デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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『これはまた随分と散らかして』

「ん?ああ誰かと思えば年増か」

『酷い言い草だね。仮にも生みの親だよ?』

「ああ、手違いとは言え私が生まれたキッカケは元を辿れば母君だ。それだけは感謝しているよ。

アナタサマのおかげでのお陰で私は士道と出逢うことができた。それだけは唯一感謝してるよ」

士道の名前が出た瞬間、コイツの表情がピクと僅かに動いたのがわかった。

ふふ、やはり完全無欠の母君とは言え所詮は私と同じか。

いや違うな。

コイツから生まれたからこそ私はコイツに似てしまったのだろう。
だから同じモノを欲しがるし同じ考え方、似た考え方、同じ行動をする。

『それで……君は何をしたいというのかな?君はもう永くないというのに。いつ霧散してもおかしくない存在だ』

「ハッ、私が何をしたいかだって?んな事は母君が一番よくわかっているだろう?

どうせだ。出来損ないの娘から親愛なる完全無欠の母君へ一つ、宣戦布告を送ろうと思う。


五河士道(アイツ)は私のものだ。生き遅れの母君は隠居してろ」




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作者より一言

更新遅くて大変申し訳ありませんでした(土下座


53話 過去の懺悔

 

「……」

 

心の中に溜め込んでいたであろう想いが、かつて好きだった人への贖罪が、ひとしきり出たのか気づくと神夏は眠っていた。

 

「……っし、とりあえず神夏を寝かせてくるよ。片付けと洗い物、任せてもいいか?」

「ええ」

 

琴里達に後を任せて神夏を寝室に連れて行く。

 

 

 

ガチャ

 

 

 

「おやおや、お熱いねぇ」

 

階段を上がろうとした瞬間に玄関の扉が開いた。

そこから現れたのはルシフェル。

 

……?気のせいか?口元が少し赤い……ような。

 

「乙女の唇をそんなに見つめてどうかしたかい?もしかして接吻をここでしたいのかな?」

 

「なっ、ち、違うよ。ちょっと……赤い気がして」

 

「ああ。口紅、と言うやつさ。ザフキエルの分身体が持っていたものを少し借りてね。で……神夏ギルは随分とまぁ。こんなナリで私を殺そうと言うのだから滑稽だ。ふふ、今すぐ君の霊力ごと食べてしまっても良いと言うのに」

 

ルシフェルの笑みを見て思わず神夏の前に体を出し、いつでも庇えるようにする。

 

「あっはは!冗談だよ冗談。少なくとも今は手を出す気はない。そもそも、万全でないと言うのに人類最古の王と()り合う気はない。もちろん、マガイモノともね」

 

「でも冗談に聞こえなかったぞ」

 

「なら私は意外にも私は演技派なのかもしれないね。そら、早く寝かせてやってくれ。僅かとはいえ心身を共にした宿主が死にかけているのは些か気分が悪い」

 

「ああ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

(なんで、なんで私ばかりこんな……)

 

(なんで?当たり前じゃないか。

 

母も、父も、親しい人も、何もかもを串刺しにしたじゃないか?

なぁ、神夏?)

 

目の前にいたのはマイラ・カルロス。

本当なら殺したいほど憎い相手なはずなのに、思わず後退りするほど恐怖を感じてしまった。

 

(っ、ちが、私はこんなの……)

 

(望んでいなかったって?お前の両親はあまりに熱狂的になるお前が、周りを見ずに動いてしまうお前が、このままではまずいと思い、荒療治とはいえ行動に移した)

 

(でも……)

 

(それを絶望だ裏切られただと勝手に塞ぎ込んで、醜い子供ですらしない。おまえの両親は、ずっと見守っていたって言うのになぁ?)

 

(……るさい)

 

(そしたら愛しい愛しい我が子が()()()()で帰ってきたんだ。そりゃ恐怖するよなぁ?)

 

(うるさい!うるさいうるさい!)

 

(俺だってそうさ。神夏、お前が、お前の心が弱かったから死んだ。お前が弱かったから、大切なもの全てが消えたんじゃないのか?家族、親友、帰る家、何もかもを)

 

(うぅ……)

 

(そうしてお前は何をした?逃げ回っていただけだろう?全てから目を背けて。自分自身を閉ざして。だが根本は他人に依存しなきゃやってられない、ただの弱虫だ。自立できない子供以下だ)

(そうよ。ねぇ、神夏さん)

 

(……っ⁉︎)

 

(ねえ、なんで殺したの?)

(ただ泣いている神夏を助けたいと思っただけなのに)

(神夏さんとは友達だと思ってたのに)

 

 

(なあ、神夏)

 

 

(っ⁉︎士道……)

 

 

(はは、神夏のおかげで、お腹、めちゃくちゃ風通しが良くなっちまった。神夏……なんでこんなことを……)

 

 

 

 

 

 

 

「違うっ!」

 

とある一室で神夏は跳ね起きた。目は見開き、汗が大量に噴き出ている。

あまりにも強い頭痛から思わず頭を抑えていた。辺りは暗く、もう夜なのがわかった。

 

(……はは、夢、か。悪夢にも程がある)

 

服が汗でびしょ濡れになっていて気持ち悪い。けどそれ以上に頭が痛く、それに伴い右腕、胸も痛い。

 

「ここ……士道の部屋、か」

 

記憶が朧げで何をしていたのかよくわからない。

 

確か、フラクシナスでルシフェルと話したて、それから……。

 

「痛っ……」

 

少し意識が落ち着いたからか、余計痛みが鮮明に感じ取れる。

 

その痛みをなんとか抑え込み、表情に出さないように努める。

 

「着替え……なきゃ」

 

時間を見ると23時を回っていた。そりゃ暗いはずだ。

士道がここにいないと言うことは私に気を遣ってリビングにいるのだろう。

 

床を見るとわざわざ持ってきておいたのが着替えが置いてあった。

男の部屋で着替えるのは少し、はしたない気もするがそうも言ってられないからさっさと着替えるに限る。

 

……少し、お腹すいたな。

 

「やっぱり」

 

リビングの電気をつけると士道がソファに横になって寝ていた。

起こすのも悪いし、静かに冷蔵庫物色させてもらおう。

 

すると誰かを起こしたのかドアがガチャリと音を立てて開く。

 

「やぁ寝坊助」

 

「何の用」

 

そこから出てきたのは堕天王(ルシフェル)だった。

立て続けに頭が痛くなりそうなことが起こらないでくれないかな。

 

 

 

……?いや、コイツ、何か変だ。フラクシナスで見た時と、何か変わってる?……確証が持てない。

 

 

 

「何の用と言われてもね、君が起きた気配を感じたから様子を見にきただけだぜ?そんなに警戒しないでくれよ」

 

「あっそう。じゃあついでに殺されてくれない?」

 

「はは!断る。まだ士道と接吻どころかデートもしてないからね。どうせならまぐわってみたいもんだが。流石に許されなさそうだからね」

 

「だろうね。琴里たちにフルボッコにされること間違いなしだ」

 

「それにだ。今の君はたとえ精霊の力を扱えたとして私を殺すのは到底不可能だ」

 

「どうだか。試してみる?」

 

「天の鎖を埋め込まれてる癖に何を強がっているのやら。だが、虚栄もそこまでくると可愛いもんだ」

 

「……」

 

何でそんなことわかるんだこいつ。

 

「あっはは!面白い顔するね。分かるに決まってるだろう?今の君を見れば一目瞭然だ。まぁ……それ以外にも原因はありそうだね」

 

「だろうね」

 

「心当たりがあるのかい?」

 

「どうだか。あったとして教える義理は無い。……ルシフェル」

 

「なんだい?」

 

「お前、何を喰べた?」

 

「はは。君に答える義理はないだろう?」

 

オウム返しするかのように即答され、多少イライラしながらも何とか抑える。

 

そうだ、ここで乗ってしまうと全てが無駄になる。

 

「ふふ。くふふふ。クスクス」

 

互いに睨み合う時間が少し続き、耐えきれなくなったのかルシフェルが小さく笑い始めた。

 

「ふふ。そう邪険にしないでくれ。本当に私は食事をしただけさ。思ったよりも、人間の食事は栄養価が高くてね。士道にお願いして少しばかり多く食べただけだ」

 

そう言ってくるが信用ができない。食事による効果だけでは到底言い表せないナニカがコイツの身に起こっている。

 

「信じるも信じないも任せるさ。……士道を起こすのも悪いから、この辺でお暇するよ。もちろん約束は守る。私からは人間にもマガイモノにも半端者にも手を出さない。だが……士道は私のものだ。誰にも渡さない」

 

 

それだけを言い残しルシフェルはどこかえ消えた。

 

 

 

 

 

「ん……」

 

やけにいい匂いがして目が覚めた。

 

起きあがろうと手を置いた場所に何もなく思わず落ちかけてしまう。

慌ててバランスを取って難を逃れたが。

 

そういえば、神夏を寝かせてるから俺はソファで寝てるんだった。

 

「やぁ、おはよう。早起きだね。まだ朝の3時だけれど」

 

机に目をやると神夏がいた。机には何かのスープが置かれていて、いい匂いの発生源はこれだった。

 

「ん?飲む?思ったよりも少し多めに作ってしまったからまだ余ってるよ」

 

「ああ、いただくよ」

 

「わかった。少しだけ待ってて。勝手に台所使ってんのかいってツッコミは無しで」

 

「そんなこと言わないよ」

 

神夏が持ってきてくれたのは溶き卵が入っていた汁で、確か……かきたま汁と言うものだったはず。匂いから梅も入っていることがわかる。

 

「どうぞ。口に合えばいいけどね」

 

「ありがとう。ん……美味しいよ」

 

「どうも。私が唯一得意と言い張れる料理だしね。これでまずいって言われたらそれこそ泣いてしまうかも」

 

「そんなこと口が裂けても言わないよ。なんなら作り方教えて欲しいくらいさ。それより……神夏、体は大丈夫なのか?」

 

聞いた時、一瞬だけ神夏の動きが止まったが何事もないかのようにまた飲み始めた。

 

「ふぅ……。大丈夫かそうでないかで言われたら大丈夫。万全かそうでないかで言われたらノー。そんなところ。悪いね。気を遣わせて」

 

「そんなことないさ。ただ……」

 

「ただ?」

 

「……もっと神夏のこと、知りたいって思っちゃったんだ」

 

「それまた酔狂な。私の過去のことなんて散々伝えたでしょうに。私が過去にどんな罪を犯したか、DEMに何をされたのか」

 

「そうじゃなくて……いや、それもあるんだけど。俺は、神夏がイギリスでどう過ごしてきたのか、日本に来てからどうしてたのか、なんで王様が好きなのか、とか」

 

「ふーん。ま、いいよ。最近助けてくれたお礼、とでもしとこう。

 

そう……だね。イギリスにいた頃の思い出というか一番印象深いのはやっぱりご飯が不味いことかな」

 

「ブッ」

 

予想の斜め上の回答に思わず咳き込んでしまう。

 

「私の両親は、母がイギリス人で父が日本人なんだけどね。父がよく言っていたよ。『外で食べるくらいなら自分で作る方が百倍マシ!』つってね。だから外食は殆どしたことが無いね。唯一あるとすれば、両親の結婚記念日、私の誕生日の時くらいにお高い料理を食べに行ったくらいかな。多少なりとも私が料理できるのは紛れもなく両親のおかげさ。私が教えろ教えろとせがんだからね。初めて包丁を使って指を切って両親共々大騒ぎしたものさ」

 

「はは、確かになぁ。俺も初めて包丁を使おうとした時は恐る恐るやってたなぁ」

 

「で、コレが私が初めて教えてもらった料理なんだ。父の見てない隙にもっと美味しくしてやろうと思って砂糖を内緒で入れてしまってね、クソ不味くなったんだよね」

 

「当たり前だろ⁉︎」

 

「それが幼少期の人間というのは自分の好きなものと信じてやまないものを入れたがるもんさ。私も一つ聞きたいんだけど、何でこんなに料理できるの?」

 

「俺?俺は……両親が家を空けてることが多くて、必然的に俺が料理をすることが多くなったのと、何よりも……食べて喜んでくれる顔をもっと見たくて料理の練習をするようになったな」

 

「わかる。自分の作った料理を食べてくれる人がいるだけでやる気出るんだよね」

 

「そうそう。それで琴里のやつ、『明日もこれ作って!』って駄々捏ねて」

 

「で、飽きないように色々と味変を試みる」

 

「そして最後には一番初めに作った味に戻ってくる、と」

 

「そうそう」

 

何気ない会話をしていて神夏が笑ったのを見るのは初めてかもしれない。

 

「私のコレは父に唯一勝てたものだよ。何度も料理勝負と言い張って挑んで負けて。その中でも唯一これだけは母に『父よりも美味しい!』って言わせれたんだ。ま、今思うと私に肩入れした評価な気はするけど。

 

……本当に、両親には色々と影響されたよ」

 

見上げながら懐かしむように、しかし悲しそうな声で告げられる。

 

「今思えば私が神話に興味を持ったのも両親の影響だった。父が元々オタク気質なのと母との出逢いは秋葉のグッズショップらしい。実に馬鹿馬鹿しい出会いだろう?でもその出逢いのお陰で私は生まれた。

特に両親共々、コスプレが趣味でね。幼い頃はよく人気作品の、特に私が見ていた作品のコスプレをして喜ばせてくれた。中でも私が惹かれたのが……」

 

「ギルガメッシュか?」

 

「正解。子供の頃の私は単純でね。強いヒト……王様にとてつもなく羨望して、憧れて。その人のようになりたいって強く思った。

それでとても喜んでくれた両親は、事あるごとにコスプレをして楽しませてくれてた。

 

……その結果、私は酷く歪んだのだろうけど。

 

ねぇ、士道。ヒトって何かに成りたいってなると、様々なことをするよね。そんな中、何も知らない子供は、何からしたと思う?」

 

悲しそうな、しかし何かを悟っているような目で、口は僅かに笑いながらこちらに聞いてきた。

少し考えて答えを出す。

 

「……俺なら、形から入るかもな」

 

「はは。一緒だよ。

 

私はまずは口調、態度なんかから入った。

俗に言う厨二病というやつだ。

 

それが悪いとは口が裂けても言わないが、あの頃の私は明らかに他人に迷惑をかけていた。

 

そりゃそうだ。いきなり他人に対して雑種とか控えろとか失せろとか言うやつが他人から煙たがられないわけがない」

 

「それは……確かにそうだけど」

 

「だから、今は思う。両親のやったことは何も間違っていない。むしろ躾という意味では正しい。我が子を躾ける方法としては荒っぽいとは言えど、確実性はある。家を一時的にとは言え追い出される前に散々叱られていたからね。どこぞの誰かは聞く耳を持っていなかったが」

 

ハハ、と力無く神夏は笑う。

 

「自分が人為らざるモノに頼り、両親を見返して認めさせようとした結果があの惨劇だと言うのだから、救いようがない。

 

…‥いや違うな。私は救われるべき存在じゃない、が正しいのだろうね。

 

自分のエゴが通らなかったから手を出してはならないものに手を出し、挙句の果て自分の両親や友達を串刺しにした。

 

そんな人間が他人に救われる?何を馬鹿なことを。虚言にも劣る戯言だ。

 

 

私なんぞ地獄の深淵に叩き落としてもまだ足りない。

 

 

ああ、そうさ。私は永遠に私自身を許さずに、己を責め続けるべきなんだよ」

 

神夏の言葉が途切れるのを待ってから、俺はゆっくりと口を開いた。

神夏が思っていることを全て俺に伝えてくれたのだから、今度は俺が伝える番だ。

 

 

「それは違うと思う」

 

まず第一声にそう伝えるとひどく驚いた顔をしていた。だけどそれに構わず言葉を紡ぐ。

 

「確かに神夏は到底許されない事をしたんだろう。例えそれが自分の意思じゃなかったとしても。

 

ずっと自分を責めてる神夏の気持ちもすっげぇ分かる。

 

だけど俺は、神夏はもう十分罰を受けたんしゃないか、と思ってる。

俺自身による客観的な憶測、希望でしかないけれど。

 

過去の過ちを、過去の自分をもう許してやれ、なんて事はお前には言わない。言えるわけがない。

 

そりゃそうだ。俺はどう足掻いたところで所詮は他人。

 

神夏は自分の手で家族や親しい人たちを殺してしまったんだ。他人が許したとしても許せる訳がない。俺だってきっと、永遠に許さず自分自身を責め続けると思う。

 

 

過去を乗り越えて生きよう、なんて伝えるだけは簡単だと思う。だから、そんな言葉は言わない。

 

 

だって、俺は神夏を上辺でしか知らない人達とは違うからな。

 

 

今神夏は気持ちを俺に伝えてくれた。心の内を(さら)け出してくれた。

 

 

俺はもう神夏の想いを知ってしまった。神夏の過去の過ちを知ってしまった。

今の神夏を知ってしまった。今の神夏の心の内を知ってしまった。

 

それに、実は狂三のおかげで断片的にとは言え過去の神夏を俺は()()()()()()()()事があるんだ。

 

だから神夏がどれだけ辛いかは、そんじょそこらのただ神夏を知ってる()()の人よりも深く深く知ってるつもりだ。

 

 

 

だからこれだけは断言させてもらう。

 

 

 

神夏が救われるべきだ。どんな形かはわからないけれど、それでも神夏は、神夏ギルは救われるべきだ。

 

俺は、神夏を救ってあげたい。

 

神夏のような心優しい人が救われないなんて、そんなの俺は認めない。

 

 

 

これから言うことはもしかしたら神夏からしたら途轍もなく不快なことかもしれない。それでも言わせてくれ。

 

過去も、今もその悲しみを、業を独りで背負っていると言うのなら。

俺に半分、いやその更に半分でもいい。一緒に背負わせてくれ。

 

俺は、辛そうにしているお前を、何もできずに見てるなんて真似、もうしたくない。

 

俺にも一緒に背負わせてくれ」

 

「……それは、ラタトスクにお願いされているから?」

 

「確かにラタトスクとしても神夏を救うために動くとは思う。

 

だけど神夏を救うために動くのは、俺自身の意志だ。俺がそうしたいから、するんだ」

 

「……私が、嫌だと言ったら?」

 

「んなもん神夏が認めるまで俺は諦めねえ」

 

「認めるまで諦めないって、随分横暴だね」

 

「はは、前にも言ったろ?

 

俺は諦めが悪いんでね。例え俺自身のエゴだろうが突き通させてもらうさ」

 

 

部屋に、しばらくの沈黙が流れる。

神夏も、士道も。互いに見つめあっていた。

 

片や真剣な眼差しで。片や絶望の眼差しで。

 

 

そんな静寂を、小さな笑い声が壊した。

 

 

「……ふふ。ありがとう、五河士道。そうだね、期待、してるよ。ルシフェルやマイラとの決着が、因縁が全部終わったら、その時は君に任せるのも、良いかもしれないね」

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