書いてて思ったのが、私の書いている英雄王は少し優しい?のかな。
自分の中ではそんな風に書いてるんだと何となく自覚しました。
さて、それではどうぞ。
「zzz……」
「神夏さん神夏さん」
「んぁ…何………おや、すみ…」
「いや、寝ないでくださいまし⁉︎」
昼になって、誰かに話しかけられた後、速攻で眠りにつこうとしたというのに、無理やり起こされた。
ぬぅ、徹夜明けで超眠いんですけど。
「何…狂三。私の体質…知ってるでしょ……」
「体の体質みたいに聞こえますが、ただの寝不足ですわよね?」
「そう…ともいう。てか、何の用…」
「一緒にお昼を、と思ったのですが。どうせ神夏さん
「だれが陰湿変態ボッチ女だっ!」
「そこまで言ってませんわよ⁉︎」
と、狂三に煽られ、思わず跳ね起きてしまった。
寝かけを無理やり起こした反動で、眠気はどこかに飛んで行ってしまった。
「---少し話がある」
と、ガールズトークをしていた所へ、誰かがきた。
ちなみに、正確にはガールズトーク(笑)だ。
「折紙さん…でしたわよね。わたくしに何か?」
「きて」
と、折紙サンは短く答えた後返答も待たずにそそくさと教室を出て行った。
「ま、待ってくださいまし。一体どうしたんですの?」
「まーた甘い誘惑をして男を唆したんじゃないの?」
「そんなことはないと思いますけど…。神夏さん、付いてきてもらってもよろしいでしょうか?」
「いy」
「あ、ちなみに拒否権はございませんので♪」
「なんで⁉︎」
と、行きたくもないのに狂三に腕を引っ張られて折紙サンの後を追いかける羽目になった。
お腹の減りに耐えつつ、引っ張られていると屋上前の扉についた。
「ええと…何かご用ですの?わたくし、まだお昼を食べていないのですけれど……」
「わたしもなんだけど?あ、私については無視してくださって結構」
その際、折紙サンはこちらを睨んできたが、狂三に向き直ったかと思うと再度口を開いた。
「あなたは、なぜ生きているの?」
「え?」
「あなたは、昨日死んだはず」
その会話から、大体何が起こったかを察せた。
多分、昨日のいざこざの後、
「ああ、ああ。あなた、あなた。昨日、真那さんと一緒にいらっしゃった方ですの」
「……!」
「まあまあ!素晴らしい反応ですわ!神夏さんや真那さんには劣ってしまいますが、それでも十分すぎますわ!素敵ですわぁ!…でェもぉ」
突如、折紙サンが飛び退いたかと思うと、飛び退いた先からは黒い影が広がっており、さらにそこから白い腕が何本も、何本も出てきており折紙サンを壁際に拘束した。
そして、ここら辺から眠気が再来して、誠に申し訳ないが会話のほとんどを聞き流してしまった。
「目的は…何」
「うふふ、一度学校に通ってみたかった、というのも嘘ではございませんのよ?でも、そうですわねぇ、一番の目的は士道さん、ですわね」
「っ!」
「彼は素敵ですわ、最高ですわ。本当に---
そして、ここら辺で私はとうとう立ちながら寝てしまった。
「神夏さん、起きてくださいまし」
「んぁ…、ああ。おはよう」
「立ちながら眠るって、どういう器用さなんですの」
『全くだ、少しは我の臣下という自覚を持て。我の臣下がそのようでは、思わず殺してしまうぞ?それか、よほど我の名を貶めたいと?」
「……申し訳ございません。返す言葉もございません。これからは二度とこのようなことはしませんのでどうかお許しを」
『…まあよかろう。だが、これきりだ。次はないと思え?』
「…承知しました」
「神夏さん?先程から何を一人でブツブツ言っておられるので?」
狂三に呆れられ、英雄王さまに割とガチで怒られ、今後は授業中以外は外で寝ないことを心がけ、地面に膝をついている折紙サンを放っておいて私たちは教室に戻った。
っていうか、私の服乱れてるんですが、やましいことしてないよね?この人。
その後は、昼ごはんを少ない時間で急いで食べ、ずっと寝た。
あれ?今日1日のほとんどを寝て過ごした気がするな。まあいいか。
ともあれ、明日は休日。が、明日は英雄王さまが時には休日を外で過ごしたい、とのことで久しぶりに体を英雄王様に一日中お貸しすることになっている。
顕現には霊力が必要だが、その分は寝て貯めておいたから、ちょっとやそっと、何かが起こっても何も問題ないだろう。
〜翌日〜
「ふむ、相変わらず胸だけか。それ以外は快適なのだがな。我が顕現するたびに胸だけこうも変化するとは、面倒だな」
『も、もうしわけ…ありま……せん』
「泣きながらいうでない。別に責めているわけではない。人間の成長なぞ、それぞれだ。能力も、容姿もな。ただ、そこに努力が入るか入らないかの問題だ」
蛇柄スカートに上にシスター服という格好で、このまま英雄王は金にモノを言わせて水族館や映画館など、娯楽を楽しみまくった。
格好と容姿のせいで目立ちまくっていたが。
「ふう、中々だ。この世界は、まだ捨てたものではないな」
久方ぶりに、現在の世の中を愉しみ、時間も3時半となっており、霊力も半分を切ったという事で、最後に昂ぶった気持ちを抑えるためにアイツらしく自然の中に身を任せてみようと、自然公園というところに足を運んでいる。
「喉が乾いたな。自動販売機とやらは……む?」
「あらあら」
ゲートの中にある酒は、取り出す際に霊力感知で雑種どもに悟られる可能性があり、さらに今の体はまだ酒を飲むには適していない体なため、自販機とやらに向かうと、その直ぐそばに狂三がいた。
「奇遇ですわね、神夏さん」
「そうだな」
「…?もしかして、神夏さんの言っている英雄王、でしょうか?」
「そうだ。よく気づいたな」
「あらあら…これはこれは。無礼な態度で申し訳ありませんわ」
「よい、許そう。特別に我を拝謁し、共に語る名誉を許す。ああ、いつもの貴様の話し方でかまわん」
「それはそれは。嬉しいですわね」
狂三には、一度覚悟を示させ、更には我にこの世で二度目の『乖離剣エア』を抜かせたこともあり、狂三のいつも通りの話し方にも対しても、特に何も思うことはない。
「……?」「…ほぉ、どうやら我の庭を汚す不届きものがいるようだな」
突如、耳に不快な音が響いてきた。どうやら狂三も同じらしく、狂三と共に奥まった場所にある裏路地の袋小路に足を運んだ。
「あらあら、何をしておられますの?」
「…よもや、雑種どころではなく醜い虫ケラを見ることになるとはな」
「……いっ?」
狂三に声をかけられた一匹の虫ケラが驚いたように肩を揺らし、振り向いてきた。
そこには五匹の
その銃口の先には、見た限り小さな、まだ幼い子供と、その子供の腕の中には生まれて間もない子猫とその親猫がいた。
子供も、親子の猫もどちらも傷を負っている。親猫の方は子を産んだ時間がそれほど離れていないからなのか、それとも撃たれたからなのか相当弱っていた。
『(あ…手がつけられなくなるやつだ。これ)』
「安心せい、大ごとにはせぬ。ただ、肉塊が5つ出来るだけだ」
小さく神夏の不安に答えると、聞こえていたのか狂三は小さく笑った。
虫ケラどもはと言うと、全てこちらに気づいたようで一斉に視線を向けてくる。
『あの、英雄王様、おねがいですから許可を得ずして見るでない、とか言って串刺しの刑は……』
「ほう、よく我が言わんとすることがわかったな」
『(あ、ダメだ。本気で呆れてるし怒ってる)』
狂三が虫ケラどもに仲間に入れてもらえないか、と言っていたが何をするかは想像もつく。
その途中で虫ケラどもが我らに向ける目が馴れ馴れしいものになっていたが。
その途中、虫ケラの一人が我に手を伸ばしてきたので……
「うぎゃあ⁉︎て、手が⁉︎」
「地を這う醜い虫ケラ風情が、我の庭を汚し、許可を得ずして我を見、同じ大地に立った挙句、あまつさえ我に触れると?不敬もここまでくると笑いが出てくるものだな」
触れられる前にゲートから短剣を射出し手を文字通り胴体から切り離してやる。宝物庫の中にはASTとやらの武具を収めておいたため、それを使った。この虫ケラどもは我が宝物庫の宝を使う価値すらない。
「狂三よ、この虫ケラ共は好きにせい。我が手を下す価値すらない」
「ええ、承知しましたわ。では…お兄さん達、私も仲間に入れて、くださいねぇ?ああ、申し遅れましたが…少しだけルール変更を、したいのです」
我が虫ケラ共が避けた中中央を堂々と歩き、子供と親子の猫の元へ歩を進める。
「神夏よ、魔術で簡易的に治療を施した後は貴様に一任するぞ」
『はい、承知いたしました』
子供の前に立つと怯えた目で、かつ何が何でも猫を守る、といった視線でこちらを見てきた。
「そう怯えるな。心配するでない。お主も、そこの親子も、死なせはせん」
我と子供と親子の猫と、狂三らの間にいくつかの盾を射出し簡易的な壁を作る。
そして、我らしくもない、穏やかな笑みを見せると安心し、途端に泣き出した。
ええい、我から言ったとはいえそう泣くでない。
「そうさな……まだ致命傷には至っておらんのが幸いだな」
まずは一番弱っている親猫の方に回復の魔術を施し、子供と仔猫は見た目ほど重症は追っておらず、こちらはゲートの中にある包帯等で治療をしてやる。
本来ならば我では無くその道に長けた臣下にさせるべきなのだろうが…生憎、その臣下はいない。
「ほれ、これでもうよかろう?」
「あ…ありが、とう、ございます!」
「よい。気にするでない。それはそうと、もうこのような場所には二度と入らぬことだ」
「は、はい…!」
「ふむ…あちらからは帰れぬか。しょうがない、少しだけ目を瞑っておれ」
「え?は、はい…」
と、何故か悲しそうな声を出した子供の目をつむらせ、何回か使ったことのある空間転移の魔術を子供に使い、先ほどまでいた自然公園とやらに転移させた。
『あ、あの…英雄王様。私の仕事…なくなっちゃいました』
「む、そういえばそうだったな」
『ああ、でも私が出ても多分、何もならなかったかと。あの子、英雄王様にとても尊敬の眼差しを向けておられましたし、何より懐いていましたから』
「む…そうか」
その後、狂三の方は、と思い壁にしていた盾を宝物庫にしまうと、そこには肉塊が4つと腹を中心に、血で的のように描かれた一匹の虫ケラが壁際で怯え泣いていた。
「あら、英雄王様の方はもう終わりましたの?」
「ああ、そちらはまだ終わっておらんではないか。それに、的にするのはいい案だが、散らかし過ぎだ。もう少し綺麗にやらんか。我の庭を汚しすぎだ」
「あらあら、申し訳ありませんわ」
「た、たすけて…くれっ!」
と、虫ケラが泣きながらこちらを見て叫んでくる。
「助け、だと?戯けが。貴様らは、命を摘み取ろうとしていたのだろう?ならば、貴様も命を摘み取られる覚悟を持っているのだろう?もし持っていなかったと言うのなら、命と引き換えに学ぶがいい。これが、命を奪う、ということだ。貴様らの覚悟無しの行動が、この結果だということだ。
ああ、我は手を下す気は無いが、我の庭を汚したその罪は償ってもらうぞ?では、後は任せたぞ、狂三よ。あの子供らは無事だ。猫もな」
「ええ、ありがとうございます。英雄王様」
血溜まりの中を、霊力の壁を作り出し血で服が汚れないようにし狂三らを背にし裏路地から立ち去る。
その際、
「さて、仕切り直しと行こうか」
この後英雄王は、また----昼過ぎまでよりさらに派手に----遊びまくった。
少しだけ原作でも起こった事件を改変。
原作3巻でのこの裏路地での事件での狂三の
『何かを殺そうというのに、自分は殺される覚悟がないなんておかしいとは思いません?命に銃口をむけるというのは、こういうことだ」
というセリフが、何気にデアラで一番好きなセリフです。今回は英雄王様がとっちゃいましたが…
もう少し…もう少しで、ギルの無双を……かける。
投稿ペースは未だ長いと思いますがそこはご愛嬌を。
読んでくださりありがとうございます
サブタイトルあったほうがいい?
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あったほうがいい
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無くてもいい