
それでもプロ根性で、演技を続ける。
「残念でしたハズレ。」
そう言いながら、現れた本音は、白式に抱きかかえられていた。流石に映画で使うぐらいなら、まあ、ギリ大丈夫だった。
「な・・・!?逃げる気か!?」
「それが何だってんだ!誰が何しようが俺には関係ない!デカい声を出すな!耳があるんだ!台本どおりにただ喚き散らしやがって、それしかできんのかこの大根野郎!俺を何だと思ってる!ヒーローだ主役だ!俺に怒鳴るな!」
瞬時加速で、あっという間に(一般人から見て)空の彼方へと二人は消えていった。
「くそぉ・・・逃げられた・・・!」
サングラスの男が、手すりを叩いて悔しがる。
「カァーーーーーット!お疲れ様でしたー!」
そこで撮影が終了した。
「スカッとするほどキレイに演じた上に、俺たちが一個のミスもしてないことは皆が見てた。上手いやり口だ、俺から学んだのかな?フッフッフ・・・。」
監督はまんぞくのいく絵が撮れたと、悦に入っていた。
「あれ、二人は・・・?」
「クソォォォォォォ!逃げたか!」
「やってくれるよはっはっはっは!!!」
打ち上げにも呼ぼうとしていたが、それは叶わなかった。それでも、映画が思い通りに撮れたので、監督は豪快に笑うのだった。
Zzzz
あの作A、なんでそんなに眠れるんだ?
(明日朝起きられないことへの)恐怖さ
(夢の中で)ランキングに立つまで寝てる気だろう