IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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A おいおいおい、ちょっとお話ししようじゃねえか兄ちゃん
B でも(ド)ボン太君が出て来ちまった以上は仕方がねぇだろ
A ヤツがフルメタルジャケットと特攻野郎Aチームじゃなけりゃナァ・・・



第62話 特攻野郎?

 「おいおいおいおい、どこ行く気だぁ?」

 一夏とセシリアが二人で遊園地を歩いて回っていると、スーッとセシリアが離れていったので一夏は呼び止めた。

 「いい天気なので、密売人を殺しに。」

 「そいつはいい。」

 そういって一夏が準備運動を開始した。

 「冗談言ったのに・・・」

 「ふざけやがってぇ!!!」

 騙されて怒っていると言うよりは、「一本とられたよ」という口調

 「あら?このドッグパークというのは、楽しそうですわね。」

 ふと耳に届いた犬の鳴き声に振り向いたセシリア。

 「犬みたいによだれ垂らしてすり寄って来るんだぜ、たまんねぇよw」

 突然、一夏が壊れた。

 「」

 「忘れてくれ・・・。」

 驚きすぎて背氏らが目を点にいて見つめると、一夏はバツが悪そうにそう呟いた。

 「では、行きましょう!」

 ビシッと目標を指差して、元気よくセシリアは歩き始める。

 「OK!・・・ん?」

 それについていこうとして、ふと一夏は何者かが近付いてきたことに気が付いた。

 『ふもっふ!』

 「あら、マスコットのドボン太くんですわ。」

 そこにいたのは遊園地のマスコットキャラクターだったが、動きが随分とうさんくさい。

 「ショットガンをバッグから出しになられたら。」

 セシリアの言葉に、直ぐさま一夏が反応した。

 ドボン太くんもまた、負けじと反応する。

 一瞬の静寂。次の瞬間、二人は同時にショットガンをぶっ放す。流石に遊園地で実弾は拙いと思ったのか、ショットガンの弾はBB弾だった。

 「良い腕だ、みんな急所だ。」

 『ふもっ・・・ふもっふ・・・(先制できなければ危なかった・・・)』

 銃撃戦は、弾切れによって引き分けに終わる。

 「謙遜しすぎだ、お前はもっと大物になれる。こんなところで燻ってちゃだめだ。」

 「ふもっ!」

 ガシッと握手を交わした一夏とドボン太くんは、颯爽と遊園地の奥へと帰って行こうとして。

 「よしセシリア、行こう。・・・どうした?」

 「いえ、向こうで似たようなのが転がっている気がして・・・。」

 セシリアの言葉にピクリと反応した。

 「ふも・・・(気のせいダヨ)」

 「ふっふーん?だと良いが?」

 いぶかしげに見つめられて居づらさを感じたのか、急ぎ足でドボン太くんは去って行った。

 

 「ワンちゃんたら。んぅ可愛いんだからぁ~」

 ドボン太くんを見送った後、二人はドッグパークへと入って犬と戯れていた・・・

 「どうかしてる・・・。」

 のはセシリアだけ。

 「グルルルルルルルッ・・・」

 一夏の人相は悪くない。ただ、筋肉モリモリマッチョマンなだけ。

 にもかかわらず、犬たちから異常なまでに軽快される。

 「よーし良い子だ。こっち来いって大丈夫。どうした、怖いのか?」

 セシリアと同じようにすればと思い、視線を下げ優しく手招きをする一夏だったが。

 「ガウッァウッ!!」

 それまで遠巻きに吠えるだけだったのに、ドーベルマンが意を決したのか一夏に襲いかかってきた。

 「ヌォォォォォォォォォ!!!」

 「キュゥンキュウン・・・」

 勿論、大型犬相手でも一夏が容赦するはずもなく、締め上げられた上になでなでされ、悲鳴を上げる。

 「一夏さん、それ虐めてません?ほら、こっちにいらっしゃいな。」

 「ハッ、ハッ、クゥンクゥン」

 どこに越えられない壁があるのか、セシリアが呼ぶと犬たちは尻尾を振って駆け寄ってくる。

 「俺も久々頑張ったのに、なんだよいい役持っていきやがって!」

 主役らしいことができず、一夏は盛大に悪態をついた。

 「妬いてやんの!」

 「クソッたれが・・・自分がどんなに孤独か分かったよ・・・」

柄にもなくシュンっとする一夏。

 「犬でもお飼いになったら?」

 「くそっ、ふざけやがって・・・。」

 そうすれば気持ちが分かるようになるはずと、セシリアは進めた。だが、忘れてはいけない。あの家には千冬もいると言うことを。

 

 「飯食おう。腹減って仕方がねぇ。」

 あれから幾つかアトラクションを回っている内に、時刻は12時を回っていた。セシリアの同意を得て、一夏は近くにあったテーブルに着いた。

 「ほら。」

 「これは何です?」

 一夏が差し出してきタッパーを見るなり、セシリアは尋ねる。

 「昼飯だ、野菜も食えよ。」

 「・・・プロテインの匂いがしますわね?」

 一夏が味の分かる脳筋というのをしらないからなのか、はたまた日頃の行いが悪いせいか、探りを入れられる一夏。

 「警戒しすぎだ。仔牛の煮込みが死ぬほど食いたかったんだよぉ!」

 「で、では半分ずついただきましょう。」

 「ええぞぉ!あんた頭良いじゃねえか!こんな時こそ頭を使わねえとな!」

 半分って言わないと何されるか分からない、そんな恐怖心がセシリアの心にあった。

 「やぁお二人さん!今日はホラーアトラクションが男女二人組ならなんと無料!見逃す手はない。というわけでこちらのチケットをどうぞ。」

 黙々と昼食を摂っていると、突然、一人の変質者がチケットを押しつけてきた。

 「楯無、青筋立ってるぞ、大丈夫か?」

 「ええお気遣いありがと・・・ゑ?」

 しかし変装は急造であったとしても杜撰なでき映えで、しかも内面の動揺が表情に表れていたため、瞬間的におねんねさせられた。

 「さてどうする?」

 「せっかくくれたんだ、チップを弾みたい所だが、あんたに(楯無が)ライフ取られちまった。」

 貰った(押しつけられた)チケットを持って、お化け屋敷に向かう一夏とセシリア。

 どういうわけか誰も並んでいなかったので、ササッと入場する。

 「おお、中は暗いな。」

 「(足元が)見えないんだ・・・。」

 あまりに暗すぎて、どちらかが前かも分からない。だが正確無比を誇る一夏の勘ピュータの前では、大した制約とはならにのもまた事実。

 「何もないじゃないか!ホラーだの何だの!あれは俺を引っ張り出すための口実か!」

 「その通りですわ。」

 あっという間にゴールへと辿り着いたが、それは見えていなかっただけの話しである。

 「やれやれ・・・あまり私を怒らせるな・・・。」

 「まあまあ、夕日の見えるスポットがありますからそちらに行きましょう?」

 そう言ってセシリアは歩き出す。だが、日が陰るまではまだ十二分な時間があったので、他のアトラクションで時間を潰すのだった。

 

 「まあ、きれいですわね。」

 夕方になった。観覧車に乗り西へ沈んでいく太陽を見てセシリアが感嘆する。

 「クソ汚いだろ。」

 が、観覧車の高さを測ろうと一夏は視線を下に向けていたので、汚れた海が目に入ったので反射でそう返してしまった。

 「そこは、わたくしの方が奇麗だと言う場面でしょうに、アナタは史上最低の出来損ないだよ!」

 「・・・え?」

 セシリアらしからぬ言葉遣いに、一夏が目を点にする。

 「い、いえなんでもありませんわ。」

 「そうか・・・ん?」

 突如、一夏の直感が危険を察知した。

 次の瞬間、ぶっといレーザーが外の景色を焼いた。

 「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」

 先ほどまでの平和が一変。現実と信じたくない光景に、人々は逃げ惑う。

 「一夏さん!!あそこに子供が・・・!」

 火の海の中に取り残された幼い少女の姿を、セシリアは認める。

 「!!ふざけやがってぇ!!!!」

 一般人、特に子どもを巻き込むなど論外。一夏は怒りにまかせ行動に移る。

 「あっ?!」

 その信じられない光景に、セシリアは自身の目を疑った。何と一夏はゴンドラを一つ、筋肉にものを言わせてもぎ取って投げ上げたのだ。

 「・・・攻撃、止みました。」

 ほどなく、間欠に振ってきていたレーザーが止まった。

 

 「嘘だろぉ。」

 「信じられない、(あれが届くなんて)夢みたい。」

 その様子はラウラやシャルロット達も見ていた。

 「何もありません。人的被害はゼロです。血痕も死体も、何一つありません・・・。」

 ISで状況を確認した楯無がオープンチャンネルで状況を報告した。

 「つまり?」

 「犠牲者はありません。」

 よかったと、シャルロットは胸をなで下ろした。

 

 「お嬢様、こちらでしたか。」

 その頃、一夏とセシリアの正面にISを展開したチェルシーが浮遊していた。

 「それがどうした!私が何しようが他人には関係ない!」

 「意見の相違とあればやむを得ない。」

 「また会いましょう。」

 「ええ、イギリスでね。」

 再開の約束をして、セシリアはチェルシーを見送った。

 

 「よーしクズども、ボーナスが欲しけりゃ気を抜くなよ、良いな?」

 「「「OK!」」」

 数日後、一夏達一行はセシリアの自家用ジェット機でイギリスを目指していた。

 「そういえば皆さん、遊園地では何をなさっていたのですか?」

 あの事件の後、色々とバタバタとしていたせいで状況把握が済んでいなかったことと、イギリス到着までの時間を持て余した山田先生が一夏達に尋ねる。

 「「「何もねえよ?悪いけど。」」」

 しかし返ってきたのは、予想通りと言えば予想通りの答えだった。

 「嘘をつけ・・・」

 それ以上深入りさせて貰えそうな雰囲気でもなく、仕方なく諦めた。

 「・・・おいこの機体は、対赤外線装備はついているのか?」

 皆がリラックスしている中、外を警戒していたラウラが突如そんなことを尋ねてくる。

 「熱線追尾ミサイル以外じゃ役に立たん。」

 「それはどうかな?」

 直後、飛行機が爆発音とともに大きく揺れた。

 するとセシリアとシャルロット、ついでに楯無が蜂の巣をつついたような大騒ぎをして、パイロットと千冬を担いで高度10,000メートルへと飛び出していった。パイロットを殺る気か?

 「お前ら何やってんだよ。お前らって連中がいなけりゃ、パイロットも仕事が楽なのに・・・エンジンが片方吹き飛んだぐらいで逃げ出しちまって!なんのための双発機だ!一基でも平落としぐらいできる!おいそうだろ!」

 「勿論です、プロですから?」

 「「「」」」

 ISのことは詳しいが、飛行機の構造はちんぷんかんぷんな三人は、一夏の説明を聞いてやっちまったことに気が付いた。

 パイロットを失った飛行機は、続けて飛来したミサイルによる粉砕された。

 因みに、ラウラ以外は飛行機の構造をよく分かっていなかったが、一夏が落ち着いていたのでそれに倣っていただけだったりする。

 「私を無視とは良い度胸DEATH☆」

 呆然と浮遊する一行。そこへ、ロケットランチャーを抱えたISが急速接近してきた。

 「面倒なのが来てますが。」

 楯無がそれを報告する。

 「ああ・・・全くだ。」

 「とっととぶっ殺せ!」

 一夏と箒はさっさと指令を出す。

 「お任せを!」

 勢いよく突っ込んでいく楯無。

 「楯無!遅れを取るなよ!」

 「私だって始末書書きで余生を送りたかないですからね!」

 既に一夏達は目的地に向け飛翔してった。楯無は、敵に聞こえるよう、少し大きめの声で呟いてみる。

 「ううっ・・・」

 「何故泣くんだ?」

 お前に涙はなかったはずと、楯無は戦慄する。

 「自然に・・・涙が出るんDEATH。傷ついたときやなんかに。」

 「怪我が痛むから?」

 「さびしかったDEATHお姉さま!また会えて嬉しいわ!」

 ガバッと、諸手を広げ襲いかかってきた。

 「ええ、私もよ。本当によかった。生きててくれたお陰で君を自分の手で始末できる。満足だ。」

 軽くそれをあしらった後、楯無が武器を展開した。

 「そんナ!つれナイ///」

 「顔真っ赤にして言うことかぃ・・・。」

 気持ち悪さ上乗せと、楯無は顔を引きつらせたのだった。

 




 読者諸君、腹筋の鍛錬ご苦労であった。またゴールデンウィークかお盆の頃にMAD版で会おう。
 それまで、しばしさらばだ!

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