デート・ア・ライブ 黄金の精霊   作:紀野感無

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数日前のこと

「デアラの更新日いつだっけなぁ」

8/30


( ゚д゚)


申し訳ありませんでした(土下座)





あ、そうそう。今回は残酷な描写注意です


63話 ただのお遊び

 

ピキッ

 

耳障りな音が()()鳴り響く。

原因などとうに分かりきっているが、甚だ虚しく止める術が無い。

 

「おや珍しい。愛しの五河士道へ逢いに行ったのでは?」

 

「いなかったから帰ってきただけだ。それよりもコイツらどした。やたらめったら殺気立ってるけど」

 

「さあ?私がこちらに戻った時には既にそのような状況でしたから。下手に関わりたくないので我関せずを貫かせていただきました」

 

「ふーん」

 

「それで…なぜソレらと一緒に魔術師(ウィザード)部隊が?」

 

「データ収集兼ストレス発散させてるだけさ。それにこいつら死んでも構わないだろ?」

 

「まあそうですが…せめて事前に言ってください。勝手に殺されてはこちらにも不都合があります」

 

「気が向いたらな」

 

眼前のガラスの先には百体は下らない怒りに満ちたラフムとそれを死ぬ気で捌いている10人程度の人間部隊。精鋭とだけあってラフムが襲い始めてから30分は経った今でも五体満足とはいかないにしても全員が生き残っていた。一応出口は作ってあるし、そこから出た人間には手出し厳禁としてあるから生き残れはする。

 

出口まで辿り着けたら、だけれどね。

 

「それでデータというのは?」

 

「コイツらが怒りに満ちる原因。おおかた理由は判明した」

 

「というと?」

 

「簡単に言えば復讐心。同族が殺されたことへのな」

 

実験中に人間に殺されたラフムを他のラフムが見て、さらに怒りが増え、また別のラフムが殺され、ラフムが怒り、殺され、怒り…と言ったサイクルを無限に繰り返していた。人間側が未だ誰も死んでいないのはラフム共が10秒程度とは言え定期的に動きを止めるからだろう。

だが、今は私が強引に押さえつけてはいるけどいつ爆発し暴走してもおかしくはない。

 

「……お」

 

人間達がようやく出口に気づいたらしい。リーダーを名乗っていた人間が全員へ指令を飛ばし更に全員の士気が高まり一丸となっていた。

 

「ふーむ。これは上々。君達人間も思ったよりやるね」

 

あと5分もすれば出口に辿り着くだろう。

だけど……それじゃあ面白くない。

 

「念の為確認するけどあいつらが死んだら困る?」

「いえ、特に問題はありません」

「OK。んじゃ…これからのショーを楽しみにしてな」

 

ラフムのうち一体へ思念を送る。

 

 

『怒りを解き放て。激情の赴くまま暴れろ』

 

 

それともう一つ、別のモノへ伝令を送る。

 

 

「くふふふ…さあ面白くなるよ」

「お母さん」

「何」

 

楽しくなりそうなのに急に誰かから呼ばれ、ちょっと不機嫌気味に返事をする。

相手は見なくてもわかる。

 

「お母さんの言ってたあの人間、()()()()()

 

「…へぇ、思ったより長かったね。それでどうだった」

 

「解体されちゃってた。あと半分くらい直されてたよ」

 

「それで?」

 

「それでね、私たち助けたけど、もう手遅れだった」

 

「ほーん。んじゃソレ、アイツに渡しといて」

 

「わかった!」

 

そうして部屋を勢いよくソレは出て行った。ソレが持ってきた情報を頭の中で整理し、思わず口角が上がる。

 

「これで手札も半分は揃ったね。あとは…」

 

ガラスの先とは別のモニターに映っている人間達を見ながら起きるであろうことへ思いを馳せた。

 

 

 

 

「もう直ぐだ。待っててくれよ我が運命人。我が宿主」

 

 

 

 

 

「はっはっ…隊長!出口まであと10メートル切りました!」

「了解!みんな!最後に死力を尽くしな!死にたくないならね!」

「「「「了解!」」」」

 

突如ウェストコット様とルシフェルと名乗る女から渡された命令を最初こそ恨みはしたがもうそんなこと考えていられなかった。

 

私たちの疑問を払拭してくれるわけでもなく戦闘訓練ルームに放り込まれた私たちを襲ってきたのは100体はいるであろう紫色の蜘蛛のようなバケモノ。

 

とにかくただ生き残るために戦うしかなかった。

 

「……?また止まった?」

 

バケモノ達からの攻撃を全員が死に物狂いで攻撃し防御し避け何とか出口が見えるところまで後退できた。それも多くの死地を乗り越えてきた仲間が居たのも大きな要因で、更にはこのバケモノのうち一体を仕留めるたびに他のバケモノが止まったというのも大きな要因だった。

 

けど今度は違った。

 

バケモノを仕留めていないのにいきなりバケモノ達が全て止まった。

 

「何が…いやそんなことより…。みんな好機よ!今直ぐ出口まで撤退する!」

「「「「「了解!」」」」

 

だけどその理由を探る意味はないと切り捨て全員一斉に振り返り出口へ全速力で飛ぶ。10メートルもないのなら数秒とかからず辿り着ける

 

 

 

はずだった。

 

 

『ねぐすぬえ。らろすぬえ』逃がさない。許さない

 

バケモノのうち一体が何かを喋ったかと思うと私の横を何かがとんでもないスピードで通り過ぎた。

 

「ッ⁉︎何が…」

 

後ろを振り返ると先ほどまで先頭にいたバケモノがいなかった。同時にとてつもない寒気がして自分の先を飛行していた仲間を見る。

 

「何処!何処行ったの⁉︎」

「総員!何があったか報告!」

「ハ、ハッ!突如何かが後ろおよび上から飛来!隊員が2名ほど行方不明に!」

「なっ…」

 

上と後ろ。つまりは下と前へ向かって何かが飛んできたということ。

 

「各自2人1組を組め!下、出口方面を索敵!」

「「「りょ、了解!」」」

 

直ぐそばにいた隊員と背中合わせになり首を必死に振り行方不明になった隊員を探す。

 

奇妙にもその間隙だらけだというのにバケモノ共はこちらを襲ってくる気配がなかった。

 

 

「た、隊長…」

「何!見つけたの⁉︎」

「は、はい、おそらく…」

「何処!」

「……」

 

私のペアになった隊員が顔面蒼白になりながら震える手で下を指差す。そこにいたのは一体バケモノ。しかもやけに離れており孤立していた。

 

「……?」

 

バケモノは何かをいじくり回しているのか蜘蛛のような脚を忙しなく動かしていた。隊員が指差した理由が直ぐにピンと来ず--いや、認めたくなかったのかもしれない 楽観視したかったのかもしれない--顕現装置(リアライザ)を使い拡大し確認をする。

 

してしまった。

 

「……〜〜ッ!」

 

そのバケモノが持っていたのは、いじくり回していたであろうモノの一部が鮮明に見える。それは人間の腕だった。纏っていた服にも見覚えがあった。ありすぎた。なんせいま隊員の全員が着ているのだから。

 

恐怖からの叫びを理性で無理やり押さえつけ己が隊長としてやるべき事を--残りの全員を生かすために指令を出す。

 

「総員!即時撤退!全速力!行方不明者は見捨てろ!」

 

驚くべきことに全員が何の躊躇いもなく一斉に出口へ向かった。いや、当然かもしれない。あんなものを見てしまっては。

 

『ねぐすぬえ』にがさない

 

またバケモノが何かを呟いた。

その瞬間に私の横から感じていた気配が消えた。それと同時に前にいた隊員も消えた。

 

「〜〜ッ!」

 

下を見ると断末魔を上げる暇すらなくバケモノに胸を貫かれた隊員が。上を見ると首から上をぱっくりと齧られていた隊員が。

 

「ぎゃあ⁉︎いだいいだい!やめてぇ!」

「がぼっ…や、やめ…」

 

「っ⁉︎」

 

更に前を見ると別のバケモノに捕まった隊員が。1人は四肢を貫かれ大きく空いた口でお腹をぐしゃぐしゃと咀嚼され、もう1人は複数のバケモノにただひたすらに殴られていた。

 

「〜〜っっ!」

 

その全てを見捨てるしかなかった自分をおそらく私は一生呪うだろう。だけどこのまま助けに入ると自分も死ぬ。

 

それだけは直感で理解していた。

 

「…!着いた、着いた!隊長!早く!」

「ええ!」

 

僅かに生き残った2人のうち1人が先に出口へ辿り着いていた。もう1人はあとほんの少し手を伸ばせば出口の中へ入れるところまで。

それを見た私は脳への負担も何もかもをかなぐり捨て顕現装置をフル稼働させることで加速した。

 

「よかった!たすかっ」

「…え?」

「なん…」

 

もう1人が出口にたどり着いた瞬間に安堵の言葉を漏らしていた。

が、それは最後まで言われることなく途切れた。

 

「何…が…」

 

待ってくれていた隊員が出口を開けた瞬間、そこから何かが飛び出した。青紫色のナニカということはわかったがそれを確認する前に手に持っていた爆弾を出口に向かって放り込む。同時に最後の生き残りを引っ張る。

 

「おーおー、2人も生き残るとは上々。やっぱりただの人間にしては想定以上に練度が高いね」

 

爆煙の中から出てきたのはあの時ウェスコット様の横にいたルシフェルと名乗った女。その背後にももう1人、本のようなものを持った180は超えてそうな男が立っていた。

 

『ギィギィ!』

「止まれ」

 

バケモノのうちの一体が私たちへ向かってこようとしたがそれをこの女は一言声をかけるだけで止めた。この女の指揮下にある…ということなのだろうか。だとすれば……

 

「アアッ!」

 

「っと。危ない危ない」

「マスター、お手をお貸ししましょうか?」

「いらん。離れてろ」

「承知致しました」

 

殺す…殺す殺す殺す!私の仲間を…よくも!

 

死ぬ気でレイザーエッジを振り回し、レーザーを撃ち放つ。だけど悉くを避けられてしまう。

 

「あー、もういいよ。お疲れさん」

「あぐっ⁉︎」

 

ルシフェルはもう飽きたとでも言わんばかりに、雑に私の首を片手で掴み動きを止めてきた。

 

「本当ならここまで来れたのを讃えて生きて脱出させてあげようと思ってたんだけど…ちょっとイラッと来たから君だけ特別処置だ。青髭」

「ここに」

「あとは任せた。興が覚めるようなことするなよ」

「畏まりました」

 

ルシフェルはそう言って私を放り投げ、出口の向こうへ歩いて行った。

……まて、青髭?

 

「青髭って…グリム童話の……」

「ああ、たしか殺人鬼…」

 

「んん失敬な!ただ青い毛をしているからそう呼ばれているだけです!さてそんな事よりもお嬢様方。早くこちらへ来た方がよろしいのでは?ラフム共が今か今かと狙っております故。死にたいのなら話は別ですが」

 

「っ!」

 

見た目は恐ろしさを醸し出している人間だったけど案外優しいのか?だけど今はそんな事より…

 

「早くいくわよ!」

「は、はい!」

 

バケモノ達が一斉に動き出し、それとほぼ同時に最大速度で出口へ向かって飛ぶ。ガシャアン!と盛大に出口を破壊してはしまったが中に入った途端にバケモノ達は何かを喋りながらどこかへ消えて行った。

 

「はっはっ…」

「ここから出たら辞表叩きつけてやる…」

 

「ふむふむ、マスターも仰られていましたがあなた方は優秀なようですね。特にそちらのお方」

 

「……」

 

「そう睨まないでください。私めの役目はあなた方を安全な場所まで送り届ける事です。あの地獄から生き残った強き者をね。ご安心くだされ。必ずや守って見せましょう」

 

「……そう。でも私たちにそれ以上近づかないでちょうだい。それとお前が前を歩け」

 

「承知致しました」

 

そうして呆気なく要求を呑んだ男はニコッとまるで神父のような顔で笑い先程ルシフェルが出て行った扉の方へ歩いていく。ここに入った時と同じならあそこから…。

 

「……っ」

「大丈夫?」

「だ、大丈夫、です。もう安心だと思うと…」

 

隣を見ると大粒の涙をポロポロと流していた。手足は生まれたての子鹿のように震えており肩を貸してやらなければろくに歩けなさそうだった。

 

「しょうがないわね。はい」

「ありがとう、ございます」

「いえ、こちらこそ…生き残ってくれてありがとう」

 

「お嬢様がた?早くおいでくださいな。あなた方がいなければ開けることができないのです」

 

「今行くわよ!」

 

はぁ…でも本当に、生き残れた。

絶対にあのルシフェルって女は顔面壊れるまで殴るか斬り刻んでやる。

 

「さあ、行きましょ」

「…はいっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっはぁ、えっぐいわぁマスター」

「青髭に言えよ。私は『誰1人として生かして返すな』って命令しただけだ」

「あのお姉さん…解体したかった」

「だははは!面白ぇ顔してやがる!」

「趣味が悪いんちゃ」

「……」

 

モニターの先では2人の人間が数多の触手に蹂躙されていた。嬲られ、齧られ、へし折られ、みっともなく泣き叫んでいる。しかも何かの魔術をかけたのか一向に死ぬ気配がない。

 

「んー、まいっか。いい実験になった」

 

ラフムと人間の戦闘データ、青髭の魔術、ふむ色々と勉強になる。

 

 

ピキ

 

 

 

「あら?マスターはん。ヒビがおおきゅうなっとるよ?」

 

「ほっといていい。それよりもお前達はお前達でやることをやってろ。ああだけどお前らはこっから出るな。まじで。人攫いやら辻斬りされたらめんどくさいことこの上ない」

 

「あん?じゃあマスターが遊んでくれるのかい?」

「なんじゃ。わしが信用できんがと?」

 

「いいからあと1週間は大人しくしてろ。そしたら…思う存分暴れさせてやるよ」

 

そうして私の前から女の身が消え、男はなんか知らんけどダル絡みしてきた。おい胸を触ろうとするな海賊風情が。




青髭と呼ばれる男のやったことはFate/Zeroのキャスター初登場話を参照にしました。
……今更だけどzeroでのキャスターの行い、結構やっとることエグいですね。
さてはて、次の話からガッツリ神夏ギルとルシフェルの物語を絡ませていくよていです



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