デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:アテナ(紀野感無)

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いつも神夏視点にしてたからか三人称視点をしようと思ってもうまく書けない。結局誰かの主観になってしまう。
的な感じで書き直す羽目になりました。
三人称視点で描く練習しなきゃ…

それではどうぞ


42話

「…はいはい。りょーかいだよっ。くぅー。にしても数多の性格がちゃまぜになってきてるなぁ。面倒だから一度リセットかけようか。いやでもなぁ、ザフキエル捕まえないといけないし。何よりめんどくさい」

 

「では、どうされるので?」

 

「まあ当面はほっといていいよ。どうせ五河士道とも、他の精霊擬きやDEMの人間達とも、すぐに会うことになる。ああ…でも、お礼参りはしないとね」

 

「お礼参り?」

 

「ほら、私を目覚めさせてくれたあの組織さ。くだらない理念を掲げてる」

 

「…ああ。ただ、一つ問題があるのでは?」

 

「そうなんだよねぇ。アイツをどうするか。それが一番問題なんだよねぇ。私、仮にも恩をくれた人間は殺したくないし。アイツからのお願いなら聞くのもやぶさかではないけど…あの組織の人間達、今はほとんどガブリエルに操られてるわけだし。まあいっか!邪魔してきたなら殺せばいい!」

 

「はぁ…」

 

まった、分身体の癖に何呆れてんだお前。消すよ?

 

「………みーっけ。迷彩だがなんだか知らないけど、分かりづらいとこにいんなぁ。はいはい?五河士道がそこの?えー…はいはい。どーしようかねぇ。……は?バレた?何してんの?消すよ?…怠いから先にザフキエルの方行こうか。喰べられたら困るし」

 

「消すよ、が口癖で行くんです?」

 

「その辺はテキトー。ほら、人類に仇なす者的な感じでない?」

 

「さあ、その辺はわかりません」

 

「釣れないなぁ」

 

さて、ザフキエル相手だと…何がいいかな。特に争うつもりはないけど先手を取れるなら取った方がいいよね。

 

「でもなぁ、()()()はあんまり呼び出したくないんだよなぁ。下手をすれば五河士道も殺しかねないし。…まいっか!それじゃ、案内して」

「はい」

 

『この世全ての悪』は下手をすると私も飲み込まれかねないからね。使うなら五河士道が死んでしまった時か、それとも……

あ、あいつは人間じゃないから無理か。

 

 

 

 

 

「「⁉︎」」

 

「おやおや、そんなに警戒しないでくれよ」

 

「…わたくし達に見張らせておいたはずですが。どうやって入ってこられたんですの?神夏さん」

 

「ああ、あのザル包囲網か。そんなもの、()()()()宿()()()私にとって、潜り抜けるなんて造作もないものだよ」

 

「っ⁉︎」

「あらあら、酷いことをされますわね」

 

そう言いながら出してきた右手には狂三の首が握られていた。三つほどの狂三の首が、乱雑に髪を持たれている。

 

「それと今の私は神夏ギルじゃない。私に名前なんてものはないからね。まあ便宜上、私の力【堕天王(ルシフェル)】とでも呼んでくれたらいいさ。それとも私に名前をつけてくれるかい?五河士道」

 

「え?」

 

ここは廃ビルの一室で俺は味方が誰1人としていなくなってしまって逃げるしかなかった。

美九によって四糸乃、八舞姉妹が操られ外にいた人達も美九の声を聞いたのか操られていた。

十香はというと突如襲ってきたエレン・M・メイザースにより連れ去られてしまった。

 

そして神夏は……反転してしまい、どこかに消えてしまっていた。

しかし何故か今、俺の目の前に姿を現した。

 

「一体何が目的なんだ?」

 

「いや何、本当なら好きに過ごそうと思ったんだけどね、この辺の人間みんなめんどくさいし五河士道は何やらピンチだし?ザドギエルやラファエル、それにザフキエル、君達はどうでもいいけれどザフキエルが五河士道を美味しそうと言ってたのを思い出してね。それでそんなに美味しそうなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、そう思ったわけだ。だから…今すぐ離れてくれない?出来損ない」

 

「相変わらずの上から目線。嫌いじゃないですわよ」

 

狂三は銃を、神夏…じゃなくてルシフェル?は左腕を互いに向けた。

だが狂三の目はいつものように笑っておらず、警戒一色だった。それも極度の。

それに対してルシフェルは笑っていた。

 

「…か、神夏は」

 

「ん?」

 

「神夏は、どうしたんだ。ルシフェル」

 

「我が宿主?今は眠ってるよ。人類最古の王と共にね

力の殆どを私がもらってるから人類最古の王も今は人間以下だけどね。宿主は…まあ死んではないさ。精神は壊れているけどね」

 

「…っ!」

 

ルシフェルが顔の半分を手で覆い、離すと神夏の顔が半分現れた。紅い虚ろな目。

やっぱり、神夏は…。

 

「何を戦慄しているんだい?元凶のくせに」

 

「え?」

 

神夏の状態を聞いて、戸惑っていると顔を戻したルシフェルにそう言われた。

 

「士道さん、聞く耳を持たなくていいですわ」

「聞こえなかったかな?元凶だよ、元凶。過度な期待を持たせて、そして裏切った。五河士道が過度な期待を持たせたから、我が宿主に心を開かせ、そして依存させた。

他の精霊擬きにまで心を開かせたのは失敗だったね。まあ結果的に私が完全に目覚めれるキッカケになったから私としては万々歳だけどね」

 

「俺…の、せい?」

 

「そ、君のせいさ」

「士道さんのせいではありませんわよ。元より、この方はどんな手でも使ってきますから。それがたまたま士道さん達になっただけのこと。やろうと思えばいつでも出られたはずですわ。それをしなかったのは至極単純。その方がより力を万全の状態にできるからに他ならない。

それよりも…わ・た・く・し・の士道さんにそのようなことを仰らないで欲しいですわね。得体の知れないモノをその身に宿しているお方が。あなたの能力、意味がわかりませんもの。謎の盃に鎖鎌のような武器、果ては右腕の肥大化、そして突然の幼児化。よろしければ教えてくださいませんか?同じ精霊のよしみということで」

 

「えー、なんで君なんかのような出来損ないに話さなきゃいけない?同じ精霊のよしみ?君のようなのと同じだなんて虫唾が走る。

あっ、五河士道が知りたいなら教えてあげるけどね♪」

 

なんで、神夏…じゃなくて、ルシフェルは俺にこうも友好的なんだ?

やたらと優しい声音で話しかけてくるし、よく笑いかけてくる。

 

 

 

でも、本能がルシフェルを怖がっていた。恐怖を、抱いていた。

 

 

 

それでも、聞かなければ、神夏を救う手段がないにも等しいと、心のどこかで感じでいた。少しでも、このルシフェルの情報を集めておかないと。

 

「ああ、ぜひ知りたいね。お前の能力は、天使はなんなんだ?」

 

「お前、なんて呼ばずにルシと呼んでくれていいよ。それか今から名前をつけてくれてもいいんだよ?私はいつでも大歓迎だ。サンダルフォンにしたようにね。

さて、私の能力だったね。天使…とはちょっと違うが。それはね、()()()()()()()()()さ」

 

「え?」

「ふざけないでくださいまし。貴女と英雄王を一緒にしないで欲しいですわ。これでもあの方はリスペクトしているのですから」

 

「あはっ、まさか君達、神夏ギルの能力は『英雄王をその身に宿す』だと思っているのかい?それなら滑稽だ!あっはは!ふぅ。

もっとわかりやすく言い換えてあげようか。私の能力は…

 

『偶像の特徴を我が身に宿すこと』さ。神夏ギル風にいうならば、二次元のものをね。特徴がなければ逸話でもいい。何か一つの偶像で且つしっかりどんな能力か、身体能力を持ってるかなんかが決まり切ってるものなら余計に力は増す。

宿せるものには縛りがあるが、それでも1人の逸話しかその身に宿さなかった我が宿主よりもずっと汎用性は高い。ま、我が宿主は最古の王のスペック高すぎて容量(キャパ)を超えちゃってるのもあるけどね。

 

「縛り…?」

 

「そ。縛り。制約ともいう。

神夏ギルが宿せるものは『人類にとっての味方』なのに対し私は

 

『人類にとっての敵』

まあ平たくいうと大量殺人者としてその名を残していたりだとか、暗殺者、昔物語の敵側だね。酒吞童子、メデューサ、ジャック・ザ・リッパーなんかは聞いたことあるんじゃないかな?」

 

「酒吞童子…って、あの鬼の…?メデューサ…ジャック・ザ・リッパー…」

その三つとも、聞いたことはある程度だった。酒吞童子が鬼、メデューサは…蛇の化け物とかじゃなかったか?ジャック・ザ・リッパーは…ロンドンで起こった連続殺人の容疑者のこと…だよな?

 

「まあジャック・ザ・リッパーに関しては諸説があるからね。その辺は知識としては大量にあったが…一番手っ取り早いものを使っただけさ。勿論、他の題材になっている酒吞童子やメデューサも引っ張ってくることは可能だが、あいにくその辺の知識はないからね。あくまでも、我が宿主が知っている範囲になってしまう。

この力の欠点は、宿した際にその偶像の性格に引っ張られることさ。

五河士道も覚えがあるだろう?我が宿主の性格の変化に。

ジャック・ザ・リッパーの時なんか大変だったんだから。精神まで幼い子供になるし。

私の話はこれにておしまい。さて…とっとと銃を下げろナイトメア。鬱陶しい。お前も首と胴体をお別れさせてやろうか」

 

「あら、怖いですわね」

 

ルシフェルはとても怠そうな声で、そして殺気を含み狂三に言うが狂三もどこ吹く風で受け流している。

 

「わたくし達」

 

狂三がそう呟くとルシフェルの周りに10人ほどの狂三が、分身体が現れた。そしてその手には銃が握られており神夏を取り囲むようにして向けられている。

 

「ほーん?喧嘩売ってるってことだね?いいよぉ、喧嘩は好きだ。特に一方的なら最高だ。ほら、きなよ可愛がってあげるよ子猫ちゃん♪」

 

「その減らず口、今すぐ潰してあげますわ」

 

「…ふふっ」

 

神夏は狂三の言葉を聞いた後、不敵に笑って1人の狂三に()()()()()

 

「何…を……」

 

「え…」

 

「ふふっ…やっぱり、脆いなぁ」

 

抱きつかれた狂三は一瞬戸惑った後に、その場に倒れた。

そして次々と分身体に抱きついてはそれを盾にし、分身体が動かなくなると他の、と繰り返していた。

 

「はい、しゅーりょー。ちゃんちゃん」

「…」

 

数にして10人ほどの狂三の分身体が、傷一つつけれることなくルシフェルに敗れ去った。

 

「ま、毒に耐性ないとこんなものだよねぇ。脆い脆い。…あ、今私に近づかない方がいいよ五河士道。もう切り替えてはいるけど、さっきの毒をまだ内包してる可能性あるからね」

 

「毒…?」

 

「そ。とある宗教の伝承に伝わっている暗殺者集団の頭領。その歴代の中の1人が使っていたとされるものさ。ま、結局は所詮偶像だから真実は知らないけどね。さ!児戯も終わったし、さあ五河士道!私と共に行こうじゃないか!」

 

「え?ちょっ⁉︎ま、待ってくれ!どういう…」

 

さっきまで毒が云々と言っていたのが嘘みたいに今度は手を取ってきた。そのまま強引に外へ連れ出そうとするので慌てて急ブレーキをかけその場にとどまる。

 

「えー、何で拒否するのさ」

 

「いや、今はダメなんだ。外の人達はみんな美九の虜で、俺を捕まえようとしてるんだ」

 

「何だ、そんなこと。じゃあきた奴ら全員殺せばいいんだよ。ね?簡単でしょ?ほらほら、私あれ気になってるんだよ。君の作る料理。神夏ギル達も好評してたからね。栄養なんぞ私には不必要だが、味という嗜好は興味がある。ほら、早く行こうよ」

 

「ま、待ってくれ!それに十香を助けなきゃいけないんだ!その後!その後なら作ってあげるから!」

 

「え?私の同胞捕まってんの?どこ探してもいないと思ったら。てっきり逃げたものかと。うーん、そーかぁ、そーかぁ。ま、どんまい。死んでも私には関係ないし。ていうか私的には君以外の人類は1人残さず消してもいいまで思ってるからね。これはこれで手っ取り早いじゃないか。あー、でも唯一のアレ失うなら然るべきところで…?」

 

「いい加減にしてくださいまし。今から士道は『わたくし』と十香さん達を助けに行くのですから」

 

狂三がやたらとわたくしの部分を強調して言うもルシフェルは右から左に流してきた。

 

「……いや待て。そういえば上には…。……チッ、怠いなぁ。でも逆らって勝てる道理が…。それなら…今は……」

 

「ルシフェル?」

 

「…………。気が変わった。私も力を貸してあげよう。同胞が殺されるのは私も気分は悪いからね。で、どうするわけ?ザフキエル。元々お前の発案で行くんだろ?それに合わせてやる」

 

「どう言った風の吹き回しですの?」

 

「気まぐれさ。ほら、さっさと概要を言え」

 

「……」

 

あまりのルシフェルの言動の変化に狂三はとても鬱陶しいような顔で見ていた。が、諦めたように概要を話し始めた。

 

「DEM社に直接乗り込んでもいいですが、それをするにも弊害が一つありますわ。まずはそれを潰します」

 

「殺すのかい?なら簡単だ」

 

「話を遮らないでくださいまし。士道さん。美九さんの何か持ち物は持ってます?」

 

「美九の?そんなもの…」

 

「うまく説明できないですけれど、先ほど仰っていたあの方の価値観は先天的なものではないような気がしますの。妙な感じがしますの。ですので、持ち物がひとつあれば泣き所を抑えられるかもしれませんわ。ルシフェルさんは…おとなしくしておいてくださいまし。間違っても余計なことをしないで欲しいですわ」

 

「はいはい。じゃあ人間の組織に喧嘩を売った時に私はメイザースを押さえ込んであげよう。それまでは…自由に動かさせてもらう」

 

そう言ってルシフェルは窓から出ようとした。

 

何処かへ行こうとするルシフェルに、最後に一つ持っていた疑問をぶつけてみなければ、と思ってしまった。

 

「待ってくれ、ルシフェル」

 

「んー?どうしたんだい?」

 

「その…だ。ルシフェルは…なんで俺にそんなに優しいんだ?」

 

ものすごく率直な疑問をぶつけてみた。他の精霊や人間のことはずっと見下して、辛辣なのに対してさっきから俺には声音も優しいし大体言うことを聞いてくれている。

 

「理由?そんなの決まり切ってる。元より私は君と()()()()()()()()()()()()。そんな相手を無下にするなんてそんなことするわけない。だ・か・ら…こーんな紛い物よりも、私を選んだ方が、いいよぉ。私と君の理想郷(アヴァロン)を作ろうじゃないか。……これはちょっと臭いかな?まあいい。それじゃあ、また会おう五河士道。願わくは次会った時は2人きりになろう」




『堕天王/ルシフェル』
神夏ギルが反転した際の○○○の名前。

『この世全ての悪/アンリマユ』
ルシフェルを用いて使える物の中でも特に凶悪なものの一つ。元ネタはもちろんfate。

fate以外のものも使えるが本人がそれ以外のものを調べるのがめんどくさいため基本fateからしか引っ張ってこようとしない。


『???/???』
神夏ギルの持つ精霊の天使の名前。
本人はずっと英雄をその身に宿すと思っているが、能力としては
『偶像を現実に呼び寄せる。または自身に憑依させる(人型限定)』

『英雄王ギルガメッシュ』
神夏の天使によりまず召喚方法が具現化され、それを用いて呼び出されたもの。
古今東西の英霊の持つ武器の原点を持っているため、相手がどんな耐性を持っていようが弱点をつけることがほとんどなため英雄の中では最強格

サブタイトルあったほうがいい?

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