幕間
私は神さまの手に収まる小さな丸い玉を見ながら、一緒に話していました。
それはカイムさんを写したり、町並みを写したり、美しい山並みを見せたり色々な世界の姿を見せます。
――人間には罰を与えたが、天使を捕まえることで、人間は生き永らえ悔い改めなかった
――そんな人間達は正しい道を歩むことが出来るのか?
そういうと過去の世界――鉄と戦争の時代が映し出されました。血まみれの争いの時代。
皆が必死な顔で銃という武器でお互いの命を消し去り、大きな爆発で跡形もなく人の営みが消えていく。
それはノーヴァス・アイテルの争いよりひどいものでした。
――確かに人間は何度も悪いことを繰り返す事を避けられないと思います。
――でも、人をあ、愛したり、自らを変えていけるのが人間だと思います。
――そうか……それがお前の思いか。
――私や天使には人間の愛が理解できなかった、神や天使はこの世界には不要なのかもしれんな。
第3章
日々、俺は眠る度に夢を見ていた。
夢の俺はティアと出会い、彼女を守るために戦っていた――
「お前はもう一人だ、諦めろ!」
ティアの家に泊まり込んでいたもう一人の俺は、山賊のふりをした隣国の騎士の騎士と戦っていた。
「ぐっ……しかし、おめおめと国に戻るわけには行かないのだ、お前だけでも!」
負傷した奴は一気に間合いを詰め、鋭い一振りを振りかぶる。
「ぐあぁっ!」
両手で持った剣で受け止めようと試みるが渾身の力で振るわれた一撃に弾かれ、胸の辺りを切りつけられる。
切り付けられた場所から血が飛び出る、俺なら避けられたかもしれないが、もう一人の俺はまだ経験が足りなく歯痒く思う。
だがもう一人の俺は負けられなかった、後ろにはティアがまだ居たからだ。
その場になんとか踏みとどまった、相対する騎士が動けない短い時間に両手で持った剣に力を込める。
そのままを返す刀で振りぬき、騎士の頸動脈を引き裂いた。
血しぶきを上げながら騎士の身体は崩れ落ちた。
しかしもう一人の俺の身体も胸から、大分深く切り付けられてしまっていた。
「カイムさん、カイムさん!」
もう一人の俺は血だまりの中に膝を付いていてティアに抱きすくめられていた。
「ティ、ア、身体は無事か?」
「無事じゃないです、だってカイムさんが!」
ティアの腕が血に染まっていく。
……これは本当にただの夢なんだろうか?
俺はティアを残したまま行くなと叫ぶ。
俺にはただの夢には思えなかった、例え夢だとしてもティアを見捨てるなんて出来るわけがなかった。
しかし俺の声は二人には届かない。
ティアの涙が粒になって落ちていくのが見え、もう一人自分の身体を通して涙の暖かさを感じる。
「死んじゃダメ、です、傷が治ったら、カイムさんにいっぱいお礼するんですから。」
そういいながら、ティアの体が紫色の輝きを放ち始めた。
こっち世界のティアと同じ光だ――
「傷が治っていく……ティアは本当に御子だったのか?」
こっちの聖女イレーヌ――コレットがティアと似た特徴の御子を探していると言っていた。
御子という存在が神と人間を繋げることによって、神の恩恵を受け豊かな世界を形成していた。