IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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朝飯だ。プロテインも飲めよ


第67話 テキパキサクサクと

 これといったトラブルもなく、一夏たちは宇宙空間に到達した。

 「急ごう!サッと行って引き上げよう。」

 「早さが肝心。」

 「見えた。あれだ。」

 計算通りのポイントに到達できたおかげで、探す手間が省け一夏はつまらなそうにする。

 「待て、様子がおかしい。」

 突然、ただならぬ雰囲気を感じ一夏は制止を呼びかけた。

 直後、極太のビームがすぐ横を通り抜けた。

 「何だ!この出力は!」

 その出力にラウラが目を剥く。

 「肌を焼くのにも物足りない。折角こんな所まで来たってのに。」

 「行こう。長居するだけ無駄だ。」

 見かけばかりで中身はスカスカ。一夏たちは呆れていた。

 「ところで、さっきからハエがうるさいな。」

 目の前をうろうろと飛ぶそれを、一夏が捕まえようとする。

 「バカね、アンタ。これは宇宙ゴミよ。」

 それを鈴が冷静に突っ込む。

 などとやり取りをしていると百式が火を噴いた。

 「あ、壊れた。」

 「所詮、IS何てこんなものだ。大気圏に向かって投げとけ。」

 「そうしよう。」

 箒に言われるがまま、一夏は百式を大気圏めがけて投棄した。

 「ちょっと待ちなさいよ!ここ空気ほとんどゼロなのよ?なんで音がするわけ?」

 それはさておき、鈴がつまらないことを聞き出したので一夏はこう返した。

 「だってお前、これは小説だって言ったじゃないか。」

 「」

 

 

 

 丁度そのころ、地上の管制室では。

 「あれ?織斑君のバイタルサインが消えた?!」

 モニターを見つめていた山田先生が、突然一夏からの信号が途絶え慌てる。

 「気にするな。どうせ白式のガス欠だろ。」

 「それって大変じゃないですか!!」

 コーヒーを飲みながらくつろいでいた千冬が、緊張感が欠片もない声でそういうと、山田先生はヘッドセットを外して立ち上がった。

 「予備がある。」

 「予備って何ですか?!」

 「しらんのか?アッ――」

 千冬が何かを言いかけたとき、管制室の扉が乱暴に開かれた。

 「残念だねぇ!ちいちゃん!!いっくんは死んだのさ!」

 「そりゃご苦労。」

 不敵な笑みを浮かべる束に対して、驚くどころか憐みの目を向ける千冬。

 「あれ?驚かないの?実の弟が死んじゃったのに。」

 想定外の反応に、束は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をする。

 「死んだ?お前には一夏は殺せない。」

 事実だけを淡々と伝える千冬。

 「白式に細工をしたんだけどなー。」

 その余裕を打ち砕こうと束が種明かしをすると。

 「言ったろ。予備がある。」

 さらに憐みの目を向けられる始末だった。

 「予備?そんなのはあり得ないのさ。なんたって、この世界は私が描く小説の世界なんだから!」

 「操り人形だよ!」

 調子に乗る束を一喝する。

 「これがその装置。ちいちゃんなら何の装置か分かるはずだよ!」

 「自爆装置だろ。付け忘れた。」

 自信満々に取り出したそれは、明らかにそこにあってはならないものであった。

 「そうそう。って、あっれぇ?!」

 「ぶっ飛べ!」

 大爆音とともに手に持っていた爆弾が破裂する。流石に危機を壊されると請求が面倒なので、千冬は盾になって機器(とその前にいた山田先生もついでに)を守る。

 「ゲフッ・・・。」

 煙が排出される。そこには煤まみれでアフロになった、コントでよく見る爆発後のあれをした姿の束がいた。勿論、千冬は無傷である。

 「なんで今ので生きてるんですか?」

 山田先生は不思議そうに尋ねるが、威力だけで言えば千冬の出席簿アタックの方が高いのだが、彼女は知る由もない。

 「細胞単位でオーバースペックなのさ。」

 「私達ほどじゃないがな。」

 「あは、あははははは・・・・。」

 もはやただのやせ我慢にしか見えない。山田先生は、しかし狙われたら面倒なので笑ってごまかした。

 「あ、織斑先生。それでさっきの続きなんですけど、予備って何ですか?」

 そしてすぐに話題をそらす。

 「アッシーだ。」

 「アッシー?」

 聞きなれない単語に首を傾げる。

 「ISだ。織斑の。」

 「ちょ、ちょと待って下さい!!織斑君のISは白式ですよ?」

 そんなISは聞いたことも見たこともない。当然、書類でも見たことがないので、意味が分からず聞き返す。

 「だから予備だと言ったろ。」

 「何で、一人でISを二つも?!」

 「デュノアもそうだ。違うか?」

 「違いませんけど、おかしいですよ!IS二つなんて。」

 厳密に言えば、シャルロットの場合はコアが二個なだけなので、二機持っているわけではないが、実質同義である。

 「だって山田先生、これは小説だって(束が)言ったじゃないか。」

 「」

 言葉を失う山田先生。

 「え?作ったかな、そんなIS?」

 そして、なぜか首を傾げる束がそこにいた。

 

 

 

 「行くぞ!」

 などと地上組が遊んでいたころ、一夏たちは突入を始めた。

 「待て!分列したぞ!」

 待てといいながら、言った本人の箒が加速しながら突っ込んでいく。

 「構わん突っ込め!」

 「各機、大佐に続け!突撃ィ!()()()()を片付けろ!」

 それに一夏が呼応し、更にラウラが続く。

 「私が二つ片付けよう。」

 日頃のうっ憤を晴らすのに持って来いと、箒がやる気を見せる。

 「ラウラ、鈴。一個片付けるか本体に突入。どっちを選ぶ。」

 一方で一夏は、少しでも楽をしようとしていた。

 「決まってるでしょ。アンタが片付けて。」

 「大佐が突っ込む。以上だ。」

 「思いやりがあるなぁ。」

 やはりかと言いたげにしながらも、一夏と箒は一瞬のうちに本体から分離した攻撃衛星を粉砕してしまった

 「「クリア!」」

 

 

 

 「!!エクスカリバーのエネルギーが急上昇!」

 丁度一夏たちがそれを制圧したころ、管制室で山田先生が驚いていた。

 「あ?一夏が落としたんだ。攻撃衛星を。」

 モニターの数値を一目見るや、千冬は状況を理解した。

 「攻撃衛星?」

 「資料読め。」

 なぜ目を通さないと千冬は憤慨する。

 「で、でもこれは!?ISの速度を遙かに超えた物体が移動中!」

 今度は別の数値が異常な値を示し始める。

 「デブリか一夏君か、2つに1つってところね。」

 楯無は冷静に状況を判断した・・・つもりだった。

 「それは違う。デブリと一夏だ。」

 「「「?!」」」

 束、山田先生、そして楯無が目を白黒させた。

 

 

 「そろそろ終わる頃ですかしら。」

 BT加速器内部にいたセシリアは、断片的にではあるがスコープ越しに状況を見ていたので、ある程度のことが分かっていた。

 「・・・賑やかですわね。」

 と、後ろでドタバタとチェルシーとマドカが暴れていた。

 「『ダイブ・トゥ・ブルー』を寄越せ!チェルシー・ブランケット!」

 「お断りします。」

 襲いかかってきたマドカから逃れるため、彼女は異空間に逃げ込む。

 「逃がすか!」

 浊込まれる前にと打った弾丸は、虚しく空を切り壁を破壊した。

 「出てこいくそったれぇ!!うわぁぁぁあぁぁぁぁあ!!!」

 叫びながらやたらめったらに弾をばらまき始める。

 「そこ!」

 「くっ!」

 その時、何かを感じ取ったように無駄撃ちをやめて一点を狙い撃つ。

 「こいつで強制解除してやる!」

 「いやぁ!お代官さまぁ!」

 その時、セシリアの堪忍袋の緒が切れた。

 「うるさくってよ!」

 キッチリ二人の体は外して、すぐ真横にロケット弾を叩き込む。

 「「はい・・・。」」

 ビシッと背筋を伸ばし、二人は来おつけをした。

 「おっくれて登場、楯無お姉さん。取り敢えず、一斉爆破でいっちゃおう?」

 そして事情を良く知りもしないのに爆破しようとする、爆弾狂の登場。

 セシリアは一気に部屋の隅へと逃げた。

 「どうしてセシリアちゃんが逃げるのよ!」

 楯無の見ていた限りでは、セシリアが猛威を振るっていたので、向かってくると踏んでいた。にもかかわらず逃げられたので、楯無は理解できない。

 「あなたに勝ったら、生徒会長をしなくてはならないからですわ!」

 「まだ有効なの?!」

 意外というかしょぼすぎる理由。楯無は驚いた。

 「寧ろ有効ではないのですか?」

 それを見て聞き返す。

 「いや、有効だけど・・・。」

 ばつが悪そうに、楯無は口ごもった。

 「クククッ、相打ちになればISが三機も!」

 その傍らで、捕らぬ狸の皮算用をする者がいた。

 「どうやって?」

 聞き逃すことなく楯無が問いかける、と。

 「こうやってな!」

 マドカが不思議な粉をばらまいた。

 「え?!ISが?!」

 するとどうだろうか。ISが強制解除されたではないか。楯無はまたまた驚く。

 「リームバーですわね。」

 しかしセシリアは至って冷静に状況を分析。

 ロケットランチャーを持つと、何の躊躇いもなくトリガーを引いてマドカに撃ち込む。

 「この手に限りますわ。」

 「」

 一夏ほどでは無いにしても、随分と手際がいいし躊躇いがない。楯無は少しばかり恐怖を感じた。

 「あら、保護者さん?」

 突然、セシリアが誰も居ないところへ向けて声を掛ける。

 「ま、そんなところね。」

 「す、スコール・ミューゼル?!」

 直後、慣れた様子で現れたそれに楯無は身構える。

 「口の利き方を知らないのね。」

 「私もそう思いますわ。ところで、御用は何でしょうか?」

 まだそれ程の知り合いでないのだから、セシリアは丁寧に返す。

 「奴らはヤバイ奴らはヤバイ奴らはヤバイ奴らは野蛮・・・・・・。」

 「エムに加勢、と言いたいところなのだけれどねぇ。またこんな状態になっちゃったから、今日は引き上げるわ。」

 頭痛がするのだろう。スコールは頭を抑えていた。

 「また会いましょう。」

 「最新刊でね。」

 そう言ってテロリストは引き上げていった。

 

 

 

 「これが衛星の中か。」

 セシリアがテロリストと戯れていた頃、一夏達は衛星の内部へと侵入していた。

 「見ろ、誰か倒れてる。」

 入ってすぐ、生身の人間が倒れていた。

 「おかしいわよ!一夏、真空でも音は聞こえるし、挙げ句、無重力なのに床へ人が倒れてる。説明して頂戴!」

 そう、あり得ない姿勢で。

 「だってお前、これは小説なんだろ?」

 「おぉやだ!」

 自分の言った言葉を返された鈴は、耳を覆った。

 「こいつら、ダリルとフォルテか。」

 一目見て、IS学園の元生徒であることに気が付く。流石の一夏でも、宇宙空間のことまで把握はしきれない。

 「何故こんな所に?」

 ラウラが不思議がる。

 「生きてるか?」

 「あ、あぁ・・・。裏切り者だ、コロセ。」

 一夏がダリルに呼びかける。すると彼女は弱々しい声で応答した。

 「俺達はレスキュー部隊だ、殺し屋じゃない。ここを爆破して地上に戻るちょうどティータイムだ。」

 「一夏、せめて舌の根くらい乾かしなさいよ。」

 一言目と二言目で言っていることが逆転している。鈴は辻褄くらいは合わせなさいと忠告をする。

 「もう一人いるぞ?」

 「いぇぇぇあ!面倒だ!衛星ごと持って帰ろう。」

 前言撤回。結局、一夏には舌の根を乾かす間も気もなかった。

 

 

 

 数日後、一夏達はセシリアの誕生日会場・・・・・の外にいた。

 「で?何で中には入れないわけ?」

 その状況が気に食わなかったのか、鈴が大きめの声で呟く。

 「俺達は網の外だ。」

 「蚊帳の外だよ。」

 一夏のボケに箒が素早く反応した。

 「マジな話し、何で?」

 茶番はいいからと鈴がせかす。

 「俺達がパーティーを滅茶苦茶にすると思ってる。」

 「仕方ないわね。」

 あまりに予想通りの答えだったので鈴は急速に興味を失い、出来上がったカップ麺の蓋を開けた。

 「何だよ、久しぶりに頑張ったてのに。」

 箒が嘆く。もっとも、その声は抑揚がなく、いわゆる棒読みであったが。

 「それにしても、中は良いな。暖かいし、美味しい料理もあるんだろうし。」

 「なあ、シャルロット。」

 突然、とんでもないことを言い始めたので一夏は震え上がる。

 「何、一夏?」

 「ここイギリスだよ?」

 「あっ。」

 中に入ろうと思えば、ここのメンバーはいくらでも入れる。にもかかわらず、こんな所で大人しくカップ麺を食べているのは理由がある。

 それを察すると、シャルロットも完成したカップ麺の蓋を開け啜り始めた。




読 (プロテインの)中身は何だこれ?
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