とりあえず書きたいところまでは書けました。
それではどうぞ
「やぁ」
「……」
「何その目」
「ちょっと驚いただけだ。おはよう、かみ……ルナ」
「うんおはよう」
学校に行こうと思い玄関を開けるとそこに居たのはいつもの十香ではなく神夏。いつもの癖で神夏と呼びそうになるのを堪え、ルナと呼ぶと何故か一歩引いてる。なんでだよ。
「何呆けてるの。私に見惚れでもした?」
「見惚れてねえよ」
「うっわひどっ。傷つくなぁ」
「じゃあ聞くけど見惚れてるって言ったら?」
「変態って言ったかな」
「どっちも変わらねえじゃねえか!」
案の定どっちを答えても不正解だったらしい。
けど俺の反応が面白かったのかルナは笑って咳き込んでいた。
「けほっけほっ。あー笑った笑った」
「そりゃどうも。で、本当にどうしたんだ?」
「どうしたも何も、一応学校では付き合ってるテイだったでしょ。だから一緒に登下校するのは必然だと思うよ。あと……万が一があったときに士道なら守ってくれると思うし?」
「当たり前だろ」
「じゃあとりあえずさ」
「?」
「アレから守って」
「は?」
神夏が俺の後ろに隠れながら指で示した方向をみると怒った様子の十香と折紙がいた。互いに言い争っていたはずの2人は俺の後ろにいる神夏を見つけた途端こっちに向かって走ってきた。
「神夏ギル!見つけたぞ!」
「神夏ギル。説明を求む」
「神夏、何をしたんだ?」
「い、いやぁ。あの、2人が家の前でいつものいちゃいちゃ…じゃなくて言い争ってたから。『そんなに喧嘩してると私が士道をもらっちゃうよ』って言って、明らかに驚いてるのわかって面白くて、さらに煽ったら……2人ともブチ切れた」
「当たり前だろ⁉︎」
「あはは……あの、本当にお願い。あの2人宥めて」
けどそんな神夏の願い虚しく、2人は意図も容易く俺の後ろにいた神夏を捕まえ、色々と聞き出そうとしていた。怒れる乙女2人の威圧で神夏は涙目になっていた。
「わかった、わかったから!私が悪かったです!元より士道にそんなに興味ないし君ら出し抜いてイチャつこうとか考えてないから!」
「違う。私が聞きたいのはアナタが士道と露天風呂に入った件」
「士道とご飯を食べさせあったとはどう言うことだ!」
「本当に何言ったんだよ神夏⁉︎」
「いやぁ……あはは。あの、その、本当にすいませんでした」
それから2人を宥めるのに十分近くを労する羽目になったのは言うまでもない。
「はは。本当にあのふたりは士道の事になると周り見えなくなるねぇ」
「焚きつけた本人がそれを言うか」
「確かに?」
いやでも目の前で痴話喧嘩されてりゃ揶揄いたくもなるじゃないですか。
ちなみにあのお二人はターゲットがお互いになったのか後ろで喧嘩して…‥いや違うねあれ。十香が言い負かされてるだけだ。
「ああそうだ。士道、再来週の週末は暇?」
「というと、4連休の?」
「そうそう。令音さんから連絡が来てたんだけど4連休を使ってイギリスへ行く準備をしてくれるらしくてね。1人で行ってもいいけどそれだとつまらないから一緒にどうかな」
「へぇ。いいじゃないか。是非とも一緒に行かせてくれ」
「うん。ありがと。どうせならクラスの仲良い人も何人か見繕いなよ。2人というのも寂しいし、いっそのこと観光しに行くのも一つの手だね」
「いいなそれ。そーだなぁ。殿町とか誘ってみるか」
「その辺はお任せするよ。……くれぐれも精霊の皆様方は誘わないでね?」
「?そりゃなんでまた」
「……仮にだけど、イギリスでDEMが襲ってきたらどうなると思う?人間VS精霊の大戦争になるよ?私1人だけならまだどうとでもなるしちっこい司令官サマ達にとっても見張る対象が少ない方がやりやすいでしょ」
「確かに。…いやまて、めんどくさいだけだろ」
「……」
「目を逸らすな」
何でこんなに早くバレた。
士道が十香を誘うとそれに連なって鳶一折紙とかその諸々くる未来しか見えないんだからこれくらいは許してほしい。
「ま、とにかく。誘うなら十香は絶対ダメ。それだけは厳守して。誘うにしてもせめて双子の風の精霊くらいにして」
「耶倶矢と夕弦?なんでまた」
「曲がりなりにも精霊仲間だから仲良くしてて損はないかなと。それに戦力は少しでも多く欲しいし」
「戦力?」
「ルシフェルを殺すためのね」
士道の顔を見なくても引き攣っているのが何もなくわかる。
だけど冗談でも何でもなく本気だ。
アイツを殺すなんてそれこそ死ぬほど戦力がいるだろうし。
「……なんてね、冗談だよ」
「にしてはそう聞こえなかったな」
「なら私には女優の才能があるのかもね」
「おいっ士道!なぜ神夏ギルとばかり話しているのだ!」
「士道。神夏ギルだけでは不公平。私とも話すべき」
2人の沸点は士道が関わると本当に低くなるね。
扱いやすくて助かるラスカル。
案の定2人に詰め寄られてオドオドしてるし。
……なんか腹立つな。リア充爆発すればいいのにね。
「先行ってるよ士道。んじゃまた学校でね〜」
「あっちょっ⁉︎神夏⁉︎」
うん、ルナ呼びしてくれとは言ったけどやっぱり神夏呼びされる方がしっくりくるね。
「付き合ってるっていうのが嘘の関係なのはわかってるけど、うん、それでもあのいちゃつきは腹立つんだよねぇ。
そう思わない?狂三」
士道が遥か後方になったのを確認して誰もいないはずの場所に向かって話しかける。
そこから影が広がっていき1人の可憐な精霊が赤黒いドレス---霊装に身を包んで現れた。
「神夏さんのそのお気持ちには激しく、ええ、激しくっ!同意いたしますわ。しかし、一体いつから気づいておられたんですの?」
「んー?いやなんとなーく、カマかけてみただけだよ。見張ってるだろうなーとは思ってたから。にしても狂三ってそんなに士道に思い入れあったっけ?食糧としかみてなかった記憶が」
「いえいえ。まさかそんな。わたくしの事情を除けば士道さんは良い男性ですわ。恋焦がれますわ。ですが……申し訳ありません神夏さん。それどころではありませんわ。
狂三の顔はいつになく、真面目だった。何処か冷や汗も出ている気がするし、恐怖しているようにも見える。
「ふーん。で、何がわかったの?」
何度か深呼吸をしたのちに狂三はゆっくりと口を開いた。
「ルシフェルとやらが、DEMと手を組みましたわ」
「は?」
狂三が言ったことは予想外にも程があった。
ルシフェルがDEMと手を組んだ?
「確かな情報?」
「ええ、わたくし達数十人がかりで得た情報ですわ。……帰ってこられたのは数人でしたが」
忌々しい、憎悪に満ちた声で狂三が呟く。
「しかもただ殺された訳ではありません。……本来ならば真っ先に知らせるべきだったのですが、確証がなくお知らせするのを躊躇っていましたが、今回ので確信致しました。
わたくし達はただ殺された訳ではありません。
「喰べられた、ってのは狂三の言う『士道を喰べる』と同じ意味と解釈しても?」
「ええ、それで構いませんわ。事実、ルシフェルを監視していたわたくし達は尽くが消息不明です。全て喰べられていた、そう考えるのが自然ですわ。
単刀直入にお伺いしますわ。神夏さん。ルシフェルのこの行動をどうみますか?どのような目的があると思いますか?」
そう言われるも、ルシフェルの行為そのものには一つだけ心当たりがあった。それを隠す必要もないし意味もない。そう感じたから狂三へ考えているのを話す。
「ルシフェルの行いが霊力の補充なら考えられるのは連続殺人鬼やら日本由来の鬼とかいうレベルじゃない、更に上の存在を喚ぶこと。……だと思う。
ルシフェルの能力は『人類の敵を、悪を、その身に宿す』なのは知ってるっけ」
私の問いにコクと頷いたのを確認して話を続ける。
「まだ伝説状の代物だとか実在した奴とかならまだいい。だけど、神話の、それこそ邪神とかってなってくると……」
「神夏さん。ルシフェルを殺しにいきましょう。今すぐにでも」
狂三らしくない物言いに思わず驚いて声が出なくなった。
「そんな積極的だったっけ。私の知ってる狂三はもう少しお淑やか……じゃないな。余裕ぶってた記憶があるんだけど」
「
「何をみたのさ」
「お恥ずかしいお話ですが、
「わかった。もういいよ。ともかくルシフェルは殺すべきなのは激しく同意するところだし。でも…ラタトスクがねぇ」
「そんな方々の理念に付き合うきですの?」
「約束しちゃったしね」
「その結果、人類が滅びようともですか?」
「それ言われると耳が痛いなあ。…まあ、どうにかするよ。元よりアレは私の問題だからね。いざと言う時は手伝ってね狂三」
「お断りします…と言いたいところですが。承知しましたわ。いずれその時が来たら、全面的な協力をお約束いたします」
「ありがと」
コレにて保険はできた。最悪の時の保険は。
「ではこれにて失礼しますわね。神夏…いえ、ルナさんとお呼びした方が良いのでしょうか?」
「どっちでも構わないよ」
「では…ルナさんで。ルナさん、また会いましょう」
「うん。またね狂三」
この言葉を区切りに狂三は影の中へ帰っていった。
「……DEMと、ルシフェルが手を組んだ、ねぇ。あのルシフェルが…?」
ありえない、とは言い切れない。
王様なら何かわかるかもしれないけれど、王様の気配すら感じ取れない。
私の中には、もう、いないのだろうか。
「考えても仕方ないや。士道達は…ほっといた方が良さげだねあれ」
後ろの方には未だ絡まれてる士道が。
あの様子だと学校に来る頃には疲れ果ててそうだ。
はっはザマァ。
学校に来るなり周りの生徒は私を見た途端、異物を見るかのように、触れ難いナニカのように私が通るたびに道を開けて行った。
着席するも、誰一人として近寄ってこない。
誰も関わろうとしてこないのは有り難い限りだけど、異物かのように見てくるのは些か、気分が悪いな。
「……っ!」
そんな異質な空間と成り果てた扉を開けたのは士道。息を呑んだかと思うと何も見ていないかのように私の隣へ。
「や、おつかれ」
「ル……神夏、お前なぁ…」
「はっはっは。ザマァリア充死すべし」
「ぶん殴るぞお前」
「間違っても女の子にそんなの言わない方がいいんじゃない?」
士道だけがそんな異常事態の中、何事もないかのように私の隣に着席した。
「で、何で皆さんが私を遠巻きに見てる理由、わかる?」
「さあ?俺にもわからないな。考えられるとしたら…前にルシフェルが神夏として学校に来たから、じゃないか?」
「え?は?ちょっとまってアイツそんなことしてたの?」
ちょっと待とうか士道さんや。それいつの話よ。
「ああ。天央祭の後に、片付けする日にルシフェルが…」
なるほど理由には納得した。
そりゃいきなり髪が変わったかと思えば元に戻ったやつを変な目で見るのは当たり前か。
言うなれば真面目な奴がいきなりギャルになったかと思えばまた真面目に戻ったのか。しかも超短期間で。
うん、私も変な目で見る自信あるな。
「なるほどね。よーし次あったらアイツぶん殴る」
「女の子がそんな言葉遣いしない方がいいんじゃないのか?」
「よーおっ!我がマイフレンド士道!朝から神夏さんとイチャコラとはいいご身分だなぁおい!」
「揶揄うなよ殿町」
「やあ殿町……ヒロム、だっけ?」
朧げに覚えてた名前を言うと急に静かになった。
え?何か変なこと言った?
「……やったぜ!士道、俺とうとう神夏さんに認知されたよ!やったぜ俺!士道と付き合ってなければアタックしたのに!ああ畜生め!」
「喜ぶのか悔しがるのかどっちかにしたらどうだい?」
「じゃあ喜ぶ方向で行きます!呼んでくれてありがとうございまっす!」
「は、はい」
テンション高いなぁ。何がそんなに嬉しいのか。
「そういえば知ってるか?転校生が来るらしいぞ」
「転校生?」
「ああ、職員室から聞こえてきたから確実だ。名前はわかんないけどな」
へぇ、転校生。
また精霊の誰かとかだったりして。
んなわけないか。
その後は士道と殿町の話を横で聞きながら机に突っ伏してると始業を告げるチャイムが鳴る。
さてはて、今日もいつも通り寝て過ごそうかねぇ。
転校生くらいは横目で見て記憶の片隅にでも留めておこうかな。今後関われるのもごく僅かになるだろうし。
「はいっ。では自己紹介をお願いします」
「…………は?」
「え?」
「……っ!」
「なっ…!」
その転校生を見たとたんにそんな考えは吹き飛んだ。
見間違えようもない。
見間違えるはずもない。
「やあ。私の名前は神夏・
そこにいたのはルシフェルだった。
ノロマ更新なのはどうにかしたいと思いつつオリジナル展開だとどーにも……筆が……
皆どうやってオリジナル展開で面白く描けるん?私にも才能分けて(切実)
さてここからは神夏ギルの物語。
頑張って書き上げます。
読んでくださりありがとうございました。
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サブタイトルあったほうがいい?
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あったほうがいい
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無くてもいい