デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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だいぶ遅くなりましたね…。

さて、今回からまた原作からずれて行きます

それではどうぞ


23話

()()()()()()()()()()()()、士道」

 

突如現れた紅い少女は道化に向かってそういう。

 

「っ…!あ…れは!」

 

白い髪の方の雑種がなにやらとてつもないほど驚いているが、まあどうでもよいか。

 

「焦がせ…『灼爛殲鬼(カマエル)』!」

 

その炎の精霊は叫ぶと周りに炎が生まれ、巨大な棍のような円柱形を形作っていった。

 

精霊が棍を手に取るとその側部から真っ赤な刃が出現した。

 

体に似合わない、巨大な戦斧と成った。

 

「さあ、私たちの戦争(デート)を始めましょう。時崎狂三」

 

「…どぉなたですの?邪魔しないでいただけませんこと?せっかくいいところでしたのに」

 

「悪いけれど、そういうわけにはいかないわね。あなたは少しやり過ぎたわ。---跪きなさい。お仕置きタイムよ」

 

「く、くひひひ、ひひひひひっ……面白い方ですわねぇ。お仕置き、ですの?あなたが、わたくしをォ?」

 

「ええ、分身体と天使を収めて大人しくなさい」

 

「ひひひ、ひひ。随分と自信があるようですが、過信は身を滅ぼしますわよォ?わたくしの『刻々帝(ザフキエル)』は…」

 

「御託はいいから早く来なさい、黒豚」

 

「上等ですわ、一瞬で喰らい尽くして……差し上げましょう!」

 

狂三がそう叫ぶと分身体が一斉に炎の精霊に襲いかかる……が、

 

「ふん、……『灼爛殲鬼(カマエル)』」

 

「なっ……」

 

炎の巨大な戦斧を振り回したかと思うと、周りに群がろうとしていた分身体は全てが斬り裂かれ、あるものは首が、あるものは腕が、あるものは上半身そのものが一斉に宙を舞った。

 

「ほぉ、なかなかやるではないか、小娘」

 

「あなたに褒められてもなにも嬉しくないわよ」

 

我の言葉を、不敬にも此奴はあしらってきた。

そして下を見てきたかと思うとまたもや斧を振り抜き、今度は道化を抑えていた分身体を焼き殺した。

 

「琴里!これは一体……」

 

「大人しくしてなさい、士道。可能なら隙をついてこの場から逃げて。今のあなたは…簡単に死んじゃうんだから。…ねえ!英雄王ギルガメッシュ!貴方、士道を認めていたわよね?」

 

「ん?ああ、そうさな。まあ、認めていないといえば嘘にはなるが……。だが小娘よ。いつまで我を見下ろすつもりだ?それ以上は許さんぞ?」

 

「はいはい。それより、士道を守っておいてもらえないかしら?」

 

気怠げに答えたかというと、小娘は屋上に降り立ち、そう言ってきた。

 

「口の利き方がなっていないな、小娘。五河士道、時崎狂三は敬語など使わんでよいと許したが、貴様には許しておらんぞ?」

 

「元よりあなたには敬語を使った覚えはないわね」

 

「貴様…」

「ギルガメッシュさん、手を出さないでくださいまし。先にわたくしがやるんですわ」

 

「勝手にせい。その後に下すべき処分をこの小娘に渡すまでのことだ」

 

「ええ…わかりましたわ。…『刻々帝(ザフキエル)』…一の弾(アレフ)!」

 

狂三はまた自分のこめかみを撃ち抜き、時間を速めた。

小娘に猛襲をしかけるが、その悉くを小娘は防いでいた。

 

態度だけがデカイだけではないらしいな。

 

「素晴らしいですわ、素晴らしいですわ!ギルガメッシュさんと矛を交えた時のような高鳴りですわ!高鳴りますわ高鳴りますわ!」

 

「ふん、うっとおしいわね。あなたもレディなら少しは落ち着きを持ったらどう?」

 

「御忠言痛み入りますわ。ではご要望にお応えして、淑やかに()らせていただくとしましょう。『刻々帝(ザフキエル)』-----七の弾(ザイン)!」

 

先程、マナを仕留めた弾だな。

にしても…我をこの小娘と同等と思われるとは、腹立たしいことこの上ない。

 

ザインが当たった小娘は、一切動かなくなった。

 

「ふふふっ、如何な力を持っていようと、止めてしまえば意味がありませんわよねぇ。それでは御機嫌よう」

 

狂三は小娘に、乱雑に、そして最後に眉間に銃を当て引き金を引く。

 

そして小娘が動き出したかと思うと全身の傷から血が吹き出る。

 

「琴里…!」

 

道化は悲鳴じみた声をあげた。

それはそうだろうな、身内がああなってしまっては。

 

だが……。

 

「ああ、ああ、終わってしまいましたわ。せっかく見えた強敵でしたのに。無情ですわ、無情ですわ」

 

「おい小娘、いつまで狸寝入りを決め込むつもりだ?さして面白くもないものを我に見せるでないわ」

「…まったく、派手にやってくれたわね。しっかし、狸寝入りなわけじゃないわよ。ちゃんとさっきまでは瀕死だったんだから」

 

「なっ…」

 

治癒能力、と言っていいだろう。炎が傷口を舐めたかと思えば、綺麗に傷が消えていた。

 

だが…煮ろうが焼こうが倒れぬ英雄は見飽きているため、特段驚くところもない。

 

しかし…『返してもらうわよ』、に道化のあの意味不明な力……か。なるほど?

 

色々と掴めてきたな。

 

さて…

 

「なんなんですの、なんなんですのあなたはァッ!」

 

「あら、もう打ち止めかしら?案外少なかったわね、もう少し本気を出してくれてもいいのよ?後士道、ごめんけど邪魔」

 

小娘は道化を後ろに蹴り飛ばしたかと思うと再び巻き起こった狂三の猛攻を捌いていた。

 

「その言葉、後悔させてあげますわ!『刻々帝(ザアアアアアァフキエエエエエエル)……!!』」

 

「っ!させるかっての…!」

 

狂三の様子に、不穏なものを感じたのか、小娘は戦斧を振りかぶった。

 

が、それはすぐ崩れ去った。

 

「く…こ、これは……」

 

 

「…はぁ、狂三と刃を交えるほどの奴かと思えば……その程度か、小娘。興が冷めたわ」

 

 

小娘は、突如頭を抑え、その場に跪いた。

その様子を見て、我の中は先程まで燻っていた怒り以上に、呆れが勝った。

「琴里っ!」

 

突如身内を襲った窮地を道化が助けていた。相変わらず自分のみを顧みず助けるところは道化らしさ、というところか。

 

「……」

「琴…里?」

「琴里?どうしたのだ!琴里!」

 

小娘の様子がおかしいことにようやく気付いた道化に、我が釘付けにしていた2匹の雑種のうち片方が叫ぶ。

 

小娘は戦斧を高く揚げ、その手を離す。

 

灼爛殲鬼(カマエル)----【(メギド)】!」

 

その声に呼応するように、柄の部分が棍の本体の部分に収束され、右手に装着された。

 

まるで大砲のようだな。

 

「灰燼と化せ…『灼爛殲鬼(カマエル)』!」

()()()()()()!!」

 

そこからは一瞬だった。

小娘が圧倒的な威力の炎の砲撃を狂三に撃ち込み、狂三は大量の分身体を盾として出した。

 

煙幕により、様子が見えないが、そんなものは見ずともわかる。

 

煙が晴れると、そこには分身体を悉く消され、本人も左腕を失い、天使である『刻々帝(ザフキエル)』の文字盤の四半を貫かれていた。Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの部分が綺麗に抉られていた。

 

どう見ても戦闘可能ではないだろうな。さて…

 

「…決着だな」

 

「いえ、まだよ。銃を取りなさい」

 

小娘は低い声でそう言い、大砲を狂三に向ける。

 

「我が決着と言ったのだ、それ以上の戦闘は我が許さん」

 

「何を言っているのかしら。まだ闘争は終わってないわ。戦争は終わっていないわ。さあ、もっと殺し合いましょう、狂三。あなたの望んだ戦いよ。あなたの望んだ争いよ。もう銃口を向けられないと言うのなら……死になさい」

 

「それ以上やると狂三は死ぬぞ?貴様の掲げた理想、組織の目的は精霊を殺さずに解決、だろう?」

 

が、その言葉も無意味らしい。小娘は冷たく歪んだ双眸に怪しく光る紅玉の眼と、愉悦か恍惚にも近い表情をしていた。

 

 

 

明らかに、力に飲まれている。

 

 

 

道化は、きづくと狂三の方へ駆け出していた。

 

「狂三!」

「士-----道、さん……?」

 

道化は、狂三の前に立ちはだかった。

 

が、それと同時に炎の砲撃を撃ち込まれた。

 

 

「…今回だけ特別だ、五河士道、時崎狂三」

 

 

宝具を全て回収し、盾を何重にも五河士道と狂三の前に放出してやる。

 

それにより、砲撃を防いでやる。

 

「あら、次のお相手はあなたかしら?」

 

「え、な、なんで……」

「…ギルガメッシュさん、余計なお世話、ですわよ……」

 

「黙っていろ、狂三。その体で何ができる?さて…炎の精霊よ。我が特別に手を下してやろう」

「あら、それは怖いわね」

 

「英雄王様!どうか琴里を…」

 

「心配するな、殺しはせん。さて…この妙薬を久々に使ってみるか」

 

小娘が大砲を向けてくるが、そんなことは知らん。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』の砲門を十数個展開し、そのうちの一つからある妙薬をとり、飲む。

 

「あら、余裕ね。ナメてるのかしら?慢心にもほどがあるわよ?」

 

「ハッ、慢心せずして何が王か!さて、覚悟をしておけよ、小娘。今からの我は…あまり手加減できんぞ?」

 

「フン、遠慮なんていらないわよ。本気でかかってきなさいよ、英雄王!」

 

飲み終わると同時に、砲撃を撃ち込んできた。

 

当たるより前に盾を出し、それに着弾する。

ドガァァァァン!と派手に音と煙幕をぶちまける。

 

 

「フン、他愛ないわね」

 

「……はっ?」

「……え?」

「な…に?」

「ど、どうなっているのだ?」

 

 

「……フハハハハハ!あの程度で(オレ)に傷をつけれるとでも思ったか?思い上がるのもほどほどにしろよ、雑種風情が!力に飲み込まれるような軟弱な貴様に、我を傷つけることなどできるはずがなかろうが」

 

 

そこには、男がいた。さっきまで、神夏ギルがいた場所に、だ。

 

黄金の髪と、紅い目。下半身を黄金の鎧が、上半身は黒いシャツを着ていた。

服装は、神夏ギルと、とても酷似していた。

 

だけど、それだけではなかった。

口調も、態度も、何もかもが神夏ギルと酷似していた。

違うところといえば一人称が(われ)から(オレ)になったくらいだろうか。

 

 

「…いったいどんなカラクリよ」

 

「なに、単なる()()()()()()と言う妙薬を飲んだだけだ。あのまままの我ではおそらく手を抜くからな。貴様に罰を与えるために、わざわざこうして()()()()()のだぞ?

さて、そんなことはどうでも良い。

 

…さあ、どこからでもかかってくるが良い。

ああ、先に言っておくが本気は出さん。貴様のような力に飲まれるような雑種に本気を出すなど、王の沽券に関わるからな。精々励めよ雑種」

 

言い終わると小娘は大砲をまた戦斧に変え、こちらに突撃してきた。

 

「フハハハハ!」

 

「…ふん!」

 

斧を振るって来ようとしたので、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の砲門を十数個展開していたものを全て小娘に向け、宝具を連射する。

 

「どうした、まだまだこんなものではないぞ?」

 

「クッ…!」

 

「そら、足掻くが良い」

 

空に逃げたので、今度は前からだけでなく前後左右、上下から砲門を展開し、宝具を打ち込む。

 

「こん…のぉ!どこが手加減よどこが!」

 

「ん?この程度で根を上げるのか?そして喋ってる暇があるのか?」

 

間髪入れず再度砲門を開き宝具を連射する。

 

それを永遠と繰り返してやる。それを幾度となく捌かれるが…正直言ってこの街に来て最初に戦った、あの巨大な剣を振るう精霊の方が戦闘能力は上だな。

 

「ぐはっ…」

 

「終わりだな」

 

一撃、たった一撃入ったが、そこからはもう簡単だ。

 

1手遅れたら2手遅れ、3手遅れ…と言った風になり、小娘はだんだんと血に濡れた。

 

まずは斧を持っていた右腕に一撃、そこから持ち直そうとしているところを左足に二発、全ての宝具を抜いたところで今度は左肩に。

 

「ハァッ…ハァッ……」

 

「つまらん、前の…なんと言ったか、巨大な剣を扱う精霊の方がよほど愉しめたぞ。もう終わりだ、小娘」

 

炎が小娘の体にできた傷を舐め、治癒しているが、それがなんだ。

ならば、治癒能力が追いつかないだけ攻撃を仕掛ければいいだけのことだ。

 

「クッ…!」

「そら、逃げねば死ぬぞ?」

 

傷が治りかけたところでまた宝具を連射する。

 

「っ⁉︎」

 

「終わりだ」

 

小娘に一撃重く速いものをくれてやると、棍で防がれたが勢いを殺せずにそのまま屋上まで堕ちてきた。

そこに、追い討ちをかけるように両腕に、両足に、宝具を串刺しにして固定する。

 

「いっ…」

 

「さて、言い残すことはあるか?最後の慈悲だ。聞いてやろう」

 

屋上に降り立ち、小娘の元へ足を進める。

 

「先程まで狂三に対して振るっていた力はどうした?その程度すら脱け出せんのか?」

 

「な…メルなぁ!」

 

そう威勢良く吠えてくるが、一切抜け出せていない。

 

「……!英雄王様、なにを…⁉︎」

 

「不敬者の裁きだ。そこで見届けておれ、道化」

 

一本の剣を取り出し、小娘の首元に当てると道化から何かを叫ばれる。

 

「待ってくれ!殺さないって……止めてくれるだけじゃ……!」

 

「…ああ、そういえばそんなことを我は言ったな。では…四肢のどれかを斬り落とす、くらいにしようか」

 

「いや…でも!」

 

「騒がしい。黙っていろ道化。さて…そうさな、斧を振るっていたその煩わしい右腕にするか」

 

首から右肩に狙いを変えると、小娘は恐怖の顔を浮かべていた。

 

「ご、ごめんなさ……」

 

「今更懺悔の言葉などいらん。ただ罪には罰を与えるだけだ。ま、四肢を切り落としたところで貴様の治癒能力ならば運が良ければ引っ付くかもな?」

 

我は笑いながらそういうと今度は涙を浮かべ始めた。

 

「では、次やるときがあるのなら、せいぜい腕を上げておけよ、雑種」

 

剣を振り上げ、そのまま右肩に狙いをつけ振り下ろ

 

 

 

「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 

 

振り下ろしたと同時に大声がした。それを無視して振り抜くとガキン!という音と共に弾かれた。

 

「…ほぉ、力を取り戻したか。だが、娘よ。我の決定に逆らうというのか?」

 

そこには、あの巨大な剣を振るう精霊が、ほぼ完全な姿……ではなかったが、前と比べて半分ほど?か。それほど力を取り戻していた。

 

「当たり前だ!神夏ギル!なんの権利があって貴様は琴里の腕を切り落とそうとする!」

 

「我がそう決めたからだ」

 

「なっ…ふざけるな!」

 

「ふざけてなどおらん。さて…我の決定に逆らう不埒者はどうすべきか…」

 

こやつらは殺すより生かして飼い殺す方が良いが…さてはて、どうしたものか。

 

「と、十香!やめてくれ!英雄王様も!おやめください!」

 

「黙れ道化。…そうさな、余興と行こうではないか。貴様らに不敬への免罪のチャンスをやろう。貴様らのどちらかが我に一撃でも入れることができたなら、貴様らの罪は不問とする。さて…どうする?」

 

パチンと指を鳴らし炎の小娘に刺していた宝具を全て回収する。

するとゆっくりと、立ち上がってきた。

 

「…琴里、やれるか?」

「あったりまえじゃない。…悪いわね、十香。力を…貸してちょうだい」

「当たり前だ!」

 

どちらもやる気は十分、と言ったところか。

 

「よい、これで少しは面白くなるというものだ」

『あの…英雄王様、お願いです、どちらも殺さないよう…。あと……霊力もあまり残っていません。先程と同じ戦闘をするならば……持ってあと10分もないかと』

「わかっておる。あと10分もあれば十分だ」

 




次回、琴里&十香vs英雄王(男)!

勝手に性転換させたが、あのコレクターのことですもん。絶対ありますよ(

さて、ようやっと描きたかった英雄王無双を……書ける

拙いかもしれませんがご了承を

読んでくださりありがとうございます

サブタイトルあったほうがいい?

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