ストライクウィザーズ ~第501統合戦闘航空団補助部隊~ 作:S'sran
「おじさん! ボーっとしてどうしたの?」
「……あ、すまんすまん」
遠い目になっていたダニーは我に返る。
カーチャは何度聞いても返事が返ってこないので心配している。
「少し……昔のことをな」
「昔のこと?」
「俺と恋人の馴れ初め、かね」
「気になる!」
カーチャは興味津々だ。
「お前にはまだ早えよ。それよか、着いたな」
ダニーは足を止める。
食堂の札がかけられた扉があり、前に工事中の看板が置かれている。
「工事中、と言うわりには静かだなぁ」
「これは……」
「「何かがある!」」
ダニーはカーチャを降ろし、考え込む。
「さて、どうしたものか……」
「入ればいいじゃん」
「いや、罠の可能性がある。この看板、そして警告と思われる言葉、いかにも俺たちを誘い込んでいる気がする」
「そうかなぁ?」
カーチャは考えすぎじゃ、とも思う。
基地内で罠を仕掛ける意味もないので普通の考えだ。
「でも、気になるのが男の
「なら、やることは決まってるね」
「ああ」
二人は顔を合わせ、固唾を飲む。
そして、ドアノブを握る。
「いっせいの、で行くぞ」
「うん」
ゆっくりとドアノブを回しきる。
「何をしているんですか、ジョンソン少佐、ブダノワ少尉?」
後ろから聞き覚えのある声がする。
二人は一度顔を合わせ頷き合い、後ろを向く。
声の主はミーナだ。
笑顔がとても素敵である。
「こ、これはこれはヴィルケ中佐! 先ほどぶりですなぁ!」
できるだけ動揺しないように努めるダニー。
カーチャは敬礼したまま固まっている。
「お二人とも、ここは現在立ち入り禁止です。退屈かもしれないけど自室で待機していただけるかしら?」
笑顔からなにかオーラを察したのか、ダニーは鳥肌が立つのを感じる。
((この人は、怒らせちゃダメだ!))
二人は直感し、素直に引き下がることに。
しかし、ミーナにその気はない。
決して普通なのだが、二人は何か感じたのだろう。
「いやぁ、失敬失敬! 基地内を見て回っていたのですが、ここだけ見ておりませんでしたのでね! 無理なら仕方ないですね! なぁ、カーチャ!?」
「う、うん! そうだね! お部屋待機してます!」
「ごめんなさいね」
二人は早歩きでその場を去った。
ミーナは終始笑顔で見送る。
「シャーリーさん、ありがとうね」
『少佐にインカムが渡されてて良かったよ。あの二人を逃がしたときは肝を冷やしたよ』 実は、坂本が事前にウィッチ全員にインカムを配布していたのだ。
『備えあれば患いなし、だっけ? 扶桑の言葉を身をもって痛感したよ』
「でも、あなたと競争で勝っちゃうなんて……噂通りなのね」
『噂通り?』
「彼、ウィザード最速って言われてるのよ。
『そらすごいな!』
「ライバル登場かしら?」
『だとしたら、負けるわけにはいかないな!』
無線越しでもわかるくらいに張り切るシャーリー。
速さを追い求めて入った世界。
そこで負けるわけにはいかないのだ。
『早速、ユニットの調整を』
「それより、材料が足りなくなりそうだから買い出しお願いできるかしら?」
『それよりって……了解、ルッキーニと二人で行くよ』
「ありがとう。メモは後で渡すわ」
『へーい』
無線が切れる。
「少し、騒がしくなりそうね」
ミーナは嬉しそうに呟いた。
◇ ◇
食堂の扉の前でいざこざがあった中、食堂では着々と料理が進んでいた。
芳佳とバルクホルンはバームクーヘンに挑戦し、丁度完成ところだ。
「これがバームクーヘンかぁ。長いなぁ」
始めてみるお菓子に目を輝かせる芳佳。
スイーツに興味を示すのは女の子の特権である。
「よし、見た目は問題ないな。味は」
「ハイハーイ! あたしが味見する!」
先ほどまでぐったりと机に突っ伏していたハルトマンが焼けたバームクーヘンの匂いで復活する。
「あー、わかったわかった。ほら」
バルクホルンは切って一部をハルトマンに渡す。
「あーん……おーいしー!」
「口に少しついてるぞ」
バルクホルンはハンカチでハルトマンの口を拭いてやる。
ハルトマンは満足そうだ。
「スイーツは完了だ。もう主食も決まっただろう」
「リーネちゃん、メニュー決まったの?」
芳佳は机の方で主食のメニューを考えていたリーネに尋ねる。
「うん! 温かくていっぱい作れるほうがいいと思って、シチューにしようと思うんだけど、どうかな?」
「いいかも! でも材料はあるの?」
「足りなそうならイェーガー大尉とルッキーニちゃんが買ってきてくれるから大丈夫」
「そっか、なら頑張ろ!」
「うん!」
仲睦まじい二人を坂本少佐は見つめる。
(また会えてよかったな、宮藤)
時刻は十六時ほど、そろそろ準備は終わりそうだ。
まだ登場していないエイラ、サーニャ、ペリーヌ。
ペリーヌはどの場面で出すかかなり悩まされております。
エイラーニャは決定しております。
そろそろ出してあげたいんですけが……不甲斐ないな、こりゃ。
(サブタイもかなり悩んでる)