デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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「?」

実験部屋に戻ると何やらラフム共の様子がおかしい。
なんというか、殺意を持っていると言えばいいのか。ラフムにしてはあり得ない事情が起きており少し困惑してしまった。だが…まあコレはコレで面白いかもしれない。

「殺意に満ちたラフム……うん、良いおもちゃになりそうだ」


61話 神夏ギルの覚悟

「はぁー。まさか数発ビンタもらうとは」

「大丈夫か?腫れたりしてないか?」

「うん。むしろビンタだけで済んで良かったとは思うよ」

 

両親の墓を後にし、タクシーに乗って殿町達のいる場所へ向かうことにする。その途中でスマホに着信が入る。あっちの誰かかなと思い画面を見てみると、まさかのラタトスクの中津川さん。チラと横を見てみると士道も電話がかかってきていたようで互いに目を少しだけ合わせて共に出る。

 

「はいもしもし」

 

『神夏さん!無事ですか⁉︎』

 

思わずスマホを耳から離してしまうほど大きな声で叫ばれる。正直に言うとめっちゃびっくりした。キーンという耳鳴りが治ってから再度耳に当て、先ほどへの返事を返す。

 

「ええまあ、はい。無事ですよ。ちゃんと反転もしていませんし自暴自棄にもなっておりませんとも」

 

『ああいえ、そういう訳では…いや勿論そちらも心配でしたが。それとは別件です』

 

「というと?」

 

『…単刀直入に言います。ラフムが現れました』

 

 

 

「…………。はい?」

 

 

 

中津川さんの言った言葉に思わず思考が停止してしまった。

 

「なんて言いました?」

 

『ラフムが現れました』

 

どうやら聞き間違いではなかったらしい。

 

「気のせいでは?」

 

『映像で確認しています』

 

「……見間違いじゃ?たまたまルシフェルの霊装が紫色をしてたから」

 

『いえ、まごうことなきラフムです。映像もお送りしますよ』

 

そしてピロンと通知が来たので見てみると、確かにまごうことなきラフムだった。

 

『そこから推測ですがルシフェルは人類悪ティアマトの権能の極一部を顕現させていると思われます』

 

そうだろうね。私の知識を使っていると言うのなら、ラフムを生み出せる存在なんてそれしかいない。

だけど『極一部』という言葉に疑問を覚えてそれについて聞き返す。

 

「極一部、と言うと?ついでにその根拠は?」

 

『色々とありますが…とにかく神夏さん。できるのでしたら今すぐに帰っていただきたいのです』

 

「とは言っても、こちとらイギリスですよ?それに…後1日はこっちに居させてほしいんですが。どうせ明日の夜には帰りますし」

 

『そうも言っていられない事態になりましたので。私達の知っているラフムと全く同じものだとしたら今現在も増え続けています。いくら貴女が規格外の精霊で万夫不当だとしても……』

 

「私1人でどうにもならないときは力を借りますよ。……ただ、ラフムが出たと言うのなら尚更、私は自分のことにケリをつけておきたいんです。それに、()()()()()()クラスメイトとの旅行なんです。もう少しだけ、楽しんでおきたいんです。すいません、ワガママ言ってる自覚はあります」

 

『はぁ…わかりました。というよりも司令達とも話を先にしていました。その結果、神夏さんの自由にさせてあげよう、と。ですので気負わないでくださいね。ラフムとなると私の専門分野の知識ですので、帰ってくるまでは誰も傷つけさせません』

 

「…わかりました。お願いします。それでは」

 

『はい。旅行、楽しんでくださいね』

 

その声からは明らかな焦燥が感じ取れた。

 

 

 

……そっか、もう終わり、か。

 

 

 

「士道は何の電話だった?」

 

「琴里から、『帰ったらすぐにルシフェルを探し出してデートするつもりでいなさい』って言われた。なんでも、ルシフェルがとんでもないものを顕現させたって…」

 

「私もほぼ同じだね。……相当ヤバい事やらかしやがったみたいアイツ」

 

ラフムの存在。それが示す事はただ一つ。そんなもの分かりきっている。分かりきっているからこそ、()1()()()()対応ができないのが嫌でも理解できる。

 

「はぁ…士道」

 

「なんだ?」

 

「今日の夜の部屋割り、ちょっとだけ特殊なことさせてね」

 

「え?あ、ああ」

 

情報共有は早めに、だね。

 

 

 

それからは何事もなく殿町や八舞姉妹達と合流し観光。そして部屋割りを私、八舞姉妹。もう片方を士道達。要は男組と女組で別れてもらった。

 

「さて、ということで八舞姉妹。……真面目な話がある」

 

「何よ改まって。アンタがそんな弱気なんて珍しい」

「疑問。貴女がそれ程までに警戒すべき相手でも現れましたか?」

 

「ん、間違っては無い。けどそのことを話す前に……」

 

時間は23時。八舞姉妹はエネルギーが有り余っているのかまだ眠気は感じられない。これから話すことを聞いたら余計寝れなくなりそうだけど。

 

 

コンコン

 

 

「はいってどーぞ」

「お邪魔します」

 

入って来たのは士道。それと妹の五河琴里。

 

「まさか琴里までくるとはね」

 

「そりゃあ、あんなモノを見ちゃったらね。ルシフェルって存在を否応にも認識を改めなきゃいけないもの」

 

その顔には確かな覚悟と恐怖が滲み出ていたのが分かる。だからといって情報を出し惜しむ訳にはいかないんだけど。

 

「その件に関して何だけど、一回映像を見せてもらってもいい?一度自分の目で見ておきたいの」

「わかったわ」

 

琴里が士道に持たせていたであろうディスプレイを立ちあげ、士道の家の前を映し出した。

 

 

そこに居たのは狂三、ルシフェル、鳶一折紙、崇宮真那。

そして、一体の事切れたラフム。

 

 

映像越しとは言えラフムを見た瞬間に八舞姉妹と士道、琴里は一気に臨戦体制に。私は元々聞いていたから良かったけどそれでもなお、不快感が拭えなかった。

 

「うわぉ。マジモンのラフムじゃん。んで、コレについて何処まで聞いてるの?」

 

「ティアマト神が生み出した存在であること。そしてこの場合のティアマト神は『人類悪』と呼ばれていること、ラフムは下手をすれば私たち精霊と同じかそれ以上の力を持つこと、くらいかしら」

 

どうやら必要最低限のことだけ知っているって感じかな。けど何も知らないよりかはいいか。

 

「そうだね。それにプラス、ラフムは自我を持っていない、条件次第では際限なく増えることくらいは頭に入れておいた方がいい。あとは人間を元に作り変えられた存在もいるかな」

 

「なっ…」

 

「だから言ったでしょ?ルシフェルは殺すべき存在だって。アイツはどう取り繕うとも人類の敵に変わりないんだから。流石に神話の類とかは顕現()べれないと思っていたけど、ルシフェルを侮りすぎたなぁ。はー、ほんっと、おとなしく士道とイチャコラしてれば良いものを」

 

映像をおさめてもらうと同時、士道が何かを思い出したかのように声を出した。

 

「思い出した!前に俺が見たのもこんな見た目だった!」

 

「前というと…変なのが聞こえたとかいう?」

 

「ああ、その時にチラッと見えたのもこんな感じの」

 

「……どんな言葉喋ってた?」

 

「確か、『めとさつ』って言ってた」

 

「めとさつ…み・つ・け・た?」

 

「え?」

 

「士道の聞いた言葉。それを私たちの言葉に直すと『見つけた』。何を見つけたのかは知らないけど…」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさい!貴女この生物の言葉がわかるの⁉︎」

 

ラフムの言葉を解読してみせると琴里が驚愕の声でコチラに聞いてくる。

まあそりゃ、何回アニメを見たことか。それに私の知識で顕現させたと言うのなら解読方法も同じなはずだろうってことで解読できただけなんだけど。

 

「まあ分かるというか、解読方法を知ってるだけというか。解読だけなら中津川さんでもできるし、なんならめっちゃ簡単だから琴里達もすぐにできるよ?で、他には変な言葉聞いてたりはしないの?」

 

「ああ。それ以外は特に…」

「あるわ。十香や四糸乃達が聞いてるの」

 

「…どんな言葉?」

 

「四糸乃が聞いたのは士道と同じ『めとさつ』。十香は『うわふ ぬくむ』。美九は『つひせえ きえせえ』」

 

「四糸乃のは同じだね。『見つけた』ってことは精霊である私や四糸乃を見つけたってことかな。十香のは…『あれは なかま』……仲間?コレに関してはちょっとわからない。んで美九が…『たのしい おいしい』…楽しいはまだ分かるけど、美味しい?え、なに、美九の見た個体って何か食べてたの?」

 

「食べてたかどうかはわからないわ。ただ何かをいじくり回してたみたいよ」

 

「ふーん…。ラフムが?え?キッッモ」

 

確かにラフムが人間をオモチャのようにいじくり回して楽しい楽しいと言っている描写はあるにはあった。それすら再現してるとしたら…

 

「お主だけで理解しようとするな!我らにも教えよ!アレはなんなのだ!」

「質問。アレは、生物なのですか」

 

耶倶矢に肩を掴まれグワングワンされ夕弦からは顔を持たれる。それが鬱陶しくなり思い切り手を払いのけ説明をする事にした。というか、遅かれ早かれ説明するつもりだっての。

 

「アレの名前は『ラフム』。あんな見た目はしてるけど一応『人類』」

 

「「「「はぁ?」」」」

 

「ま、その反応になるのは知ってた。正確にいうなら『人類の代替品』ってところかな。だけど、見ての通り人間からは程遠い生命体。

 

この生命体の生み出され方は私の知っている限りだと2通り。まず一つが母なる神であるティアマトから直接生み出される。二つ目は()()()()()()()()()()()()()()()()()方法。コレ以外での増え方を私は知らない」

 

「ちょ、ちょっと待ってくれ。アレが元は人間の可能性もあるってことか⁉︎」

 

士道は信じられないという風に私を見てくる。が、残念ながら事実なので、今後起こるであろうことを淡々と言う。

 

「そ。今のうちに言っておくけど今後ラフムと対峙する時、絶対に、何があっても躊躇しないこと。特に士道。キミに前線へ出てもらう気は無いけど、仮に出ることがあった場合は躊躇いなく殺すこと。それが無理なら…ルシフェルを救うなんて世迷言は今すぐに捨てることだね」

 

「そんな…人に戻す方法は無いのか⁉︎」

 

「無い。そんなものあった所で実行のしようがない」

 

「そんなのわからな「じゃあ」っ」

 

それでも尚諦めようとしない姿勢は流石というべきか、蛮勇と呼ぶべきか。そんな士道の言葉に更に被せる。

 

「独りで全部やると良い。常に殺しにくる精霊が数十体から百数十体の規模で来るものだけどね。でもラフムを全て元に戻したいと言う君の覚悟を尊重してあげよう。だからラフムは全て殺さないし士道が全てなんとかしてくれよ?」

 

「っ、ああ。構わない」

 

「……はぁ」

 

そんな虚栄とも取れる士道の言葉に深く、深くため息を吐く。それが少し気に食わなかったのかこちらを睨んできたのが3人。

 

「士道。一つだけ言うよ?

 

 

バカなの?」

 

 

わざとバカにするようにいうと言うと案の定、耶倶矢と夕弦、琴里は怒る。色々と説教されたりしていたけど全部聞き流し、再度士道へ事実を突きつける。

 

 

「良い加減現実を見なよ。君が命全てを尊び救おうと思っているその覚悟は評価する。だけどこれから私達が向かう、向かわなければならないのは戦争という表現すら生温いと感じる程の場所。

 

一瞬の躊躇で大切なモノが奪われる。どんなに努力をしようとも理不尽という力で以てねじ伏せてくる。どうしようもない絶望で以って希望を塗りつぶしてくる。

 

……私達が行こうとしているのは、そんな場所だ。良い加減、覚悟を決めなよ」

 

 

惨状を知っているからこそ、甘い妄想は抱いて欲しくない。

だからこそ命の奪い合いをする覚悟をしてもらわなきゃならない。

 

と、そこでふとやらなければならない事を後回しにしている事を思い出してしまった。

うん、この際だから今やってしまおう。それらしい理由もつけやすいし。

 

「でも君にばかり覚悟とやらを求めるのもお門違いだね。私も、覚悟を示そうか」

 

「ん?」

「え?」

 

「士道ちょっとこっち来て」

 

未だ葛藤している士道へ手招きし目の前に来てもらう。

 

「ど、どうしたんだ?」

 

「いやなに。私なりの覚悟を示そうってだけさ。目を瞑ってもらって良いかな?」

 

士道は私の言葉になんの疑いも持たず目を瞑る。いつか騙されそうだなぁとか思いながら胸元を掴む。

 

 

そして

 

 

 

口付けをした。

 

 

 

「!?!?!?」

「「「えっ⁉︎」」」

 

 

 

ほんの数秒のキスを終え、士道をポンと押すとフラフラとしながら後ろに下がり壁にぶつかっていた。いや何してんの。

 

「な、なんで…」

 

「必要な事だからね。けど霊力の封印って訳じゃないのは士道が一番よくわかってるでしょ?」

 

「ああ、霊力というか何か温かいものが流れ込んでくる感覚は全然。でも一体何のために?」

 

「簡単に言えば私が士道の霊力を、正確にいうならば士道の中に封印されている十香、四糸乃、琴里、耶倶矢、夕弦、美九の霊力を使うため」

 

「?えーと、どういう」

 

「私と士道で霊力の経路(パス)を繋いだってこと。十香達のようにね」

 

「えっ⁉︎」

「ちょっ!急にどうしたのよルナ!悪いものでも食べたの⁉︎」

 

「おおう酷い言われようでワロタ」

 

今度は琴里が肩を持ってグワングワンと揺らしてくる。私の評価どうなってんのさ。

 

「霊力の経路(パス)を繋いだだけで大袈裟な」

「だからっていきなりキスする奴があるか!せめて他の方法にしなさいよ!」

「え?それだと士道と性行為することになるけど良いの?」

「キスでいいわ」

「知ってた。てか私も嫌だし」

「って、そうじゃなくて!」

 

酷く驚いているけども、そんな大したことじゃない。

 

「ま、ルシフェルと殺し合う直前には元々やる予定だったし。それが少し早くなっただけだよ。私も…なりふり構ってられないからね。出来ることは全部やっておかないと。やらずに後悔はしたくないから。

 

勿論、ルシフェルの件がひと段落したら経路(パス)は切らせてもらうから。その後封印なりなんなりしたいなら頑張ってくれたまえ」

 

さてはて、どこまで上手く事を運べるか……。狂三とも連絡を取り合わないと。




よ、ようやく書けた……
描きたい場面は頭の中にあってもそこに至るまでの構想がまっったく出てこず……
大変お待たせしました(土下座

次話 神夏ギル、日本へ帰る(適当)


それでは読んでくださりありがとうございます
感想や評価などくださると嬉しいです

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