デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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今回割と早めにかけたんじゃね?っておもったらそうでもない
一ヶ月も空いてしまっていた…,
この癖直さないと…,


とりあえずキリのいいところまで描き進めました

それではどうぞ


29話

この男、マイラとの一番古い思い出は何だろう。

少なくともいいものではなかったことは覚えている。

 

確か…私はマイラのことを男か女かわからないといい、マイラには…なんだけ?覚えてないや。でも、とにかく初対面でケンカをしたことは覚えている。

 

そこから…気づいたらよく話すようになって。

小学校までは同じで、中学でマイラは男子校へ行ったから別れたけど家が近かったからよく会って話して。

ケンカもたくさんしたが楽しかったのは今でも鮮明に覚えている。

 

私が償っても償いきれない罪を犯したとき、私が自暴自棄になっていた時に、救ってくれたのもマイラだった。

 

 

そして……

 

 

 

私を絶望へ叩き落したのもマイラ()()だった。

 

 

 

今でも鮮明に覚えている。

マイラとのどの記憶よりもだ。

 

 

目の前で裏切られ、叔母さんや叔父さんを、傷つけられた。

 

唯一、イギリスでできた友達すらマイラの差し金で。

 

何も信じれなくなった。

 

 

何も知らない叔母さんに、お父さんの生まれ故郷の日本に行くかどうかということを提案され、マイラのいる地から離れたくて、もう私の知っている人が誰もいない場所へ行きたくて

 

 

 

両親をこの手で殺めたこと以外のすべてを忘れたくて

 

 

私は二つ返事で日本に行くことを決めた。

 

もう二度とマイラに会いたくなかったから、

会ったら、問答無用で殺してしまいそうだったから。

 

私を精霊と、意思を持つ災厄として狩ろうとして来ていたDEMという会社にも、もう遭遇したくなかった。

 

とにかく、故郷にいたくなかった。

 

精霊化も、もうしないと決めていた。

英雄王様のなりきりをして恥ずかしいと思っていたのもあり、また躊躇なく人を殺してしまいそうだったから。

 

日本の高校生の年齢になって日本に来てから、一年間は普通に、何事もなく過ごせた。日本にも対精霊部隊はあるのは知っていたけど霊力を隠す道具もあったから大丈夫だった。

普通に、独りで過ごせていた。

 

 

それなのに、それなのに

 

 

五河士道と出会ってからすべてが変わった。

私を取り巻く環境が、人間関係が。

 

 

でも、そのおかげで色々なことを知れた。

決意もできた。

 

五河士道のおかげで、思い出せた。

 

 

私が成すべきことを。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ!」

 

「ふん」

 

マイラは槍を振るい、それを私は剣ーー原罪(メロダック)を振るう。

若きアーサー王が抜いたとされる選定の剣カリバーンや大英雄シグルドが使ったという龍殺しの魔剣グラムの原点だ。

 

本来なら、もっとふさわしい剣もあるが英雄王様がこの身に宿っている以上は使えない。

その剣は持ち主に破滅しか与えないのだから。

間違っても英雄王様を破滅させるくらいなら死を選ぶ。

 

「おらおら!あれだけ大口をたたいててその程度かぁ!神夏ぁ!」

 

「騒々しい雑種だ。少しくらい静かにできないのか?道化すらもう少しわきまえておったぞ?」

 

幾度となく槍をふるってきてはいるが、うるさいものだ。

ただでさえ耳障りな声だというのに。

 

そしてカルナの名を冠している割にとことん槍の扱いが雑で、低俗で、腹が立つ。

英雄王様が立ち会った時のカルナの槍術は、こんなものじゃない。

 

 

「ふっ…」

 

「ちいっ!」

 

「遅い」

 

大ぶりで、速度も遅い。

槍を思い切り振り下ろしてきて、あえてマイラに接近してよける。

髪にかすって数本パラパラと落ちたがそれでもマイラは目と鼻の先だ。

 

ここまでくれば十分で、私はメロダックでマイラを斬りつけた。

最初こそマイラは自身のまとっている機械の鎧を頼っていたのか逆に笑っていた。

 

しかし斬りつけた瞬間にマイラの顔は痛みで歪んだ。

 

まあご自慢のガラクタ鎧をあっさりと斬られたらそうなるよね。

 

鎧の切れ込みからは血が少しとはいえ出ていた。

結構深めにやったつもりだけど意外と浅かったらしい。

 

「くそが…だがその程度の攻撃、何万発やってこようが俺の命には一生届かねえよ。さあ、とことんやろうぜ」

 

「…もう、忘れたのかな。これは戦いじゃない。処刑だ。君には苦痛と絶望をもって処刑するといったはずだ。

 

この程度で死んでもらっては困るから、あえて死なないように攻撃したんだ。それくらいわからないかなぁ?脳筋バカが」

 

「黙れ!」

 

槍を横に薙ぎ払ってきてそれをしゃがんで避ける。

そして今度は下から斬りつける。

 

先ほどつけた傷と垂直になり自慢していた鎧に十字傷ができる。

が、今回は血は流れてこない。

 

「おっと」

 

「ちっ、うまくだませたと思ったんだけどな」

 

今度は地面ごと下から斬りつけてきた。それを後ろに大きく跳んで避ける。その時にあいつの立ち位置を見ると斬る前より下がっていた。

どうやら少しだけ後ろに飛んで体を斬られないようにしたらしい。

無駄なことを。

 

「…」

 

「あ?何の真似だ」

 

私は中距離からメロダックを突く要領で構える。

それを見てあいつは何もせず、ただ見ていた。

愚かなことだ。

 

「…はっ!」

 

「⁉」

 

私はメロダックを光らせて虚空に向かって突いた。

すると剣から光の渦が飛び出す。

あいつは慌ててよけようとするがもう遅かった。

光の渦はマイラを飲み込んだ。

渦が去った後には全身あちこち焼かれているマイラが砂浜に横たわっていた。

ご自慢の鎧もほとんど剥げている。槍ももう原型をとどめていない。

 

それはそうだ。雑種ごときが作ったガラクタ程度、本気でやらなくとも王様の宝物ならば一瞬で砕ける。

 

が、体が多少焼けただけで済んだのはあいつら魔術師(ウィザード)が使う随意領域(テリトリー)とやらのおかげだろう。

しかし当の本人は魔力だか何だかの使い過ぎで昏倒しかけていた。

 

必死に体を起こそうとしている様は滑稽の一言だった。

 

マイラにゆっくりと近づく。

マイラは私に気づくとなぜか怖気づいて私から離れようとしている。

 

いったい何をしているのやら。

殺し合いを望んだのはお前だ。

 

なに逃げようとしている。

これは処刑だ。

私の、英雄王様の決定に背くつもりか?

 

そんなことが許されるとでも思っているのか?

 

私の憎悪がこの程度で収まるとでも思っているのか?

 

「そら、疾く立て。よもやあれだけ大口をたたいておきながらその程度か?」

 

私がそばに立ってもまだ逃げようとするマイラを見て余計に腹が立ち、無造作に思いきり蹴る。

メキッという音とともに吹っ飛ばされ岩にぶつかる。

 

それに向かってまた近づく。

今度は右腕に向かってメロダックを突きさす。

ジュウという音とともに刺さっているあたりから焼け焦げたにおいがする。

痛みによる絶叫とともに。

 

メロダックを引き抜き顔を蹴る。

 

顔の骨も、あばらの骨も折れているだろうに、まだ無様にもマイラは逃げようとする。

 

 

フザケルナヨ。貴様には、もっと、もっと…

 

絶望を与えるんだ。私みたいに。

 

「がっ…」

 

 

 

「ああ、憎い憎い憎い憎い!なんで!なんで私は!お前なんか好きになってしまったんだ!お前となんか!出会わなければよかった!ふざけるな!なんで私にばっかり!ただ私は!」

 

 

 

首根っこをつかみ、力を無造作にかける。が抵抗しているのかなかなかへし折れない。

だからメロダックを振りかざす。今度はもう急所は外さない。的確に、心臓を、ツラヌイテヤル。

 

その顔を、絶望で塗り固めてやる。

かつての私のように。

 

 

 

「神夏ギル!」

 

 

メロダックを振り下ろした瞬間、誰かに体当たりされた。

急な攻撃で思わずつかんでいた手を離してしまう。

 

マイラからも離れてしまう。

攻撃してきた相手を見ると、それは女だった。

宵闇色の長髪でポニーテール。同じような色をした目。夜十神十香。

 

 

「今更何用だ、邪魔をする気か」

 

「…っ、貴様、()()()

 

「何を、言っている」

 

 

十香にそういわれ、疑問で返す。

 

「私、は、神夏、ギルだ。英雄王様の、依り代の…」

 

「違う」

 

またしても十香に否定される。

 

「ずっと、お前とは争ってきた。お前に負けっぱなしが嫌で何度も色々なことで挑んだ。些細なことばかりだったが…だからこそわかる。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

お前は、何者だ?」

 

 

十香にそういわれる。

 

何を、言って…

 

私、は、神夏ギル、だ。

それ以上でも、それ以下でも、ない。

 

 

「お前のことは、正直嫌いだ。だが…お前に、そんな顔をしてほしくないというのも本音だ。シドーに頼まれたのも正直あるが、それ以上に私はお前の姿をしたナニカによってお前に苦しいことを背負わせたくはない。きっとその男を殺してしまったなら、もう取り返しのつかないことになる。それだけはわかる。

だから…神夏ギルの形をしたナニカよ。それ以上、その男を傷つけるというのならば、私が全力で止める」

 

 

「ふ…ざけるな!何が!止めるだ!私と何にも関係がないくせして!私のためだとか言って!結局は全員自分のためだろ!結局そうだ!私にやさしくしてくれた人はみんな私のためだといった!私を想っていると言ってくれた!

 

でも全部!嘘だった!結局はみんな自分のためだ!マイラも、叔父さんも、叔母さんも、私に近づいてくるみんな!自分のために私を利用した!」

 

 

「確かに、私のためだ。私は、お前がそれ以上傷ついてほしくないから、お前にそれ以上の絶望を背負ってほしくないから、シドーが悲しむから、四糸乃が悲しむから、みんなが悲しむから。

私はお前のためではなくお前を想う皆のために、お前を止める。お前を、利用する」

 

 

「…ああ、そうかい。わかったよ。じゃあ、お前も殺す。私の邪魔をするからには、この男を殺す障害となるのなら、お前を殺す。夜十神十香」

 

 

「はは、ようやくちゃんと名前を呼んでくれた気がする。こんな呼ばれ方は嫌だがな。スゥーーー鏖殺公(サンダルフォン)!」

 

 

十香はそうして天使を呼び出したが、その天使はあまりにも脆弱だった。光の輝きはほとんどなく、形を保っているのが精一杯、といったような。

まるで力を一度使い果たしながらも再度無理やり呼び出したかのような。

 

 

だが神夏はそれに気付けていなかった。

神夏は、神夏——???——はメロダックを握り直し、十香と向き合った。

 

 

 

十香は鏖殺公(サンダルフォン)を構え、神夏をじっと見る。

 

かつての神夏ならば、たとえ十香といえど霊力が万全であろうがやらないだろう。ましてやほとんど尽きた状態で対峙するなど間違ってもやらないだろう。

 

だが、今の神夏は霊力が底をつきかけていても、それでも十分勝てる見込みがあると思っていた。

 

すぐさま近づき自分の間合いへ持ち込みたかったが、あの何でもアリに近い能力のこともあって持っている剣がどんなものかもわからず近接へすぐ持ち込むのは愚策だと思いその場にとどまる。

 

「来ないなら…こっちから、行くよ」

 

そう言いながら神夏は地面を蹴り十香へ急接近した。

神夏は下から斬りあげ十香は鏖殺公で受け止め同時に後ろへ飛ぶ。

神夏それを追いかけるようにさらに地面を蹴り無造作に剣を振るう。

十香は体を捻り避ける。

 

 

十香は剣を扱う精霊。

英雄クラスならまだしも、扱いは素人同然の、身体能力のみに頼っている神夏の剣は十香からすると赤子同然のものだった。

 

 

上からのものを弾き斬りつけ、横からのものを柄で受け止め蹴り飛ばし、下からのものを飛んで避け袈裟斬りにする。

 

「っ…があっ!」

 

「むっ」

 

神夏は切られた直後に力任せに剣を再度振るう。

予想外だったのか十香は一歩下がって鏖殺公で受け止めた。

そのまま鍔迫り合いに持ち込まれる。

 

「ふーっ、ふーっ」

 

「…私も、お前の気持ちはわかるつもりだ。大切な人、その人が大切にしている人に裏切られたらどれだけ辛いか、私も同じようなことがあったからな。だが…それでも言おう。

 

神夏ギル!お前には!絶望(そんなもの)は似合わない!お前は、怒りに身を任せるような、そんな奴ではない!だから目を覚ませ!」

 

「うる…さい!」

 

そうして神夏がまた力任せになぎ払おうとした時だった。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の砲門が複数展開され、そこから天の鎖が射出された。

 

それは十香を縛るのではなく

 

 

神夏を縛った。

 

 

「なっ…」

 

「何…で…」

 

何かを言おうとした神夏の口は、本人の意思とは全く別の動きをした。

 

「ふははは!よい!良いぞ夜十神十香よ!貴様のその度胸気に入った!一度完全敗北をした我とは違うとはいえ、覚悟を持って向かってくる様、良いぞ!…むっ、流石に厳しいか?さて夜十神十香よ、我が赦す。この神夏(阿呆)をぶちのめせ。此奴は手を出すなと忠告したものへ手を出した。そして我につまらぬものを見せた。その罰を夜十神十香よ、お前()自身の手で与えるが良い。生憎我は押さえつけるので精一杯なのでな。貴様が懸念しているエアや他の武具はもう此奴には使わせん。ここまでして…無様な姿を見せるなよ、小娘」

 

 

それは英雄王ギルガメッシュだった。鍔迫り合いをしているというのに、その神夏の体の主導権を強引に奪い言葉を発したのだ。喋ることと鎖を射出することにしか力を避けなかったのか、喋っている最中にも鍔迫り合いは拮抗していた。だが、神夏は鎖で縛られ精霊の力を思うように扱えなくなった。

小難しくいっていたが簡潔にいうと、今は手が離せないから代わりに神夏をぶちのめせ、であり、十香はそれを直感的に理解した。

 

「ということだ、神夏ギルよ。少々…,痛いかも知れんが許せ」

 

「やれる…ものなら、やって、みろ!」




ひとまず…アニメ2期分終わるところを目安にやっているので物語的にはだいぶ終盤にかかっております(あの人やあの人も出てくるのでまだまだ続きはしますが)

そろそろ神夏の精霊としての状態なんかもわかってきたのではないでしょうか。

ギルガメッシュが宿っていない状態の、神夏ギルとしての精霊の天使、○○○の名前。その辺も近々本編で明らかになっていく(予定です)


読んでくださりありがとうございます

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