ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~   作:S'sran

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5話 影なきエース

「おじさん! ボーっとしてどうしたの?」

「……あ、すまんすまん」

 遠い目になっていたダニーは我に返る。

 カーチャは何度聞いても返事が返ってこないので心配している。

「少し……昔のことをな」

「昔のこと?」

「俺と恋人の馴れ初め、かね」

「気になる!」

 カーチャは興味津々だ。

「お前にはまだ早えよ。それよか、着いたな」

 ダニーは足を止める。

 食堂の札がかけられた扉があり、前に工事中の看板が置かれている。

「工事中、と言うわりには静かだなぁ」

「これは……」

「「何かがある!」」

 ダニーはカーチャを降ろし、考え込む。

「さて、どうしたものか……」

「入ればいいじゃん」

「いや、罠の可能性がある。この看板、そして警告と思われる言葉、いかにも俺たちを誘い込んでいる気がする」

「そうかなぁ?」

 カーチャは考えすぎじゃ、とも思う。

 基地内で罠を仕掛ける意味もないので普通の考えだ。

「でも、気になるのが男の(サガ)。今、この先に行けるのは俺たち以外いない」

「なら、やることは決まってるね」

「ああ」

 二人は顔を合わせ、固唾を飲む。

 そして、ドアノブを握る。

「いっせいの、で行くぞ」

「うん」

 ゆっくりとドアノブを回しきる。

「何をしているんですか、ジョンソン少佐、ブダノワ少尉?」

 後ろから聞き覚えのある声がする。

 二人は一度顔を合わせ頷き合い、後ろを向く。

 声の主はミーナだ。

 笑顔がとても素敵である。

「こ、これはこれはヴィルケ中佐! 先ほどぶりですなぁ!」

 できるだけ動揺しないように努めるダニー。

 カーチャは敬礼したまま固まっている。

「お二人とも、ここは現在立ち入り禁止です。退屈かもしれないけど自室で待機していただけるかしら?」

 笑顔からなにかオーラを察したのか、ダニーは鳥肌が立つのを感じる。

((この人は、怒らせちゃダメだ!))

 二人は直感し、素直に引き下がることに。

 しかし、ミーナにその気はない。

 決して普通なのだが、二人は何か感じたのだろう。

「いやぁ、失敬失敬! 基地内を見て回っていたのですが、ここだけ見ておりませんでしたのでね! 無理なら仕方ないですね! なぁ、カーチャ!?」

「う、うん! そうだね! お部屋待機してます!」

「ごめんなさいね」

 二人は早歩きでその場を去った。

 ミーナは終始笑顔で見送る。

「シャーリーさん、ありがとうね」

『少佐にインカムが渡されてて良かったよ。あの二人を逃がしたときは肝を冷やしたよ』 実は、坂本が事前にウィッチ全員にインカムを配布していたのだ。

『備えあれば患いなし、だっけ? 扶桑の言葉を身をもって痛感したよ』

「でも、あなたと競争で勝っちゃうなんて……噂通りなのね」

『噂通り?』

「彼、ウィザード最速って言われてるのよ。影なきエース(シャドーレス)、なんて言われてるそうよ」

『そらすごいな!』

「ライバル登場かしら?」

『だとしたら、負けるわけにはいかないな!』

 無線越しでもわかるくらいに張り切るシャーリー。

 速さを追い求めて入った世界。

 そこで負けるわけにはいかないのだ。

『早速、ユニットの調整を』

「それより、材料が足りなくなりそうだから買い出しお願いできるかしら?」

『それよりって……了解、ルッキーニと二人で行くよ』

「ありがとう。メモは後で渡すわ」

『へーい』

 無線が切れる。

「少し、騒がしくなりそうね」

 ミーナは嬉しそうに呟いた。

 

 

 ◇   ◇

 

 

 食堂の扉の前でいざこざがあった中、食堂では着々と料理が進んでいた。

 芳佳とバルクホルンはバームクーヘンに挑戦し、丁度完成ところだ。

「これがバームクーヘンかぁ。長いなぁ」

 始めてみるお菓子に目を輝かせる芳佳。

 スイーツに興味を示すのは女の子の特権である。

「よし、見た目は問題ないな。味は」

「ハイハーイ! あたしが味見する!」

 先ほどまでぐったりと机に突っ伏していたハルトマンが焼けたバームクーヘンの匂いで復活する。

「あー、わかったわかった。ほら」

 バルクホルンは切って一部をハルトマンに渡す。

「あーん……おーいしー!」

「口に少しついてるぞ」

 バルクホルンはハンカチでハルトマンの口を拭いてやる。

 ハルトマンは満足そうだ。

「スイーツは完了だ。もう主食も決まっただろう」

「リーネちゃん、メニュー決まったの?」

 芳佳は机の方で主食のメニューを考えていたリーネに尋ねる。

「うん! 温かくていっぱい作れるほうがいいと思って、シチューにしようと思うんだけど、どうかな?」

「いいかも! でも材料はあるの?」

「足りなそうならイェーガー大尉とルッキーニちゃんが買ってきてくれるから大丈夫」

「そっか、なら頑張ろ!」

「うん!」

 仲睦まじい二人を坂本少佐は見つめる。

(また会えてよかったな、宮藤)

 時刻は十六時ほど、そろそろ準備は終わりそうだ。




まだ登場していないエイラ、サーニャ、ペリーヌ。
ペリーヌはどの場面で出すかかなり悩まされております。
エイラーニャは決定しております。
そろそろ出してあげたいんですけが……不甲斐ないな、こりゃ。
(サブタイもかなり悩んでる)
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