デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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いや、ほんとすいません。
修正していたら、間違って文章を消してしまいまして……
投稿し直しです……ほんとごめんなさい

ここからはほぼ同じですが、一つだけお伝えすることが増えたりしてます。

ですが、後書きにまとめて書きます。


とうとうルシフェルの本領発揮、かも?





45話 地球外の神の依代

「む、なんだこれは」

 

十香は美九の天使による不可視の拘束に対し不快そうに顔を歪める。

拘束を剥がそうとして腕に力を入れ、その度に美九の声が苦しそうに上擦る。イ……グ……

 

「美……っ!」

 

士道は美九に声をかけようとして踏みとどまる。

今声をかけたところで何が変わるわけでもない。自分で一秒も無駄にしないと誓ったばかりでもあり、士道は再度前を向いて歩を進める。

 

「ふん――」

 

近づいている士道に気づいた十香は足で床を蹴り飛ばす。砕けた床材がまるで散弾銃のように士道に降りかかる。

 

それを何とか塵殺公(サンダルフォン)で防ぐが体の各所にコンクリートの破片が突き刺さる。それを強引に取り除き強引に猛進する。

 

十香は焦りを見せずに苛立ち気にチッと舌打ちをした。トゥ……フ……

 

「小賢しい」

 

そう告げた十香は息を大きく吸い身体を軽く前傾させ、音の拘束を引きちぎるように腕に力を込める。メリメリと腕が開かれるにつれ、美九の声が段々と掠れていった。

 

「――――ッ!――――――!」

 

それに対抗するように美九も声を張り上げていく。

 

 

「――――」

 

そして、美九は絶望に目を見開いた。

己の何よりも、命より大切な(モノ)が、出なくなってしまったから。

 

何度も何度も声を出そうとするも出ない。我が……に……(しろがね)……

 

「――」

 

なんで、という声すらも、発することができない。出てくるのはヒューヒューという空気の掠れた音だけ。

 

「な……」

「ふん」

 

士道の狼狽と十香の鬱陶し気な声が虚空に響く。

それと同時に、美九の出していた巨大な銀筒がガシャン!と音を立てて床に落ちる。

 

士道はそれに覚えがあった。

おそらくは、霊力の使い過ぎだろう。

神夏や琴里が霊力を使いすぎると途端に霊装の輝きを失い、無防備になると言っていたのを思い出した。虚無……顕……

 

「ふん、小賢しい真似を」

 

十香は鼻を鳴らし暴虐公(ナヘマー)()()()()()()()()()()()()

 

「なっ……!」

 

士道は息を詰まらせるが未だ士道は十日にとびかかれる距離には達していない。

 

「私の身を縛ろうなど、身の程を知れ」

 

そう淡々と言い十香は暴虐公を振り下ろした。我が父……

 

「――――」

 

美九は悲鳴も上げず涙も流さず、むなしく笑いその場にへたり込んだ。もう霊力を扱う力どころか逃げだす力さえ残っていなかった。

 

そもそも万全な力であったとしても暴虐公の一撃には耐えられるわけがないだろう。

 

 

それに声を失った自分など、無価値以外の何でもないのだから、と。美九はなぜこの場に来てしまったのか、念願の精霊を三人も手中に収めたというのになぜ危険な場所まで赴いてしまったのか。

 

それらを自問自答し、その原因が五河士道というわかりきっている答えにたどり着き、力なく笑った。

 

 

彼の『命を捨てることになっても助ける』という戯言……いや、彼の覚悟を見届けたかったのだ、と。

こんなところに本当に現れた彼を見届けたかったのだ、と。

 

 

その結果士道は最後まであきらめなかった。あの黒い精霊という味方?すら失ったというのに、文字通り血を吐き死にかけたというのに歩みを止めることはなかった。

 

美九にとっては、それを見れただけでも十分だった。

 

 

いや、欲を言うならば

 

 

 

彼のような純粋な想いがほんの少しでも自分に向けられていたならば。

きっと自分は違った道を……

 

 

そこまで思い、美九は死を悟ったかのように静かに目を閉じた。

 

 

 

 

 

「美九ーーーーー!」

 

 

 

 

士道は、剣が自分ではなく美九に向けられているとわかった瞬間に十香ではなく美九のほうへ走り出した。

半場無意識なため、十香より近いだとか、十香まで届かないだとかそんな冷静に考えれてなどいなかった。

 

ただ単純に、美九を助けなければ、という思いしか頭にはなかった。

そして――十香に美九を殺させてはならない、と。

 

だが今の力だけでは、塵殺公だけではこれから放たれようとしている斬撃は到底防げない。

これだけでは美九を守り切れない。

 

 

 

何か、もう一つ。もう一つだけでいい。守ることのできる力があれば――!

 

 

 

そう士道が願うと同時、左手に冷たい感触が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

我……真髄……とならん。薔薇……を超え、……窮極……至らん

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――ぁ」

 

少し喉を休ませたためわずかだが声が回復した美九は、命よりも大事だった声が復活したにもかかわらず目の前の光景に目を奪われていた。

 

士道が、十香と美九の間に入り自分を斬撃から守っていた。

左手の先に冷気の壁とでもいうべき結界を張って。

 

それを美九は何度か見たことがあった。

 

それはすぐに思い当たった。まるで四糸乃の氷結傀儡(ザドギエル)の力にそっくりだったのだから。

 

「よう、美九。無事か?」

 

士道は美九を一瞥しながらそうつぶやく。

 

「ぁにを、やっぇ」

 

「――約束、したからな」

 

「ぇ……?」

 

士道が冷気の壁を霧散させながら言う。

そしてすぐ一つの事柄を思い出しハッとなる。

 

 

 

(都合のいいことを…じゃあなんですか!私がもし十香さんと同じようにピンチになったら命を懸けて助けてくれるっていうんですか!)

 

(当然だろうが!)

 

 

確かに士道はそう答えた。

美九は全身を小刻みに震わせ、見開かれた目からは大粒の涙がポロポロとこぼれる。

 

士道は価値()のなくなったはずの美九を、守ってくれた。

無価値になったはずの自分を、守ってくれた。

 

 

あんな些細な、小さな約束事を守ってくれた。

 

 

美九は喉の奥がしびれる感覚に見舞われ、小さく嗚咽しながら無意識のうちに士道に手を伸ばしていた。

それはきっと、失いたくないという心の表れなのかもしれない。

 

あれほど嫌いだった男の体に触れているというのに、士道にふれていても嘔吐感どころか嫌悪感すら感じない。むしろ安心している。

 

と、美九はそこで異常に気づいた。

 

今しがた斬撃を放った十香が左手で額を押さえ苦し気にうめいていた。

 

「うぅ……シド―……シド―……」

 

十香がうめくように言った言葉に士道と美九は眉をひそめた。

今確かに十香はシドーといった。まさか記憶が戻っている……?

 

「う……がぁ!」

 

十香は叫ぶと同時に自分の左腕を切りつけた。

 

「あぐ……」

 

神夏により破られていた霊装の上からさらに深い傷を負うことで落ち着きを取り戻したようだった。

いや、落ち着いた、には語弊がある。

十香は血走った眼を見開き、殺意の眼でもって士道たちをにらめつける。

 

「おのれ……面妖な手を。私を惑わすか!人間!」

 

十香は、床を蹴り空へ舞い上がり暴虐公を頭上に振り上げる。

 

「よかろう――ならば一撃にて塵も残さず粉砕してくれる!」

 

すると虚空に不思議な波紋が現れ、十香の身の丈の倍はあろうかという玉座が姿を現した。

そして、その玉座がバラバラに砕け十香の掲げた剣にまとわりついていく。

玉座と剣が同化していくたびに黒い粒子をまき散らしながらさらに巨大な剣は更に禍々しい姿へと変貌していった

 

最後の破片が剣に同化し……

その切っ先が月を裂くように天を突く。

 

「我が【終焉の剣(ペイヴァ―シュヘレヴ)】で――――!」

 

十香の吠えるような声と共に暴虐公は真の姿を現した。

 

 

 

 

「イブトゥンク……ヘフイエ……ングルクドゥルゥ」

 

 

 

その時

 

小さな、小さな声が、しかし透き通るような声が響いた。

 

それと同時、紫色の巨大な蛸足のようなものが何本も何本も、十香の周りの空間から出てきたのだ。

それらが十香に向かっていき、十香は器用に剣を掲げたまま避ける。

そして士道たちの前には一人の少女が。

 

「させると思って?暴虐公。あら?どうしたの?そんなに驚いた顔をして」

 

「貴様……生きていたか」

 

「あれくらいで死ぬと思っていたのかしら?やっぱり魔女は頭が悪いのね」

 

「ギリ……ならば人間もろとも貴様も消してやろう」

 

それは、倒れていたはずのルシフェルだった。

が、倒れた時とは明らかに姿が変わっている。

 

服装はほとんど変わっていないが、肌と髪の毛は真っ白になっており赤い瞳は紫色になっていた。

 

そして、決定的に違うのは背中には鍵の錫杖を束ねておらず、代わりに十香を襲ったものと同じものを足元から出していた。

 

 

「ふふ、士道。()()()()()()()()()。見ててね。今から悪い魔女()を消してあげるから」

 

ルシフェルは十香と美九、そして壁をみて言った。

 

 

 

 

「貴様に何ができる。半端者の貴様が」

 

「あら、ならさっさとソレを放てばいいじゃない。怖いのかしら?」

 

「なれば、その減らず口ごと今すぐ消し飛ばしてやる」

 

「出来るかしら?やらないということは、怖いということ。確証がないということ。

 

()()自信満々な貴女ならば、私ごときソレを放てば消せるはずよ」

 

魔女は私の言葉により、剣を握る力を強めた。だがすぐに放たなかったのは私ではなく私を通じて()()()()()()の存在を感じ取ったからだろう。

 

しかしそれもすぐ終わり、手に力を込めたのがわかった。

私も錫杖を高く掲げる。

 

()ね……!その人間諸共!」

 

「ふふ……こちらのセリフよ」

 

魔女は叫び()()()()()剣をこちらに向かって振り下ろしてきた。その動作のみで辺りの空間が軋むような音が鳴る。

 

私は錫杖を地面に突き刺し、背後から更に多くの触手を生み出す。

それらの先端全てを魔女に向ける。

 

 

が、それよりも先に別のものを感じた。

 

 

士道により低下していた気温が更に下がったように感じた。

 

「…思ったよりも来るのが早かったわね。鬱陶しいわ」

 

「【氷結傀儡(ザドギエル)】……っ!」

『よっしゃおっけーいっくよーっ!』

 

この体の持ち主にとって、とてもとても聞き覚えのある声が。

ルシフェル(わたし)にとっては()()の声が。

 

ザドギエルは吹雪のような冷気の奔流で持って私と魔女に襲いかかってくる。

 

「く……」

「……」

 

魔女は霊力の壁を張り相殺していた。私はとっさに触手を壁にして防ぐ。

 

見ると予想通り、ザドギエルが巨大なウサギの人形のような天使を顕現させ、浮遊していた。

 

「十香さん……!一体どうしたんですか……⁉︎士道さんを攻撃するなんて……!それに神夏さんも……。その姿は、一体……」

 

ザドギエルの言葉に違和感がある。

それが一瞬何かわからず考えてしまったが、すぐに分かった。

おそらくガブリエルの天使による洗脳が解けた、という事ね。

 

「おのれ、小癪な……っ!」

「邪魔よザドギエル。殺す優先度は貴女が最優先じゃないの。邪魔をするなら先に殺してもいいのよ?」

 

ザドギエルは一瞬怯えるも、すぐに顔を引き締めこちらを、魔女を見る。

 

 

そんな時だ。士道が私と魔女の間に割り込んで入ってきた。

 

「貴方も、何をしているの。邪魔をするなら、命の保証はないわ。さあ、いますぐ下がりなさい。ここは貴方のような人間が踏み入れていい場所じゃない」

 

諭すも、士道は聞き入れてくれる様子はない。

 

「美九にも心配された。でもな、俺は約束を守るだけさ。お姫様を、助けるために」

「それでもダメ」

 

けど士道は未だに聞き入れてくれず、魔女の方に歩みを進める。

 

ザドギエルの猛攻を、たとえ全力のザドギエルではないとしても剣を掲げたまま対処するのはさすがだと言うべきか。

 

「----十香」

「……っ!」

 

士道の呼び声に魔女は怯えるように肩を揺らしていた。

 

だけど私は見逃さなかった。手に力が余計にこもるのを。

すぐさま触手で士道を掴み後ろに投げる。

それと同時に詠唱を始める。

 

 

「イグナ、トゥフルトゥウクンガ。我が手に(しろがね)の鍵あり。虚無より(あらわ)れ、その指先で触れたもう。我が父なる神よ。我、その真髄を宿す写し身とならん。薔薇の眠りを越え、いざ窮極の門へと至らん」

 

 

「死ね。……暴虐公(ナヘマー)!【終焉の剣(ペイヴァ―シュヘレヴ)】!!

 

「『光殻湛えし虚樹(クリフォー・ライゾォム)』!」

 

 

瞬間、私の視界は闇に染まった。きっと皆そうなのでしょう。

 

空が割れるかのような音が辺りに響き渡る。

魔女の振るった剣の先に、黒い光の奔流による一本の線が引かれた。

私は今までの比ではない、ここを全て埋め尽くすかの量の触手を一箇所から呼び出し魔女へ向かって解き放つ。

 

 

光と触手がぶつかり合い、バチバチと辺りに霊力の塊が、古の神の力が振りまかれ、触れたもの全てを消し去っていく。

 

 

 

数秒は均衡を保っていた。

 

が、徐々に十香が押していき最後には一気に黒い光の奔流が、ルシフェルの出していた触手ごと、辺り一帯を飲み込んだ。ルシフェルの後ろにいた士道と共に。

 

 




ハーメルン用のツイッターを作りまして、裏設定やらパッと思いついた会話なんか、他は更新の知らせなんかを投げる用のを作りました
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