IS《ISの帝王:小説版》   作:只の・A・カカシです

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読者諸君!私は・・・・・寝る(22時半です)


第72話 君を取り戻せ!スニーカーズ!!

 それは何気ない朝の食堂で起きた事件だった。

 「よう、食ってるな」

 「おはよう箒。」

 「あぁ。」

 いつも通りに一夏と箒が挨拶を交わす。そこに異変は何もなかった。

 「今朝は冷えるな、えぇ?」

 「冷える。そうだな、冷える・・・。ケサハ・・・ヒエルナ・・・・・エェ?」

 急に箒が、片言の日本語でオウム返しを始めた。それがどれほどの異常事態か一夏には分かった。

 「!!問題発生!全員伏せろ!」

 周囲への注意を行うが、そこにいつもの余裕はない。

 次の瞬間、レーザー光線の乱れ打ちが始まった。

 「アァッツ!何このビーム!」

 「レーザー光線だ!楯無!伏せてろ!」

 約一名、のんきにしていた奴を一夏は伏せさせる。

 数十秒後、レーザー光線の嵐が止まる。

 「ワアァーオ・・・。どうなってるの?」

 食堂の惨状に、多くの生徒が愕然とした。

 「篠ノ之は腹が減るとプレデターみたいになるんだ。」

 「そういうことですか、大佐。」

 すかさず一夏が解説を行うと、それを聞いていたラウラが何かを持って箒へと向かっていく。

 「篠ノ之、これをやろう。」

 「・・・!!よせェ!」

 ラウラが手に持つそれを見た時、一夏は駆け出してラウラを突き飛ばし、自身も勢いそのままに吹っ飛んでいく。

 まさに紙一重のタイミングで大爆発が起こる。

 「どういうことだ?」

 「腹が減った箒は、()()()()()()でしか戻らない。」

 「・・・え?そういう?」

 手に持っていたカロメと、食堂に空いた大穴を交互に見比べ、ラウラは首を傾げたのだった。

 

 

 

 「で?箒はまだ見つかんないわけ?」

 数時間後、ISの地下区画に箒を除いたいつものメンバーが集まっていた。

 「おおよその位置は分かってる。」

 「じゃあ、行きましょ。」

 一夏が答えると、鈴は早速出撃しようとする。

 「慌てるな。山田君、例の人を。」

 それを千冬が引き留めた。

 「かしこまりました。」

 退室して、そして山田先生が連れて戻って来たのは。

 「ヒカル火篝ノじゃないか。どうしたの、その似合わない(包)タイは。」

 「んーほっといて欲しいんだな~。って言うか私の名前、篝火ヒカルノなんだけど・・・。」

 「冗談だよ。」

 「で?マジで何なの、その(包)タイは?」

 あまりに痛々しい姿をしているものだから、鈴が気になってそれを尋ねる。

 「分かんないねえ~。仕事してたら、突然ドカンッだもの。気が付いたときにはこの有様。ま、君達にしてみれば価値のないモノだけど、昨年の年末に使ってもらった、例の試作品の量産品が盗まれた。」

 鈴の疑問に答えつつ、シレっと報復の要求を行うあたり抜かりがない。

 「あれだろ、赤椿の量産型。」

 「犯人はただ一人。束だ。」

 他にも実行できるだけの技量を持つ者は沢山いる。だが、あえて盗人を働くのは束くらいだと、亡国機業のことも忘れて彼らは決めつけていた。

 「?質問いいかな?」

 「ダメだ。」

 「言うな。」

 「後にしてくださる?」

 何を聞かれるか予想していたラウラと鈴、そしてセシリアが即答すると、シャルロットは「言われると思った」と言って肩を落とす。

 「まあ、待て。質問ぐらいさせてやれ。何だシャル。」

 しかし一夏がそこに助け舟を出す。

 「なんで篠ノ之博士が、今、関係あるの?」

 「決まってるだろ。篠ノ之束をしばきに行くからだ。」

 「???篠ノ之さんを探しに行くのは?」

 今の今まで箒が行方不明だという話をしていたし、当然そうだとシャルロットは思っていた。

 「「「???誰が行くって?」」」

 「「「え?」」」

 勿論、箒の捜索に行くと思っていたシャルロットに簪、楯無、その他の者たちは目を丸くする。

 「だって、さっき凰さんが・・・。」

 「アレは箒の居場所の確認よ!それとこれとは話が別。」

 丸で会話が途切れるタイミングを待っていたかのように、ピーピーと音が鳴り響く。

 「何の音?」

 「探知機のブザーだ。やはりそうか。箒のスニーカーズを束が奪ってる。」

 「なん、何でそんなことが???」

 「GPS仕込んだからな。」

 「「「」」」

 GPSを仕込むほどの価値のあるお菓子なのだろうか。事実に思わず絶句する。

 「これで分かったろ。箒は束を追えば必然と捕まる。以上。出撃!」

 「速さが肝心。」

 一夏の掛け声に、鈴、ラウラ、セシリアがこともなく答えた。

 「「「・・・えぇ?!」」」

 一切疑いを持たないことに、皆は驚いていた。

 

 

 

 なんやかんやあったが、結局、専用機を持っているものは全員が付いて出た。

 「みて、人工物が浮いてる!!」

 洋上空を飛行していたとき、シャルロットがそう叫ぶ。

 「あぁ?よく見ろ、そりゃブイだ。」

 「いや、メガ・・・もっと大きい!ギガフロートだよ!!あの大きさは!」

 一夏の冗談さえも気が付かないほどに、彼女は興奮している。

 「ラウラ!箒の反応はあるか?」

 「いや、ISの反応が多数出ているだけです!」

 「篠ノ之さんは?」

 「箒がいるなら、スクラップの山が出来ているはずだ。」

 「つまり。」

 「ここにはいない。」

 「・・・え、どうするの?」

 今回は全てが同時に片づくと、出発するときに聞いていた。一夏の予想が外れたことはほとんど記憶にないため、シャルロットは浮き足立つ。

 「どうするも何も、取り敢えずこいつらをぶっ壊す。話しはそれからだ。」

 「それはいいんだけど一夏君。なんだかIS、重たくない?」

 「そうか?俺は快適だけどな。」

 聞く相手を間違えたと、シャルロットは呆れる。

 「これは・・・?!」

 突然目を見開き、驚愕の表情を見せる。

 「どうした簪。」

 「コードレッド発令。コマンドー・・・ISの出力を制限する裏コード?!」

 「「えぇ?!」」

 シャルロットと楯無は驚愕の声を上げる。

 「「「道理で動きやすいと。」」」

 一方、一夏イズムに染まった(適応した)ラウラを始めとしたメンバーは真逆の反応をする。

 「「「馬鹿野郎!何言ってんだ!てめえら正気か!死にてえのかてめえ!どっかし天丼!てめえ何やろうとしてんのか分かってんのかい?!」」」

 「決まってるだろ。」

 「突撃して。」

 「ぶちのめす。」

 「それだけですわ。」

 「「「私達、帰るよ。マッチョの遊びには付き合えない。」」」

 正気の沙汰ではないと、三人が踵を返す。

 「慌てるな。まだ終わっちゃいない。」

 終わるどころか始まってすらないわけだが、そこを気にしてはいけない。

 「大佐!携帯電話が群を成してこっちに。」

 「ちょっと多いわね。」

 「だから?」

 「言っただけよ。」

 状況確認と、一夏が浮島の方向を見た。

 「ホントに多い。」

 その声に、悲観のニュアンスは一切ない。

 「言ったでしょ?」

 「殺る気じゃないわよね?」

 「殺るとも。」

 「よろしくってよ!」

 すでにやる気満々といった感じで、各々が自慢の武器を展開する。

 「銃はよせ。」

 「クラシックに?」

 「あぁ。」

 「これを使いたくて、ウズウズしてましたわ!」

 銃はよせと言いながらチェーンガンを一夏が手渡す。

 事態が急変したのは、その直後のことだった。

 「なんだを!」

 突如として、浮島と敵ISが一瞬にして海の藻屑と消えていった。

 「お主らには借りがあるのでな。これぐらい、バチはあたんであろう!」

 「「「俺(私)も久々頑張ったのに、なんだよ!!いい役持っていきやがって!」」」

 久しぶりに心置きなく暴れられると思っていただけに、精神的なショックはかなり大きい様子だ。

 「待って!アレ何?!」

 残骸の一つもない水面に現れた異常。それに気が付いたのは、シャルロットだった。

 「マッテ・・・アレ・・・・・ナニ。」

 「どうやら、スニーカーズを追って中に居たらしい。・・・ここで待ってろ。」

 さすがの潜伏能力。どうやら見つけられなかっただけのようだ。

 「ほら、スニーカーズ。」

 一夏がそれを差し出す。

 「どうだ。」

 箒が食べ終わったタイミングを見計らって一夏は尋ねる。

 「これ美味いな」

 「クソ不味いだろ」

 「I‘m back。」

 

 

 

 その日の夜、IS学園地下特別区画に一夏の姿はあった。

 「ここにいたのか。」

 「おぉとも。それがどうした。」

 そこに現れた千冬に、一夏は他の者の目がないこともあってカジュアルに返す。

 「ここで何してる。」

 「見れば分かるだろ。スニーカーズの搬出だ。」

 〈何・・・・・だと?!〉

 平生を装いつつも、千冬は驚いていた。

 「想像してみろ、スニーカーズは2.7キロで箒のプレデター化を防ぐ可能性がある。それが5トンあればどうなる?とても興味深い。」

 「そいつは深いな。」

 如何に束と言えど、その量を盗み出すことは極めて困難。作業を手伝うべく、千冬が一以下に近付く。

 「ふんふん。そんないっくんとちーちゃんに、束さんが興味深い話しを持ってきたよ!」

 「「何だ、話してみろ。」」

 突然現れた束(と思っているのは本人だけ)には目もくれず、二人は作業を継続する。

 「そうだねえ、ちーちゃんが今までいっくんに黙ってきた君達の両親のことを教えてあげるよ!いっくんの誕生はとぉーっても大事なんだよねー!」

 「独り言、言いながら説明するのがいいな。とぉーっても大事なんだよねーって。」

 相手にして貰えないのはいつものことなので、束も話しを振るつもりはないのだろう。

 「ん?何だろうこれ?・・・!!これはですね、織斑一夏、織斑一夏のバイタルデータなんだよ!今ならですね、これにちーちゃんのバイタルデータまで付けまして発売してるよ!」

 「「・・・。」」

 どこぞのTVショッピングのようにそれを紹介する。よくもまあ、そんなつまらないネタを捻り出せるなと、二人は呆れて物が言えない。

 「でね、この織斑計画って言うんだけど、ある時を境に、パタリと止まるんだよ。何でだと思う?何でだと思う?それはね、この完璧超人の束さんが生まれたから何の意味もなくなったからなんだよ。でもねえ、君達二人は生き残った。究極の人類に匹敵するスペックだったからね!だからさあ、君達に両親なんていないのさ!ぴったりの言葉を、君達に贈ってあげるよ!この化け物め!」

 「「いたぞぉぉぉぉぉ!待ちやがれぇ!!」」

 「わぁ?!冗談だよお!!」

 このところ残基が減りっぱなしなので、束はすぐに前言を撤回せざるを得ない。

 「「この馬鹿者め。」」

 一瞬の間を置いた後、一夏だけが話し始めた。

 「つまり嘘をついて相手を騙すって事なんだろ?俺にはできない。」

 「どの口が言ってるのかな~?」

 珍しく正論を言った束だったが、その言葉は二人に届かない。

 「それはな、束。お前を創造したのが俺達だからだ。」

 その話の途中、一夏はどこから取り出したのか、一般人なら両手で抱えるほどの大きさがある段ボール箱いっぱいに詰まった書類を(たばね)の前に投げる。

 「!?!?!?嘘だぁぁぁぁぁぁ!」

 その表紙のタイトルを見るや、束はダダダっと走り去っていった。

 「なあ、一夏。嘘をつくのは出来ないんじゃないのか?」

 「そんなセリフあったか?」

 お得意のスッとぼけで華麗に受け流す。

 「ところでマドカ。いつまで隠れてる。」

 邪魔者がいなくなったところで、物陰に潜んで隙を窺っていた人物に声をかける。

 「ようやくこの時が来た。長かったぜ。」

 「勝手に待ってたのはそっちだ。」

 流石に反論ができず、マドカは視線を彷徨わせる。

 「・・・織斑一夏ぁ、調子はどんなだ?」

 「こっちへ来て確かめろ。」

 マドカが物陰から出てこようとしないことに、一夏はしびれを切らす。

 「いや結構。遠慮さしてもらうぜ。顔出してみろ。一発で、眉間をぶち抜いてやる。私達は兄弟だ、苦しませたかねぇ。」

 「マドカ、それは関係ない!目的は俺を殺ることだろう!」

 「ヘハハハハハハ!」

 「ハンデだ。俺は右手を使わない。お前でも勝てる。・・・来いよマドカ。ISなんか捨てて、かかってこい!楽に殺しちゃつまらんだろう。ナイフを突き立て、俺が苦しみもがいて、死んでいく様を見るのが望みだったんだろう。そうじゃないのかマドカ!」

 「てめぇを殺してやる!」

 「さぁ、ISを放せ、一対一だ。楽しみをふいにしたくはないだろう。来いよマドカ。怖いのか?」

 「ぶっ殺してやる!・・・・・野郎ぉぉぉ、ぶっ殺してやぁぁぁる!!!」 

 一夏の挑発にまんまと乗っかり、マドカは物陰より躍り出た。

 「IS学園へようこそ。」

 デェェェェェェェェェェェン!という音が聞こえたかと思うと、そこにはチェーンガンを構えた一夏が立っていた。

 「?!うぎゃぁああああああ!!!」

 今まで幾度となく痛い目に合わされてきた武器。記憶がフラッシュバックしたマドカは、全速力で逃げ出す。

 「急げ一夏。箒がプレデター化する。」

 「あぁ。」

 その姿が十分に視認できる距離にあっても、二人は気にも留めずに作業を再開するのだった。




原作者め!クソォ新潟か!

(原作に追いついたので、次の更新時期は未定です。)

さらばじゃ!
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