ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~   作:S'sran

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8ー2話 重い指

(さて、そろそろ来るかな)

 オリッパは一度止まり、周りを確認する。

 そしてすかさずペイント弾が飛んでくる。

「おっと……」

 シールドで難を逃れるが、今度は違う向きから飛んでくる。

(姿が見えない……何故だ?)

 発砲音から位置の特定を試みるが、すかさず移動してるのか判断できない。

 オリッパは一度上昇し、高い位置から見てみるが、されど姿は見えず。

(まさか、固有魔法?)

「おいおい、北のウィザードはこの程度かい?」

「ッ! どこだ!?」

 まるで天の声、エコーのような声誰かが話しかけてくる。

「俺はオリマー。お前ももう察してるだろうがこいつは俺の固有魔法(マジック)だ。さあ、この仕掛けをどう解く? なんなら三分くらい時間をやるぜ?」

 明らかな挑発、オリマーは勝ちを確信している。

 オリッパは静かにこぶしを震わせる。

 目を閉じ、感覚を研ぎすます。

(こちら目には見えない、姿を消す固有魔法と考えていいだろう。なら……)

 オリッパはホルスターに入れていた小銃を手に取る。

 これもペイント弾に代えられている。

「面白れぇ……探して当ててみな」

(固有魔法には……固有魔法で対抗、だね)

 オリッパが淡く、青く輝く。

 風の音、波の音、遠くから聞こえる人の声、今はすべて消えて無音。

 捉えるべき音は一つだけだ。

 ゆっくりと時間が流れ、三分の時が経った。

(結局ハッタリ、見損なったぞ)

 オリマーは銃を構え、引き金に指を重ねる。

 しかし、先に発砲音が鳴る。

 オリマーの腹部に黄色いペイント弾がべっとりとついていた。

 徐々にオリマーの姿が浮かび上がる。

「な、なんでバレたんだ!?」

「音を一つに絞りました、引き金の音に」

 暑くもないのに大量の汗を頭に浮かべるオリッパ。

 固有魔法の影響なのだろうか。

「お前の固有魔法は圧倒的な聴力ってとこか? なら相手が悪かったぜ。ほれっ」

 オリッパはオリマーからキャンディーを受け取る。

「勲章変わりだ、名誉撃墜賞ってとこか」

「ありがとうございます!」

 オリッパは一度上に掲げてからポケットにしまう。

 無性に嬉しそうだ。

(見た目のわりに恐ろしい奴だ)

 オリマーはフラフラとおぼつかない飛行で戻っていった。

 

 

 ◇   ◇

 

 

(うぅ、散開したけど一人で相手にするなんて不安だよぉ)

 些か不安が残る赤松。

 相手は上官のカールスラントウィザード、自分より場数を踏んでいる。

 そんな相手と渡り合えるのか、不安で仕方ない。

 頭を悩ましていると早速ペイント弾が飛んでくる。

「ひえぇ!」

 情けない声を出しながら逃げる、無慈悲にも弾は止まない。

 これではハンターと逃げる鹿だ。

 ジグザグに飛んで回避しているが、当たるのも時間の問題だ。

 一度上にUターンして、逆さの状態でフーゴと対峙し、過ぎ去る。

(やっぱり手慣れてる、なんとかして回り込まないと)

 すぐさま元の形に戻し、相手の後ろに着こうとする。

 しかし、相手は下降して背後をとられないよう回避。

 そして下から赤松を狙い撃つ。

 シールドで防ぎ、一度距離をとる。

 相手が止まり、こちらも止まる。

「撃て」

「へ?」

「撃たなきゃ落とされるよ。止まってる今がチャンス、さあ、早く」

 何故かわからないが、チャンスを自ら作ってくれる。

 これはどういうことなのか、赤松は困惑する。

 当のフーゴは軍帽を取り、少しずつ近づいてくる。

 赤松は銃を構えるが、指に力が入らず、引き金が引けない。

 それどころか、金縛りにあったかのように動かなくなる。

(なんで!? 指が重い!) 

 そうしているうちにも近づいてくるフーゴ。

 そして、鼻と鼻がくっつきそうな距離までやってきた。

「悪いけど、模擬戦とはいえ戦いに変わりはない。だから、君には落ちてもらうよ」

 そう言ってフーゴは赤松のストライカーユニットに弾を当てる。

「さて、試合は終わっただろう。戻ろう」

 赤松はフーゴに肩を借り、ゆっくり飛行して戻っていった。

 

 

 ◇   ◇

 

 

「お、もう終わったのか?」

「お帰り~」

 先に戻っていたオリマーとカーチャに出迎えらる。

「彼を預けに来ただけ、僕はすぐ戻る。バッツ少佐が心配だし」

「あ~、少佐スタミナないもんな」

 フーゴはもう一度ストライカーユニットに乗り、高度を上げて戻っていった。

「ねぇ、さっきから俯いてどうしたの?」

「……僕って臆病なのかな?」

「へ? なんで?」

「……帰ったらゆっくり話すよ」

「わかった」

 赤松は静かに腰を下ろした。




これで8話は終わり。
次から少し暗い雰囲気になりそうな予感。
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